吊られた男の投資ブログ (インデックス投資)

投資信託を使った低コストインデックス投資/パッシブ投資(バイ&ホールドの国際分散投資)で資産形成を行っている一般サラリーマンの吊られた男が、主に投資やお金のことについて語るブログ。時々、投資やお金以外の話もします。



生活保護

年金不信から「年金保険料払わないで生活保護でもいいや」という選択肢は悪手

小田部雪 ジャージ

老齢年金と比べて生活保護費が魅力的に見えることもある

年金財政の先行きは怪しい

2004年に自・公連立政権(特に公明党)が「年金100年安心プラン」と謳った年金改革を行いましたが、この先行きが非常に怪しい。本当に長期的に耐えうるものなのかは疑わしいものです。(自民党はやばい……と思ってトーンダウンさせていますね)

生活保護費の支給額が結構いい

老齢年金や最低賃金収入と比較して、生活保護が優遇されているのではないかという議論もよく見かけます。確かに、日々働いて得られる給与と生活保護(医療費負担等も含む)であまり差が無いようでは、働いているのがばかばかしいという声も一理あります。

「将来の年金が信用ならん」「生活保護美味しいじゃん」 ➾ 「年金保険料なんて払わずに将来は生活保護を貰えばいいんだ」という声も時に若い世代から聞こえてきます。しかし、これは良くない選択肢です。

年金は簡単に破綻させない

確かに年金制度の財政は自・公が掲げた年金改革の甘い試算通りにはいっていません。2009年、2014年の財政検証でもどんどん悪くなっています。
しかし、国家の社会保障制度の最重要な柱の一つであり、国が簡単にハードランディングさせることは考えにくい制度です。
老齢年金は、自分では老後資金を貯金できない人たちに強制的に貯蓄させる制度であり、重要なセーフティーネットです。これがなくなると貧困層が増え社会が不安定化してしまうので、簡単には無くさないでしょう。投入する税金を増やすなど何からの手当てをしながら、ある程度のところで制度を維持するのではないでしょうか。
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お金のことは、まず公的な社会保障制度や会社の制度(福利厚生)を知ろう

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老後のお金が心配だ…
子どもの教育費が…
病気になったら…

お金について気になることはあると思います。その際、まずは国や地方自治体の制度であったり、勤務先の会社の各種制度を知ることをお勧めしたい。それらの制度の中には非常に良いモノがあるのに知らないから使われずにもったいない事になってることが、しばしばあります。

まずは国や地方自治体などの公的な制度

公的な制度として、このブログでも取り上げているネタとしては例えば確定拠出年金高額療養費制度などがあります。

確定拠出年金は老後資金確保としては有力な選択肢です。分かりやすいメリットは拠出金が所得控除になること。竹川美奈子氏の本で『金融機関がぜったい教えたくない 年利15%でふやす資産運用術』とタイトルが煽り気味な本(中身はまっとう)もありますが、拠出したお金は所得控除になるので普通に投資するよりも所得税+住民税分お得です。

医療費については、その月にある程度以上医療費が掛かるとそれ以上はほとんど医療費がかからなくなります。
この制度を知らずに高額な医療費がかかることに怯えて民間の医療保険に入るのはもったいない。

他にも教育訓練給付制度生活保護など各種制度があります。

会社など組織の制度も確認しよう

次には、会社勤めなど特定の組織に属している場合はその組織の制度も確認しておくと良いでしょう。
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用途を限定した支援(生活保護、児童手当、途上国支援)は不正利用防止に役立たない

私が書いた生活保護ネタに寄せられたコメントにもありましたし、世間でも有力な意見として「クーポンなどにして使用用途を限定すれば、不正利用は防げて当初の目的に使われる」というロジックがあります。
しかし、以前も[子ども手当]バウチャー等の用途限定は無意味と書きましたが、用途限定はほとんど効果がありません。


アフリカの途上国の教育支援を考えます。

無条件で現金を渡すとと軍事費などに使われたりして国民まで行き渡りません。
そこで、学校運営/教材などの用途に限って使えるお金として渡すことがあります。これで問題は解決するように思えますが国民は豊かになりません。

支援されたお金は学校運営/教材などの用途に使われます。
しかし、下図のように従来学校運営/教材などに回していたお金を軍事費などに回してしまうのです。
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支援部分だけを見れば目的のところに使われますが、従来の正しい目的で使われていたお金が不正利用に流用されるだけで軍事費を渡したのと同じ結果になります。


生活保護費や児童手当のケースを考える
不正受給した生活保護費や子育て支援のための児童手当のパチンコ流用も同じです。
下図の右側のように、生活保護費や児童手当そのものは正当な利用に限定できても、それで浮いたお金を遊興費に使えてしまいます。
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結局のところ、クーポンにすると部分最適は可能ですが、全体でみるとあまり効率的ではないことが分かります。


じゃあ、「遊興費に回す余裕がないくらいに"きつーく"支給額を絞ればいいんだ」という意見も出てきそうですが、そうなると今度は誠実な受給者が損を見ることになり、本来の制度の意義がなくなってしまいます。
(子育て世帯支援のはずの児童手当は支給されない。生活保護はどんなに工夫しても1円もパチンコに回す余裕がない額しか支給されない)


※参考1:[子ども手当]バウチャー等の用途限定は無意味
※参考2:続・用途限定支援の欠点 (アフリカ支援)



