吊られた男の投資ブログ (インデックス投資)

投資信託を使った低コストインデックス投資/パッシブ投資(バイ&ホールドの国際分散投資)で資産形成を行っている一般サラリーマンの吊られた男が、主に投資やお金のことについて語るブログ。時々、投資やお金以外の話もします。



JAL

JAL社員への航空券配布反対ってどうしてだろう?

社員への航空券支給凍結=制度見直しの可能性も−日航
 会社更生手続き中の日本航空が、福利厚生制度として社員とその家族に航空券を支給している制度を、2010年度はいったん凍結することが、24日明らかになった。
ヤフーに掲載されていた時事通信の記事です。これは基本的には事実を伝えている話なのですが、ここのコメント欄を見てうーんと考えさせられます。

JALに勤めている方。あなたの会社はつぶれたのですよ。
福利厚生の有無の前に、働く場所があることを毎日日本国民に頭を下げて感謝することですよ。
公金で支援を受けている以上凍結はもう仕方無いでしょう。
当たり前。
ここの社員どもがいまだに給料もらって平気な顔してるのが解せない。
親方日の丸の悪いところだけが残ってしまったのか。
日本航空は会社更生手続き中なのです、
社員とその家族に航空券を支給している制度は凍結でなく廃止にすべき、
この制度は当然廃止だろ。ていうかむしろ今までがふざけすぎ。
そんな役得なんて制度化されているのがおかしすぎるだろ.
そんな無駄なことをして座席を埋めるのではなく
お客様を乗せて金を稼げ!
一般企業ではありえない待遇を
破たんするまで続けている事自体が
一般常識からかけ離れている。
そんなバカな!!!
ですね。
どこの会社でも社員割引と言うような事はあっても、無料とは。
当たり前だ!!
なぜこれほど国民に迷惑かけておきながらふんぞり返ってられる?同じ日本人とは思えんわ!!!
ボーナスも凍結で当たり前!!!航空券支給制度は無くすべき!!!
当然かと思います。
国鉄→JR旅客各社の場合も既得権の如く、
現在も家族優待や本人の自社線内フリーパスが支給されているようです。
JAL同様、JRも会社発足の経緯を考えれば
こういった過剰に思われる福利厚生は見直して欲しいと思います。
(一部コメントは中略あり)

ヤフーのコメント欄では各コメントに対して「私もそう思う」「私はそう思わない」を選べますが、上記のコメントは私が見た時点での「私もそう思う」が多かった順に並べた時の上位です。圧倒的にJALの航空券支給に対して批判的な意見が同意を集めています。

でも、何のための廃止なのでしょうか。
航空業界はデルタ、ノースウェスト、ユナイテッドなども破産を経験しているように競争が厳しい業界です。そんな業界で公的支援を受けて再出発を切るのがJALです。そのような厳しい業界でどうやってJALは再生したらよいのでしょう?


福利厚生はなくして、ボーナスはなくして、普通に給料を受け取らずに働く場所があるだけ感謝しろという企業になれば再生できるのか?

そんな企業で誰が働くのだろうか。厳しい業界で生き抜くためには優秀な人材を確保しなくてはならない。そのためにはコストがかかるのは当然です。福利厚生無し、ボーナス無し、給料も平身低頭しなくては貰えないという企業では人材が集まりません。
仮にボーナス・福利厚生無し、時給1000円にしたら、パイロットはいなくなるでしょうし、時給1000円以上で転職できる能力のある人はいなくなります。市場の評価で時給1000円以上の価値のない人間ばかりが残ります。
そんな企業で経営再建できるのでしょうか?


