吊られた男の投資ブログ (インデックス投資)

投資信託を使った低コストインデックス投資/パッシブ投資(バイ&ホールドの国際分散投資)で資産形成を行っている一般サラリーマンの吊られた男が、主に投資やお金のことについて語るブログ。時々、投資やお金以外の話もします。



実質コスト

「新興国株式インデックス・オープン(SMA専用)」が「SMT新興国株式インデックス・オープン」の実質コスト急騰の原因


※注意: マニアなインデックス投資家向けの情報です




上記のブログなどで、低コストインデックスファンドのSMTシリーズで「SMT新興国株式インデックス・オープン」の実質コストが急騰したということが書かれています。

実質コストは年率換算で約1.14%であり、これはマザーファンドである「新興国株式インデックス マザーファンド」の株式売買比率は0.96とインデックスファンドとしては非常に高い数字だったことが大きな要因のようです。

資産形成は時の流れにまかせて。いっさんがその理由を電話で確認したところ以下のような回答があったとのことです。
このSMT新興国株式インデックス・オープンと同じマザーファンドのベビーファンドで大きな解約が入ったカタチになった(詳細は社外秘なのだそうですが、ラップ口座の販売戦略の影響で、ベビーファンドごと切り離すような大型な解約がマザーファンドに入ったカタチになった)とのことで、今回、突発的に売買高比率が上がって、売買高比率、有価証券取引税、保管費用等に大きな影響があったということです。

そこで、実際にどのベビーファンドか大量解約したのか調べてみました。

続きを読む







インデックスファンドのコストは「実質コスト」で見る

日経新聞もNISA関連でさまざまな記事を書いていますが、これもその1本。

インデックス投信選びの勘所、信託報酬だけでは不十分
皆さん、その投信ヤバいですよ


インデックス投資では注目要素の1つとしてコストがあるが信託報酬だけを見ていてもダメだという話で、そこには賛同します。しかし、その後がよろしくない。
吉井 同じ場合は、もう一歩踏み込んで見る必要があります。例えば、マザーファンドの純資産総額です。個人投資家が買うベビーファンドを束ねたマザーファンドの資金が実際の運用に回るわけですが、一般的にその残高が大きいほど、組み入れ銘柄を売買する際の運用コストが安い傾向にあります。この売買コストは信託報酬には表れません。
中桐 なるほど、その投信自体の残高ではなく、投資先のマザーファンドの残高で見るのか。残高規模が大きいほど、コストメリットが働いて売買コストを抑えられるので、運用成績も良くなるということだね。
中桐 確かに、直近1年のトータルリターンを見る限り、Funds─iがeMAXISやSMTの実績をわずかに上回っている。インデックス投信は信託報酬とマザーファンドの残高で選べということだね。

信託報酬外のコストに目をつけたのはいいのですが、もう一つがマザーファンドの純資産総額というのは失敗です。

信託報酬+その他コストの実質コストを見たければ、実際にそのコストを直接見た方が良いでしょう。実質コストは各ファンドの運用報告書で開示されています。

以下は各有名インデックスファンドシリーズの新興国株式に投資するインデックスファンドの運用報告書から持ってきた実質コストです。
Indexfund_emerging_stock_cost


信託報酬は年金積立が0.5775%で、他3ファンドは0.63%です。
マザーファンドの規模で言えば、大きい順にeMAXISSMTFunds-i年金積立という順番です。

信託報酬が同じeMAXIS、SMT、Funds-iの3ファンドは、日経新聞の言うマザーファンド規模の法則で言えば、eMAXISが一番実質コストが安いはずです。しかし、現実には3ファンドではもっともマザーファンドの規模が小さいFunds-iが実質コストが一番低くなっています。


確かにマザーファンドの規模が大きくなると規模のメリットで各種コストを安くしやすい傾向があります。
しかし、信託報酬外のコストを決める要因はそれだけではありませんし、過去のものとはいえ実質コストは運用報告書で開示されているのですから、わざわざマザーファンドの規模というコスト決定要因の1つから推測する必要はありません。



【まとめ】
・(インデックス)ファンドのコストは信託報酬だけではなく、トータルの実質コストをチェックしよう
・過去のトータルコストは運用報告書で確認可能
・マザーファンドの規模が大きくなると信託報酬外のコストが安くなる傾向有り



