吊られた男の投資ブログ (インデックス投資)

投資信託を使った低コストインデックス投資/パッシブ投資(バイ&ホールドの国際分散投資)で資産形成を行っている一般サラリーマンの吊られた男が、主に投資やお金のことについて語るブログ。時々、投資やお金以外の話もします。



新興国株式

少し前の新興国株式アセット投資事情

ついに個人投資家のインデックス投資のツールが揃ったに関連して、少し昔話を(とは言っても数年前という近い昔)。
つい最近パッシブ投資(インデックス投資)を始めた方にはあまりなじみのない話かもしれませんが、爺の昔話として聞いていただければ幸いです。

先日は【パッシブ投資(インデックス投資)の歴史が長い人からすれば、今と昔の環境では天と地ほども違うと思う人も多いでしょう。投資できるアセットは拡大したし、そのコストも大幅に下がっています。】とも書きましたが、私が低コスト長期分散投資を始めた頃には新興国株式アセットは非常に苦労しました。

2007年のサブプライムショック前のピークでは中国株ファンドやHSBCのBRICsシリーズ全盛の時代がありました。
特にHSBCのBRICs押しは見事でした。BRICs4か国の株式ファンドを個別に揃え上にBRICsで括ったファンドも2つ出していました。
 ・HSBCインドオープン
 ・HSBCチャイナオープン
 ・HSBCブラジルオープン
 ・HSBCロシアオープン
 ・HSBC BRICsオープン
 ・HSBC 新BRICSファンド
(このBRICsオープンと新BRICsファンドの違いは非常に難易度が高く当時理解できませんでした。営業の人は違いを説明できたのでしょうか?)

さらに後追いですが、以下のようなファンドを作るくらいにHSBCのBRICs押しは美しかった…
 ・HSBCインド株式ファンド(3か月決算型)
 ・HSBCチャイナ株式ファンド(3か月決算型)
 ・HSBCブラジル株式ファンド(3か月決算型)

また、中国株ブームも凄く、上証50連動型投信(1309)リリース時に指数がほとんど動かない中でETFだけがストップ高になったことなどまさに熱狂の力…
 ※参考:当時のロイターの記事
 ※参考:上証50連動型上場投資信託に関して書いた記事

そんな中、新興国株式の投資先を探し求めていたのですが、広く新興国に投資するファンドなどありませんでした。
結果、HSBC BRICsオープンを軸に、HSBCインドオープン三井住友・ニュー・チャイナでBRICsの比率を調整したり、損保ジャパン-フォルティス・トルコ株式(メルハバ)などで他の国にも投資したりと試行錯誤しました。

なお、上で挙げたファンドの信託報酬は次の通りで、今の新興国株式インデックスファンドとは別次元です…
 ・HSBC BRICsオープン : 1.965%
 ・HSBCインドオープン : 2.10%
 ・三井住友・ニュー・チャイナ : 1.89%
 ・損保ジャパン-フォルティス・トルコ株式(メルハバ) : 1.995%


低コスト長期分散投資というパッシブ投資家にはいい時代になりました。







分配金を出した年金積立インデックスファンド海外新興国(エマージング)株式

そういえば、年金積立インデックスファンド海外新興国(エマージング)株式の年に1回の決算がありました。

新興国株式インデックスファンドの先駆けとして注目された年金積立インデックスファンド海外新興国(エマージング)株式でしたが、その後の後続ファンドに押されて存在感が皆無に近くなっていました。

しかし、最近は大幅な信託報酬引き下げ(2012/2/17「年金積立インデックスファンド海外新興国(エマージング)株式」信託報酬率の引き下げについて )で再びその存在に光が当たっています。


この決算で注目されたのが、分配金の有無です。
前回は10円の分配金を出しましたが、インデックスファンドの大きな支持者であるパッシブ投資派(インデックス投資派)の多くは無分配を期待していました。

その結果は・・・10円の分配金を出すという結論でした。

年金積立インデックスファンド海外株など年金積立シリーズは分配金を出すシリーズで来たので予想通りの展開でしたが、サプライズ(=無分配)に期待した組には残念な結果になりました。

たった10円の分配金として年金積立インデックスファンド海外新興国(エマージング)株式を選ぶか、それとも実質コストが比較的低かったFunds-i新興国株式を選ぶか、eMAXISにするか、SMTにするか、それともETFか…新興国株式アセットはまた難しくなりました。



