吊られた男の投資ブログ (インデックス投資)

投資信託を使った低コストインデックス投資/パッシブ投資(バイ&ホールドの国際分散投資)で資産形成を行っている一般サラリーマンの吊られた男が、主に投資やお金のことについて語るブログ。時々、投資やお金以外の話もします。



新興国株式

「新興国株式」連動投信のコスト低減のための工夫

(とよぴ〜さんのブログのコメント欄へ書かせていただいたものの拡大になります)

先日のエントリーで、ピクテの中国A株とブラジル株ファンドの信託財産留保額とコストの話を書きました。
ここで、注目が高かったのはブラジル株の取引にかかるコストです。
ブラジルの株式市場に上場するブラジル株式を取引しようとすると、取引金融取引税、為替手数料、株式売買手数料などで、「INで約2.6%、OUTで約0.6%」のコストがかかるとのことです。

ブラジルは金融取引税2.0%があり最近注目を集めている投資先なので注目されていますが、ブラジル以外の地域でも取引コストはかかります。特に一般的には金融市場が整備されていない国ほどコストがかかるのが一般的です。

そうするとSTAM新興国株式eMAXIS新興国株式のようにMSCI Emerging連動のインデックスファンドも、バカ正直に運用していると相当の費用がかかることになります。

そこで、彼らがコストを抑えるためにどのような工夫をしているかを書いてみます。


(1)ETFを活用
STAM新興国株式の運用報告書を見ると書いてありますが、目を引くのはVanguardが運用するETFのVWOとなっています。
つまり、STAM新興国株式はMSCI Emerging対象の株式を買い集めるのではなく、対象株式を買い集めているETFを組み入れることでインデックスと連動するような仕組みを作っていました。

VWOへの信託報酬がかかるので負担になりますが、自身の資産規模が小さい中で現物を買い集めるより、VWOへの信託報酬の方が安いということであれば合理的な判断です。


(2)ADRを活用
(ADR=米国預託証券とは、アメリカで外国企業が発行する証券でアメリカの証券所に上場されています。この証券は株と同じ効力があります)
ADRはアメリカ上場なので手数料はアメリカ株を買うのと同水準になります。そうすると新興国の証券所で買うよりコストは安くなります。また、ブラジルなど対象国に資金を投じないので金融取引税なども回避できます。
そして、アメリカの証券所には各国の代表的な企業がADRとして株式を上場させています。STAM新興国株式eMAXIS新興国株式の運用報告書を見ても主な売買銘柄や保有銘柄の欄に新興国企業の代表的銘柄のADRがズラッと並んでいます。

このようにADRを活用することで、アメリカ株を買うのと同程度のコストを実現しています、


(3)優先株を活用
(ここは少し推測交じりです)
STAM新興国株式は(1),(2)の説明でほとんど終わりです。しかし、eMAXIS新興国株式の運用報告書を見ると(1),(2)では説明がつかない部分があります。
eMAXIS新興国株式ではブラジル株に関してADRを利用していないのです。
ブラジル株の代表銘柄と言えば、圧倒的にValeとPetrobrasです。STAM新興国株式ではこの2社の株式はVWO内の保有分以外にはADRとして取引されています。

しかし、eMAXIS新興国株式では、組入資産明細欄のアメリカを見てもValeやPetrobrasのADRが見当たりません。ブラジルに目を移してみると「VALE SA」「PETROBRAS - PETROLEO BRAS」と書いてあります。つまり、ブラジル市場で普通株を買っているようです。これだともろにブラジル市場の取引でかかるコストの影響を受けてしまいます。

「これじゃ、隠れコスト大きくなるじゃん!!」

と言いたくなることもありますが、実はブラジルの枠を見ていると、「VALE SA」とは別に「VALE SA-PREF A」のような銘柄もあります。どうやら普通株だけは無く優先株にも投資しているようです。これはValeに限らず、Petrobrasや他の銘柄にも見られます。
一般的に、優先株は議決権が無いかわりに収益率は普通株より高くなっていますので、eMAXIS新興国株式のブラジル株式では、優先株を適切な割合組み入れることでコスト分を補っていると考えて良さそうです。







