吊られた男の投資ブログ (インデックス投資)

投資信託を使った低コストインデックス投資/パッシブ投資(バイ&ホールドの国際分散投資)で資産形成を行っている一般サラリーマンの吊られた男が、主に投資やお金のことについて語るブログ。時々、投資やお金以外の話もします。



所得制限

高等教育の授業料無償化は国際人権規約の流れ

先の高校授業料無償化にも所得制限(世帯年収900万円)か…の続きです。

高校の授業料無償化について結構否定的な意見(授業料無償化反対派、高所得者への支援反対派)がありました。高校授業料無償化にも所得制限(世帯年収900万円)か…へのコメントでも反対意見が寄せられていますし、BLOGOSに転載された版のコメントにもそのような意見があります。


とはいえ、高等教育の授業料無償化は世界的潮流であり、国連の条約で定められているものです。(高校授業料無償化の時にも騒がれたので覚えている方も多いかと思います)


国連人権規約の社会権規約第13条(青字の装飾は私が追加)
1 この規約の締約国は、教育についてのすべての者の権利を認める。締約国は、教育が人格の完成及び人格の尊厳についての意識の十分な発達を指向し並びに人権及び基本的自由の尊重を強化すべきことに同意する。更に、締約国は、教育が、すべての者に対し、自由な社会に効果的に参加すること、諸国民の間及び人種的、種族的又は宗教的集団の間の理解、寛容及び友好を促進すること並びに平和の維持のための国際連合の活動を助長することを可能にすべきことに同意する。

2 この規約の締約国は、1の権利の完全な実現を達成するため、次のことを認める。

(a) 初等教育は、義務的なものとし、すべての者に対して無償のものとすること。
(b) 種々の形態の中等教育(技術的及び職業的中等教育を含む。)は、すべての適当な方法により、特に、無償教育の漸進的な導入により、一般的に利用可能であり、かつ、すべての者に対して機会が与えられるものとすること。
(c) 高等教育は、すべての適当な方法により、特に、無償教育の漸進的な導入により、能力に応じ、すべての者に対して均等に機会が与えられるものとすること。

(d) 基礎教育は、初等教育を受けなかった者又はその全課程を修了しなかった者のため、できる限り奨励され又は強化されること。
(e) すべての段階にわたる学校制度の発展を積極的に追求し、適当な奨学金制度を設立し及び教育職員の物質的条件を不断に改善すること。
国連人権規約の中に「特に、無償教育の漸進的な導入」と書かれています。これが国連人権規約の考え方です。


つい最近まで日本はこの「特に、無償教育の漸進的な導入により、」は留保していました。これは条約批准160カ国で日本とマダガスカルだけというお寒い状況でした。ようするに世界の158カ国は「特に、無償教育の漸進的な導入により、」に同意していました。

そして、日本は約1年前の平成24年の9月に「特に、無償教育の漸進的な導入により」への留保を撤回しました。
※参考:経済的,社会的及び文化的権利に関する国際規約(社会権規約)第13条2(b)及び(c)の規定に係る留保の撤回(国連への通告)について (外務省)

つまり、無償教育は国際的に大きな潮流であり、日本も国として目指すと国際的に公言している内容です。


もちろん、「高校の学費は有償にすべき」という主張することは自由ですし大事な意見です。
しかし、それは国際社会のマジョリティの常識とは異なる考え方であることは頭の片隅に入れておいて損は無いでしょう。


※あと1,2回はこのネタ続くかな…







高校授業料無償化にも所得制限(世帯年収900万円)か…

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高校無償化 所得制限900万円 、自公合意 来年度前倒し実施へ(MSN産経ニュース)

各種ニュースで取り上げられていますが、自民党と公明党が高校無償化への所得制限で合意したようです。詳細はまだこれからのようですが、世帯年収900万円が所得制限のボーダーラインとのことで…またか、という思いがあります。

どこまで年収1000万超世帯を狙い撃ちするのか(2010年10月11日)


児童手当(旧子ども手当)の所得制限では「夫婦のどちらか一方が働き、子ども2人の世帯では年収960万円」が所得制限の対象でした。
児童手当と高校授業料では制度設計が違いますが、どうしてこうも所得制限を付けたがるのでしょうか、しかも900万円や960万円といったあたりで。

