吊られた男の投資ブログ (インデックス投資)

投資信託を使った低コストインデックス投資/パッシブ投資(バイ&ホールドの国際分散投資)で資産形成を行っている一般サラリーマンの吊られた男が、主に投資やお金のことについて語るブログ。時々、投資やお金以外の話もします。



通貨選択型

「既存ブランド × 通貨選択型」の売り方を考える

先日の『「ピクテ グロイン」の通貨選択型が登場』というエントリーを書きましたが、その続きです。

先のエントリーの中では「グロソブ(通貨選択型)もありそうだ」と書きましたが、結構イケるのではないかという気がしました。既存の先進国債券投資ファンド×通貨選択型は結構いけるのではないかと思います。


仮に先進国の信用度の高いソブリン債に主に投資する毎月分配型ファンドがあったとします。その通貨選択型ファンドを作った場合の営業トークを考えてみました。
「ユニバーサル・ソブリン債ファンド(毎月分配・通貨選択型)」

最近、高利回りな債券や新興国の高い金利を売りにした債券や投資信託も出ていますが、そのような債券の信用度が心配ですよね。そこで、高信用度×高金利のファンドを作ってみました。

当ファンドは世界主要先進国の信用力が高いソブリン債券に投資し、高金利通貨へ為替ヘッジを行います。為替ヘッジについては後で詳しく説明させていただきますが、簡単に言うと、高金利通貨の高い金利を得ることができる仕組みになります。

その上で、元の投資先はアメリカやドイツなどの高い信用度を誇る国債などソブリン債主要投資対象となるので、債券の信用度は高くなります。このファンドの通貨選択型ではない従来のファンドの長年の実績を見ていただいても債券が不払いになったことはありません。このファンドが組み入れている債券は同じになりますので、債券の信用度はきわめて高くなっています。
「債券の高い信用度と高金利」を求められるお客様にはぴったりの商品かと思われます。

詳しいことに関しては、こちらの資料に・・・

こんな感じのセールストークはいかがでしょう?
高分配(期待)を売りにするためにハイイールド債×通貨選択のようにかなりリスクの高い商品が増えていますが、そんな中ではソブリン債の信用度×高金利通貨というのは一つセールスポイントになるのではないでしょうか?
また、そこにお化けファンドのブランド力加えると、営業トークで商品を決めるような顧客への訴求力は高そうです。

最近、通貨選択型に押されて資金流出に悩まされている既存の大型ファンドは、同じ通貨選択型の土俵に上がることでブランド力という差別化要因で戦える気がします。
すでにいくつかの運用会社は検討していて、グロイン通貨選択型の先行きを見守っているのではないでしょうか!?







「ピクテ グロイン」の通貨選択型が登場

【ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型)】、通称【ピクテ・グロイン】もしくは【グロイン】

かつて純資産総額2兆円を超え、申し込みを停止した伝説を持つ投信業界の伝説のファンドの一つです。
そのグロインから通貨選択型が登場です。

ピクテ・グローバル・インカム株式オープン 通貨選択シリーズ > ファンドの特色
「ピクテ・グローバル・インカム株式オープン通貨選択シリーズ」は、投資を行う外国投資信託における為替ヘッジの対象通貨が異なる4本のファンド(円コース、豪ドルコース、ブラジルレアルコース、資源国バスケット通貨コース)とマネープールファンドから構成されます。

当初申込期間は2011年5月10日までとなっています。

過去エントリーの『投資信託の2011年のニュースは?』にて、2011年の投信のテーマは何になるのか、と書きましたが候補の登場です。
新規の通貨選択型は、ハイ・イールド債、REIT、各世界株などと出尽くした感がありましたが、既存ブランドと組み合わせるという手は考えていませんでした。


「グロソブ(通貨選択型)」

こんなファンドもありそうです。資金流出に悩むグロソブに打つ手がなくなったと思っていましたが、通貨選択型を出すという手がありました。


グロイン(通貨選択型)がうまくいくとは思えませんが、これは大変興味深い試みです。ピクテ投信が自分で企画したのか販売会社の声なのかは分かりませんが、非常に興味深いファンドの登場です。



通貨選択型の為替ヘッジ部分の実質コストは?

