吊られた男の投資ブログ (インデックス投資)

投資信託を使った低コストインデックス投資/パッシブ投資(バイ&ホールドの国際分散投資)で資産形成を行っている一般サラリーマンの吊られた男が、主に投資やお金のことについて語るブログ。時々、投資やお金以外の話もします。



所得

低所得者ほど結婚すべきかもしれない

「低所得が理由で結婚できない人が増えている」

このような意見が数年前から世間では広まっています。
女性から見た時に結婚相手の男性は収入が低い人よりは収入が高い人の方がいいでしょう(ここでは他要素は考慮しない)。
また、男性にしても、低所得だと生活が不安でなかなか結婚に踏み切れないという思考も働くでしょう(家族を養うというだけではなく、自分の趣味のためのお金を確保できないという考えもありそうです)。

この理由の妥当性は別にしても、少なくともデータからは低所得者ほど結婚できないという現象が起こっていることは分かります。

ここからが本題。
このような、高所得者ほど結婚して低所得者ほど独身、という現象は経済的合理性から考えると格差拡大に繋がっている可能性があります。

一般的に日常生活においても企業と同じく規模のメリットが働きます。「一人暮らし×2人」より「2人が一緒に暮らす」方が生活費は安くなります。
2人で一緒に暮らすとまず住居が安く済みます。2人で住んでもトイレや風呂やキッチンの広さが倍必要になることはありません。家電や家具に関しても洗濯機や掃除機も倍は必要になりません。その他に光熱費なども安くすみます。

このようなコスト削減効果は所得が低いほどインパクトが大きくなります。年収5000万円の人が同居して風呂やキッチンの分や洗濯機の分節約できてもあまりインパクトはありません。しかし、低所得といわれる年収であれば、ここで発生する節約効果の影響は大きくなります。月に数万円支出が削減できるだけでずいぶん生活の余裕が変わってきます。

しかし、低所得ほど結婚していないのが現実。結婚せずとも同棲してたりや親元に住んでいる場合もあるでしょうが、そのような人がいることを考慮しても1人世帯の割合は低所得者ほど少ないでしょう。
生活費の効率化という経済的合理性だけから考えると、低所得の人ほど同居を進めるべきかと思うのですが、逆に高所得者ほど効率化のメリットを享受している姿が浮かび上がります。

結婚は生活費削減のための手段ではなく生活費の効率化の観点からだけで語れるものではありません。しかし、低所得者ほど結婚しにくく、高所得者ほど結婚しやすい現状は経済格差を拡大させる方向への圧力になっているかもしれません。







高額療養費制度で自己負担が「高所得者↑」「低所得者↓」へ

10月28日にもいろいろなところで報じられていましたが、今日の日経も報じていました。

高額療養費、高所得層の限度額引き上げ試算 (YOMIURI ONLINE)
 70歳未満で年収約800万〜1000万円の世帯では現行の月約15万円を18万円に、年収がさらに多い世帯は月約25万円に、それぞれ限度額を引き上げると想定。必要な保険料と税財源を合わせて年360億円減らせるとしている。
  厚労省は、低所得層の負担を軽減する方針。70歳未満で年収約300万円以下(住民税が非課税の世帯を除く)の限度額を、現行の月約8万100円から約4万4400円に引き下げる案をすでに公表している。

この試算によると70歳未満の高額療養費制度の自己負担割合は以下のようになるそうです。
所得階層従来の負担新試算
[超上位所得者]
標準報酬68万超
旧ただし書き所得770万超
15万+(医療費-50万)×1%25万+(医療費-83.3万)×1%
[上位所得者]
標準報酬53万超
旧ただし書き所得600万超
15万+(医療費-50万)×1%18万+(医療費-60万)×1%
[一般所得者]8万100+(医療費-26.7万)×1%8万100+(医療費-26.7万)×1%
[低位一般所得者]
標準報酬22万以下
旧ただし書き所得160万以下
8万100+(医療費-26.7万)×1%4万4400+(医療費-14.8万)×1%
[低所得者層]
住民税非課税
35,40035,400

