吊られた男の投資ブログ (インデックス投資)

投資信託を使った低コストインデックス投資/パッシブ投資(バイ&ホールドの国際分散投資)で資産形成を行っている一般サラリーマンの吊られた男が、主に投資やお金のことについて語るブログ。時々、投資やお金以外の話もします。



CDS

アルゼンチン国債のデフォルト騒動は国家のデフォルトについて学ぶいい機会

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アルゼンチンの国債の債務不履行(デフォルト)問題が注目を集めています。
投資において国債は無リスク資産として考えられることもありますが、実際には格付けもされているように破綻リスクもあるわけです。

国家のデフォルトは、しっかりと考慮しておいた方がよいでしょう。

しかし、近年ではアイスランドやギリシャも話題になりましたが、国家の数は企業に比べると非常に少なくデフォルトはそう起こるものではありません。「国家のデフォルトとは何か?」という実例を知る機会が少ない。

国家のデフォルト(債務不履行)というと、「国にお金が無くなってやってきた差債務支払いの期日にお金を払えず国家破綻でおしまい……もぅマヂ無理。リスカしょ…」みたいなイメージもあるようですが、そう単純なものではありません。

今話題のアルゼンチンは2001年にデフォルトしていますが、現在も立派に国家は存続しており、無事に13年ぶりのデフォルトを迎えました。

今回のアルゼンチンのケースでもいろいろ報道もありますので「国家のデフォルトって何?」を勉強するいいチャンスです。
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高橋洋一氏の「CDSが1%だから3年以内に破綻しない」論ってどうなの?

Twitterでフォローしている嘉悦大学の高橋洋一氏(@YoichiTakahashi)のつぶやきです。

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「1%を3年間払っても3%で、それで100%を保証できるから3年以内の破綻は誤り」とのことです。
少し数字をいじって「1%を5年間払っても5%で、それで100%を保証できるから5年以内の破綻は誤り」「1%を10年間払っても10%で、それで100%を保証できるから10年以内の破綻は誤り」…でしょうか。

この理屈ってありですか?

2009年8月のギリシャのCDSも1%です。
高橋洋一氏の理屈だと、3%の支払いで100%をカバーできるのはおかしいのでギリシャは3年以内(2012年8月まで)に破綻はしないそうです。
同様に、「2009年8月から5年以内のデフォルトも5%の支払いで債務が無くなって財政再建完了はおかしいから、ギリシャが5年以内(2014年8月まで)にデフォルトする説は誤り」だそうです。



この理論はかなり応用が利きます。

例えば日経平均連動リンク債。
背理法。もし、日経平均が1年以内に30%下落するとする。1年以内に30%下落でノックインの日経平均連動リンク債の利回り(オプションのプレミアム)は3%なので、債券価格100万円で、オプション代金は3万円。これで30%下落するなら、今3万円はらって30万の下落をカバーできるので27万円もお得。これはおかしい。ということは1年以内の30%下落が誤り。終。
これは面白い。リンク債販売の営業トークで使いますか。


例えば生命保険。(ライフネット生命で見積もりましたが、1972年1月1日生まれの男性が死亡時の保険金額2000万円で20年の定期保険に加入すると月額7390円です)
背理法。もし、この男性が3年以内に死ぬとする。月々の保険料は7390円なので死亡時の保険金が2000万円で、支払保険料は年間88,680円。3年払っても266,040円の保険料の支払いです。これで死亡するなら生命保険会社は266,040円の保険料受け取りで2000万円の保険金支払い。これはおかしい。ということはこの男性が3年以内に死ぬことは誤り。終。
これはどう使いましょう。


CDSも生命保険も確率論の話で、CDSが0%でない限りは破綻は起こり得えます。破綻=0と極めて単純化した場合、1%の保険料がかかるなら破綻確率が1%あるということです。仮に破綻時に1/2は戻ってくることが平均的に期待されるならなら保険料1%の時に破綻確率は2%です。

保険料が1%より2%の方が破綻しやすい、2%より3%の方が破綻しやすい…という連続的な程度の話であって、「3年以内に破綻する」「3年以内に破綻しない」の二元論で語ることは極めて稚拙。


※議論を単純化するために割引率とかは無視しています



SBI社債売切!! これってどうなの?

正直、社債市場については良く分かりません。株式市場さえも良く分かっていませんが、それ以上に良く分かりません。


そんな中、4月1日に発売されたSBIホールディングス社債(6ヶ月1.80% / 1年1.96%)が販売数日で売り切れたとのことです。

この社債は、お得な商品だったんでしょうかね?

社債市場についてはよく分からない素人の吊られた男は「あまり有利な商品でない」と判断しました。


(1)格付けから
サブプライム関連証券やAIGなどの例もあるので、格付会社の格付けがそのまま当てになるわけではありませんが、まずは格付けが気になります。日本格付協会(JCR)の格付けを見ると、SBIホールディングスの格付けは以下のようになっています。
 ・長期:BBB/ネガティブ
 ・短期:J-2


日本証券業協会売買参考統計値/格付マトリクス ダウンロードから2009年4月1日の格付マトリクスをダウンロードしてみました。
  ・2009年4月1日時点の格付マトリクス

日本格付け協会の格付けに対する残存期間1年の債券の利回りを見てみると以下の通り。

格付け 年利回り
AAA0.675%
AA0.987%
A2.871%
BBB7.934%
BBN/A
B730.569
BBBだと7.934%だそうです。Aでも2.871%。

格付けが必ずしも企業の健全性や安全性と一致しないことは重々承知しています。しかし、このような差がある中で、BBB格付けのSBIホールディングスの社債で1.96%はあまり有利な条件には思えなかったりします。



(2)同業他社のCDSから
J-CDSから2009年4月1日時点のCDS参考値一覧表を抽出しました。
  ・2009年4月1日時点のCDS参考値

ここにSBIホールディングスのCDS情報は見つかりませんでしたが、同業の証券会社として、 大和証券グループ本社、日興シティホールディングス、日興コーディアル証券、野村ホールディングス、野村證券という日本を代表する大手証券会社がリストされていました。

ここにJCRの格付けを加えて、各大手証券会社の情報をまとめると以下。
企業長期格付け短期格付けCDS
大和証券グループ本社A+/ネガティブA-390.00
日興シティホールディングス#A-/方向性不確定#J-1/方向性不確定422.50
日興コーディアル証券#A-/方向性不確定420.00
野村ホールディングスAA-/ネガティブA+-425.40
野村證券AA-/ ネガティブA+-421.00
長期格付けでもAA-やA-、短期格付けでもJ-1です。そんな大手である野村、大和、日興でもCDSが400bps程度です。SBI証券より安全性は高いと思われる野村でさえ400pbsのプレミアムが妥当という評価になると、年率1.96%にはちょっと手が出せません。

それともこれが機関投資家と個人投資家の待遇の差ということでしょうか?仮に機関投資家だから条件が有利になっているのだとすると、債券投資というのはだいぶ個人投資家に不利にできているように思えてしまいます。
確かに株でも機関投資家に優先的に割り当てられる優先株などがありますが、そんなには酷くないように思えます。


(3)ただの感覚
株価も回復傾向で金融危機も和らいだかに思える局面かもしれませんが、依然として金融機関に対しては不安が大きい時勢です。3月末までの住信SBI銀行の1年定期の0.9%を考えると、年利1.96%ということはこの環境下でプレミアム1%強ということです。
それはちょっときついかな・・・と。




私の今のレベルの理解だと、SBIホールディングス社債はパスだったのですが、実際はどうなんでしょうね?このあたりは債券投資について少し調べれば分かる気がするのですが、勉強不足です。



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