吊られた男の投資ブログ (インデックス投資)

投資信託を使った低コストインデックス投資/パッシブ投資(バイ&ホールドの国際分散投資)で資産形成を行っている一般サラリーマンの吊られた男が、主に投資やお金のことについて語るブログ。時々、投資やお金以外の話もします。



子ども手当

晩婚、高齢出産時代に子ども手当の所得制限は"効果的"

この視点はありませんでした。

所得制限”は晩婚晩産・共働き世帯に負のメッセージ (DIAMOND Online)

――「子ども手当」の見直しの1つである、所得制限の導入についてどう考えるか。
 しかも、晩婚晩産で結果的に高所得になっている女性や共働きの人たちは、子ども手当によって、初めて自分たちが子育てをしながら仕事をがんばることを認めてもらえたと感じていた。しかし所得制限によって弾かれてしまえば、子育てしながら仕事をがんばることを社会的に全く応援してもらえないことになる。そのことに彼らは、すごくがっかりしているし、ネガティブに捉えている。

 また、先ほども述べたように出生率が改善しているのは、現在、若いときに産みそこなった晩婚晩産の人たちが“産み戻し”をしているためである。そういう人たちに、「産んでも応援しない」というメッセージを送ることになるため、基本的に所得制限は入れるべきではない。

バウチャーや出世率の目標値などいろいろ私と意見が違うところもありますが、この引用させていただいた部分は興味深い着眼点。

確かに所得制限をかけると、早婚・若年出産時代より、晩婚・高齢出産時代の方が同じ基準額でも支給額は減りそうです。
生涯働き続けて大体同じ収入を稼いでも、早く子どもを産むと手当が充実していて、遅く子どもを産むと手当が減る(もらえない)というのはおかしな気もします。

シンプルに子どもを産んだらいくら貰える(一時金でも分割払いでも)という制度でいいと思っています。そして、以前から何度も述べているように高所得者の場合は税金なり社会保険料なりで回収すればいいのです。
そういう意味でも逆進性が強かった扶養控除の廃止・縮小はいいことだと思います(これによって我が家も増税ですが)。
高所得者ほど得をする配偶者控除や扶養控除など無くしてその分は給付に回せば富の再分配効果が高まります。控除の廃止によって少々増税になる低所得者層は差し引きプラスになるので優しい制度です。

話が少しわき道にそれてしまいました。
本題に戻ると、晩婚、出産年齢の高齢化を考えた時の所得制限が与える影響やメッセージをどう考えるのでしょうか。この国が目指す方向性にあっているのでしょうか。
これを真剣に考えてもいいのではないかと思います。







子ども手当廃止 & 年金手付かずはかなり悪いケース

東日本大震災の復興資金の財源を巡っていろいろな議論が行われています。

このブログでも注目している子ども手当年金(老齢年金)も、従来からの子ども手当のバラマキ批判や年金制度改革も震災復興財源の影響を受けています。

ただでさえバラマキ批判が多かった子ども手当ですが、どうやら最近は廃止が有力案となっているようです。また、子ども手当継続案でも金額の引き下げ&所得制限を設けるという実質児童手当の復活を示すような案も出ています。いずれにしても子ども手当への風当たりは強くなっています。

高所得者は基礎年金減額 厚労省が給付抑制策」とあるように、年金に踏み込む意見もありますが、子ども手当のように支給額そのものを一律下げるという意見は余り聞きません。

今のこの流れは極めて悪い状況です。

60歳以上が今の日本の個人金融資産の6割ほどを保有しています。60歳未満は4割です。
個人を見れば貧しい高齢者もいるのでしょうが、マクロで見る限り、相対的に高齢者が金持ちで、現役世代や子ども達は貧しいということになります。

所得税の扶養控除は廃止されました。特定扶養親族の上乗せ分もなくなりました。住民税の扶養控除も翌年には廃止になります。これによって子育て現役世代の負担は増えています。
娘のいる我が家のケースでは所得税が7万6千円アップしましたし、今度は住民税も3万3千円します。この分は子ども手当が埋め合わせをするという話でしたが、これが廃止になると負担増です。

そんな中、年金には税金が投入され、基礎年金の1/2が国庫負担(税金)という話になっています。今のところは支給金額の引き下げの話は出ておらず、富める世代の負担はそれほど増えていません。

年金は過去の掛け金があるから児童手当や子ども手当と違って今の金額を貰う権利があるかのように言われることもあります。しかし、ものすごく簡単にイメージ図を描いてみると以下の通りです。
invester_fund_return

