吊られた男の投資ブログ (インデックス投資)

投資信託を使った低コストインデックス投資/パッシブ投資(バイ&ホールドの国際分散投資)で資産形成を行っている一般サラリーマンの吊られた男が、主に投資やお金のことについて語るブログ。時々、投資やお金以外の話もします。



就活

どう考えても中小企業より大企業がいい

一般論として書きます。
「就活学生はまずは大企業を目指すべきです」
最近の新卒内定率の低さにつけこんでか、大企業を叩いて学生は中小企業を目指すべきかのような意見が多く目に付くようになりました。
※参考:『城繁幸氏の発言に考える、オピニオンリーダーが過激になっていく理由

そこで当たり前の話を書いておきますが、どう考えても一般的には大企業の方が有利です。

まず、各種データから示されるように大企業と中小企業では給与が違います。以下は平成21年の民間給与実態統計調査の結果です。
1〜9人 : 344.3万円
10〜29人 : 407.5万円
30〜99人 : 405.7万円
100〜499人 : 429.3万円
500〜999人 : 473.2万円
1,000〜4,999人 : 507.4万円
5,000人以上 : 542.5万円

あきらかに規模に応じて給与が増えていきます。また、福利厚生などについても大企業の方が手厚い傾向が強くなっているので、報酬では大企業を選ぶのが極めて合理的です。
日本を代表する大企業の正社員ともなれば、そこそこの給与はもらえます。30代で年収1000万円が見える企業もありますし、そこまでいかなくても30歳でまず年収400万円は超えます。
世の中にはワーキングプアが増えているという話もあり、ワーキングプア層の人生への満足度が高いという話はありません。そして、30歳で400万円以上はもらえる大企業社員はワーキングプアには含まれず、非正規社員や中小企業社員などとなります。

大企業の終身雇用が崩れてきたことを理由に大企業を批判する向きもありますが、それを悪だといえば中小企業の方がもっと悲惨です。中小企業で終身雇用を考える方が無謀でしょう。

仕事の楽しさについても誤解があります。自立してユニークな試みをしている中小企業もありますが、多くの中小企業は大企業の依頼を受けたり、多くの妥協の末に仕事を受注しています。だからこそ下請けイジメという言葉があり、それを規制しようとする法律まであります。大企業の支配下にある中小企業は多く、顧客である大企業の言いなりです。このような大企業の満たす要求に応えることに精一杯な中小企業では自由な仕事はできません。

また、ブラック企業と言われる仕事環境の劣悪さでは中小企業も負けていません。2ちゃんねる発で映画化も書籍化もされた『>ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない』という話もありますが、仕事環境が劣悪な中小企業は多数あります。大企業にも劣悪な労働環境はありますが、中小の方がその比率は多いでしょう。

先日、大企業代表のような企業に勤める知人たち何人かとも食事をして話をしてきましたが、全員が全員大企業肯定派です。給与はいいし、福利厚生はいいし、大きな仕事ができるし、リストラされても転職できそうだし・・・といい話ばかりです。

このように、個別企業の善し悪しは別にして、集団として比較した時には一般的には大企業の方がよいでしょう。

巷で増殖している「中小企業はいいぞ」という人たちの意見は重大な欠点があります。
確かに個別の企業を見ていけば中小企業でもいい職場はあります。大企業だと組織の歯車になる年代でも自由に自分のやりたいことをできる職場もあります。
でもね・・・そういう会社に勤めて自由な発想をできて楽しく仕事ができる人は、ある程度の能力があって大企業を受けても採用されるような人です。
選択可能な環境で中小企業を選ぶのは個人の選択です。しかし、大企業を批判して中小企業を狙えという人たちが話しかけているのは、なかなか内定を取れないような学生です。中小企業に行けば誰でも自由に仕事ができて稼げるわけではありません。能力があるからこそ自由に仕事ができて、大企業勤めの同期より稼ぐこともできるのです。その能力がない人に向かって安易に中小企業でいいというのは、優しい顔をして弱った人と更に叩く行為に他なりません。

