株価を理解する上で興味深い題材となるニュースです。

徐々に落ちている電通株に警鐘? 海外企業の大型買収による負担危惧 (週刊実話)
発表した7月12日の終値は2306円だったが、その後、2000円を切る目前まで下がってしまった。
 '01年に上場し、'02年3月に76万9000円をつけた電通株、いまではその384分の1になってしまったのだ。

電通の株価が低迷しているというニュースですが、今回のポイントは「'02年3月に76万9000円をつけた電通株、いまではその384分の1になってしまったという記述です。
あたかも電通の価値が上場来の高値から1/384になってしまったかのような報道です、が…ここには誤りと言える致命的な見落としがあります。


[投資家情報] > [株式・社債・格付け情報] (電通のIR)
電通のIRを見ると分かりますが、2004年5月20日に1株→2株への株式分割、2009年1月4日に1株→100株の株式分割を実施しています。週間実話の記事はこの株式分割を考慮していません。

2004年5月20日以前の1株は今の200株に相当します。
2002年の電通株と今の電通株を比較するならば、「2002年の株価 vs 今の株価×200」が正当な比較になります。今の株価が2027円なら2027円×200株=40万5400円です。

2001年11月30日の上場初値が42万円ということを考えると、現在の電通の株価水準は上場時並となります。


週間実話の記事は株式分割を考慮しない書き方でしたが、企業価値や株式価値を考える時には株式分割や増資等を考慮しないとおかしなことになります。

一般的な株価チャートでは株式分割された場合にはそれを反映した形に修正されているので、そのまま利用して問題なしです。逆に分割されている株式で分割前の株価を知りたい時は、株価チャートの数字をそのまま使うのではなく分割分を補正する必要があります。