「eMAXIS新興国株式」のコストについて考える

私は出席できなかったのですが、先日、三菱UFJ投信とブロガーによるミーティングが行われたようです。
参加されたブロガーの方々がレポートをかかれています。

三菱UFJ投信の第2回ブロガーミーティングに行ってきました(その1) eMAXIS新興国株式インデックスの実質コスト (梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー)
三菱UFJ投信の第2回ブロガーミーティングに行ってきました(その2) 追加ラインナップ関連情報 (梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー)
eMAXIS新興国株式の実質コストは・・・ (Passiveな投資とActiveな未来)
第2回eMAXISブロガーミーティングに参加してきました (rennyの備忘録)
第二回 eMAXISブロガーミーティング(1) (Site.M from 新所沢)


詳しくは各ブログのエントリーを見ていただきたいのですが、このタイトルたちを見ても分かるように、第一回決算を受けてのeMAXIS新興国株式のコストに関して大きな注目が集まったようです。

私もeMAXIS新興国株式のコストについては2つほどエントリーを書いています。
(1)eMAXISの決算
(2)eMAXIS新興国株式 ダメ出しは早計かな!?



さて、各ブロガーの方々のレポートから分かったことは・・・決算書のコスト要因の説明にあった通りで予想通りでしたが、

eMAXIS新興国株式のコストは、年率換算4%超とも囁かれたが、そんなに高くない

ということです。



ミーティングに参加されたブロガーの方々の情報によると、投資信託協会によって定められたコストの計算方法(の簡便法?)に従った故に、信託報酬以外のコストが大きくなったという計算ルール上の都合とのことです。

信託報酬以外のコストの割合を算出するときには、コスト÷口数で計算するのですが、この口数が「各月末の口数の平均」uとなっているようです。
これに基づくと、2009/10/28〜210/01/26が決算期となるeMAXIS新興国株式の第一期決算では、10月末、11月末、12月末の3回だけが対象になります。

これが絶妙な期間です。
各証券会社が取り扱いを開始した日の10月30日(=新興国株式の資産は自己資金の100万口のみ)が組み込まれつつも、資産が積み上がった1月末の数字が除外されています。しかもファンドの資産総額の推移を見ると分かるように、1月になって資産総額の伸びは大きくなっています。
そうすると、1月には資産が増えているのでコストは増えています。しかし、分母にあたる口数の計算では1月の数字は使われません。

このように分母になる口数が実情より大幅に過小評価された結果、計算上は信託報酬以外のコストが膨らんで見えたとのことです。


これでeMAXIS新興国株式のコストについてはスッキリしました。

しかし、新たな疑問が浮かんでいます。


それは、「では他のeMAXISファンドで同じことは言えないの?eMAXIS先進国株式も新興国株式ほどではないが、順調に資産・口数は増えているのに・・・」というものです。

この疑問に対しては「上記の計算はマザーファンドに対して適用されている」と考えることでクリアになるというのが、私の仮説です。eMAXIS先進国株式の場合は巨大なマザーファンドがあるので、そのマザーファンドに対して上記の計算を設ける限りは信託報酬以外のコストが膨らむことは無さそうです。
まあ、これは私の仮説に過ぎません。



eMAXIS新興国株式 ダメ出しは早計かな!?

私も先のエントリーで書きました。多くのブロガーの方も書かれています。


eMAXIS新興国株式の信託報酬以外のコストが高い!!


しかし、これだけでeMAXIS新興国株式にダメ出しするのは早計、というのが私の今の判断です。


まず、一般的な話として、設定時には余計にコストがかかる可能性があります。規模が小さいうちはカストディアンに払う保管料の総資産に占める割合も高くなるでしょう。このあたりは次回の決算を見ても何らかの改善がみられるかと思います。



ただ、それよりも気になるのは決算書の中身です。
決算書によると、eMAXIS新興国株式インデックスの期間中のパフォーマンスは-2.1%であり、ベンチマークとの乖離の説明をまとめると以下のようになっています。


