以前から数多くアブラハムグループのことは取り上げていますが、そのアブラハムグループの1つである、アブラハム・ウェルスマネジメントのサービスのWeb広告が少し話題になっていました。
今回はその広告及びアブラハム・ウェルスマネジメントのサービスについて少し思うところを書いてみたい。
●以前のアブラハムグループ関連の記事
吊られた男の投資ブログ (インデックス投資) : アブラハム・プライベートバンク
広告の「元本確保」「元本安心」という表現について
まずは、広告を見てみます。広告では「元本確保」「元本安心」といった表現が幾度と出てきます。しかし、よくよく読んでみると外貨建てでの元本の確保であったり、ある特定のシナリオが実現したケースにおいての実質的な購買力の維持といった内容で、いわゆる円としての元本確保は一切行われていません。
特に広告においては外貨建てでの元本確保だということが直接的に記載されているのは、よくある質問の中の「当社のご提案するメソッドでは、投資通貨建てで元本は米国政府により保証…」とある箇所くらいです。これは見つけるのが難しい。
なお、アブラハム・ウェルスマネジメント及び他のアブラハムグループの会社が所属している業界団体ではありませんが、日本証券業協会が広告等に関する指針を出しています。
この指針では、協会員が金融商品取引業の内容について広告を行う場合に守るべき事項が記載されています。その中で、投資信託や債券において「法定記載事項」として「為替リスクに関する文言」を記載することと定められているから、ちゃんとやれよ、という趣旨のことが書いてあります。
この点について、アブラハム・ウェルスマネジメントのロジックは金融商品仲介業としての広告ではなく、コンサルティング業としての広告だから大丈夫だと、高岡壮一郎氏がFacebookで主張されています。(「このネット広告は金融商品販売の広告ではありません。投資ノウハウを提供する会員制情報サービスです)
しかし、以前にアブラハム・プライベートバンクが行政処分を受けた時にも同じように高岡氏は大丈夫と言いながら内容の不適切さを指摘されましたが…大丈夫でしょうか。
ちょっと金融庁の見解を聞いてみたいところであります。
投資元本の価値をアメリカ政府が保証していますはアウトじゃないだろうか
また、広告の中には以下の様な表現がありますが、これはアウトじゃないでしょうか。「投資元本の価値」はアメリカ政府がGOAL時点での投資通貨建てで保証しています。この表現だと、アブラハム・ウェルスマネジメントの提案する投資メソッドに基づいた投資元本(の価値)をアメリカ政府が保証するかのような表現です。しかし、アメリカ政府がアブラハム・ウェルスマネジメントやその投資法の元本を保証するはずもありません。
あくまでどの投資手法であれ、その投資の中でアメリカ国債に投資していれば、それについては満期時に元本を保証するというだけです。
更に言うと、アメリカ国債に限定しても疑問があります。アブラハム・ウェルスマネジメントの広告の中では、購買力の維持というお金の実質的価値について言及されていますが、アメリカ政府はアメリカ国債の元本を保証するのみです。その購買力(実質価値)を保証するものではありません。「インフレ率>国債利回り」となれば、満期時(GOAL時)の実質的な購買力という意味での価値は下がるはずで、何を持って「投資元本の価値」をアメリカ政府が保証すると言っているのかも不思議なところです。
閑話休題: 前回の行政処分への認識がちょっと違う
前回の業務停止処分を受けた理由として、アブラハムグループ代表の高岡氏は次のように述べています。(参考: Now or Neverのインタビュー記事)そこで、「金融商品を買う場合は、日本の証券会社を通す」という金融規制に抵触していると解釈され、日本の金融行政・秩序を大きく揺るがすものとして、行政処分で業務停止となったわけです。しかし、これは完全に誤りです。インタラクティブ・ブローカーズ証券など、日本の個人投資家が直接海外の証券会社の商品を購入することは可能です。
アブラハム社が行政処分を受けたのは、無資格で販売していたからです。投資助言の資格しか持っていないにもかかわらず、実質ハンサードの代理店としてハンサードの商品を販売したことが問題でした。
普通自動車免許で大型トラックを運転すれば法律違反という当たり前の話です。
こういう言い訳をしたい気持ちはわかりますが、この手の言い訳は長期で見ると金融庁などからも睨まれるだけですし、悪手ではないでしょうか。
さて、次はサービス内容を見てみたい。
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