吊られた男の投資ブログ (インデックス投資)

投資信託を使った低コストインデックス投資/パッシブ投資(バイ&ホールドの国際分散投資)で資産形成を行っている一般サラリーマンの吊られた男が、主に投資やお金のことについて語るブログ。時々、投資やお金以外の話もします。



運用会社

経営側の都合を顧客に押し付けてくる投信会社は良くない

クローバー・アセット・マネジメントの経営陣入れ替え/大阪オフィス閉鎖が(少し)話題になりました。これについては「オフィスを統合するなら、むしろ大阪を残すべきだろう」などといろいろな声もありました。


クローバー・アセット・マネジメントの件でも主要因であり新興運用会社には付きまといますが、運用会社経営ではファイナンスがいろいろと大変でしょう。
資産預かり高が急速に増えて早々に黒字化すればよいのですが、立ち上げ当初はひたすら赤字を垂れ流すわけで資金の持続性が一番の問題です。独立系やらチョクハンなどと言われる最近の新興運用会社はことごとく赤字です。
そうなると経営上の理由から、いろいろな制約/しがらみが出てきます。運用会社を立ち上げる際に後ろ盾になってもらったり…ということもあるでしょう。

しかし、そのような経営側の都合を顧客に押し付けてくる投信会社は良くない。


運用会社立ち上げ時にお世話になった関係からか、そのお世話になった人のファンドを組み入れている新興運用会社のファンドは結構あります。具体的に言えばさわかみファンドを組み入れているファンドたちです。
一時期の運用会社設立ブームはさわかみ投信の澤上篤人氏が「おらが町投信」などと声を出して後押しました。ここに澤上氏の功績が間違いなくあります。新しく運用会社を立ち上げた人たちはスタートアップ時に澤上氏にお世話になった人は多いでしょう。澤上氏に恩義を感じるのは企業を経営する者の観点としては理解できます。
 ※参考:「おらが町投信」批判は買う人には関係のない話−−澤上篤人 さわかみ投信代表取締役 (東洋経済オンライン)

しかし、これは必ずしも顧客にとって嬉しいことではありません。
申し訳ありませんが、さわかみファンドという自分でも買える公募投資信託をわざわざ信託報酬を払ってまでファンドで買ってもらう理由はそう簡単に見つかりません。運用成績向上のためにわざわざ組み入れる正当な理由があれば別ですが、今までの運用報告書等を覗いてみても保有するまともな理由が語られてはいません。
澤上氏にお世話になった/なっているからさわかみファンドを組み入れることは経営者としては合理的です。しかし、それは投信を購入する顧客にとってはプラスになりません。

このような経営側の都合を顧客に押し付けてくる投信会社は良くありません。

※完全に個人的な評価ですが、そういう意味では脱さわかみファンドを達したチョクハン系ファンドは良くなったと評価しています。(さわかみファンドの組み入れ云々ではなく、依存が外れたことで)







「想いだけでも、力だけでもダメなのです」

「想いだけでも、力だけでもダメなのです」

熱意、正しい意志・・・大事です。
能力、技術・・・大事です。

しかし、どちらか一方だけでは成功しません。

やる気があっても能力が無ければ仕事では役に立ちません。人以上のやる気があっててもボクサーとして弱ければボクシングの世界で勝って稼ぐことはできません。稼げぬままに引退でしょうか。

逆も然りで、能力があっても正しい意志が無ければ活躍できません。人はずれた才能があってもその才能をアンダーグランドで使えば、表舞台で勝って稼ぐことはできません。


マネー/資産運用の世界も同じです。

熱意があっても知識が無いファイナンシャルプランナーでは、本来のお金の問題を解決する/アドバイスをするという目的では顧客の役に立てません。情熱があっても運用技術の無いファンドマネージャでは、本来の目的の資産を運用して増やすという目的では顧客の役に立てません。
正しく熱い意志があっても能力が無いとダメなのです。

その逆に、知識があっても顧客の役に立てようとせず、如何に巧いことやって顧客からお金をだまし取とうと考えるような人は非常に優秀な詐欺師になれるかもしれませんが、世間の役には立てません。
能力があってもそれを誤った方向に使ってしまってはダメなのです。

そういうわけで能力があっても顧客から手数料を取ろうとばかり考えるような大手販売/運用会社はダメですし、熱い想いはあっても運用実態がそれについてこられない運用会社もダメです。想いと能力が重なってこそのよい販売/運用会社です。