2013年7月1日号の日経ビジネスで『年収1000万円世帯の憂鬱』という特集がありましたが、まさに…といったことになっています。

仮にモデルケースとしてよく語られる「働く夫」「専業主婦」「子ども2人」という4人家族を想定した場合、年収890万円台~1000万円程度は児童手当は減額されるし、高校授業料無償化の恩恵は受けられなし、で手取りがなかなか増えない魔のゾーンになりそうです。


このような子育て支援給付に所得制限を付けることには反対です。

所得制限そのものに反対ですが、仮に所得制限を付けるとしても、児童手当のようにある個所で線を引いてそこからいきなり減額というのも境目前後で逆転現象が起こるので全く賛同できません。

所得制限という文化は何とかなりませんかね。



そういえば子ども手当 - その2

このブログでも何度か取り上げてきた子ども手当です。

・『そういえば子ども手当
・『晩婚、高齢出産時代に子ども手当の所得制限は"効果的"
・『子ども手当廃止 & 年金手付かずはかなり悪いケース

子ども手当修正、正式合意へ 所得制限960万円』(SankeiBiz) などにあるように、民主、自民、公明の間で児童手当法の改正で継続することで合意されています。
簡単な要点は次の通り。
 ・平成24年から児童手当として復活
 ・3歳未満及び第3子以降が月1万5千円、3歳〜中学卒業までの第1,2子は月1万円
 ・所得制限の対象世帯は月9千円程度の税額控除

名称が「子ども手当」になるか「児童手当」なども含めて詳細はこれから決めるということですが、所得制限がかかるようです。これは非常に残念です。
所得確認の手間の分だけお役所が費用として使ってしまいます。
そして、クロヨンとも言われる給与所得者・自営業者・農業従事者などの差はどうするのでしょう。所得制限をかけるからには農業従事者などの所得把握がないと不公平になりますが、ここはザルでいくのでしょうか。

扶養控除の廃止ですでに高所得な子育て世代の税金負担は増えています。所得税率が20%の世帯だと7万6000円の所得税増です。住民税も合わせると約10万円増税になっています。所得税率が33%の世帯なら、所得税だけで12万5千円の税金アップです。

それでも高所得世帯の負担が不足と考えるなら、何度も書いているように所得税率のアップなどでいいでしょう。これなら余計な制度の追加は必要ありません。

役人が喜ぶような規制の追加はうれしくないですね。
また、給与所得者と農業従事者などで公平感が薄れるような制度も望ましいとは思えません。所得を過少申告することで、税金も安くなって、さらに手当まで多くもらえるということになってしまいます。



晩婚、高齢出産時代に子ども手当の所得制限は"効果的"

この視点はありませんでした。

所得制限”は晩婚晩産・共働き世帯に負のメッセージ (DIAMOND Online)

――「子ども手当」の見直しの1つである、所得制限の導入についてどう考えるか。
 しかも、晩婚晩産で結果的に高所得になっている女性や共働きの人たちは、子ども手当によって、初めて自分たちが子育てをしながら仕事をがんばることを認めてもらえたと感じていた。しかし所得制限によって弾かれてしまえば、子育てしながら仕事をがんばることを社会的に全く応援してもらえないことになる。そのことに彼らは、すごくがっかりしているし、ネガティブに捉えている。

 また、先ほども述べたように出生率が改善しているのは、現在、若いときに産みそこなった晩婚晩産の人たちが“産み戻し”をしているためである。そういう人たちに、「産んでも応援しない」というメッセージを送ることになるため、基本的に所得制限は入れるべきではない。

バウチャーや出世率の目標値などいろいろ私と意見が違うところもありますが、この引用させていただいた部分は興味深い着眼点。

確かに所得制限をかけると、早婚・若年出産時代より、晩婚・高齢出産時代の方が同じ基準額でも支給額は減りそうです。
生涯働き続けて大体同じ収入を稼いでも、早く子どもを産むと手当が充実していて、遅く子どもを産むと手当が減る(もらえない)というのはおかしな気もします。

