吊られた男の投資ブログ (インデックス投資)

投資信託を使った低コストインデックス投資/パッシブ投資(バイ&ホールドの国際分散投資)で資産形成を行っている一般サラリーマンの吊られた男が、主に投資やお金のことについて語るブログ。時々、投資やお金以外の話もします。



米国債

アブラハム再始動 〜アブラハム・ウェルスマネジメントの新サービス

アブラハム・ウェルスマネジメント いつかはゆかし アブラハム・プライベートバンク

<※2015/1/9 0:45 更新あり>
2013年から2014年の初頭にかけて、このブログで幾度と取り上げたアブラハムグループの話です。(参考: 過去にアブラハム関係で書いたエントリーたち)

いつかはゆかしに関するアブラハム・プライベートバンクへの行政処分以来、特に大きな動きはなかったアブラハムグループに新たな動きがありました。アブラハム・ウェルスマネジメントという会社を立ち上げて新しいサービスを提供するようです。(アブラハム・ウェルスマネジメントの公式サイト)


(1) 会社について

代表取締役は、アブラハム・プライベートバンクや親会社のアブラハム・グループ・ホールディングスと同じ高岡壮一郎氏。高岡氏以外の取締役はアブラハム・プライベートバンク同様に塩谷薫氏と横山直樹氏です。

また、業者としての登録は金融商品仲介業者とのことです。


(2) サービスの内容

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最も巨大な投資対象

iPad, iPhoneで有名なAppleの株価が600ドルを超え、株式の時価総額が5600億ドルを超えたというニュースもありました。今までApple以外に時価総額5000億ドル超となったのはCisco, Exxon Mobil, GE, Microsoftしかないそうです。

そんな5600億ドルと巨大に見えるApple株が霞むような巨大な投資対象があります。
米国債です。

米政府の債務残高は、2012年には法律で決められた上限(14兆3000億ドル)に達してデフォルトするか、という話もありました。
細かくは短期、長期、利付債、ゼロクーポン債、等々といろいろありますが、5000億ドルを大幅に上回る10兆ドル超の規模です。

参考までに日本の株式市場の時価総額を見ると、東証(一部、二部、マザーズを合わせた)の時価総額は2012年2月末で291.6兆円です。
このように日本の株式市場全体をはるかに上回る規模なのが、米国債です。日本国債も普通国債のみで600兆円を超えています。


投資関連本を見ても「株式」(もしくは「為替」や「不動産」)が目につきますが、債券こそが投資の王道です。




『米国債を買え』 ・・・と単純ではない (2)



前回の『米国債を買え』 ・・・と単純ではない (1)の続き。

今回はデータをしっかり見る、という話です。

(1) 米国債の金利は今だけ特別に低いのか?
林氏は米国債への投資の理由として「長期の米国債は日本との金利差が大きいので、為替変動分以上の金利を稼ぎだす」と主張しています。
それでは今すぐ米国債を買えばいいのかと言うと、"今"は米国債に人気が集まっているので金利が低くなっているので米国債を買うタイミングを待った方が良いという主張をされています。

しかし、金利が低いのは今だけの話でしょうか?以下は米30年国債の金利の推移です。
30Year_Treasury

金利は上下動を繰り返しながら順調に低下しています。決して、"今"だけが金利が低いわけではありません。
金利6%は20世紀の話です。日本も国債金利は低迷し続けていますが、米国債も着実に金利が低下しているのです。
これは循環的なものかもしれませんが構造的な可能性もあります。グローバル化の進展による安い労働力共有などによって世界的に低インフレ圧力がかかっている可能性があります。


(2) 為替の変動はわからないのか?
著書の中で為替変動について、期間を操作して上下に動く確率が五分五分の印象を与える図などを用い、為替の先行きは分からないと説明しています。しかし、期間を伸ばすと違った絵が見えてきます。
USDJPY_1973_2011
上下動を繰り返しながらも順調に上値を切り下げつつ円高に向かっています。
短期的な為替の上下を予測するのは非常に困難です。
しかし、長期的には購買力平価の考え方が通用する変動をします。アメリカの方が金利が高い(=インフレ率が高い)状態が続くのであれば、基本的には円高トレンドが続きます。30年国債投資なら十分にこの購買力平価による為替変動の影響を受けるでしょう。


つまり、「米国30年債の金利」「ドル円の為替レート」を見ていると以下のトレンドが見て取れます。
 ●米国債の金利は低下傾向
 ●為替は円高傾向

これは「長期の米国債は日本との金利差が大きいので、為替変動分以上の金利を稼ぎだす」という主張にとっては都合が悪いデータです。


(3) 計算してみよう
これは全体を通じて見られる点ですが、初心者向けに書いているせいかデータの計算が甘くなっています。
例えば、米国債投資の成功事例が紹介されています。その1つに以下のような事例があります。
●2004年4月に利回り4.3%の米国債を1ドル=109円で買って「為替で損をしていても全体では利益が出ているはず」
林氏は「お見事の一言です」と褒めています。

では、本が出版された2011年8月までの約7年半で、その見事な投資はどうなっているのでしょうか?