通貨選択型ファンドが人気ですが、実質のコストはどうなっているのでしょう?

コストを無視した理屈では、通貨選択型ファンドは「直接の投資対象の収益」+「為替ヘッジプレミアム」=「投資パフォーマンス」となります。しかし、現実の運用の世界ではコストがかかります。これがどれほどなのか、特に為替ヘッジ部分のコストが気になります。

簡単な商品説明パンフレットなどでは「ブラジルレアルと米ドルとの金利差を為替ヘッジプレミアムとして受け取れます」のような表現で書かれています。しかし、これは正確ではありません。

FXでEUR/USDやUSD/JPYのようなメジャー通貨をトレードする時にもコストが発生します。FXでは売買手数料が無い業者も多いですが、「取引時のスプレッド」「受け取りスワップと支払いスワップのギャップ」は事実上のコストです。
これと同じで、通貨選択型投信の為替ヘッジ部分に売買コストがなかったとしても事実上のコストがかかっていてもおかしくありません。

レアルと米ドルの短期金利差を見ると約10%あります。通貨選択型投信のパンフレットなどの説明に従えば、この10%が為替ヘッジプレミアムとなっているはずです。しかし、本当のところは何%くらいになのでしょうか。
世の中には外貨建ての個人年金保険や新興国通貨建ての個人向け債券のように、明らかに市場のレートから多くの手数料が抜かれた利回りとなっているものがあります。通貨選択型ファンドの場合はどうなのかと思って、いくつかの通貨選択型投信の運用報告書も見てみましたが、この手の数字はよく分かりません。持っているポジションについての記載はありますが、それを計算する気にはなりませんでした。ヘッジプレミアムの数字も、中抜き分直接のコストとして費用も直接は記述されていませんでした。
この為替ヘッジコストが高いと、それだけでパフォーマンスをかなり毀損する理由になりかねませんが、どうなのでしょう。



野村はレアルから手を引いている模様

グロソブの資金流出額と新しいトレンドチェックでモーニングスターやQUICK MoneyLifeなどの資金流出入額は時折チェックしています。
従来ならより多くのファンドが載っているQUICK MoneyLifeのランキングが好きなのですが、今回は8月のモーニングスターのTop10までのランキングが特徴的でいい感じ。

ファンド別資金流出入ランキング (モーニングスター)
Fund_Flow_Renking201008

上はモーニングスターの2010年8月の資金流出ランキングトップ10です。
これを見ると【野村】+【レアル】+【毎月分配】のファンドが4つランクインしています。

資金流入側Top10に【レアル】を対象とするファンドが4本、ブラジル債券まで加えると5本が入っていますので、全体としてブラジル(レアル)から資金が逃避しているということはなさそうです。
しかし、野村のファンドは野村 米国ハイ・イールド債券(レアル)毎月が資金流入側のTop10に入っていますが、4本が資金流出側のTop10入りです。野村のファンドに限れば、レアルへ投資するファンドから資金が流出している傾向がうかがえます。

資金流入側のトップに野村 G・ハイ・イールド債券(資源国通貨)毎月が入っていますし、野村はレアルからこちらへシフトしているのかもしれません。



通貨選択型投信の落とし穴、惜しい

(やはり、これが限界かという思いもあります)

MSNマネーのコラムで通貨選択型投信に関するコラムがありました。

「通貨選択型」投資信託、魅力と落とし穴は?
 このコラムでは、通貨選択型投信の一般的な仕組みと注意すべきポイントをおさえ、適切なリスク管理の一助となるアドバイスを提供します。
見出しの「落とし穴」という言葉や、この「注意すべきポイントをおさえ」なんて表現が期待させてくれます。