このような図を考えると、児童手当や子ども手当が税金から払われているのがバラマキだというのであれば、年金の税金補填部分もそれに類するものではないでしょうか。

子どもがいる世帯への給付がバラマキというのであれば、年金の税金補填部分も老人手当のようなものです。
そのような老人手当を縮小して、自分達が支払った掛け金に見合うだけの支払いを受けるという案は1つの意見だと思います。しかし、なかなかこのような意見は聞きません。

年金の税金補填部分を震災復興財源にするという話でも、給付水準を下げるのではなく、将来の支払いのために蓄えを取り崩すという方向の意見が強くあります。または、上のニュースにあるように高収入者への支給を減らすという話で、大手企業に就職して数千万円の退職金を貰って十分なストックがあって、年金+ストックの取り崩しで悠々自適の生活をしている人へは継続して年金を支払い続ける案が有力です。
しかも基礎年金の国庫負担が1/3から1/2に引き上げられるのですから、事実上、より老人手当分を増額していることになります。


相続税の控除を縮小したりしていますが、もう少し踏み込んだ改革が必要ではないでしょうか?

貧しい現役世代の負担を増やして、それを金持ち高齢世代にまわす必要はありません。マクロで見れば、高齢者から現役世代への富の移転が求められます。その中で個別に貧しい高齢世代がいれば、それは別の制度で救うべきはなしです。一部に貧しい高齢者がいるということを理由に「姥捨て山だ」「死ねというのか」と、富める世代が貧しい現役世代へ負担を求めるというのはおかしな話でしょう。

しかし、人数が圧倒的に多い団塊世代以上の政治的な力は大きく、この既得権を持つ人たちが積極的に既得権を手放すと期待するのは楽観的過ぎます。また、選挙ではただでさえ人数で負けている若者世代の投票率が低いことは大きな問題です。



出産育児一時金増額は家計を助けているのか?

このブログで何度も取り上げている子ども手当関連ネタです。

子ども手当の財源確保ということで、高所得者の配偶者控除廃止案などが報じされています。これに関してもに子ども手当不要論をよく見かけます。そして、子ども手当なんかより、出産一時金の増額や保育園の増設に当てろという意見もあります。
保育園の増設や出産一時金の増額は家計を助けるのでしょうか?


今回は出産育児一時金について。

出産時に出産費用の補助として、出産育児一時金があります。子育て家庭支援という理由でこの増額を求める声があります。しかし、これは家計を助けるのでしょうか?
出産育児一時金は2009年10月に38万円から42万円に引き上げられました。これで家計が助かったかというと・・・日本産婦人科医会の調査にあったように、値上げした病院が多数ありました。出産育児一時金が増額されても、その分が出産費用が増えたので、家計にゆとりを出す効果が小さかったのが実情でした。
「子育て世代支援としての出産育児一時金増額」派はこの現実を踏まえて主張しているのでしょうか?子ども手当が子どものために使われるとは限らないと言いますが、出産育児一時金は子育て世代の家計ではなく産科に渡ってしまいました。

出産費用」のような、どうしてもその時に必要な費用は、値上げをしやすい項目です。例えば、大学の学費も物価上昇率以上に上昇していますが、これも学歴が社会で重要だから大学に行くことが必要と思われているからこそ値上げできます。
特定の項目(例えば出産時のみ)にだけお金を払う形にすると、このような現象を呼び起こしやくくなります。
児童手当や子ども手当のような現金給付の場合は、このような値上げは起こりにくくなります。どこにお金が使うかは利用者側の判断ですので、勝手にあるサービス提供者だけが値上げをするのは難しくなります。所得税減税なども便乗値上げを引き起こしません。
出産育児一時金を増額した場合、増額分はどこかに消えうせるわけではありません。苦境の産科の収入アップにつながり産科にとっては助かる話です。しかし、出産育児一時金増額が、目的の子育て世帯支援になるかについては議論がなされるべきでしょう。一時金増額が本来の趣旨を果たせるようになるには、産科に関する医療制度・体制の変革まで考慮しないといけないのです。単なるポピュリズムで理念だけ立派で実効性がない政策のでは意味がありません。(これは子ども手当にも言えます)



扶養・配偶者控除、所得制限で打ち切りは税金の基本思想上問題あり

さて、先の2回のエントリーで税金や給付に関する制度に対して怒りをぶつけてきました。
 ・また子ども手当に所得制限とか言ってやがるのか・・・
 ・どこまで年収1000万超世帯を狙い撃ちするのか