【ファンドのパフォーマンスとベンチマークとの乖離要因】
ベンチマーク-2.5%
ファンドのパフォーマンス-2.1%
ファンドの管理コスト等による影響-0.1%
組入比率要因-0.2%
銘柄選択要因+0.7%
(マザーファンドの)コスト要因-0.2%
その他の要因+0.2%
    ◎コスト要因
     売買にかかるコストおよび保管料等による影響
    ◎その他の要因
     その他配当・利子収入などによる影響


不思議です。
これを読む限りでは、かかったコストは以下の2つだけとも読めます。
  ○ファンドの管理コスト等による影響:-0.1%
  ○マザーファンドのコスト要因:-0.2%

単純計算では-0.3%になります。仮に両項目の最大値を想定しても-0.15%(弱)と-0.25%(弱)なので、-0.4%弱です。最小で想定すると-0.05%と-0.15%の-0.2%です。
これが3ヶ月の決算なので4倍しても、-0.8%(最小)〜-1.6%(最大)
仮にこの計算が正しいとすると、巷で言われているような単純計算で4%超になるような数字にはなりません。十分に優秀な数字です。




これは私が何かを見落としているからだと思うのですが、何でしょう・・・

私は参加しませんが3/10のブロガーと三菱UFJ投信の会議で、このあたりが明らかになることを期待しています。



STAMから新興国の株/債券!! これでフル装備!?

他ブログでも既に取り上げられていますが、STAMから以下の新興国の株式と債券のインデックスファンドが登場です。(設定日は12月15日)

◆STAM 新興国株式インデックス・オープン
  ・信託報酬: 0.8715%
  ・信託財産留保額: 0.3%
◆STAM 新興国債券インデックス・オープン
  ・信託報酬: 0.7560%
  ・信託財産留保額: 0.3%


年金積立シリーズの同じアセットの【年金積立インデックスファンド海外新興国(エマージング)株式】【年金積立インデックスファンド海外新興国(エマージング)債券】とラインナップがかぶるところですが、STAMの方が信託報酬が安くなっています。


そこで、気になるのは以下の2点。

(1)実質的なコスト
0.8715%という表面上の信託報酬ならEEMとほぼ互角です。しかし、投資家にとって大事なのは実質のコスト!!
STAMシリーズのSTAMが国内株式などを設定した時にマザーファンドが既に存在していたアセットでは信託報酬以外のコストは低かった。
しかし、マザーファンドが無かったREITでは信託報酬以外のコストがそれなりにかかっていました。
これはREITだからなのか、規模のメリットを享受できる巨大なマザーファンドが無かったからなのかは分かりませんが、気になるポイントです。


(2)販売手数料
年金積立シリーズは1.05%ですが、投資家として期待してしまうのはノーロード。ここでSTAMがノーロードとなると年金積立を買う人はいなくなってしまいそうですが、各証券会社がどうしてくるか?あくまで1.05%を取りに来るのだろうか!?


ノーロードで実質コストも低ければかなり強力で、VWOに乗り換えることさえ面倒くさくなりそうです。




STAMインデックスファンドシリーズまとめ
ファンド信託報酬信託財産留保額
TOPIX0.483%0.05%
グローバル株式0.777%0.05%
国内債券0.462%0.05%
グローバル債券0.672%0.05%
J-REIT0.6720%0.05%
グローバルREIT0.861%0.05%
新興国株式0.8715%0.3%
新興国債券0.7560%0.3%

新興国株式と新興国債券については未定ですが、他はノーロード。コスト面で見ると、2008年時点ではグローバル債券を除いては最強シリーズですかね。
 ※海外債券では、三菱UFJ 世界国債インデックス
   ファンド(年1回決算型)が信託報酬0.63%で最安



にほんブログ村 株ブログ 投資信託へにほんブログ村 為替ブログ FX初心者へ

@吊られた男



私の著書 - ズボラ投資
「毎月10分のチェックで1000万増やす! 庶民のためのズボラ投資」
連絡先
私への連絡は下記メールアドレスまでお願いします
tsurao@gmail.com

tsuraolife_banner_s

follow us in feedly

にほんブログ村 株ブログ 投資信託へ


Recent Comments
ブログ内記事検索
PR
お勧め銀行・証券会社
■証券会社■
○SBI証券

○セゾン投信


■銀行■
○住信SBIネット銀行


■401k(確定拠出年金)■
○SBI証券
タグ
Archives