体力のある大手が良い商品を出してくれる、熱い想いを持った新興会社が実力を備えている・・・なんて進歩に期待したところですが。


コーディネーターのキラがフリーダムに乗るだけではダメなのです。モビルスーツが無ければ核もジェネシスも止められません。プロヴィデンスがあってもクルーゼが乗っては混沌をもたらします。
何のために戦うのかが分かったキラがいて、コーディネーター×フリーダムの力があるから地球軍とザフトを止められるのです。

「想いだけでも、力だけでもダメなのです」(by ラクス・クライン)





投信運用会社は非上場であるべきか、上場すべきか

私を含めた極一部のマニアックな人たちの間で独立系投信運用会社の方向性が少し盛り上がっています。("極一部のマニアックな人"で"少し"なのに盛り上がっていると言えるのかというツッコミはさておき・・・)
 ※参考:独立系投信の目指すべきは株式上場 (高配当ETFで戦略的インデックス投資日記 )

先日の「生き残る独立系投信会社、死にゆく独立系投信会社(各社の経営状況)」もこの議論を進めさせる一端になったと思っていますが、そこで書いたように数年前に数多く設立された独立系投信は依然として事業として採算ベースに乗っていません。

そこで彼らはどうすべきか・・・という話になり、具体的な案として株式上場やクラウドファンディングのようなアイデアも出ています。これらの案に対して「いやいや株式上場は反対だ。株主と受益者の利益は一致するとは限らない」など"極一部のマニアックな人たち"の間で"少し"熱い議論もされています。


私の意見は「何でもござれ(=上場もあり)」です。


株式上場のケースを考えてみます。

上場すると株主と受益者の利害対立が生まれるという反論もありますが、必ずしもそうとは言えません。

非上場企業においても企業と顧客の間には利益相反の構造が存在します。非上場のオーナー企業でも株式会社であれば経営者が株主です。「株主=経営者」と「顧客」との利害が一致するとは限りません。
非上場のオーナー企業にすることで無くなる利益相反は「株主」と「経営者」の利益相反です。(無責任な非上場企業もある中で、投資信託運用の非上場会社だけは無条件で善であると思えるほど楽観的ではありません)

さらに言えば、真に信頼される運用会社の経営者であれば上場しても株主からも信任されるでしょう。
資産運用会社とは違いますが、投資家から尊敬を集める人としてバークシャーのバフェット氏がいます。バークシャーの株主は基本的に彼の方針に従い、むしろ彼からの言葉を聞きたいと思うくらいです。
株式上場することでボロボロになるような会社は元々が真に優れたビジネスモデルではなかったという話かもしれません。

上場/非上場は経営スタイルやガバナンスの手段の違いであって、顧客に対する良いサービス提供の本質にはあまり重要なファクターではないと考えます。

少し業種は異なりますが、生命保険業界の上場企業であるライフネット生命を考えてみます。
生命保険業界も投信同様に手数料ビジネスです。株主は少しでも保険料を高くにすることで多くの保険料を集めてくれた方が儲かります。投信運用会社同様、株主と顧客の利益相反構造が存在します。そして、ライフネット生命は高収益企業ではなく赤字企業です。
まさに今の独立系投信運用会社のような状況です。
一方、他の多くの生命保険会社は非上場です。
では、ライフネット生命と非上場の日本生命のどちらがいいのか。「上場しているライフネット生命はダメだよね」とは言えないように思うのです。

上場/非上場で言えば以下の4つがあるだけでしょう(笑)
 (1)良い上場
 (2)悪い上場
 (3)良い非上場
 (4)悪い非上場


「良い投資信託運用会社とは●●で▲▲で■■である」のように決まっている必要はありません。
最初は独立系ベンチャーで始まって上場して大きくなる会社があってもいいですし、独立系のままでもいいでしょう。LVMH傘下に入ったブランドたちのようにある企業の下に入ってもいいと思います。

今後設立されるかもしれない会社も含めて、各運用会社はいろいろな道を歩んでほしいというのが私の願いです。皆が皆同じ方向を目指すのならば複数の運用会社があっても面白くありません。



分配金は素晴らしいのかもしれない

ダイヤモンド・オンラインに『大和証券が「資産純増額」を密かに“水増し”した理由』と、非常に興味深い記事がありました。

詳細は記事に譲るとして、注目ポイントの1つは大和証券が「(毎月分配型の)投資信託の分配金を資産純増額に入れている」という内容です。記事では言及されていませんでしたが、隔月や年2回のような投資信託の分配金も同列に扱われていると思います。

さて、この記事の内容が真実(大和やどこかは出した分配金を資産純増額に組み入れ、野村や日興コーディアルが組み入れていない)とすると、記事で指摘されているように分配金の資産純増額組み入れは問題でしょう。