■注意すべきポイント
 現在主流となっている通貨選択型投信は、ブラジルレアル等の高金利通貨と米ドルとの間でヘッジ取引をしています。為替ヘッジプレミアムは両通貨の金利の差ですので、米国の金利水準が上昇したり、選択した通貨の金利水準が下がって金利差が縮まった場合は、為替ヘッジプレミアムが少なくなります。そして、仮に両通貨の金利が逆転した場合は、為替ヘッジプレミアムというメリットはなくって逆に為替ヘッジコストというデメリットとなり、ファンドにとっては収益の圧迫要因となります。

 つまり、それぞれの金利水準、指標としては政策金利の見通しや変化には注意を払っておく必要があります。

 そのほかにも他の投信と同様に、投資対象となる債券の値動き(金利変動リスク)、発行体の信用度(信用リスク)、選択した通貨の為替の値動き(為替変動リスク)やその国の政治や社会情勢による影響(カントリーリスク)に注意が必要です。
あれっ・・・
これだけですか?
要約すると通貨選択型投信で注意すべきポイントは「金利差は一定ではないので、金利差が縮まることに注意」だけですか?


せっかく記事の真ん中の為替ヘッジの説明をやっているのに・・・
 Aさんは米ドルで投資をしたい資産があるため、手持ちのブラジルレアルを米ドルに交換したいと考えています。でも、為替の変動リスクは避けたいし、米ドルの金利水準は低いのが悩ましい。

 一方、BさんはAさんの意向に応じ、手持ちの米ドルをブラジルレアルに交換することを了承しました。ここでAさんとBさんの取引が成立するわけです。お互いに為替変動リスクは回避したいので、将来の為替レートを交換時に約束し、決められた期日に決済するという為替予約をします。これを為替ヘッジといいます。
将来の為替レートを交換時に約束し・・・
将来の為替レートを交換時に約束し・・・
将来の為替レートを交換時に約束し・・・
将来の為替レートを交換時に約束し・・・
将来の為替レートを交換時に約束し・・・
将来の為替レートを交換時に約束し・・・
将来の為替レートを交換時に約束し・・・
将来の為替レートを交換時に約束し・・・
将来の為替レートを交換時に約束し・・・


ここが一番重要なポイントですよ。これを書かずして「落とし穴」とか「注意するポイント」といっても肩透かしです。
通貨選択型投信に投資している人で、為替レートの上下は五分五分と勘違いしている人がいます。ここが「落とし穴」とか「注意するポイント」です。

上の為替ヘッジの話にあるように、高金利を貰えて、為替レートで不利にならないなんて美味しい話はありません。

「ラーメン650円 + 餃子350円」でも「ラーメン600円 + 餃子400円」でも合計支払額は1000円です。
為替ヘッジもこれと同じで、為替のリターンを高金利に付け替えているだけです。投信全体での期待リターンは変わりません。為替ヘッジプレミアムを貰えるということは、それだけ為替レートで損をすることが予測されているのです。
為替ヘッジプレミアムは全体から見ると収益源になっていません。米ドルのまま投資しているのとは値動きは変わりますが、期待リターンは増えないのだから、高金利を選択しても分配金を高く出せるわけではありません。


ただ、運用成績がよければ高い分配金を出せるだけです。


この指摘が欲しかったのですが、大人の事情でしょうか。



私の著書 - ズボラ投資
「毎月10分のチェックで1000万増やす! 庶民のためのズボラ投資」
連絡先
私への連絡は下記メールアドレスまでお願いします
tsurao@gmail.com

tsuraolife_banner_s

follow us in feedly

にほんブログ村 株ブログ 投資信託へ


Recent Comments
ブログ内記事検索
PR
お勧め銀行・証券会社
■証券会社■
○SBI証券

○セゾン投信


■銀行■
○住信SBIネット銀行


■401k(確定拠出年金)■
○SBI証券
タグ
Archives