シンプルに子どもを産んだらいくら貰える(一時金でも分割払いでも)という制度でいいと思っています。そして、以前から何度も述べているように高所得者の場合は税金なり社会保険料なりで回収すればいいのです。
そういう意味でも逆進性が強かった扶養控除の廃止・縮小はいいことだと思います(これによって我が家も増税ですが)。
高所得者ほど得をする配偶者控除や扶養控除など無くしてその分は給付に回せば富の再分配効果が高まります。控除の廃止によって少々増税になる低所得者層は差し引きプラスになるので優しい制度です。

話が少しわき道にそれてしまいました。
本題に戻ると、晩婚、出産年齢の高齢化を考えた時の所得制限が与える影響やメッセージをどう考えるのでしょうか。この国が目指す方向性にあっているのでしょうか。
これを真剣に考えてもいいのではないかと思います。



どこまで年収1000万超世帯を狙い撃ちするのか

また子ども手当に所得制限とか言ってやがるのか・・・』とも書きましたが、その続き!?

政府税調:高所得者に照準 控除見直し議論着手−−全体会合 (YOMIURI ONLINE)
 会合では、財務省の尾立源幸政務官が所得税見直しの論点を説明。「所得税の累進性と所得再分配の機能を回復するため、控除の見直しに取り組むことが必要」と訴えた。所得税は本来、所得に応じて税負担も重くなる「累進課税」を基本にしていた。だが、自民党政権下で各種控除が拡大され、累進性が弱まるとともに、税収が減少する要因になっている。
小宮山洋子副厚生労働相は「配偶者が働くか働かないかにかかわらず公平な制度にすべきだ」として、

その通り。変な控除をつけているせいで税収も減っています。配偶者控除の見直し、というか廃止は賛成です。

「すぐに全体を、とは言わないが廃止の方向性を出していただきたい」と訴えた。政府税調は、来年度からの子ども手当の上積みの財源として、年収1000万円以上の世帯について同控除を廃止する方向で検討を進める。

でも、これはないでしょう・・・何で年収1千万円以上の世帯を狙い撃ちで1000万以下は制度を温存?
年収1000万だと控除廃止で38万×20%(所得税)+33万×10%=10万9千円の負担増です。
年収990万だと控除を受けられるのでその10万9千円の恩恵にあずかれます。


そもそも配偶者控除という制度がおかしな制度です。
・家庭A:夫の年収500万、妻の年収400万
・家庭B:夫の年収900万、妻は専業主婦

上の2つの世帯で家庭Bの妻の存在に対して控除が与えられるのはどういう理由からでしょうか?内定が出ずに採用されないというケースもありますが、基本的に大人が社会で働くか働かないかは個人の選択です。女性がまともに金を稼ぐ仕事に就くことが困難であるならまだしも、今はそこまでではありません。結婚して働かないことで優遇される理由が分かりません。
どちらの世帯も生き方の違いですが、どちらかを優遇しろと言われたら、私はむしろ両親共に社会で働き、子どもも育て、家事や育児も2人でこなしている家庭を優遇したいという気持ちになります。

「すぐに全体を、とは言わないが」なんていわずに配偶者控除は一括してすぐに廃止すればよい。低所得者に配慮しているのかもしれないが、所得が低くなればなるほど所得税率も下がるので影響は小さい。こういう控除を減らして課税ベースを広げて給付にまわす方が所得に応じた富の再配分効果は大きい。


それにしても気になるのは年収1000万という数字です。
給与所得控除についても年収1000万が基準ということで(給与所得控除が青天井なことは議論の余地有ですが)、どれだけ年収1000万強の世帯を狙い撃ちしたいのか。
年収1000万超でも本当に余裕のある年収数千万という世帯は極少数で、ボーダーに近づいて余裕が少ないところほど世帯数は多い。このゾーンを狙い打つような政策でいいのだろうか?
富の再配分の原則に従うならば所得税が累進課税であるように緩やかに高所得者から負担が増えていくべきなのだろうが、年収1000万で大きな崖のような差を設けようとする意義が分からない。
仮に年収1000万円をボーダーとすると、子ども手当や配偶者控除によって年収900万円台後半と1000万円台前半では手取り所得が逆転する現象も出てくるだろう。

ここまで何でもかんでも所得制限をつけようとすると「確定拠出年金で年収1千万円以上なら掛け金の税額控除は廃止、特別法人税を徴収」なんて話があってもおかしくない。



私の著書 - ズボラ投資
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