親戚で就職活動中の者がいたりすることで、就職情報へのアンテナの感度が少し上がっています。

そんな中で、大学生の就職内定率が低下しているというような話も聞きます。
・・・が、これは当然のことかと思います。
景気の影響は当然無視できず、就職内定率低下の原因はいくつもあるでしょう。しかし、根本的な原因として考えられるのは、大卒者の増加です。

平成17年までと少しデータは古いですが、文部科学省の「中学校卒業者、高等学校卒業者、短期大学卒業者及び大学卒業者の進路の推移」を見ると大学卒業者数、進学率、就職率が分かります。
進学者数、就職者数は書いてありませんが、これは計算で求められるので少し計算してみました。

昭和40年には大卒での就職者数は13万5千人。その後大卒の就職者数は増えてきました。
平成に入ると多少の上下はしていますが、だいたい30万人前後で安定しています(平成2年〜平成17年)。平成2年から平成17年で就職者率は81%→60%割れと下がっていますが、就職者数はほとんど変わっていないようです。

このデータからざっくりと言ってしまうと、大卒の新卒は、景気の変動にほとんど関係なく毎年約30万人は就職できるということです。内定率が下がっているのは、大学卒業者数の増加したことで、就職の枠が少なくなったのではない、ということになります。
付け加えて言うと、大学卒業者の進学者数も増加しており、この人たちの多くも修士や博士取得後に社会に出てきます。彼らもその時の大卒者と就職のいすを争います。このように毎年誕生する学士以上の者の数がどんどん増えているせいで、雇用の枠自体は減っていないのにそのいすに座れない人が増えているわけです。

妻の職場も、昔は私立大学の学部卒で採用されました。
しかし、今ではエントリー時点で修士以上が条件になっています。これは同業他社のライバル企業でも同じ傾向です。そして、新卒採用の数人の募集枠に対して東大・京大をはじめとする数百人の修士・博士が応募してきます。「どんだけ修士・博士が多いんじゃい!!」という話です。博士や修士が少ない時代なら学士までそのおこぼれがありましたが、今や博士・修士だけで枠はおしまいです。学士にその枠は巡ってきません。


このような内定率低下をどう捉えるか。
企業は採用数を増やせてはいないが、内定率が高い時代と同程度の数を採用をします。企業に対して「大学進学者が増えたから、雇用数を増やせ」というのは無理な話です。
そもそも、これは日本特有の問題ではありません。他国を見ても同じ傾向です。アメリカやヨーロッパなどでも昔は大学進学者数は少なかった。だから大卒はそれだけでエリートであり、高度な仕事につくことができました。
しかし、大学進学者数が増えるにしたがって大卒は珍しいものではなくなり、高度な仕事の数以上に大卒が多くなってしまった。
こう考えていくと、大卒の内定率が下がっていることは自然の流れです。景気が悪いとか政策が悪いからという理由で日本だけで大卒が仕事を見つけにくくなっているのではありません。


それでも「昔は良かった。」という懐古主義に走るならば、昔に習って大学卒業者数を絞っていくのが選択肢になるでしょう。こういう選択肢を選ばない限りは内定率は上がらないでしょう。
そこまでして大卒者の就職内定率を上げる必要があるのかは疑問ですが。