新興国株式投信の信託報酬最安ファンドが交代

●参考:「年金積立 インデックスファンド海外新興国株式」が信託報酬値下げ!クラス最安値の年率0.5775%へ (梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー)

twitterなどでも情報が流れていましたが、年金積立インデックスファンド海外新興国(エマージング)株式の信託報酬が年率0.5775%と大きく引き下げられました(従来は0.8295%)。
これはずいぶん思い切った信託報酬の改定です。

新興国株式インデックスでは、eMAXIS新興国株式インデックスファンド及び野村インデックスファンド・新興国株式が信託報酬最安ファンドでしたが、これで信託報酬最安ファンドが交代となりました。


それゆけ!STAMグローバル外国株式インデックス #41(rennyの備忘録) で、年金積立/STAM/eMAXISの新興国株式アセットファンドの純資産総額が比較されていますが、eMAXISが圧倒的でした。
emerging_stock
(rennyの備忘録より)


この信託報酬引き下げで一気に資金の流れが変わるのでしょうか?
このような競争が進んでいくのはいいことです。



新興国ETFで最も組み入れられている株式は日本株

7月12日に滋賀大学経済学部教授 二上季代司氏の『金融システムと「合成」ETF』というレポートを紹介しました(当時のエントリー)。
ここで二上氏が紹介していたFSB、IMF,BISという3つの国際機関のレポートが面白いです。

(1)『Potential financial stability issues arising from recent trends in exchange-traded funds (ETFs)』(FSB)
(2)『Durable Financial Stability: Getting There from Here』(IMF)
(3)『Market structures and systemic risks of exchange-traded funds』(BIS)


1つご紹介したいのは、ETFの担保に差し出す証券の中身です。
 ※シンセティックETFは裏づけ資産が要求されます(基準は各国の法律による)。

BISのレポートにdb x-trackersのMSCI Emerging Index連動ETFを題材にした面白い比較があります。
ETFが担保にしている株式・債券、それぞれにおけるに国別の比率が掲載されています。

インデックスと担保の株式部分における各国の構成比率は以下の通りです。
ETF_collateral_stock
左側の円グラフは新興国インデックスに投資している人にはおなじみのグラフでしょう。中国、ブラジル、韓国、台湾・・・等々となっています。
興味深いのは右側で、何と日本が大人気です。担保の株式部分では日本株が50.1%ものシェアを占めています。
新興国株式における株式では日本株が圧倒的に買われているようです。


ちなみに担保の債券部分では、国別と格付別のグラフも載せられており、以下のようになっています。
ETF_collateral_bond
債券部門ではアメリカが圧倒的な75%超を占めています。

ここに債券と株式の比率まであるとなお良いのですが、それは無いとのことで残念です。しかし、これだけでも新興国株式ETFの中身を見てみるのも面白いものです。新興国株ETFの中身は日本株と米国債券なのです。
具体的に何がシンセティックETFの裏づけの担保になっているかが示されているデータを見ることはあまり無く、これほどまでに指数構成銘柄と担保の中身が違うとはという驚きです。
指数と担保の関連性が要求されていないEUのUCITS指令下で組成されているシンセティックETFというだけはあります。

このようなシンセティックETFはアメリカなど規制の強い国には上場できないのでしょう。



外国株式(MSCI Kokusai/Emerging)への資金流入が止まる!?

ETFと愛娘のコツコツ成長日記の次のエントリーを見てのネタです。
9月のeMAXISとSTAMの月次資金流出入額の比較(新興国株式)
9月のCMAMとeMAXISとSTAMの月次資金流出入額の比較(先進国株式)

この新興国株式と先進国株式のフローを見て思ったのは、明らかに資金流入が細っていること。


新興国株式ではSTAMが2ヶ月連続で流入金額が1億円割れの低迷。eMAXISも1億円台まで落ちてきました。5,6月から急激に資金流入額が減っています。
先進国株式でも6月からSTAM、eMAXIS、CMAMがほぼ右肩下がりです。


投資信託では同種でライバルとなる低コストは出てきていませんが、どういうことでしょうか?日興AMのETFがある程度の運用期間を経て顧客を奪っていっているのでしょうか?
気になります。



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