記事で直接の言及はありませんが、私がもう1つ気になったことがありました。
私も含め、多くの投資ブログでは「分配金は強制解約と何ら変わらない。分配金で貰わずに自分で取り崩せばいい」と投資家の立場から見た分配金に関する意見を発していました。これは正しい。
しかし、企業から見ると分配と解約は全く違うのです。野村も日興コーディアルも分配金を資産純増額に含めていないとのことですが、この表現に留まるということは、分配金≠現金に換金した流出額側ということでしょう。これが重要であり、分配金は素晴らしい仕組みということです。

●毎月分配の1000億円の純資産額を持つ投資信託が、ある月に10億円の分配金を出す → 資産流出額は0円
●無分配の1000億円の純資産額を持つ投資信託が、ある月に10億円の解約あり → 資産流出額は10億円

どちらのケースでも「信託財産の残りは990億円 & 投資家の手元に10億円」ということに差異はありません。しかし、資産流出額の扱いが違います。投資信託を買って必要な時に必要なだけ解約されたら資産流出に計上されてしまいます。分配金で出せば資産流出にならないならば、投資家の皆様には解約ではなく分配金で受け取っていただきたい。
こんな事情があれば、証券会社が毎月分配型を薦める理由もより一層納得できます。

「投資家の皆様は、自らお手間をかけて解約手続きなどしていただかなくて結構です。弊社の方で自動的に必要だと思われる分だけ分配金という形でお渡しさせていただきます。投資家の皆様にとっては分配金で受け取られても解約されようとも差し引かれる税金の金額なども違いはありませんのでご安心ください。」

こんな下手くそな営業トークでもしたくなります。



STAMの信託報酬引き下げの内訳が判明

先日のSTAMシリーズが信託報酬引き下げ (eMAXISと好勝負へ)で以下のように書きました。
以下は余談。

この信託報酬引き下げで気になるのは信託報酬のどの部分を引き下げたかです。
7月5日時点の発表では信託報酬のどの部分が引き下げられたのかが不明ですが、委託者(住信AM)分だけ引き下げたのでしょうか?それとも販売会社分も引き下げたのでしょうか?
委託者分だけだとすると住信AMはかなりのギャンブルに出たことになります。
STAM 新興国債券インデックス・オープンは税抜きで0.83%→0.65%と0.18%の引き下げですが、これは委託者分は0.38%→0.20%と約47%の値引きになります。今までの約2倍の資産を集めて従来と同等の収入です。

販売会社の取り分の修正にまで踏み込めたのでしょうか?
数日遅くなりましたが、この続きです。


7月30日に更新された目論見書などで、STAMシリーズの信託報酬の内訳(運用会社・販売会社・受託者の取り分)が判明しました。
そこで・・・7月30日以前の交付目論見書と7月30日に更新された交付目論見書から内訳を比較して簡単に表にしました。(カッコ内は税抜き)



