吊られた男の投資ブログ (インデックス投資)

投資信託を使った低コストインデックス投資/パッシブ投資(バイ&ホールドの国際分散投資)で資産形成を行っている一般サラリーマンの吊られた男が、主に投資やお金のことについて語るブログ。時々、投資やお金以外の話もします。



預金

「伝統的資産の値動きに左右されずに絶対利益を確保できる」素晴らしい投資先を見つけた

株式など伝統資産への投資はある程度のリターンを期待できるもののリスクが大きく、そこが大きなネックになっています。
そこで「伝統的資産と違う値動きをする」「絶対的利益」といった、伝統資産の問題を解決する投資先が求められてもいます。

多くのヘッジファンドはそれを目標にしています。
ヘッジファンドの典型的な運用手法であるロングショートでは、ロングとショートを組み合わせることで、市場全体(β)の影響を下げようとしています。コモディティなど伝統的資産と異なる資産に投資するファンドもあります。

「伝統的資産の値動きに左右されずに絶対利益を確保できる素晴らしい投資先」は人類の究極の夢の一つと言えるかもしれません、


しかし、そのような難しいことをしなくても「伝統的資産の値動きに左右されずに絶対利益を確保できる素晴らしい投資先」は目の前に存在しています。

銀行預金です。

(国の信頼によって成り立つ通貨が崩壊する可能性があるので、厳密な意味での「絶対的利益」は成立しませんが、)基本的に株式の変動がプラスだろうとマイナスだろうと預金は元本保証です。おまけに名目金利はプラスリターンです。
ほぼ、「伝統的資産の値動きに左右されずに絶対利益を確保できる素晴らしい投資先」と言えるでしょう。


「伝統的資産と値動きが異なり、分散効果が大きくなる」はコモディティのような非伝統資産に投資するには理由が弱すぎます。
「大きなマイナスの相関が成り立ち分散効果が得られる」であるとか「期待リターンがそれなりにプラス」という理由がないのであれば、預金の方が優秀そうに思えます。

参考:インフレ対策にリスクを取った投資は不要







預金とインフレ率のデータ (イギリス&アメリカ)

「預金はインフレに強いのか」というテーマで2つほどブログに書き(インフレ対策にリスクを取った投資は不要続・インフレ対策にリスクを取った投資は不要)、いろいろコメントももらったので、少しデータをまとめてみました。
日本は以前のインフレ対策に普通or定期預金!!でも紹介したDiamond Onlineの下図で言及しているので、今回はイギリスとアメリカのデータです。
interestrate_cpi_japan



Interest_cpi

・預金金利は財政金融統計月報にあるものを使いました (財政金融統計月報の預金金利のソースはIMFのInternational Financial Statistics)
・イギリスは1999年以降の預金金利データが無かったので、短期貸出金利で代用しています (参考としてアメリカの預金金利と短期貸出金利を並べています)
・インフレ率はIMFのWorld Economic Outlook


イギリスは1990,2009,2010年以外の24年は預金金利がインフレ率を上回っています。
アメリカは2002年以降にインフレ率が頑張っており、預金の21勝6敗。預金がインフレに負けた時の最大の差は2010年のイギリスの2.90%差です。

実際には税金等もかかりますが、これを見る限り、預金は「大抵においてはインフレ率に勝ち」、「インフレ率に負けても大きくは負けない」と購買力を守るだけなら有力な商品と言えそうです。

昨今の景気低迷のように景気減速が予測されてインフレ率が低くなっている時こそ、中央銀行の低金利政策によって金利がインフレ率を下回ることが結構あるようです。
インフレ率が高くなってきた時には金利がインフレ率を上回りがちな傾向があります。


株式などは期待リターンこそ預金より上ですが、インフレ率との勝ち負けをやると大きく負ける時も多々あります。
不動産やゴールドなど実物資産も然りです。



続・インフレ対策にリスクを取った投資は不要

先の「インフレ対策にリスクを取った投資は不要」の続きです。
多くのコメントをいただいたので少し補足をします。
(主に株式(投資信託)投資ブログなのに預金ネタに食いつきが良いいというのはどうなの?)


●預金さえしておけば全てOKではない
預金さえすればあらゆるインフレに完璧に備えられるという話ではありません。
あくまで長期分散低コスト投資と同じで、インフレ対策として預金が非常に合理的な手段ということで、インフレ対策に適しているという話です。
合理的な手段をとっても必ずしも成功するとは限りません。


●インフレ率上昇≠不動産価格上昇
インフレ対策として不動産に代表される実物資産を勧める人がいます。しかしインフレ対策に実物資産が有効とは簡単には言えません。
「インフレ率が上がると不動産価格も上がる」と考えている人は、インフレ率上昇時に全ての価格が等しく上がると考えているようにも思われます。
しかし、それは違います。
インフレ率はインフレ率算出に採用されている各品目の価格変動の合計として算出されます。

インフレ率の指標で最も代表的な消費者物価指数(CPI)のページを参照します。
この中に平成22年の指数品目及びウエイト一覧があります。
これを見ると、住居関連は全体の21.22%です(設備・修繕維持を除いた家賃/持家に限れば18.65%)。ちなみに食料は25.25%です。
食料が5%上昇して、住居が5%下落すれば、全体にはインフレ圧力がかかります。