不況による大企業のリストラのニュースや就職難を幸いとして、大企業叩きをするのはまだ構いません。
しかし、それをネタに社会のことなど分かっていないほとんどの大学生を中小企業に進めようとする行為は賛同できません。
「大企業がいい時代なんて終わった。これから中小企業だ」は違います。


もちろん、やりたい事が決まっていて中小企業を目指すような人は上の話は当てはまりません。上の話は何も社会のことなど分かっていない95%の大学生を念頭においての意見です。







大卒者の就職内定率は落ちるよね

親戚で就職活動中の者がいたりすることで、就職情報へのアンテナの感度が少し上がっています。

そんな中で、大学生の就職内定率が低下しているというような話も聞きます。
・・・が、これは当然のことかと思います。
景気の影響は当然無視できず、就職内定率低下の原因はいくつもあるでしょう。しかし、根本的な原因として考えられるのは、大卒者の増加です。

平成17年までと少しデータは古いですが、文部科学省の「中学校卒業者、高等学校卒業者、短期大学卒業者及び大学卒業者の進路の推移」を見ると大学卒業者数、進学率、就職率が分かります。
進学者数、就職者数は書いてありませんが、これは計算で求められるので少し計算してみました。

昭和40年には大卒での就職者数は13万5千人。その後大卒の就職者数は増えてきました。
平成に入ると多少の上下はしていますが、だいたい30万人前後で安定しています(平成2年〜平成17年)。平成2年から平成17年で就職者率は81%→60%割れと下がっていますが、就職者数はほとんど変わっていないようです。

このデータからざっくりと言ってしまうと、大卒の新卒は、景気の変動にほとんど関係なく毎年約30万人は就職できるということです。内定率が下がっているのは、大学卒業者数の増加したことで、就職の枠が少なくなったのではない、ということになります。
付け加えて言うと、大学卒業者の進学者数も増加しており、この人たちの多くも修士や博士取得後に社会に出てきます。彼らもその時の大卒者と就職のいすを争います。このように毎年誕生する学士以上の者の数がどんどん増えているせいで、雇用の枠自体は減っていないのにそのいすに座れない人が増えているわけです。

妻の職場も、昔は私立大学の学部卒で採用されました。
しかし、今ではエントリー時点で修士以上が条件になっています。これは同業他社のライバル企業でも同じ傾向です。そして、新卒採用の数人の募集枠に対して東大・京大をはじめとする数百人の修士・博士が応募してきます。「どんだけ修士・博士が多いんじゃい!!」という話です。博士や修士が少ない時代なら学士までそのおこぼれがありましたが、今や博士・修士だけで枠はおしまいです。学士にその枠は巡ってきません。


このような内定率低下をどう捉えるか。
企業は採用数を増やせてはいないが、内定率が高い時代と同程度の数を採用をします。企業に対して「大学進学者が増えたから、雇用数を増やせ」というのは無理な話です。
そもそも、これは日本特有の問題ではありません。他国を見ても同じ傾向です。アメリカやヨーロッパなどでも昔は大学進学者数は少なかった。だから大卒はそれだけでエリートであり、高度な仕事につくことができました。
しかし、大学進学者数が増えるにしたがって大卒は珍しいものではなくなり、高度な仕事の数以上に大卒が多くなってしまった。
こう考えていくと、大卒の内定率が下がっていることは自然の流れです。景気が悪いとか政策が悪いからという理由で日本だけで大卒が仕事を見つけにくくなっているのではありません。


それでも「昔は良かった。」という懐古主義に走るならば、昔に習って大学卒業者数を絞っていくのが選択肢になるでしょう。こういう選択肢を選ばない限りは内定率は上がらないでしょう。
そこまでして大卒者の就職内定率を上げる必要があるのかは疑問ですが。



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