STAMシリーズ 実質コスト調べ

人気インデックスファンドシリーズ『STAMシリーズ』の決算が5月にあり、新興国株式・新興国債券の2つを除いた6ファンドの運用報告書がアップされています。

※各ファンドの住信AMの運用報告書
STAM TOPIXインデックス・オープン
STAM グローバル株式インデックス・オープン
STAM 国内債券インデックス・オープン
STAM グローバル債券インデックス・オープン
STAM J-REITインデックス・オープン
STAM グローバルREITインデックス・オープン


そこで運用報告書から実質コストを見てみます。
(比較のために前期の2008年11月も載せてみます)

ファンド信託報酬
(%)
2008年11月
実質コスト
(内 信託報酬)
2009年5月
実質コスト
(内 信託報酬)
実質
信託報酬
(%)
TOPIX0.483%21円
(21円)
14円
(14円)
0.4830%
グローバル
株式
0.777%38円
(32円)
21円
(19円)
0.8588%
国内債券0.462%23円
(23円)
23円
(23円)
0.4620%
海外債券0.672%35円
(33円)
30円
(29円)
0.6952%
J-REIT0.672%28円
(25円)
19円
(17円)
0.7511%
G-REIT0.861%88円
(38円)
43円
(18円)
2.0568%

*実質信託報酬率 = 信託報酬(%) × 実質コスト(円) ÷ 信託報酬(円)

前期(2008年11月)の方が全般的にコストの絶対額が高いのは、その期間の期間平均基準価額が高いからですね。如何にここ半年の基準価額が低かったかが分かります。


【TOPIX&国内債券】
この2ファンドは、2期続けてその他のコストが0円と優秀です。
金利の低い国内債券ファンドは今は人気が無いようですが、もう少し金利が上がってきたら、下手に直接債券に投資するよりもこちらの方が良くなるかもしれません。
TOPIXは現状でもお勧めのファンドです。実質で0.5%切りならETFとの比較でも悩む水準です。

【グローバル株式】
信託報酬19円に対し、その他のコストが2円。前期では実質コストが0.9%を超えていましたが、今期は0.85%とかなり改善されています。
グローバル株式は、ネット証券の売上ランクなどでもじわじわと順位を上げているようですし、STAMシリーズの中で頭一つ抜け出して資産を集めています。その他のコスト低減は純資産総額が増えた恩恵でしょうか?資産総額が積み上がれば信託報酬そのものを引き下げるとも言っていますから、このファンドはさらに保有コストが低くなる余地有りですね。
これも吊られた男が現時点では自信を持ってお勧めしたいファンドです。

【海外債券】
実質コスト≒信託報酬とかなり優秀です。海外債券アセットには「三菱UFJ 世界国債インデックスファンド(年1回決算型)」というライバルがいますが負けていませんね。
「三菱UFJ〜」は前回の決算情報だと信託報酬50円に対して、その他コストが4円。実質コストは0.6804%ですので、STAM海外債券とほぼ同じ水準です。三菱UFJは1月の決算で分配金を出していることを考えると同じようなもの!?

【J-REIT】
意外でした。意外にコストが安い。多少の追加コストは発生していますが、(今のところ)無分配ということを考えれば、この水準のコストでJ-REITに投資できるのはいい商品です。このまま無分配or低分配が続くようなら、下手にREITに直接投資した方が課税分だけ損しかねません。

【G-REIT】
これは・・・創設期からの6ファンドの中で唯一の課題のファンドですかね。表面上の保有コストは0.861%ですが、実質はその倍以上の2%超えです。他のG-REITファンドと比較して半年決算という点は評価できますが、まだ信託報酬が激安とはいきませんね・・・
G-REITはまだまだ難しい投資対象です。





こうして見てみると、基本4資産の保有コストの低さはさすが。どれもお勧めのファンドです。そして、意外にもJ-REITも安く、これもいいですね。
G-REITだけはもう少し安くなってくれないと、投資対象としては少し厳しいところです。


運用報告書がまだ出ていない新興国株式と新興国債券あたりも実質保有コストは高めに出そうなのですが、どうでしょう?



私の著書 - ズボラ投資
「毎月10分のチェックで1000万増やす! 庶民のためのズボラ投資」
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