「ほほ笑む暗殺者」の新たな照準−島国NZを富裕層の古里に変えろ (ブルームバーグ)


ニュージーランドの記事です。

"The smiling assassin"ことジョン・キー首相のインタビューに始まりニュージーランドが直面している苦境について簡単にですがよく書かれています。

NZドルは最近では金利低下の影響もあり人気が急落していますが少し前まではキャリートレード通貨として人気でした。そのNZドルに関連する部分もあるので、メモ代わりにエントリー。


「向こう30日以内に訪問してくれれば自ら空港に迎えに行く」と語り、「イングランドのようだが、偉ぶった態度はない」とNZ国民の気さくさを強調した。
こういうジョークを日本の首相が言うのは難しそうですね。日本の首相がこんな発言をしたらネットで「首相自らが空港に迎えに行くなんてありえない。こんな経済危機かに何をふざけたことを言っているんだ。ふざけるな。」のような意見が多く出そうですね。

2008年11月の就任以来、首相は景気押し上げを目指して所得税と法人税を引き下げ、企業幹部向け奨学金制度を導入。観光相も兼任している。
NZではいろいろやっているようです。こんな経済危機下で観光相まで兼任するのは日本の感覚だと疑問符がつきますが、観光への依存が強いNZでは危機だからこそ首相の強いリーダーシップを発揮するために兼任が良いのでしょうか。
税金の引き下げは記事で後述されていますが、所得税は38%から33%に引き下げ済みで法人税は来年に28%(オーストラリアより2%低い)にするようです。

1人当たりの国内総生産(GDP)でみた生活水準は購買力平価に基づく09年の試算で、経済協力開発機構(OECD)の他の加盟国の平均を約15%下回る。また、大学卒業者の約25%を含む100万人が就職のために海外に移住している。4−6月(第2四半期)の失業率は6.8%と、前四半期の6%から悪化した。
大学卒業者の25%が就職で海外移住というのも凄い話です。失業率が6.8%というのは意外に低い数字に感じたのですが、海外で職を求める人が相当数いることを考えると国内に職が無いという状況なのでしょう。
日本のように国民の多くが自国で就職しようとする国とニュージーランドのように外部に多く流出する国では失業率の数字が近くても、実際の仕事のあり具合はかなり違うはずです。単純な失業率の比較はできません。

ただNZ首相の職務は難しい。元ベテラン通貨トレーダーであっても、この10年にNZドルの対米ドル相場は1NZドル=0.39米ドルから0.82米ドルの間で大きく揺れ動いているだけに扱いにくい。NZドルはキャリー取引の人質となっており、海外投資家が高利回り資産への投資で利益を得ようと資金をつぎ込めば値上がりするが、彼らが資金を引き揚げれば下落する。
2007年までの上昇とその後の下落を見てもNZドルの難しさが分かります。
何度もNZ政府関係者が投資家に向けて「NZドル買いすぎ。買うな」という警告を出しても投資家には無視されて金利引き締めに走らざるを得ず、今度は投資資金の引き上げで急激な下落に見舞われるという往復ビンタ。
日本も為替に振り回されていると言いますが、円の値動きなどかわいいものでNZドルはかなりきついですね。