信託報酬

信託報酬
ギャップ(差)
(新-旧)
ギャップ(比)
(新/旧)
STAM
TOPIX
信託報酬
合計
0.4830%
(0.46%)
0.4725%
(0.45%)
-0.0105%
(-0.01%)
0.978
運用会社 0.2100%
(0.20%)
0.189%
(0.18%)
-0.021%
(-0.02%)
0.9
販売会社0.2205%
(0.21%)
0.2310%
(0.22%)
+0.0105%
(+0.01%)
1.048
受託者0.00525%
(0.05%)
0.00525%
(0.05%)
変わらず変わらず
STAM
国内債券
信託報酬
合計
0.462%
(0.44%)
0.420%
(0.40%)
-0.042%
(-0.04%)
0.909
運用会社 0.2100%
(0.20%)
0.189%
(0.18%)
-0.021%
(-0.02%)
0.9
販売会社0.2100%
(0.20%)
0.189%
(0.18%)
-0.021%
(-0.02%)
0.9
受託者0.042%
(0.04%)
0.042%
(0.04%)
変わらず変わらず
STAM
J-REIT
信託報酬
合計
0.6720%
(0.64%)
0.5250%
(0.50%)
-0.147%
(-0.14%)
0.78125
運用会社 0.3045%
(0.29%)
0.2100%
(0.20%)
-0.0945%
(-0.09%)
0.690
販売会社0.315%
(0.30%)
0.2625%
(0.25%)
-0.0525%
(-0.05%)
0.833
受託者0.00525%
(0.05%)
0.00525%
(0.05%)
変わらず変わらず
STAM
グローバル
株式
信託報酬
合計
0.7770%
(0.74%)
0.6300%
(0.60%)
-0.147%
(-0.14%)
0.811
運用会社 0.3465%
(0.33%)
0.2415%
(0.23%)
-0.105%
(-0.10%)
0.697
販売会社0.3675%
(0.35%)
0.3255%
(0.31%)
-0.042%
(-0.04%)
0.886
受託者0.0630%
(0.06%)
0.0630%
(0.06%)
変わらず変わらず
STAM
グローバル
債券
信託報酬
合計
0.672%
(0.64%)
0.5775%
(0.55%)
-0.0945%
(-0.09%)
0.859
運用会社 0.315%
(0.30%)
0.2415%
(0.23%)
-0.0735%
(-0.07%)
0.767
販売会社0.315%
(0.30%)
0.2940%
(0.28%)
-0.021%
(-0.02%)
0.933
受託者0.042%
(0.04%)
0.042%
(0.04%)
変わらず変わらず
STAM
グローバル
REIT
信託報酬
合計
0.861%
(0.82%)
0.6825%
(0.65%)
-0.1785%
(-0.17%)
0.793
運用会社 0.399%
(0.38%)
0.2625%
(0.25%)
-0.1365%
(-0.13%)
0.658
販売会社0.399%
(0.38%)
0.3570%
(0.34%)
-0.042%
(-0.04%)
0.895
受託者0.0630%
(0.06%)
0.0630%
(0.06%)
変わらず変わらず
STAM
新興国株式
信託報酬
合計
0.8715%
(0.83%)
0.6825%
(0.65%)
-0.189%
(-0.18%)
0.783
運用会社 0.399%
(0.38%)
0.2625%
(0.25%)
-0.1365%
(-0.13%)
0.658
販売会社0.4095%
(0.39%)
0.3570%
(0.34%)
-0.0525%
(-0.05%)
0.872
受託者0.0630%
(0.06%)
0.0630%
(0.06%)
変わらず変わらず
STAM
新興国債券
信託報酬
合計
0.756%
(0.72%)
0.6300%
(0.60%)
-0.126%
(-0.12%)
0.833
運用会社 0.3570%
(0.34%)
0.2625%
(0.25%)
-0.0945%
(-0.09%)
0.735
販売会社0.3570%
(0.34%)
0.3255%
(0.31%)
-0.0315%
(-0.03%)
0.912
受託者0.042%
(0.04%)
0.042%
(0.04%)
変わらず変わらず
この数字からいろいろなものが見えてきますが、最大のポイントは2つ。

(1)販売会社の取り分も引き下げている
販売会社の取り分の修正にまで踏み込めたのでしょうか?
と書きましたが、ここの答えはYESでした。
この結果を踏まえると、既存の他投信(特に低コストを売りにするインデックスファンド)は販売会社分も含めて信託報酬が下がることも期待はできます。

(2)それでも運用会社が泥をかぶるのが基本
販売会社分も信託報酬は下がったのですが、やはり引き下げ分の多くは運用会社分です。表の右側に信託報酬引き下げ率として「ギャップ(比)」という項目を設けています。
8ファンドの信託報酬引き下げ率は次の通り。
  ・最大:22%弱
  ・最小:2%強
  ・平均:17%弱
運用会社取り分の引き下げ率を見ると次の通り。
  ・最大:34%弱
  ・最小:10%
  ・平均:25%弱

明らかに信託報酬の運用会社取り分が大きく減っています。
信託報酬引き下げは販売会社にも協力してもらえた点は素晴らしいことかと思います。しかし、この数字から見ると住信アセット・マネジメントが苦戦しているだろうことが推測できます。
売れ筋の商品なら、Apple Incのように販売会社に対して強く信託報酬引き下げを迫ることもできたでしょうが、この引き下げの内訳を見ていると住信AMが苦心していることが伺えます。


他にも気になった点は以下の2つ

(3)売れ筋商品(グローバル株式/新興国株式)で運用会社取り分が大きく低下
総信託報酬の引き下げも大きいので当然の話ですが、STAMシリーズで売れ筋のグローバル株式/新興国株式で運用会社取り分が30%以上下がっています。
これは住信AMにとっては厳しいですね。

(4)STAM TOPIXだけ販売会社の取り分が増えている
どういう意図でこの設定になったのか分かりませんが、STAM TOPIXだけ販売会社の取り分が増えています(0.21%→0.22%)。
どうしてここだけ販売会社取り分が増えたのか謎です。私のような変なところに注目する人を惹きつけるためなんてことはないでしょうが。


さあ、eMAXIS、CMAM(、SMAM、ニッセイ日経225)というライバルがいる中で、STAMのこの判断はどうなるでしょう?



私の著書 - ズボラ投資
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