巷に出回っている投資指南書で外貨預金・MMFに簡して適切に説明している本は極めて少ない。多くが間違っています。(作者に落ち度が無い場合も多い点はポイント)

大体において、外貨預金の為替手数料は米ドルで1ドル当たり片道1円のような説明があります。そして、外貨MMFだとその手数料が50銭程度のように紹介して、外貨MMFが有利と話を展開します。これが投資指南書の話の展開ですが、正しいのでしょうか?

同じ楽天グループの楽天銀行と楽天証券の外貨預金と外貨MMFを比較してみます。比較可能なのは米ドル、ユーロ、オーストラリアドル、ニュージーランドドル、南アフリカランドの5通貨です。
●米ドル
 預金:MMF=25銭:25銭
●ユーロ
 預金:MMF=25銭:50銭
●オーストラリアドル
 預金:MMF=45銭:70銭
●ニュージーランドドル
 預金:MMF=45銭:70銭
●南アフリカランド
 預金:MMF=30銭:30銭

SBIグループの住信SBIネット銀行とSBI証券でも比較してみます。
●米ドル
 預金:MMF=20銭:25銭
●ユーロ
 預金:MMF=20銭:80銭
●オーストラリアドル
 預金:MMF=50銭:1円
●ニュージーランドドル
 預金:MMF=50銭:1円
●カナダドル
 預金:MMF=50銭:80銭

この情報を見ると、外貨預金の方がコストは安くないですか?
SBIグループでは比較可能な5通貨全てで外貨預金の方が為替コストが安く、楽天グループでも外貨預金の3勝2分です。

このように実際の手数料を比較してみると、多くの投資指南書に書いている情報は正しくありません。
「メガバンクの窓口では手数料1円の外貨預金もある」なんて言い訳もありそうですが、そういうダメな例があることをあげたら比較になりません。「ノーロード投信だとノーロードの分だけ信託報酬が高くなっているファンドがある。だからノーロードはダメ」というどうしようもない議論と同じです。

外貨預金と外貨MMFの比較で、外貨MMFを押す根拠として「為替手数料が安い」は理由にならなくなっています。

前回の無期懲役のエントリーの中でも、情報は必要に応じて適宜アップデートされる必要があると述べましたが、投資に関しても同じであり、情報はアップデートされる必要があります。


◆追記◆
2010/12/20に住信SBIネット銀行が外貨預金の手数料をさらに引き下げてきました。