この試算によると合計で2200億円の負担増となるようです。各種変更による影響は以下。
・一般所得者のうち低位層(年収300万以下)の自己負担額を80,100⇒44,400とすることで2600億円の負担増
・上位所得者の低位層の自己負担額を15万⇒18万とすることで250億円の負担減
・上位所得者の上位層の自己負担額を15万⇒25万とすることで110億円の負担減

年収約1000万円以上の層の負担上限を15万円⇒25万円と大幅に引き上げても焼け石に水という数字ですね。それだけ年収300万以下が多く、年収1000万円以上の人が少ないということがあるのでしょう。(年収300万以下の場合は共働きの妻が派遣社員等の非正規社員で健康保険に加入しているケースなどもあるので、これも数を増やしています)

高額療養費制度があるから医療保険はあまり必要はないという意見がありますが、自己負担が上限が引き上げられた層に対しては「高額療養費制度があると入っても、自己負担額はけっこう多いから保険に入ったほうが良い」といセールストークもありそう。


【参考資料】
第41回社会保障審議会医療保険部会配布資料



高額療養費制度の注意点(?)

高額療養費制度。

月の医療費の自己負担支払額が一定金額(自己負担限度額)を越えると、越えた部分は自己負担しなくていいという制度です。


この一定金額がいくらかが重要なのですが、「一般だと80,100円+α(約8万円)」ということが広く広まっているかと思います。
これだと、1ヶ月で80,100円+αを超える分の医療費は負担しなくていいということになります。
※正確には80,100円+(医療費総額-267,000円)×1%


しかし、一般という言葉に注意です。
70歳未満の人の場合、高額療養費制度は3つの区分があります。一般はその1つの区分です。一般があるということは、一般でないものがあるということです。
それが、住民税非課税世帯上位所得者です。
住民税非課税世帯はその区分名から分かりやすい。低所得世帯を指し、基準は住民税が非課税になっていることです。
分かりにくいのは上位所得者。所得が多いのだということは分かりますが、どの程度かは分かりません。

上位所得者の条件は以下です。
標準報酬月額が53万以上
国民健康保険の場合は、国民健康保険税の算定の基礎となる基礎控除後の総所得金額が600万円を越える世帯

どうでしょう?
当ブログの訪問者の年収データなどありませんが、継続した労働収入があって投資を実践している人が多いと思います。そんな人たちを母集団とすると、上位所得者に該当する方は割合は少なくないと思います。
「えー、これで上位所得者扱いされるの?」と思う人もいるのではないでしょうか。


ここからが注意の本質です。問題は上位所得者に区分されたことではなく、上位所得者に区分されることで、高額療養費制度の自己負担限度額が大きく変わることです。

【高額療養費制度:70歳未満の自己負担限度額】
区分自己負担限度額
(3回目まで)
自己負担限度額
(4回目以降)
住民税非課税世帯35,400円24,600円
一般80,100円+(医療費総額-
267,000円)×1%
44,400円
上位所得者150,000円+(医療費総額+500,000円)×1%83,400円

この表で分かるように、一般は80,100円+αが自己負担限度額ですが、上位所得者に区分されると自己負担限度額がいきなり150,000円+αに跳ね上がります。約7万円のアップです。
80,100円(約8万円)という数字は広く知られていると思いますが、この150,000円という上位所得者の数字はあまり広まっていないように思います。ご存じない方もいるのではないでしょうか?
実は私も標準月額報酬が53万円になった時に初めて気づいたくらいで、高度療養費制度を知った当時はこの一般と上位所得者での区分の違いは知りませんでした。


標準報酬月額が50万円だと自己負担限度額は8万円です。しかし、1つ上の標準報酬月額53万円になると自己負担限度額が15万円になります。月収数千円の差で8万円と15万円の差になり、この差は大きい。
15万円が自己負担限度額の人はある程度の稼ぎはあります。しかし、標準報酬月額53万円は、月7万円の差を笑って見過ごせるほどの稼ぎではありません。それがほんのわずかの年収の差で自己負担限度額が7万も変わるというのは重要なポイントです。
(当然、住民税非課税世帯と一般の境目も差は同じような話になります)



私の著書 - ズボラ投資
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