複利の場合、ドル建で1.37倍に増えています。
しかし、為替は2011年8月前後は77円近辺でうろうろしています。77円とすると円建では0.97倍となり、3%程度損しています。

単利の場合、毎回の利払い時のレートが難しいのですが、単純化するために2004年4月〜2011年8月の平均レートで支払われたとすると、平均レートは102.8円です。
そうすると毎年の利払いは4.3×102.8÷109×7.5=30.41で、金利で30%強のプラスです。一方元本は109円→77円となっているので29.36%のマイナスです。全体的には+1%程度です。

これが見事な投資・・・でしょうか。大きく損はしていないものの「見事」とは言い難い結果です。



●最後に
最初に本を紹介したエントリーでも書きましたが、『証券会社が売りたがらない米国債を買え!』は王道の債券投資を勧めている点で、非常に素晴らしい着眼点の本です。
同じような投資信託の分散投資の本ばかりを何冊も読むくらいなら、その中の1冊とこの本を入れ替えておいた方が価値があります。
ただし、米国債を過剰に持ち上げている記述が見受けられるので、3割引きくらいで読むことをお勧めします。



『米国債を買え』 ・・・と単純ではない (1)



先のエントリーでお勧めさせていただいた『証券会社が売りたがらない米国債を買え!』ですが、読む際の注意がてら、本の中の誤りやミスリードを誘う部分を一部紹介させていただきます。
データを読む面白い題材ですので2回に分けて取り上げさせていただきます。

なお、著者の林氏は、ダイヤモンド・オンラインの中でもこの本とリンクした証券会社が売りたがらない米国債を買え!という5本のコラムを書いています。

林氏は基本的には米国債のゼロクーポン債(30年)への投資を推奨しています。
米国債投資は有りだと思いますが、林氏が言うほど米国債投資は有利ではありません

米国債投資について、かなり著者の主張にとって都合がよく書かれています。



(1)都合がいいその1: パフォーマンス測定の終点が2010年末
日米の株式/債券のパフォーマンスを比較しているのですが、「2010年末までの10年、20年、30年」のパフォーマンスで比較しています。その数字で30年米国債が一番パフォーマンスが良く、安心で稼げるとしています。

さて、2007年までに林氏はこのようなことを言えたのでしょうか?
2010年末といえば、株式市場が1930年代以来の大幅下落に見舞われた後です。この時期は1930年の大恐慌以来、最も債券に有利な時期です。その時に債券が買っているからと言って株式より債券が有利は言えません。
厳密には計算していませんが、ほとんどの期間は米国株が勝っていたが、この2008-2010年にかかると数十年ぶりに米国債が勝ったと言えそうです。



(2)都合がいいその2: 配当を無視
株式には配当がありますが、林氏は株式の配当を無視しています。ところが、配当無と配当有では以下のように大きくパフォーマンスが異なります。
2011年11月末まで30年間の円建S&P500(配当込)のパフォーマンス
 ・配当無し指数: 100⇒354 (+254%)
 ・配当込み指数: 100⇒805 (+705%)


100円投資して354円と805円では全く違います。
証券会社が売りたがらない米国債を買え!』では配当無の指数と比較して米国債の方が大きく勝ったと主張していますが大きな誤りです。
2008年からの下げ相場を経験してなお、株式相場は力強いパフォーマンスを残し米国債30年とほぼ同じ水準です。(1)で書いたようにほとんどの期間で株式は米30年国債に勝っています。



(3)都合がいいその3: 将来の受け取り金利額を現在のレートで計算
証券会社が売りたがらない米国債を買え!』では、将来の受け取り金利額を現在の元本レートで計算するという致命的な過ちを犯しています。

具体的に言うと、「残存期間20年で年利3%のドル建債券を1ドル=100円で100万円購入した。100万円の3%は3万円で20年満期だから受け取り金利合計は60万円。だから1ドル=40円を下回らない限り損はしない」という主張です。

