吊られた男の投資ブログ (インデックス投資)

投資信託を使った低コストインデックス投資/パッシブ投資(バイ&ホールドの国際分散投資)で資産形成を行っている一般サラリーマンの吊られた男が、主に投資やお金のことについて語るブログ。時々、投資やお金以外の話もします。



直販

冷静と情熱の直販投信

(タイトルに嘘、偽りありです)

先の『バンガードのアットコストと素晴らしき仕組み』でも「どちらが良い/悪いということではなくて目指すべきベクトルが全く違う」とも書きましたが、日本のチョクハンバンガードを眺めてみると、同じ直販ファンドではありますがその指向性には大きな違いがあります。

(両者ともにファンドの運用という投信運用会社としての基本はしっかりされていることは当然の前提です) しかし、その上でバンガードと日本の今の多くのチョクハンの志向性には大きな違いを受けます。

簡単に言うと「冷静の直販=バンガード」、「情熱の直販=日本のチョクハン」でしょうか。


バンガード報告会参加者のレポートの中に、最近はバンガードも情熱系の話もしている…ともありますが、バンガードは基本的にはシステマチックな印象です。
少額投資家からは費用を取るWeb対応対面サービスも原則は預かり残高が多い人だけのようにシステマティックであまり人間味を感じない仕組みです。詳細は後述ですが、日本のチョクハンのように「説明会での●●さんの話に感動した。」のような人間味にあふれる情熱的な話を聞けるわけではありません。(これが悪いというわけではない)

日本のチョクハンに目を移すと、顧客との接点の近さ、コミュニケーションの濃密さがウリであったり、支持の理由であったりします。運用会社のトップやファンドマネージャが顧客に直接話しかける無料説明会があることなどが特徴的です(当然、プロモーションというビジネス上の目的があります)。
投資する人も当然パフォーマンスやコストなども考えているでしょうが、この姿勢や情熱といったものを評価して投資している人も多いようです。


ファンドに対する感想にしても、チョクハンではファンドマネージャや関係者の熱い想いなど個人に対する共感などをよく聞きます。
一方、バンガードでは会社全体に対する共感などは聞いても、個人に対する共感のような感想はまず聞きません。

バンガードと日本のチョクハンファンド、同じく投資信託の直接販売をしていますが、その方向性が大きく違います。


「冷静の直販」と「情熱の直販」のあいだでどちらを選ぶか?第三の道を探すか?それともauの如くiPhoneもGalaxyも国産もと全部を狙うか。


個人的には属人化しているチョクハンよりも個に依存しないシステマティックなバンガードの方が好きです。熱い情熱に支えられているチョクハンはその人がいなくなったら終わってしまう気もしています。(とは言え、小さなベンチャーであるチョクハンファンドで属人化せずにシステマティックにしろというのは厳しい話ではあり、現時点でそこまで求められるべきものではないでしょう。)







直販ファンドのデータ提供状況を評価

直販ファンドが多数ありますが、そのデータ提供状況を評価してみます。
「顧客と近い」ことを売りの一つとするチョクハンでは、如何にデータを提供できているかも一つのポイントでしょう。
評価は以下のランク付けにします。
AAAAAABBBBBBCCCCC


A
セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド (セゾン投信)
資産設計の達人ファンド (セゾン投信)
セゾン投信がトップです。
高評価となったのは「設定来の基準価額と純資産総額のデータをcsvで提供している」ことです。これがあると特定の日のデータを知ることができますし、特定期間のグラフを作成したり分析に使えます。
また、「過去1か月、3か月、6か月、1年、3年、設定来の騰落率」「過去1年、3年のシャープレシオ」も提供しています。
Aに留まったことはグラフの提供が無かったことです。
 ・セゾン投信のサイト


BB
さわかみファンド (さわかみ投信)
チョクハンの先駆けであるさわかみ投信BBで2位にランクインです。
さわかみファンドは、基本的な「最新の基準価額、純資産総額」「設定来のグラフ」という情報は提供しています。
それに加えて、過去の「日毎の基準価額と純資産総額の情報」も提供しています。しかし、csvで一括ダウンロードできれば良いのですが、1ページ当たり50件ずつの表示という制限があることが減点ポイントです。
 ・さわかみ投信のサイト


B
ひふみ投信 (レオス・キャピタル)
基本的な「最新の基準価額、純資産総額」「設定来のグラフ」という情報は提供しています。これだけだとCCCとさせていただきます。
 ・ひふみ投信のサイト


CCC
ありがとうファンド (ありがとう投信)
浪花おふくろファンド (クローバーアセットマネジメント)
らくちんファンド (クローバーアセットマネジメント)
かいたくファンド (クローバーアセットマネジメント)
ユニオンファンド (ユニオン投信)
結い2101 (鎌倉投信)
これらの会社のサイトで提供されているのは、基本的な「最新の基準価額、純資産総額」だけです。グラフや過去のデータを見ようとしても、Yahoo!ファイナンスはQUICK MoneyLifeへのリンクが貼られているだけです。
運用会社がグラフなどの提供を外部に任せていることが好ましいとは思えません。(Yahoo!が間違っていたら?)
運用会社&販売会社として、「最新の基準価額、純資産総額」だけしか情報を提供していないことは大いに不満です。
 ・ありがとう投信のサイト
 ・クローバーAMのサイト
 ・ユニオン投信のサイト
 ・鎌倉投信のサイト