先の退職者への航空券支給の話でも書いたように、JALの福利厚生としての航空券支給は、企業側の負担は小さく、受給者側のメリットが大きいいい策です。人材をなるべく低コストで集めるための方法としてはいい方法でしょう。


「そんな無駄なことをして座席を埋めるのではなくお客様を乗せて金を稼げ!」なんてコメントは頭の上にハテナマークが飛び交います。座席が埋まらなかった空きスペースだからこそ社員を乗せているのです。ドル箱路線だけ限定の航空会社なら可能かもしれませんが、普通の航空会社で全線満席なんて夢のまた夢です。
中には、タダで社員を乗せるくらいなら大きく割り引きしてお客に売ればいいなんて意見もありますが、この人もJALを再びつぶしたいのでしょうか。空席があった時の直近の数日や当日券は正規料金やそれに近い水準で売ることで高い利ざやを稼いでいます。ビジネス客が多いドル箱路線はこのような客で企業経営を支えています。
当日券を割引で売ってしまったら、せっかく高い金額で買ってくれているお客がいなくなります。会社を潰せというのでしょうか?または自分が当日に空港に行って安く乗れるならJALなど潰れてもいいという主張なのだろうか。



JAL社員への航空券支給は、経営状況を良くするためという観点からも私は支持します。







日本航空 -早期退職応募者への航空券支給は良策

日航、退職後も家族向け航空券=早期募集で条件 (時事ドットコム)

日本航空が早期退職応募者に対して、退職後も家族向け航空券の支給を続けるとのことです。褒めるほどではないと思いますが、これは良い案だと思います。


そんな中、脊髄反射で書いてしまったような残念な記事もあります。
日航、早期退職者に“甘〜いアメ” 太っ腹だけど大丈夫!? (Business Media 誠)
大リストラの第1弾として、2700人の人員削減を進めている日本航空が、特別早期退職者に対し、“太っ腹”な条件を提示して話題になっている。退職金の割り増しに加え、退職後も家族向け航空券の支給を続けるというのだ。
 仮に国内線を羽田−札幌間の片道普通運賃3万5700円(16日時点)で換算すると、年間24枚なので85万6800円に相当する。また、国際線を成田−ニューヨーク間の往復エコノミー運賃30万400円(同)で換算すると、年間4枚で1割自己負担なので年間108万1440円。両方を合わせると、年間193万8240円相当となる計算だ。

 この条件で20年間支給された場合、総額は3862万8800円に達することになる。

 さらにこの水準で早期退職の予定人数2700人に支給した場合、1000億円を突破する計算になる。
今後は運航乗務員やグループ会社にも対象を広げる見通しだが、“特典”については見直し論議も出てきそうだ。
頭の悪い記事です。何が"太っ腹"で、どう見直せというだろうか?

日本では正規雇用者の雇用ルールが厳しいのは周知の通り。簡単に解雇はできない。
そこでリストラを実施する際には早期退職"募集"をかける。
例えば、私の監視銘柄であるプロパストは法人税を払えずに税務当局から資産差し押さえを受けるほどに経営状況が悪化している。そのような環境下のリストラでさえ早期退職制度になっている。日本ではそれほどまでに解雇は難しい。

早期退職制度は"募集"なのだから、応募者がいなくてはなりません。応募は自発的意思によるのですから応募するインセンティブ(割り増し退職金や何らかの特典)を提供しない限り応募者は集まらないでしょう。だから、早期退職でリストラをする時には、通常の退職金などの他に割り増し退職金や他の特典を提供することが必然となるのは当たり前の理屈です。


JALの話に戻ります。
上の記事にもある航空券が問題であるという主張がまったく理解できません。JALが提供できるものから考えると最良の条件の1つでしょう。
 日航は現役社員の福利厚生制度の一環として、毎年、国内線の航空券24枚(片道)と、国際線の航空券4枚(往復、1割自己負担)などの航空券を支給している。この航空券は社員本人のほか、配偶者や父母、子ら家族が利用できる。
 関係者によると、日航側は、特別早期退職に応じた場合、退職までの勤続年数と同じ年数の間、現役社員とほぼ同様の条件で航空券を支給すると提示している。
航空券の条件についてはに記事内に書いているように、現在の条件と同等の模様。

