吊られた男の投資ブログ (インデックス投資)

投資信託を使った低コストインデックス投資/パッシブ投資(バイ&ホールドの国際分散投資)で資産形成を行っている一般サラリーマンの吊られた男が、主に投資やお金のことについて語るブログ。時々、投資やお金以外の話もします。



運用

アクティブ vs パッシブ (実力で決まるとしたらどっちが有利) 2

前回のエントリー(アクティブ vs パッシブ (実力で決まるとしたらどっちが有利))にはツッコミどころがあります。

それは、「皆が努力を尽くすプロスポーツリーグと違って、資産運用の世界では全員が必ずしも努力するわけではない。だから、努力をすればそのような下手くそから奪い取ることができる」というツッコミが最大のポイントではないでしょうか?

これは首肯できます。
確かに実力で決まる世界の場合、あまりにも実力不足の素人がいれば彼らから稼ぐことができます。そして、投資の世界にはド素人投資家も混ざっています。


しかし、それでも簡単に個人投資家にアクティブ運用を勧められません。
問題は誰が奪い、誰が奪われるかです。


先のプロスポーツリーグ戦では、ほぼ実力順に比例して勝敗数が決まりました。
ある意味、以下のような直線の関係になります。
Simple

しかし、現実のマネー関係ではこのような直線関係の分布にならないことが多い。
各世帯の平均貯蓄額、所得の分布などのように一部が巨額を得て、平均以下が半数以上という分布になりがちです。Winner takes allという世界でイメージは以下。
WinnerTakes

投資の世界が実力で決まるのであれば同じような分布でしょう。
実力者は雪だるま式に資金を増やしてその資金で圧倒的に稼ぎ、資金を供給する者も集まるでしょう。その結果、トップは年あたり数千億円〜という額を稼ぐことになります。

下手くそが失う金は彼ら一部の上位層が奪い取ります。実力が上位30%くらいのようなポジションに位置する人におこぼれはやってこないでしょう。下手すると、上位20%近辺に位置する者たちすらトップエリートのカモかもしれません。
完全に実力で決まる世界で資金量に制限が無いのであれば、真にWinner Takes Allという世界になりかねません。(100人いたとして、1位の人は100位も喰えますが、自分より実力が下の2位や3位を喰べることも可能です)

「投資は実力で結果が決まる世界」という前提に立った時、自分が喰う側に回れるのか、喰われる側に回るのかが重要です。

ヘッジファンドや投資銀行などプロの投資家たちが日々勝利を目指して戦っています。さらに、実力の反映度合いを強く想定するほど喰う側の人数は少なくなっていきます。
そのような前提条件で考えた時に「一介の個人投資家が喰う側に回れるか」を考えると、簡単にYesとは言えません。単純に平均値であるβを狙うパッシブ運用に徹した方が無難ではないかと思うのです。(もちろん喰う側に回れないとは断言できません)







アクティブ vs パッシブ (実力で決まるとしたらどっちが有利)

投資において実力で儲けることができるのか?またその場合にはパッシブよりアクティブがいいのか?
神学論争に近い話ですが、敢えてここに突っ込んでみます。

ある架空のプロスポーツリーグのように実力で順位が決まる世界を考えてみます。
 ●20チームのリーグで総当たりのホーム&アウェイで戦う。各チームの試合数は38試合。
 ●NBAのように必ず勝ち負けが付き引き分けは無い

全チームが勝つために努力して戦います。その結果、1位から20位までの順位がつきます。多少の勝負のアヤはありますが、スポーツの場合はかなりの部分が実力に応じた順位になります。
リーグ全体では380試合が行われ、リーグ全体での勝利数は380、敗北数も380になります。

実際のスポーツの世界ではありえませんが、ここに「戦わずしてリーグ平均の19勝19敗の21チーム目」を加わると彼らの順位はどうなるでしょう。
死力を振り絞った20チームの勝敗の偏りにもよりますが、1位〜21位の中で期待される順位は11位です(実際には9位〜13位くらいの間に収まるでしょう)。


この場合、「努力して残り19チームと戦う方になること」「初めから19勝19敗のイーブンの成績でよしとする」のどちらの方が上位に来る可能性は高いのでしょうか?
努力の結果、他チームの実力を上回れるなら努力がいいのですが、相手も勝とうとしていますので自分が上に来られるとは限りません。
どちらが良いかはよく分かりません。

実力が結果に反映される世界であれば、高い実力があれば勝てることは確かです。
しかし、それと自分が実力の高い側に回れるかは別問題という点に注意が必要です。(メッシやロナウドより下手なフットボーラ―は必ずしもメッシより努力が足りないわけではない)


(続く)