CC
コモンズ30ファンド (コモンズ投信)
「最新の基準価額、純資産総額」しか情報提供されていません。Yahoo!ファイナンスへのリンクすらありません。これでは運用会社&販売会社としての情報提供が十分とは言えないでしょう。
 ・コモンズ投信のサイト


※一応は各会社のHPを見て確認しましたが、間違いがあれば情報提供をお願いします



バンガードの行動指針とチョクハンファンド

投資信託の直接販売で低コストインデックスファンドを提供している会社と言えば、Vanguard(バンガード)
そのバンガードには次のような行動指針があります。
●細心の注意を払い、長期的な方向性と明確な目的をもってファンドを運用しています。ベンチマーク指数や他社の同種同等のファンドよりも優れた運用成果をご提供することを最終的な目標としています。
●私たちは、販促活動などへの配慮よりもまず、顧客に対する受託者としての責任を最優先に考えています。
●私たちは投資家に対して投資成果のみならず、リスクとコストに関しても正確かつ正直な情報提供を行います。
●私たちは顧客との信頼関係において公正な取引、誠実、正直の精神を持ち続けます。
この理念が具現化されているサービスがあってこそバンガードは支持されています。

これを念頭において日本で最近増えている直販(チョクハン)ファンドに目を向けてみます。
どうでしょう?日本の直販ファンドはこれを満たしているでしょうか?

販促活動よりも、顧客に対する受託者としての責任を最優先に考えているでしょうか?
リスクとコストに関して正確かつ正直な情報提供を行っているでしょうか?
公正さ、誠実さ、正直さの精神があるでしょうか?

私の評価は残念ながらNOです。部分的に満たしているところはあっても、総合的にはNOです。セゾン投信などはいい線をいっているとは思いますが、それでもまだというところです。


チョクハンの中には、ファンドの特徴を「販売手数料0%、信託報酬0.7%(税込0.735%)」と太字の赤字で書いて低コストと謳っているファンドがあります。しかし、このファンドは、その後にカッコでとじられた中に黒字&強調無しで「実質的な信託報酬は1.5%以上」と書いています。
目論見書でも、最初に出てくる『当ファンドに係る手数料等について』という項目でも投資先のファンドに支払うコストについての言及がありません。
目論見書を読み進めていて、最初に出てくる当ファンドに係る手数料等についてを読んでコストについて分かったように思った投資家を欺こうとしているのではないかとさえ思えてきます。
これが誠実さ、正直さでしょうか?

なお、セゾン・バンガード・グローバルバランスファンドでは、HPのファンド概要で実質的に投資家の負担となる信託報酬(0.74%±0.035)が大きく赤字で記述されています。交付目論見書の『当ファンドに係る手数料等について』でも実質的な信託報酬が記述されています。

これで、チョクハンは顧客目線で公正で誠実で正直なモノを提供できていると言えるでしょうか?
セクシャル・ハラスメントの判定基準ではありませんが、ファンドがどう考えているかは問題ではありません。重要なのは顧客がどう受け取るかです。
「運用会社自身が頑張っているつもり」には価値がありません。それが顧客にとってよいかが問題です。上で良い例として挙げたセゾン投信の信託報酬情報の提供のような例もありますが、それでも現在のチョクハンはまだまだでしょう。


チョクハンは受託者としての責任を最優先に考えているでしょうか?
資産運用会社なのですから資産運用・経営管理をしっかりやるのが何よりも受託者の最大の責任です。
野村や外資系運用会社の商品には眉をひそめるものも多くあります。しかし、それでもその規模を生かしたネットワークによる情報収集力や資産管理手法のレベルは決して低いとはいえません。
「自分自身には個別銘柄を選ぶ能力が無いからアウトソースをしている。おまけにそのためにアウトソース先へのコストもかかる」と言っているファンドが受託者としての責任を最優先に考えているのでしょうか?

フットボールチームのManchester UnitedのスターであるRyan Giggsは「才能だけでプレーできることはあるけれど、自信だけでプレーすることはできない」と言っています。私の好きな言葉です。
プロフットボーラーとしてプレーするだけの能力があってこそプロとして活躍できます。自信や想いだけではプレーできません。
資産運用会社もこれは同じです。チョクハンも資産運用会社としての能力があってこそ運用会社として認められる存在になります。自信や熱意だけでは資産運用会社としては通用しません。
今のチョクハンが大手資産運用会社と比較して受託者としての責任を果たす能力で勝っていると言えるでしょうか?

なお、バンガードは経営管理についても「経営管理にシックスシグマの手法を採用し、業務のあらゆる局面で、正確、迅速な運営を実現。作業工程の更なる改善に日々取り組んでいます。」とまで謳っています。(バンガードの独自性 より)


コスト競争が進んだ時に販売会社がいない直販は強力な武器になります。直販というシステムには大いに期待しています。しかし、現在のチョクハンは残念ながらこのレベルには程遠い。

バンガードのような直販低コストファンドを望んでいますが、「インデックスなら何でも良いわけではない」「直販なら何でも良いわけではない」ということです。
高品質であることは必要条件です。


こういう声を乗り越えてガンバレ、チョクハン。



私の著書 - ズボラ投資
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