吊られた男の投資ブログ (インデックス投資)

投資信託を使った低コストインデックス投資/パッシブ投資(バイ&ホールドの国際分散投資)で資産形成を行っている一般サラリーマンの吊られた男が、主に投資やお金のことについて語るブログ。時々、投資やお金以外の話もします。



消費税

消費税で世代間格差をなくすための注意点

第一生命経済研究所のレポートに『消費税の難点-給付付き税額控除』という興味深いレポートがありました。

詳しくは記事を読んでいただきたいのですが、消費税がそんなに悪くない税金であることが4ページで分かりやすく説明されています。少なくとも所得税の最高税率を上げるよりは意義があるかと思います。

以下はそのエッセンスです。

【消費税か所得税か】
・消費税の負担は高齢者:現役世代=1:2
・所得税の負担は高齢者:現役世代=1:9
・所得税の税率を引き上げると、ほとんどが現役世代から徴収することになる
・世代間格差是正のためには消費税が優れている

【低所得者への給付付き税額給付】
・世帯年収下位20%層の約60%が高齢者世帯
・低所得者へ一律の給付付き税額控除を行うと所得の少ない高齢者にその多くが分配される
・給付付き税額控除の範囲拡大は、高齢者の消費税負担免除になってしまう
給付付き税額控除の範囲を必要以上に広げ過ぎなければよい







今こそ消費税増税のビッグチャンス

出ては消え、出ては消え、という消費税増税議論が野田内閣でも議論されています。

上げるなら今でしょう。これだけ消費税増税にとって追い風が吹いていたことはありません。

●欧州各国の財政危機によって、日本の財政破たん危機が大きく懸念されて、財政健全化のための増税やむなしの声が大きくなっている
●東日本大震災の復興財源確保のために増税が許容されるような土壌ができつつある

これだけの追い風が吹いているのであれば、ここで増税しない手はありません。
まあ、景気がイマイチの中で増税することの悪影響は懸念されます。しかし、5%という税率はまだ十分に引き上げる余地はあるでしょう。
私の生活にも影響はありますし、投資信託の信託報酬にも消費税はかかりますが、10%程度までの増税は一気にやってしまってもいいのではないでしょうか。一気の公務員・社会保障改革とセットで。
(※現実的にそれだけの実行力を期待することが困難だという最大の壁はあります)


2011/12/15 23:23 追/記: 非ケインズ効果とはというエントリーを新たに書きました。



消費税はデフレ対策の切り札

日本のデフレを問題視する意見もありますが、1つ強力な切り札があります。

消費税率引き上げは一石二鳥のデフレ脱却方法です。

過去の消費税設定時や5%への引き上げ時などには見事に増税効果で物価が上昇しました。金利引き下げや量的緩和では効果の程は怪しいですが、広く消費者物価にかかってくる消費税率を上げるとかなり確実に物価引き上げ効果を生みます。

「来年から消費税を2%引き上げる」とすれば、それは2%に近いインフレ効果を生みます。最近の-1%〜0%程度のインフレ率を考えると消費税2〜3%程度引き上げるとリフレ派が主張する緩やかなインフレを引き起こせそうです。

ただし、このやり方の問題は税率を引き上げた時しか効果が続かないことです。一度税率が7%になってしまえば、その翌年も同じ税率なので税率引き上げ分の物価上昇が発生しません。だから一気に10%引き上げて終わりにしてしまうとエコポイントと同じく需要の先食いとなり、税率アップ後に反動がきます。

そこで、更に翌年も2〜3%消費税を引き上げれば、またインフレ圧力をかけることができます。このように毎年消費税率を2%程度ずつ引き上げ続けていけば継続的にインフレに持っていくことも可能です。国が毎年2%ずつ10年にわたって消費税を引き上げると決めれば、毎年2%ずつ貨幣価値が減価していくと考えてどんどん消費を喚起できるかもしれません。

しかも、消費税率を引き上げることで税収増加も期待できそうですから、国の債務削減も狙えて一石二鳥です。

「デフレが日本の諸悪の根源で、どうしても是正しなくてはいけない」というリフレ派の人はこの案を声高に主張してもいいと思うのですが、なかなか聞きません。
デフレが経済停滞の根源ならこれほど効果的な政策もそうはないと思うのですが・・・



『消費税の逆進性対策を考える』

先の『消費税の逆進性と複数税率化』に続いての消費税ネタ。まあ、続編です。

先のエントリーで紹介した関西社会経済研究所の『消費税の逆進性と複数税率化』というレポートがありますが、ほぼ同時に会計検査院から森信茂樹氏が『消費税の逆進性対策を考える』というレポートを出していました。