「貯蓄は美徳」「運用とは所詮カネがカネを生む/善ではない」 by鳥越俊太郎氏

少し時間遅れの感があるが、以下の鳥越氏の記事が面白い。
ニュースの匠:AIJ企業年金損失問題=鳥越俊太郎
昔の日本では「運用」という言葉は今のように大手を振って闊歩(かっぽ)していたわけではありません。日本では「貯蓄」が美徳だったのです。いつごろからでしょうね? 「運用」とか「ファンド」という言葉が大きな顔をしてまかり通るようになりました。
運用」とは所詮「カネがカネを生む」という資本主義の基本-金利に足を置いているということです。これはモノを作って富を生産するという本来の資本主義ではなく、アメリカで発達した“ギャンブル資本主義”を生み出しました。

「貯蓄」は美徳であり、運用は所詮「カネがカネを生む」という資本主義の基本-金利の仕組みであり、モノを作って富を生産するという本来の資本主義ではないようです。

ストレートに表現すると「何言っているの、この人?」です。

金利を貰う運用が悪?
貯蓄が「美徳」?
意味が全く分からない。

古き良き高度成長期からバブルくらいまでの日本をイメージしているのだと思われます。日本人は預金・貯金という形で銀行や郵便局にお金を預けていました。

しかし、これは致命的な誤りがあります。

(1)銀行や郵便局は預かったお金を「運用」している
銀行は預かったお金を、企業に貸す、国債を買うなど運用しています。企業への貸付でも国債でも債権として金利を頂いています。鳥越氏の言うところの「金利に足を置いた」モノです。

銀行が企業から金利を取ってお金を貸している「運用」が善ではなく貯蓄が美徳とするならば、銀行がなすべきは企業への貸付を止めて銀行内部に現金をため込むことでしょうか。
そうすると、よほどの体力がある企業以外の大多数の企業は倒産の危機です。


(2)個人の貯蓄こそが「カネがカネを生む」金利に足を置いた運用
今は低金利時代ですが、貯蓄に励んだ高度成長期やバブル時代には今よりも格段に高い利子がついていました。個人は銀行にお金を貸すことで金利を得ていました。
個人の貯蓄そのものが運用でしたし、今でも運用です。運用を否定することは日本人の貯蓄を否定することであり、鳥越氏自身の主張の自爆です。


投資や運用は金儲けのために利用されるモノであり、善でも悪でもありません。
貯蓄も自分の資産を守ったり増やしたりするための運用で利用されるモノで善でも悪でもありません。



「資産運用=ギャンブル=悪」という根強いイメージ

「資産運用=ギャンブル=悪」というイメージは依然として根強いようです。

ホテルでテレビをつけてNHKを流していたら、AIJ投資顧問問題に絡んで企業年金/公的年金の話をしていました(おはよう日本?)。特にAIJ絡みなので、資金運用が中心テーマでした。
出演者には、松本明子氏や山田五郎氏といった人が出ており、経済評論家としては荻原博子氏もいました。
※追記:番組はNHK World Premiumの「週刊ニュース深読み」でした。(CAPM信者さん情報)

その中での公的年金の運用に関しての話が酷かった。
公的年金の運用を担当しているのが"年金積立金管理運用独立行政法人"という長い名前の組織だというだけで「うさん臭い」と言い、運用会社に委託しているといえば「(AIJのような奴が)また出てきた」と野次られる始末です。

そして、話の進め方も極悪でした。

・GPIFによる自主運用を始めてから積立金が150兆円から110兆円に減っている
・年金問題に詳しい鈴木亘氏の「今の年金積立金はこのままだと15年後には枯渇する」という見立て

上のような話を出していました。このような話を聞いて、山田五郎は「もう運用なんてしなくていいから返して欲しい。ギャンブルは自分の金でやってくれ」と何度も喚き散らしていました。他の人も特別にそれをとがめるでもなく、荻原博子氏は「昨年は3兆円程度の運用損」などと補足です。
一応は解説で出演していた専門家(誰が出ていたかは忘れました)が申し訳程度に「運用で減っただけではないんですが…」と付け足すのみで、番組全体としては「資金運用=ギャンブル=悪」という印象の番組構成でした。

見当違いもいいところです。
ロイターの記事にあるように、GPIFが運用を始めてから約20兆円も増えています。

年金積立金減少の大きな理由は運用損ではなく、流入金額+運用益に対して支払額が大きすぎることです。

山田五郎氏が言う「もう運用なんてしなくていい」を実現すると、もっと早く公的年金は枯渇します。
資金運用は正義ではありませんが、「資金運用=ギャンブル=悪」とことさらに大きな声で喚くのはやめてほしいですね。



対象顧客をどこに絞るかでファンドの提供するサービスは変わる(べき)

