吊られた男の投資ブログ (インデックス投資)

投資信託を使った低コストインデックス投資/パッシブ投資(バイ&ホールドの国際分散投資)で資産形成を行っている一般サラリーマンの吊られた男が、主に投資やお金のことについて語るブログ。時々、投資やお金以外の話もします。



実質実効為替レート

ブラジルレアルは安い?高い? 〜実質実効為替レート

brazil


先日のアメリカドル/円が110円割れ、今は円高か円安か 〜実質実効為替レートではアメリカドル/円の実質実効為替レートを見てみました。

せっかくですので、投資信託で人気のブラジルレアルの実質実効為替レートも見てみます。

ブラジルレアルの数字は日銀にはありませんので、BISのデータ (http://www.bis.org/statistics/eer.htm) を使います。BISでは1994年1月からの名目実効為替レート及び実質実効為替レートをダウンロードできます。

名目実効為替レートは、ブラジルレアル/アメリカドル、ブラジルレアル/ユーロのように特定の通貨に対するブラジルレアルのレートを示すのではなく、複数の通貨に対するレアルの値動きになります。つまり、ブラジルレアルの名目実効為替レートが下がっていれば、レアルは世界的に他通貨に対して弱くなっていると言えます。

brazilreal_rate_01
brazilreal_rate_02

1994年は、名目では大きくレアル安だが、実質ではほぼ変わらず

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アメリカドル/円が110円割れ、今は円高か円安か 〜実質実効為替レート

fx_moneypartners
(パートナーズFXより)

1年5ヶ月ぶりにアメリカドル/円が110円を下回って、107円台になりました。

「円高になってきている」という今のアメリカドル/円の動きの方向性の話はよく聞くのですが、絶対的な水準としてみた時に今の為替水準は円高なのでしょうか?それとも円安なのでしょうか?
それが分かったところで相場を読むのは難しいのですが、為替の先行きを考える上で今の水準が円高気味なのか円安気味なのかを見ておくというのはありでしょう。

ドル円の名目為替レートと実質実効為替レート

日本銀行のサイト(時系列統計データ検索サイト)からアメリカドル/円及び実質実効為替レートの数字を拝借してきました。 (2016年3月分の実質実効為替レートはまだ掲載されていなかったので1980年1月〜2016年2月のデータです)
最長の1980年からのデータを見ると最近の値動きがつぶれてしまうので、1990年1月〜、2000年1月〜というグラフも作ってみました。
usd_jpy_201602_02
usd_jpy_201602_03
usd_jpy_201602_02
青線が多くの方に馴染みのある名目のドル円の為替レートで、赤線が今回注目の実質実効為替レートです。続きを読む



為替レートは金融緩和の度合いで説明できる、と単純ではない

マネックス証券のエコノミックレポートに

どこまでが円高修正なのか

という興味深いレポートが掲載されており、その中では以下のような主張がありました。
≪引用開始≫
Monex_Effective_Rate
過去4年間の、米欧日の通貨の位置の差は、「金融緩和を徹底した米欧中銀」、「金融緩和に出遅れた日本銀行」によって説明できる。その結果、為替レートが割高水準に放置された日本だけが、デフレと株安に苦しんできた。
≪引用終了≫

しかし、「金融緩和の徹底度で為替レートが説明できる」というほど為替の世界は単純ではなさそうです。

先のデータにイギリス(ポンド)のデータも加え、Japan, UK, US, Euroでグラフ化してみましょう。
4FX_200901

イギリス(ポンド)は日本以上に実質実効為替レートが通貨高(ポンド高)に向かっています。
「金融緩和の徹底度で為替レートが説明できる」のであれば、イギリスの金融緩和は日本以上に出遅れていることになります。

では、金融緩和の度合いを測る指標としてマネタリーベースを見てみます。
アダム・スミス2世の経済解説日銀、FRB、ECB、BOEの政策比較という記事にちょうどグラフがありましたので下記に引用します。
monetarybase

イギリス(BOE)はピンクです。
見て分かる通り、各国が金融緩和に走る中でBOEはかなりの金融緩和を行っています。
2009年1月にはBOEとECBはほぼ同じ場所に重なっていたのが、グラフの終わりでは圧倒的にイギリスが上にあります。「金融緩和の徹底度で為替レートが説明できる」のであれば、ポンドはユーロ以上に実質実効為替レートが下がっているはずですが、そうなっていません。

データを見る限り、為替レートが金融緩和の徹底度で単純に説明できるほど簡単なものではなさそうです。


ある少数のサンプルから特定の傾向が見えることはあります。
しかし、それは"たまたま"そういう傾向があっただけということが考えられます。特にたった3つのサンプルでは、偶然に日本/米国/ユーロでは金融緩和と実質実効為替レートに関連性があるように見えたという可能性もあります。
単純に日米欧3つの金融緩和度と実質実効為替レートを比較してもデータの説明力はほとんどないでしょう。

※金融緩和が為替レートに一切影響を及ぼさないと言っているのではありません。



【おまけ:3年/5年/10年/20年/30年で見た実質実効為替レート】(始点=100)
実質実効為替レート3年 実質実効為替レート5年
実質実効為替レート10年 実質実効為替レート20年
実質実効為替レート30年



ドル円86円台へ - 円高?

円、86円台に上昇 14年ぶり円高 (NIKKEI NET)
 26日午後の東京外国為替市場で円相場が一段高となり、一時は前日17時時点に比べ1円66銭円高・ドル安の1ドル=86円69銭近辺まで上昇した。1月21日に付けた87円10銭を上回り、1995年7月以来14年4カ月ぶりの円高・ドル安水準を付けた。
NIKKEI NETでも大きな文字でドル円の86円台が報道されました。

14年ぶりの数字ということで凄いのでしょうが、円高と言われると多少疑問があります。確かに名目で見ると"86"という数字になっています。でも、14年前とは環境が違うわけで必ずしも同じ数字が同じ価値をもつとは思いません。
(100年前の10万円と今の10万円は名目上は同じ数字ですが、価値は違いますよ。現代で10万円あっても金持ちとは言わないでしょう。)



そこで1989年1月〜2009年10月のドル円と円の実質実効為替レートでグラフを作ってみました。(データソースは日本銀行)
Kawase1989-2009
※上記グラフは円安/円高方向が同一になるように<10000/実質実効為替レート>といじっています。


実質実効為替レートを見る限りだと、今の水準が特別に円高とは思えません。
1991年〜1996年くらいの方が円高水準です。
その後も瞬間的に少し円安水準に振れることはあっても、あまり2009年10月より極端に円安な時期はほとんどありません。一時的に円安に振れてもすぐに今と同水準かより円高に落ちています。明確に今より円安水準が続いたと言えるのは2005年くらいからの円キャリーバブルの時期くらいです。

このように考えると今は決して円高ではないと言えそうです。



※今日のWBSでも伊藤氏が同じようなことを言っていた?



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