この条件であれば、航空券支給は企業側の負担を最小に抑えつつ、早期退職応募者には大きなメリットをもたらすWin-Winの特典になります。

早期退職応募者にとっては、上の試算にあるように最大限に利用すれば数千万円分の価値があるものになる。だから早期退職に応募するインセンティブとしては十分に魅力的。

一方、企業側にとっても魅力的である。
現在現役社員に支給されているものと同条件なら、この航空券は事前予約はできませんし、当日に空席が無い限りは乗れません。だから、空気を運ぶかわりに人間と荷物を乗せて多少の料理と飲み物を提供した程度の費用しかかかりません。そして、料金を支払う客がいた場合は、この無料航空券の客は飛行機に搭乗できないので、JALは料金を支払った客を取り逃すことにはなりません。


このように無料航空券支給案は、企業の負担は小さく、早期退職応募者の利益は大きいという素晴らしい案ではないだろうか。この手の特典付与は、こういうサービスを持っている企業の強みだと思います。
無料航空券をやめて、同じような経済的効用をもたらすだけの現金を支給するならば企業の負担はかなり大きくなるでしょう。
かといって特典をケチれば早期退職に応募する人がいなくなります。


さて、Business Media 誠の記事はいったい何をもって“太っ腹”な条件と言っているのでしょうか?何をどう見直せというのでしょう?


早期退職制度なんてやめて2700人を雇用し続けろ?
航空券なんてやめて現金で配れ?
法律を破って指名解雇せよ?(普段から企業の人員削減に文句を言うくせに?)



[JAL]やはり企業年金削減当然論は恐怖

##Docomoがかねてから話題になっていた(?)セパレート携帯を発表したが、
##去年に発表したコンセプトのモックや試作機の方がクール・・・



たびたび書いているJALの企業年金削減の件。

航空ネットワーク維持のためという公共目的&公的資金導入などを条件にした特別立法での企業年金退職金削減なども報じられています。
他企業へ飛び火しないようにという措置なのでしょうが、それでもやはり賛同できません。


法の不遡及が基本原則だと思います。


公的サービスに属する企業の場合は、他企業と違って将来の業績によって企業年金が削減されるというのであれば、それは事前に言われているべきでしょう。


個人も企業もその時点の法律・契約に基づいて行動を選択します。

例えば投資銀行はプレッシャーがきついが稼げると思うから就職します。数年のうちにストックオプションで多数の株を貰って退職します。ところが、退職後数年して突然「ストックオプションで獲得した株は返してね」なんて事後法が成立したら堪ったものではありません。その株という財産があるからこそアーリーリタイアメントしたのに、今更没収されたらただの金無し無職ですよ。それどころか、その株を売った資金で自分で事業を興していたら事業が立ち行かなくなり、借金だけが残ることになるかもしれない。

企業の場合もその時点の法律の基準を守って企業活動を行います。ところが突然法律が変わって過去に獲得した権利を放棄させるような法律ができてしまったとする。もう利益計上してしまって、それがあることを前提に事業展開して次の投資に回している金をいきなり無かったことにしろと言われるわけです。
そんな酷い話はありません。


積立不足によってOBの人たちに企業年金が全額払われなく減額になることは問題ありません。しかし、企業を存続させるという目的の為に本来なら優先されるはずの債権を放棄させるということを強制的に行おうとするのはおかしいですよ。債権放棄の選択は債権者の権利であって、放棄を当然とするのは筋違いです。私が社債を持っている企業を存続させるために社債が元本割れすることを認めろと言われても賛同できません。

やるならば、JALの資産を全部売却して債権者に分配する。そして、公的資金を使って1からJALの事業を継続する企業を作ればよい。物理的にこれをやると業務が途絶えてしまうので、国がJALの資産を買い取っても構わないでしょう。


政府にはこの問題については、冷静な対応をお願いしたい。変な方向に進んでしまうと、後々にJAL以外の企業に勤める人や投資家も恐ろしい目に遭いかねません。



私の著書 - ズボラ投資
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