ファンドマネージャが直に説明してくれることを喜ぶのは間抜け - 山崎さん手厳しい」の続きです。

コメントをいただいた方々からも、無意味なセミナーなどは意味が無い(マイナスがある)のような趣旨のコメントをいただきましたが、私もそう思います、・・・って前回のエントリーでも書いていますね。


自分でアセットアロケーションを考えてそれに有効なファンドを組み合わせられる人にとっては、セミナーやFMによる説明会など不要です。ファンドに投資するのに必要な情報があれば十分であり、それ以上のサービスは不要でしょう。ましてやそんなサービス代金が参加者へチャージされる会費制ではなく無料で開催されていて、実質的にそのためにコストを負担させられているとなれば、いい顔はしないでしょう。

このように投資家のレベルに応じて求めるサービスが異なると思います。同じようなインデックスファンドであってもです。

基本的には対象とする顧客のレベルを高く想定するほど、本質である運用以外のサービスは減るでしょう。
企業が集まらない東京AIMですが、ここではプロ向けと言うことで情報開示も英語でよかったり、一般上場では要求されるレベルの報告が免除されています。
個人投資家向けでもそのレベルに応じてサービスを変えるのが自然でしょう。


投資のイロハから分からない人は投資教育が必要でしょう。彼らに投資とは何か、アセットアロケーションとは何か、ファンドマネージャを中心として投資信託とはどう運用されているか、などの説明を受けることで投資知識が向上します。
このような人にとっては、多少コストがかかっても無知故に変な物に投資して大損するよりははるかに有意義です。

しかし、自分でアセットアロケーションを考えてファンドを組み合わせられる人にとっては、セミナーやFMによる説明など不要です。ファンドに投資するのに必要な情報があれば十分で、それ以上のサービスは不要です。ましてやセミナーが参加者へチャージされる会費制ではなく無料で開催されていれば、実質的にそのためにコストを負担させられていますから、いい顔はしないでしょう。


そう考えた時にSTAM、eMAXIS、CMAMの3インデックスファンドブランドへコメント。


●STAM
どこへ行こうとしているのか?先駆者ということで依然として先行者利益はあるものの、コスト面では同じアセットを揃えるeMAXISに劣っています。そのせいもあって先行者利益が失われつつあります。
シリーズ全体の信託報酬の低減を実施したように、強い意欲は感じるがそれでも対象顧客をどう想定しているのだろうか。
低コスト化の先駆者かつ、シリーズでの信託報酬低減の先駆者と言うこともあり、顧客からの心情的なサポートも多いです。そういう利点を生かして説明会やFMの主張が聞けるような場を設けて、そちらへ特化していっても良いのかもしれないと思います。


●eMAXIS
私が期待しているブランドです。
・・・がどちらへ行こうとしているのか、舵取りが難しい位置にいると思います。
設定当初の理念では「自分で調べて投資を行う顧客」を対象としているとしていましたし、ファンド運用側の人間が自分が欲しいファンドを作ったということもあり、けっこう上級者をターゲットとしていて淡々と運用されていくのではないかという予測がありました。
ですから、1回目のブロガーミーティングはマーケティングのためと割り切っていました。しかし、ブロガーミーティングも2回、3回と開催され、顧客の声を聞いて新ファンドを立ち上げる・・・という方向になっております。マーケティングのためとも思いますが、各種投資ブログなどを見ていると意見を聞いてくれることなどが高く評価されている声も多いです。これはいきすぎると危険だと思っているのですが、どちらへ行くのでしょうか。
今のeMAXISのアセットだと基本的な商品はほぼ揃っています。ここからだと当初の予定のようにファンドのプロや個人投資家でも自分で調べられるような人を対象とするならば、顧客の声を聞く必要はほとんどないように感じます。少なくとも余計なコストを割いてまでやる必要はなさそうです。
こういう点から、私はeMAXISがどちらへ行こうとしているのかを注目してみております。


●CMAM
ファンドの本数は少ないですが、先行者のSTAM、eMAXISより低コストですね。そして、露出度も圧倒的に低いです。
運用成績の向上に繋がるコストは下げ、運用成績の向上に繋がらないセミナーや交流会は行わない。このシリーズの対象顧客は、上でeMAXISが対象としていたような顧客ではないかと考えています。
ただ、CMAMインデックスファンドeシリーズの専用サイトのセンスには疑問がありです。(いくら仮に上級者向けでも)もう少しサイト構成を変えることで顧客をひきつけることもできそうなものです。正直言って専用サイトに興味をひきつけるアイテムがありません。今の専用サイトでは、潜在顧客さえも逃しているような気がしています。
金を掛ける必要なありませんが、サイトの向上は期待したいです。



私の著書 - ズボラ投資
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