日経新聞


日経新聞web版で、『20代から始める バラ色老後のデザイン術』というコラムがあります。
ここで年金について語られており、基本的に「年金は大丈夫」というスタンスで語られているのですが、いろいろ変です。

「年金は大丈夫」「年金は安心」と言いたいがためにみたいものだけを見るという論法になっています。



世代格差はあるのか?あるならどれほどか

最新の記事でも、【「世代間不公平で1000万円損」は本当か】と煽っています。

 今週考えてもらいたかったのは「年金は世代間不公平」という思い込みを取り払ってほしい、ということです。

 まず、若い世代は損、という思い込みですが、これは「若い男性」が損であっても女性はほとんど損をしていない現実があります。その差は5年ほどの長生きが大きく影響するわけですから、男性でも平均より長生きすればどの世代でもトクになる可能性があるのです。

女性はそんなに損をしないと言っていますが、男性は1000万円どころか1294万〜1493万円も損です。
男女別に分けるのなら、【「世代間不公平で1000万円損」は本当か】という質問に対して、「あなたが男性なら1000万円よりもっと大きく損ですよ」「あなたが女性ならほとんど損はありませんよ」です。
半分の人には「1000万円損は本当か?」という命題よりもひどい状況なのですから、とても安心してくれという話ではありません。

しかも、その気休めに【その差は5年ほどの長生きが大きく影響するわけですから、男性でも平均より長生きすればどの世代でもトクになる可能性がある】などと呑気な事を言っています。これまたおかしい。
何年長生きすれば得になるのでしょう?

以下は、この記事中で取り上げられている社会保障を通じた世代別の受益と負担の男女合計ですが1985年生まれの人の受益と負担です。89歳まで生きて-712万円です。この先、何年生きれば得になるでしょうか?
nenkin_jukyu01
※クリックで拡大します
    • 75-79歳:235万円
    • 80-84歳:172万円
    • 85-89歳:106万円

表から見てわかるように受給できる年金は減っていきます(現在価値割引の概念を使っているため)。
89歳時点で-712万円であり、この後の受給額はどんどん割引されていくので、長生きしたとしても総受給額はそう簡単に増えません。
85-89歳で106万円ですから、90-94歳の数字はたったの数十万円にすぎません。
712万円の損をチャラにするためには何年長生きすればいいのでしょうか。
続きを読む