先の『消費税の逆進性と複数税率化』でも森信氏の発言が引用されたり、参考文献とされたりしていたので、読んでみました。
基本的な主張は先の『消費税の逆進性と複数税率化』と同じ。複製税率には問題があり、導入すべきでないという話です。詳細はレポートに譲りますが、このレポートの中でEU諸国の複数税率下での面白い話がありましたので、それを紹介します。

マクドナルドでハンバーガーを買う場合,テイクアウトにすると食料品となり軽減税率(英国ではゼロ税率)が適用されるが,その場で食べると飲食サービスとなり標準税率が適用されるということになる。誰もが軽減税率の適用を望んで「テイクアウトといって購入し,その場で食べる(飲食サービス)」という事態が容易に想像される。そこで英国では後述する温度基準を策定した。
英国では,名物のフィッシュ・アンド・チップス屋は,新鮮な魚も併せて販売している事が多いが,実際の販売割合は,調理済みと新鮮な魚とが7:3 だが,税務統計上は3:7 になっている。これは,新鮮な魚はゼロ税率,フライドフィッシュは標準税率で課税されるためである。
カナダの税制では,ドーナツ等の菓子について,その場で食べるか持ち帰りかにより区分しているが,いつ食べるかというタイミングを売却時に判断することは不可能なので,販売個数により,5 個以下の場合には飲食サービスとして標準税率,6 個以上は食料品としてゼロ税率というように外形的に決めている。その場で見知らぬ者が集まって,にわか「ドーナツ購入クラブ」を結成し共同購入すれば,食料品となり,安く購入できる
・温度による基準
冷凍ヨーグルトは(アイスクリームとの競合から)標準税率,冷蔵庫に入っているヨーグルトは優遇税率
・タイミングによる基準
その場ですぐに食べてしまうような場合は標準税率,後で食べるような場合は優遇税率
・量による基準
1-5 個のドーナツは標準税率,6 個以上のドーナツは優遇税率
・加工度による基準
加工食品は標準税率,本来の性状が変化しない程度の原始加工を経たものは優遇税率
ちょっと前に話題になったイギリスの「M&S社のお菓子がビスケットかケーキか論争」もそうですが、外から見る分には面白いですね。
実際に内部に入って、こんな案件でいちいち裁判になって裁判費用やらが税金から持ち出されることを考えると笑い話ですみませんが。


また、このレポートで大変興味深かったのは、一部非課税枠を設けることで「税の累積」が生じて税率を下げた分ほど価格が下がらなかったり、逆に消費者の負担が増えることがあるというくだり。

具体例として、消費税率10%として弁当とレストランでの食事の価格が以下の2パターンでどうなるかを検証している。
 ・一律課税で優遇税率無しの場合
 ・食料品非課税(外食サービス標準課税)の場合
この簡単なシミュレーションでは、一律10%の税率で1100円の弁当は税率0にすると1020円になり、一律10%の税率で1100円の食事が税率0にすると1122円になっている。
実際にはこんなに簡単な図式通りにはいかないだろうが、あまり意識していないポイントなので面白かった。



『消費税の逆進性と複数税率化』

関西社会経済研究所のレポートで『消費税の逆進性と複数税率化』というレポートを見つけました。

レポート中にも記載されていますが、政権を取った民主党も導入を検討している「給付付き消費税額控除」についてのレポートなので興味深い。
酔っ払いながらの流し読みだったので、中身の把握はイマイチですが、面白く読めました。

レポートの要点は「むすび」にある下記の内容
 第1 に、現行の消費税の逆進性は、それほど大きなものではないものの、一時点だけでなく、生涯所得に対しても逆進性が観察されることがあきらかになった。
 第2 に、消費税の逆進性を緩和するという点では、複数税率化よりも給付付き消費税額控除の導入の方が有効であることがあきらかになった。
日本の世間一般では逆進性緩和策として複数税率が最も大きく取り上げられている気もします。このレポートでは、その逆進性緩和効果という観点から真っ向勝負して、複数税率化の効果は小さいと否定し、給付付き消費税額控除を推しています。



詳細はレポートに譲るとして、私も複数税率化は反対です。レポートの中で複数税率化に対する反対論を3つに大別して紹介していましたが、私もこの中にあるような観点のいくつかから反対しています。

特に、品目選定における政治的な恣意性が入る余地がある点が一つ。もう1点は、レポート中でも引用されている井堀氏の「消費税は一律で取って、税収を手当の面で再分配に使うというのが効果ある再分配政策」という言葉がまさに的確で同じ考えです。

こういう総合的な観点での議論を歓迎します。



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