今回は【扶養控除・配偶者控除の問題点】【ある水準で所得制限を設けてそこでいきなり線引きするやり方の問題点】について書きます。

(1)扶養控除・配偶者控除の問題点
所得税の考え方は「収入の多い人ほど税金の負担が増え、収入が少ない人ほど税金の負担が少ない」という税金の原理原則的な考え方です。同率でも収入が増えると絶対額が増えますが、所得が増えるに従って税率が上がることで、所得に応じた税額アップをより強固にしています。
この制度と扶養控除・配偶者控除は相性が悪すぎます。

扶養控除・配偶者控除は課税所得から一定額を控除するという制度です。そのために課税税率が高い高所得者ほど、実際に払う税金が多く控除されます。
最高税率40%の人の場合、親族を扶養に入れて38万の控除を受けると納める所得税は38万×40%=15万2千円減ります。一方、税率10%の人が頑張って親族を扶養しても38万×10%=3万8千円の税額免除に過ぎません。同じように親族を扶養しているのに所得が多い人ほど大きく税金負担が減るように、扶養控除・配偶者控除は強烈な逆累進性を持っています。

せっかく所得税が綺麗な累進性を持っているのに、ここに逆累進性の制度を入れ込むことで、せっかくの累進性が失われています。これは今検討されている所得制限が実現すれば、その領域での上位所得者層の有利はなくなりますが、それでも中位所得者と低位所得者の間での逆累進性は残ります。
まだ、課税所得の控除ではなく、納税する所得税そのものの定額控除の方がはるかにマシです。(定額控除額以下しか所得税を納めていない人にはメリットが小さくなるという考え方で給付付という制度もありでしょう)

(2)ある水準で所得制限を設けてそこでいきなり線引きするやり方の問題点
税金の原則は、(1)所得に応じた累進、(2)定率、(3)定額のどれかでしょう。
所得制限は所得が多い人が利益を受けるのはおかしいという考え方なので、累進性に近いものになります。しかし、ある水準を超えると突然「給付を受けられない、控除が無くなる」制度には大きな問題があります。

少し所得税に話を移します。(他の控除などを一切考えないと)所得税はきわめて美しい税率です。累進性なので収入が増えると税率は上っていきますが、1円でも多く稼いだ人は、稼ぎが1円でも少ない人より手取りが増える仕組みです。まさに累進性のお手本です。このような税金制度だと、少しでも多く稼げば手取りが増えるので労働のインセンティブになります。

しかし、今検討されている子ども手当の所得制限のような制度には問題があります。この制度だと所得制限の水準を越える直前までは手当を受け取れます。そして、1円でも越えた瞬間にいきなり手当が無くなります。このように、ある水準で断崖絶壁になる制度だと、多く稼いだ人の方が、稼ぎが少ない人より手取りが少なくなる逆転現象が発生してしまいます。
これでは正当な労働のインセンティブが得られません。また、この水準ギリギリで恩恵を受ける人と、恩恵を受けられない人の間での不公平感が広がります。
避けるべき制度です。


なお、過去には配偶者控除を正当化する理由があったのでしょう。
女性は結婚したら「仕事を辞めて」「家庭に入って」「子どもを生んで育てる」ことが良いとされました。男は「稼いで」「女性を養って」一人前という時代でした。
それが正しいとされる世界では、「結婚して」「妻は家に入って夫を支える」正しい行為をした人に報酬を与える一方で、「結婚しない」「女性なのに働いてしまう」という正しくないことをしている人には報酬は与えないことは、正当化できたのでしょう。(口に出してこんなことは言わないでしょうが、潜在的な認識ではそうだったと推測されます)
しかし、時代は変わってもいます。女性が家に入っていればいいという世界ではありません。女性の間でも働くか働かないかは人生の選択の問題になっています。一方にだけ控除を与える意味もないでしょう。


年齢に関係なく扶養控除も配偶者控除も廃止してしまえばいい。
今の税制では子ども以外の人の扶養控除も残されていますがおかしな話です。高所得者ほどメリットが大きい制度を温存するなど、それこそやりたい所得再分配に反する行為です。こういう制度から無くすことで簡単に所得の再分配が実現します。



また子ども手当に所得制限とか言ってやがるのか・・・

子ども手当て所得制限案、年収1千万か2千万(YOMIURI ONLINE)
 2011年度の子ども手当について、受給対象となる世帯に一定の所得制限を設ける案が政府内で浮上している。
 具体的な目安として、年収1000万円または2000万円の世帯を上限とする案が有力視されている。

また子ども手当の所得制限案が再燃ですか・・・

大いに反対です。

年収2000万円で所得制限を掛けて何になる?所得制限の事務コストがどれだけかかるのだ?所得制限を設ければ、日本全国でそれだけ公務員の仕事が生まれるから公務員は利権を守れて喜べるだろうが、歳出削減効果は極めて小さい。
かといって所得制限の金額を下げれば、事務コストに対する歳出削減効果は高まっても、本来お金を必要としている世帯にお金が行き渡りにくくなるし、公務員が利権を守れるという点は変わらない。むしろ所得制限のボーダーライン近くの人が増えるほうが公務員利権は増える?
せっかくの手当なのにこういうところに消えてしまうのはもったいない。できる限り中間コストを無くしてより多くのお金を国民に届けることを考えるべきではないか?

