2008年10月21日にOECDからGrouwing Unequal?(格差は拡大しているか?)というレポートが出されていました。日本のサイト(OECD東京センター)で『大半のOECD諸国で所得格差と貧困が増大』と書かれているようにOECD全体では格差は拡大しているようです。

Country Noteということで日本についても記述もあります。
さて、小泉氏が総理大臣になって、彼流の構造改革を行ったことで格差が広がったというような主張があります。実際はどうなっているのでしょうか?
##私がこのように書く場合の結論は1つに決まって
##いますが、お付き合いください



以下が日本のCounrty Notesです。

"Growing Unequal?" Country Notes - Japan
日本の所得格差と貧困は、長期にわたる拡大傾向に反して、過去5年間で縮小に転じた。しかし、日本の貧困水準(所得分布の中央値の2分の1未満で生活する人の比率)は、OECD諸国の中で4番目に高い。
いきなり衝撃的な内容です。日本の格差は、長期的に拡大してきたが、過去5年間では縮小してきているとのことです。


OECD_country_note_japan_figure1




で、次にグラフを。上のグラフは格差を表すときによく使われる[ジニ係数]と[相対的貧困率]に関するグラフです。
まず、左側の【ジニ係数のグラフ】を見てみます。Mid80s 〜 2000sまでは0.304→0.337まで右肩上がりに格差が拡大しています。しかし、2000s 〜 Mid2000sの期間では0.337→0.321と大きく減少しています。
次に右側の【所得分布の中央値の2分の1未満で生活する人の比率のグラフ】を見てもジニ係数と同じ傾向です。中央値の1/2以下という相対的貧困と言われる人たちの割合は、2000sまでは右肩上がりで増えているが、2000s 〜 Mid2000sでは減少しています。

つまり、小泉総理が就任する前から順調に格差は拡大し続けていたわけで、彼が今まで格差の無い社会をぶっ壊して特別に格差を拡大したということではなさそうです。そして2000s 〜 Mid2000sではジニ係数でも相対的貧困率で見ても格差は縮小しているという結論になります。


低所得層にとっては1990年代後半が最も困難な時期であったが、高所得層は2000年代前半に所得の減少を経験した。
マスコミでは低所得者の収入が少なくなり、高所得者の収入が増えていると言っているようですが・・・
マスコミが格差を騒ぎ始めた21世紀は逆に高所得者の所得が減少しているとのレポートです。

1985年以降、子供の貧困率は11%から14%に増加したが、66歳以上の人の貧困率は23%から21%に減少した。これは、依然、OECD平均(13%)を上回っている。
これは興味深いデータです。富める老人が増えて、貧しい子供が増えたということです。
私が日ごろから日本という国について怒っていることですが、高齢者が優遇されすぎです。後期高齢者医療についても老人いじめと言いますが、子供世代にその負担を要求することは子供いじめではないのでしょうか?
「75歳という年齢で区切るな。年齢で区切るなんて差別だ!!」なんて人がいますが、それでは旧来の69歳以下の人は3割負担でそれより上は1割負担、と年齢で区切って負担率を変えるのは差別ではないのか!!20代、30代だからという年齢で3割負担にされるのは差別だ!!と主張したい。

年金が減ったりなくなると大激怒。老人医療費が高くなると大激怒。でも、子供の教育費が少なくなっても気にしない。これが今の日本。
国の発展のためには逆にすべきだと思うのですがね・・・こんな国に未来はあるのか。



これらのデータから導き出される結論は以下。
◆日本国民全体では格差は縮小傾向である
◆日本で進行しているのは世代間格差。高齢層が富み、
 若年層が貧しくなっている


◎OECDの今回のレポートの要約(日本語版)はこちら

私の意見に同意するにしろ同意しないにしろ、これは是非ともご一読いただきたい文書です。



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@吊られた男