インフレで特定品目の物価が上昇しているとは限りません。
実物資産の代表格の不動産を例に取り上げましたが、他の実物資産でも同じことが言えます。金や銀やプラチナや銅、原油やガスなど多くのコモディティもありますが、インフレになればこれらの項目が必ずしも上昇するわけではありません。
(株式インデックスの上昇が個別銘柄株価上昇を保証しないのと同じです)


●預金封鎖のような政治的圧力は別であり、他資産も同様
「ハイパーインフレになって、預金封鎖/没収されたらどうなんだ」という意見もよく聞きます。しかし、このような国家危機⇒緊急対応時の話をされるとただのインフレ率の話を越えてしまいます。
株式や債券といった証券も没収される可能性は十分に考えられます。海外の銀行/証券会社に口座を開いていても口座にアクセスできるとは限りません。


●財政危機/物資不足のインフレ下では株価は上がらない
近年のハイパーインフレと言えばジンバブエです。大統領の素晴らしい政策により極度の物資不足に陥り、ハイパーインフレに見舞われました。経済活動がマヒした状況です。
このような状況下の企業の価値が上がるとは言えません。
アジア通貨/ロシア財政危機時にもインフレ率は上がりましたが、株価は上がりませんでした。むしろ、経済危機から株価は下がりました。



◆最後に
いろいろ書きましたが、預金にも株にも不動産にもその他の手段にもインフレ対策としての欠点はあります。しかし、預金が一番欠点が少なく、インフレ対策としてだけなら一番優れている(MMFなども同じような位置)というのが私の主張です。



インフレ対策にリスクを取った投資は不要

「少子高齢化などによる低成長」「対GDP比で巨額な財政赤字」など様々な理由から日本の将来が悲観され、円安/インフレリスクが喧伝されています。

そして、「インフレに備えるためにはインフレに強い資産、つまり株式や不動産に投資しよう」と購買力維持のために投資を勧める人がいます。

これに騙されないようにしましょう。

「インフレによる購買力低下を避ける」ならば株式や不動産への投資は不要です。

購買力維持には(金利の長期固定は除く)銀行預金などが優れた方法です。
金利自由化後、金利はほぼ恒常的にインフレ率を上回っています。

金利がインフレ率を上回るのは至極まっとうな仕組みです。
金利は、お金を貸す時に得る利子なので、インフレになれば金利も上がります。
インフレ率が20%として100万円を貸す時、1年後にいくら返済して欲しいか?「110万円返してくれればいい」というお人好しの金貸しはいません。物価が20%上がってしまうのだから、最低でも120万円は返してもらわないと貸し手が実質的に損してしまいます。
だからインフレ率が20%(と予想される)なら、金利は20%を超えます。

この仕組みを打ち破って、インフレ率が金利より高くなるのは予想を上回ったインフレ率になった場合です。
しかし、その影響も金利固定期間が短い商品を利用することで緩和できます。インフレ率が上がれば、次の預金時には金利水準が上がっているのでその時のインフレ率に応じた金利を受け取ることができます。

金利固定期間が短い銀行預金に預けていることは十分に有力なインフレ対策になります。

個人的なお勧めは比較的に高い金利を提示するネットバンク等の1年定期預金のキャンペーンを繰り返すことです。6か月以下とより短い期間でも高い金利を掲示する預金もあり、それも推奨です。
今の低金利下では変動の個人向け国債も良いでしょう。金利が大きく上がってくれば売却して銀行預金に移すという手もあります。

購買力維持のために株式や不動産投資をする必要はありません。

【参考:過去にも何度か同じような内容を書いています】
 ・インフレに対する購買力維持に強い投資商品
 ・インフレ対策に普通or定期預金!!
 ・インフレから資産を"守る"最善策は?
 ・預金は立派なインフレ対策 (まだこの手の輩がいるのか・・・)



インフレに対する購買力維持に強い投資商品

昔も「こんなエントリー」や「こんなエントリー」や「こんなエントリー」を書きましたが、そのテーマです。

インフレが起こると現金の購買力が下がります。これは事実です。
しかし、「預金していてもインフレが起こると実質価値が目減りしてしまう。株や金や不動産はインフレに強い。だから株や投資信託や金やREITなどに投資しなといけない」と言うのは誤っています。このような詐欺師の言葉に騙されないようにしましょう。

預金がインフレに弱いというのは事実に反します。

何度も紹介していますが、Diamond Onlineのこの記事【図表1】1年定期金利と物価上昇率の推移を見ると一目瞭然。
金利自由化後は金利は基本的に物価水準に合わせて動いています。物価が上がれば預金金利も上がります。

これはカネの貸し手の立場になるとよく分かります。
1年間のインフレ率が5%と予測される時に、年率2%で貸す貸し手はいません(善意の貸し出しや愚か者は除く)。これではリスクを冒してお金を貸したのに1年後に返ってくるお金の価値は1年前より減ってしまいます。
お金を貸すという行為は金利収入がインフレ率と同等以上になって成立します。
実際、アルゼンチンのハイパーインフレではインフレ率の上昇にあわせて預金金利も年率数千%まで上昇したと言います。

上の【図表1】1年定期金利と物価上昇率の推移の1980年以降の物価上昇率と預金金利の推移の通りで、購買力を減らしたくないだけなら1年定期預金は立派な対象です。


なお、個人向け国債10年(変動)は金利算定方式が「10年固定-0.80%」から「10年固定×0.66%」になったので、インフレ耐性力は著しく落ちています。資産価値を守る投資対象としては勧めにくい商品になりました。



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