高所得者が得するのがおかしいというのであれば、例えば所得税の税率を上げればよい。これならば余計な所得制限のための事務コストなど発生せずに高所得者から多く徴収できる。
仮に課税所得100万の人の税金が1%増えても税金はアップは1万円。手当の額がこれより多ければ得をする。課税所得が1千万円ある人なら税金は10万円。同額の手当をバラまいても低所得者ほどメリットが大きい仕組みは作れる。しかも公務員に利権を与えずに。

そもそも今の制度の中で子ども手当に所得制限を設けると本来の趣旨とは大いにねじれた現象が発生します。「子どものいない世帯から子どものいる世帯への移転か、子どもがいない人間は差別されるのか」のような意見も聞きますが、トンでもありません。所得制限を設けることは「子どものいる高所得世帯から子どものいる中・低所得世帯への富の移転」です。


1千万円で所得制限を設けたとして、年収1000万円で妻+子ども二人(16歳未満)の4人家族というモデルケースを考えてみます。
子ども手当導入の「控除から手当へ」の流れで扶養控除がなくなります。所属税は扶養控除の廃止で76万円×20%=15万2千円のアップ、住民税は(平成24年から)66万×10%=6万6千円のアップ、合計で21万8千円の税金アップです。
子ども手当は子育て世帯支援のための制度のはずでは?
ところが、子育て世帯支援のための制度によって年収1000万円で2人の子どもを育てる世帯では負担が21万8千円のアップです。
不思議ですね。

子どもを持たない年収1000万円のDINKSでは扶養控除の廃止の影響を受けないので負担は増えません。実際には所得税などの一部が子ども手当の財源には割り振られるのでDINKSも多少の負担はありますが、これは高所得の子持ち世帯も同じです。
このように、所得制限を設けた子ども手当制度の導入は、「子どものいる高所得世帯から、子どものいる中・低所得世帯への富の移転」という特色が強くなります。

年収が1億も2億もあるような人にならば、「子どもがいても多少負担してよ」と言ってもいいとは思います。
しかし、所得制限が歳出削減に効果のありそうな水準の世帯に要求することはどうなのでしょう?年収1000万超は世間一般からすれば高収入です。しかし、「高収入だから負担せよ。それは当然だ」という義務を押し付けられるほどのものでしょうか?
年収1000万ちょっとで3人の子育てをする場合、そんなに裕福で余裕綽々の生活をできるわけではありません。最近だと大学まで進学することも普通になっていることをそんなに余裕はありません。
「それでも普通より多いんだから我慢しろ!」という意見もあるかもしれませんが、下から足を引っ張るような平等を目指す考え方でいいのでしょうか?よほどの格差になれば別ですが、平均より多少稼ぐ者が出たら、その分を平均以下に分配しろと要求することが当然というのはおかしい気がします。
仮に高所得者は遠慮しろという話を是としても、子育て世帯の負担が大きく増えて、子どもがいない世帯の負担はあまり増えないというでは、おかしな話です。


所得制限を加えるとなると、子ども手当は「子ども手当」という名を借りた子育て世帯内の高所得者から低所得者への所得移転制度になります。
高所得世帯に少し厚く負担してもらって子育て世帯を支援するような仕組みにすればいいのに、どうして高収入の子育て世帯が一番多く負担をしなくてはいけない制度を目指すのか大いに疑問です。


にほんブログ村 株ブログ 投資信託へにほんブログ村 為替ブログ FX初心者へ人気ブログランキングへ



私の著書 - ズボラ投資
「毎月10分のチェックで1000万増やす! 庶民のためのズボラ投資」
連絡先
私への連絡は下記メールアドレスまでお願いします
tsurao@gmail.com

tsuraolife_banner_s

follow us in feedly

にほんブログ村 株ブログ 投資信託へ


Recent Comments
ブログ内記事検索
PR
お勧め銀行・証券会社
■証券会社■
○SBI証券

○セゾン投信


■銀行■
○住信SBIネット銀行


■401k(確定拠出年金)■
○SBI証券
タグ
Archives