これは「円高が進行して元本が減っていくと、受取り金利が減る」という事実を見としています。円高が進行していく中で3万円の金利を想定していることが誤りです。

下表は円高が進行していく2つのケースのシミュレーションです。左は毎年同額の円高進行で、右側は定率の円高進行です。
FX_simulation

金利はドル建てなのですから、円高なれば円建の受取金利は減少します。
外貨の金利モノでは、円高が進むと元本の為替差損+金利減少というダブルパンチになります。「円高になっても3万円の金利があるから大丈夫」と言っていられません。円高が進行して元本が半分になれば金利も半分です。FXでスワップを狙う人でありがちな誤りです。

定率で円高になるシミュレーションは元本+受取金利が100万円を割る水準を求めましたが、この場合は54.3円が損益分岐点です。40円がブレークイーブンだという主張は全くもって間違いです。特に、投資当初から急激に円高が進行した場合には早々に受取金利が減るのでブレークイーブンの為替レートが54.3円よりも厳しくなります。



『米国債を買え』 - 長期の米ゼロクーポン債への投資は魅力的




証券投資と言うと株式がすぐに話題になります。
投資に関する書籍を見ても、株式投資だらけです。他にはFXや投資信託や先物などもありますが債券投資に関する書籍はほとんどありません。

しかし、実は債券市場の方が株式市場より巨大です。その巨大な債券市場の中心にいるのが米国債です。
さらに言えば、債券という枠を超えて現時点で世界的に最も信用度が高いとも言える金融商品が米国債です。

最近は少し信用が揺らいでいるという話もありますが、欧州危機や米国債自身の格下げという世界的な金融不安があると、マネー待避先として資金が流れ込むのが米国債です。
「最も信用できるのはゴールド」という意見もありますが、ゴールドもリスクオフの際に値下がりする投機商品の傾向すらあるので、信用度が高いのは米国債とするのが妥当でしょう。

数多の投資商品の中でも王道中の王道が米国債です。ところが、米国債などを含めた債券投資の指南書がほとんどありません。


そんな米国債の中でも長期のゼロクーポン債を使った投資の魅力的を説いているのが、『証券会社が売りたがらない米国債を買え!』です。

詳しくは本の中に書かれているのでそちらを参考にしてほしいのですが、ゼロクーポンの米国債を使った投資は非常に魅力的な投資です。

ゼロクーポン債とは、読んで字のごとくクーポン(金利)がゼロの債券です。その分、額面が1000ドルの債券を400ドルのように安く買えます。400ドルで買った債券が満期時には1000ドルになって返ってくるのですから、この差額がリターンになります。

ゼロクーポン債の大きな魅力は利払い金が無いので、運用期間中に税金が引かれず複利で運用できることです。
利付債の場合、支払われる利金に税金が引かれてしまいます。そのお金で再度国債を買ったとしても税引き後の金額しか買えませんし、手数料がかかる場合もあります。この差が長期では大きな差になります。
長期的に運用するのであれば、途中で利金が支払われる必要はないので、ゼロクーポン債の方が効率的に資産運用できます。また、ゼロクーポン債も途中売却できるので流動性で劣ることはありません。

しかも残存期間が長い場合は、高利回りが期待できます。例えば、2012年1月10日時点で野村証券が販売している米国債(ゼロクーポン)を見ると、残存期間が28年1カ月で額面100ドルが43.12ドル(3.01%の年利回り)です。

さらに外国債券に投資する投資信託と比較した場合、直接債券を購入すれば信託報酬等のコストがかかりません。信託報酬が年0.5%としても20年では単純計算で10%の違いになります。

長期債となると金利リスクが大きくなりますが、ラダー型で投資していけばゼロにはなりませんが金利リスクは下げられます。


●税の繰り延べ効果がある
●長期にすることで高い利回りが期待できる
●信託報酬等のコストがかからない
●金利リスクはラダー型の分散投資で対応

このようにゼロクーポンの米国債への投資は魅力的です。


※注意※
証券会社が売りたがらない米国債を買え!』は米国債投資を勧める良い着眼点の本なのですが、米国債を高く評価するためか、株式や為替に関するデータには間違いやミスリードを誘うような表現が多数あり、読み方には注意が必要です。(そんなことをしなくても十分にゼロクーポンの米国債は魅力的なのですが)



私の著書 - ズボラ投資
「毎月10分のチェックで1000万増やす! 庶民のためのズボラ投資」
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