直接支給の生活保護不正受給撲滅効果は小さい

予想通りですが、生活保護について書いた生活保護を現物給付に変えようとすると何が起こるか?には多くのコメントが寄せられました。

今回は、直接支給にすることで生活保護の不正受給が防げるかなどの経済的効果&外国人の乞食受給問題を考えてみます。


【生活保護を現物支給(物品の直接配給)では、誠実な受給者のQOLは下がり、納税者の負担は増え、不正受給を抑制効果は大きくない】

誠実な受給者のQOLは下がる
先に書いたように、物品で配る場合にはその世帯で利用されないものまで支給されることになります。粉ミルクが不要な赤子がいる家庭もあります。8歳の子がいる家庭でも身長/体重が違うわけで支給品の服が着られるかは分かりません。(各家庭の要望を聞いて支給すれば膨大なコスト増大)
今までなら貰った20万円で世帯で必要なものを買っていたのが、今度は不要なものも含めて20万円分になるので手に入れられる必要なものは減ります。(従来の現金支給時と同じQOLを維持するなら捨て分を含めて30万円分支給…のようになる)

納税者の負担は増える
直接物品を送るとなると、その仕入れや物流コストがかかります。生活保護者の住所にちゃんと届けるのは結構大変です。これ行政がいろいろ行うとコストが膨らむのは常であり、納税者負担増加になります。
仮に個別の世帯の事情を勘案して支給する場合、そのオーダーを聞いて取りまとめて発送するのが非常に大変になります。Amazonのようなことをすることになり、しかも発注はインターネット注文とは限りません。さらなる納税者の負担増加につながります。

不正受給を抑制効果は大きくない
現物配給の不正受給抑制効果は懐疑的です。
現金はもらえなくても10万円分の生活必需品が貰えるなら、乞食根性からいえば不正受給するインセンティブは変わりません。モノならいらないや…と不正受給のインセンティブは減りますが抑止効果はそこまで高そうに思えません。
乞食根性で貰いたいものはもらうという不正受給の仕組みは温存されます。



外国人の不正受給について
「生活保護で乞食暮らしをするために日本に来て生活保護を貰っている外国人」のように生活保護目当て日本に来て受給している外国人がの話も問題にもなっています。しかし、これは本来生活保護の問題ではなく、日本への在留資格の問題でしょう。
各種公的サービスには税金は投入されていますが、この個別サービスにおいて「彼らは日本にたかりに来ている外国人だから税金を投入したこのサービスは提供しない」と判断することはおかしな話です。
日本にたかりに来ている外国人に税金で賄われているサービスが喰い物にされることは問題ですが、それは個別サービス(教育、医療、児童手当、生活保護、etc)で判断されるものではなく、その前提となる在留資格で取り締まるべき問題です。
「子ども手当目当てに日本に来る乞食外国人」と同じロジックです。



「フードスタンプのようなクーポンなら」という議論もありますが、これは次のエントリーで。



生活保護を現物給付に変えようとすると何が起こるか?

生活保護問題が取りざたされています。生活保護でパチンコなどで遊び暮らしている人などが報道されるたびに「現金給付を止めて現物給付にしろ」という議論も発生します。

では、実際に生活保護を現物給付にするとどうなるのだろうか。


食料を給付するにしても、人によって食べられるもの/食べられないものがあります。
野菜が好きな子/嫌いな子もあれば、牛乳を飲むとお腹を壊す場合もあれば、アゴが弱って固いものが食べられない人もいます。
彼らに対して一律に同じものを配るのでしょうか?
そうするといらないものを配られた世帯にとってはそれは無駄になります。貴重な食料配給なのに食べられないものを配られるという悲しさ…
そして、チョコレートはぜいたく品だから配らないならば、他の子がチョコレートを食べている横で子どもチョコレートの一つすら買ってあげられないという家庭になります。
生活保護を受けるということはそこまでひどい扱いを受けなければいけないものなのだろうか。

また、衣類や日常用品にも当てはまります。人によって必要とされる衣類や日常用品は異なります。
完全母乳で粉ミルクが不要な世帯もあれば粉ミルクが必要な世帯もあります。子どもがサッカー部に入ればサッカー用品が必要ですし、水泳部に入れば水着が必要です。これらの支給をどうするか?「サッカーシューズなしで練習しろ」だろうか。

個々のケースにきめ細やかに対応すると、ネットスーパーのようなもので150万世帯ともいえる世帯に対してこれを提供するのは膨大な作業になり、極めて非現実的です。
しかも生活保護に相応しい商品かの判定まですると、「どのスパイクは許可する/しないか?」「どのすね当ては許可する/しない?」というネットスーパー以上の大きな負担が発生します。



差別も助長
生活保護で一括で同じものを送る場合、差別助長につながります。
皆が同じ服を着るわけです。同じものを食べるわけです。仮にサッカー用品が支給されても決まった商品が来るのです。
生活保護ブランドの出来上がりです。間違いなく「あいつ、あの服着ている。生活保護だぜ」といういじめにつながります。ユニクロのような一般的な服を支給すれば非受給世帯と混じると思っても、生活保護世帯に配られてると聞きつければネット等で広まって皆が着なくなります。
「生活保護服ー、生活保護食ー、近づくと生活保護の貧乏くさいのがうつる(笑)」といういじめが横行するでしょうね。


生活を制限して、貧困スパイラルへ
生活保護受給者専用のアパートに集めろなどという意見もあります。しかしこれは階層固定につながります。例えば、一時の仕事を失って生活保護を受給する人がいた場合、アパートの場所などを決められてしまうと仕事を探そうにも制限を受けます。
住居、衣類、食事等が固定化されることでできることが制限され、貧困からの脱出が難しくなります。



現物支給は、かなり良く考えないと国としてまずいことになりかねません。



私の著書 - ズボラ投資
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