また子ども手当に所得制限とか言ってやがるのか・・・』とも書きましたが、その続き!?

政府税調:高所得者に照準 控除見直し議論着手−−全体会合 (YOMIURI ONLINE)
 会合では、財務省の尾立源幸政務官が所得税見直しの論点を説明。「所得税の累進性と所得再分配の機能を回復するため、控除の見直しに取り組むことが必要」と訴えた。所得税は本来、所得に応じて税負担も重くなる「累進課税」を基本にしていた。だが、自民党政権下で各種控除が拡大され、累進性が弱まるとともに、税収が減少する要因になっている。
小宮山洋子副厚生労働相は「配偶者が働くか働かないかにかかわらず公平な制度にすべきだ」として、

その通り。変な控除をつけているせいで税収も減っています。配偶者控除の見直し、というか廃止は賛成です。

「すぐに全体を、とは言わないが廃止の方向性を出していただきたい」と訴えた。政府税調は、来年度からの子ども手当の上積みの財源として、年収1000万円以上の世帯について同控除を廃止する方向で検討を進める。

でも、これはないでしょう・・・何で年収1千万円以上の世帯を狙い撃ちで1000万以下は制度を温存?
年収1000万だと控除廃止で38万×20%(所得税)+33万×10%=10万9千円の負担増です。
年収990万だと控除を受けられるのでその10万9千円の恩恵にあずかれます。


そもそも配偶者控除という制度がおかしな制度です。
・家庭A:夫の年収500万、妻の年収400万
・家庭B:夫の年収900万、妻は専業主婦

上の2つの世帯で家庭Bの妻の存在に対して控除が与えられるのはどういう理由からでしょうか?内定が出ずに採用されないというケースもありますが、基本的に大人が社会で働くか働かないかは個人の選択です。女性がまともに金を稼ぐ仕事に就くことが困難であるならまだしも、今はそこまでではありません。結婚して働かないことで優遇される理由が分かりません。
どちらの世帯も生き方の違いですが、どちらかを優遇しろと言われたら、私はむしろ両親共に社会で働き、子どもも育て、家事や育児も2人でこなしている家庭を優遇したいという気持ちになります。

「すぐに全体を、とは言わないが」なんていわずに配偶者控除は一括してすぐに廃止すればよい。低所得者に配慮しているのかもしれないが、所得が低くなればなるほど所得税率も下がるので影響は小さい。こういう控除を減らして課税ベースを広げて給付にまわす方が所得に応じた富の再配分効果は大きい。


それにしても気になるのは年収1000万という数字です。
給与所得控除についても年収1000万が基準ということで(給与所得控除が青天井なことは議論の余地有ですが)、どれだけ年収1000万強の世帯を狙い撃ちしたいのか。
年収1000万超でも本当に余裕のある年収数千万という世帯は極少数で、ボーダーに近づいて余裕が少ないところほど世帯数は多い。このゾーンを狙い打つような政策でいいのだろうか?
富の再配分の原則に従うならば所得税が累進課税であるように緩やかに高所得者から負担が増えていくべきなのだろうが、年収1000万で大きな崖のような差を設けようとする意義が分からない。
仮に年収1000万円をボーダーとすると、子ども手当や配偶者控除によって年収900万円台後半と1000万円台前半では手取り所得が逆転する現象も出てくるだろう。

ここまで何でもかんでも所得制限をつけようとすると「確定拠出年金で年収1千万円以上なら掛け金の税額控除は廃止、特別法人税を徴収」なんて話があってもおかしくない。