振興銀が破綻申請へ「特異ビジネス」で債務超過−ペイオフ初 (ロイター)
経営再建中の日本振興銀行(東京都千代田区)は自力再建を断念し、東京地裁に10日中に民事再生手続きを申し立てる。金融庁が同日、振興銀から債務超過に陥り法的手続きを進める申し出を受けたと発表した。この破たんに伴い金融庁は一定金額までしか預金を保護しないペイオフを初めて発動する。

初のペイオフ発動=日本振興銀が経営破綻−預金保護1000万円と利子まで (時事ドットコム)
 ペイオフ発動は1971年に預金保険制度が創設されて以来、初めて。元本1000万円とその利子分を超える預金は、支払いが一部カットされる可能性がある。これに該当する同行の預金者は全体の約3%の3560人、預金量では471億円(うち元本1000万円と利子分を超える金額は100億円程度)となる見通し。週明けから預金の払い戻しに応じられるよう、12日まで預金口座の名寄せなどの作業を進める。

日本振興銀行がついに経営破綻だそうです。
これによってついにペイオフが発動されます。今回のペイオフ対象で困られている方もいるわけですが、日本振興銀行がペイオフ第一号だったのは不幸中の幸いでしょうか。ニュースでも報じられていますが、定期預金に特化しており規模も大きくないことから影響も限定的です。初の実戦を比較的落ち着いて対応できるかと思われます。

初のペイオフ発動がどういうように処理されて終わるか目が離せません。


なお、定期預金ばかりの日本振興銀行ということでペイオフのTipsを一つ。
定期預金にはどういう利率が適用されるかというと、当該預金契約に基づき満期時まで有していた場合に適用される利息のうち、預入れの日から保険事故が発生した日までの日数につき日割計算により算出した金額になります。
これは案外知られていないのではないでしょうか?


ちなみに、以下の記事にあるようなう預金者の憤りは分からなくもないですが、少し筋違いかと思う私は薄情者!?
日本振興銀破綻:「経営陣にだまされた」 ペイオフで憤り 預金者、行員に詰め寄り

 報道で知って駆け付けた台東区の70代の不動産賃貸業の女性は「高金利にひかれて昨年、夫が2000万円、自分は400万円を預金した。夫の定期預金の満期はまさに今日」と話した。ペイオフで夫の預金の一部は戻らない恐れがあり、「経営陣にだまされた。老後のためにためたお金なので悔しい」とため息をついた。

 千葉市中央区の千葉店では午前10時半ごろ、預金者の男性(60)が現れ、「どういうことだ」などと行員に激しく詰め寄った。男性は飲食店を営み、約5000万円を預けているという。「事件があった7月以降、4〜5回電話をしたが『経営陣が代わるから大丈夫』と言われ、信じた。預金が下ろせなければ店がつぶれる」と憤りをあらわにした。

 さいたま市の大宮店前には午前10時15分ごろ、4、5人の預金者が集まった。外出先でラジオニュースを聞き自転車で駆け付けたという預金者の女性(59)はシャッターをたたき「返してください、お金」と叫んだが、誰も出てこなかった。女性は会社の退職金をマンション購入などに充てるため約3800万円を預金していたといい、「悪夢だ。今からもうこんなにはためられない」と嘆いた。

投資にフリーランチはありません
預金に関しては1千万円までは例外的に保護がありますが、基本的にこの原則は当てはまります。

この人たちは日本振興銀行に対して文句を言っていますが、どうして日本振興銀行なんて銀行に大事な資金を預けたのでしょう?
「田舎で金融機関がほとんど無いから利便性を考えるとゆうちょ銀行や三井住友銀行しかなかった」のような事情があれば、まだ分かります。
しかし、日本振興銀行は必要性から預けるような銀行ではありません。定期預金しかなく決済機能も持たないので金利を得る以外での利便性は最低の銀行です。
そんな銀行にお金を預けるのは定期預金の金利の高さに釣られた人だけでしょう。
大事な老後資金、経営資金、マンション購入資金なら信用度の高い銀行に預けるなり、各行に1千万円以下になるように分散するなりすればいい話です。日本振興銀行という経営健全性も怪しい銀行にわざわざ自ら面倒な手続きをしてまで資金を預けておいて文句を言うのは筋違いです。
高いリターンにはリスクが付きまといます。預金とは銀行にお金を貸すことです。お金を貸す時に相手の信用度を見極めるのは貸し手の役割です。相手の信用度を見極めることが嫌なら銀行にお金を貸さないか、法律で保証してくれる範囲にすべき話です。

彼らには同情よりもこういう気持ちが先に思い浮かびます。