吊られた男の投資ブログ (インデックス投資)

投資信託を使った低コストインデックス投資/パッシブ投資(バイ&ホールドの国際分散投資)で資産形成を行っている一般サラリーマンの吊られた男が、主に投資やお金のことについて語るブログ。時々、投資やお金以外の話もします。



国家

「年金や国が何とかしてくれ」も「年金や国に期待しない」も残念

Leviathan by Thomas Hobbes

「国に何かしてもらうことを待ち受けている人」と「国に何も期待しない人」
年金に限らないのですが、多いのは年金のケースでしょうか。

一つは「国が年金を少ししかくれない。ちゃんとくれ。」のように国に何かしてもらうように期待する人です。もう一方はその逆で「年金がもらえることなんかに期待しない。自分個人で何とかする」のように国に期待せずに個人での努力に走る人。

個人的にはどちらも少し残念です。国への依存については逆のことを言っていますが、2つの意見は根底で共通している意識があります。

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債務のGDP比は国家のデフォルトリスクの指標になる?

「日本の国家債務残高はGDP比170%」

このように国家債務残高のGDP比が財政危機の指標としてよく使われます。
しかし、この「債務残高のGDP比」はそれほど当てになるのでしょうか?

≪1990年〜2007年のデフォルト国家とその債務残高/GDP比≫
・メキシコ : 47%
・タイ : 58%
・インドネシア : 83%
・韓国 : 40%
・マレーシア : 52%
・ロシア : 59%
・ブラジル : N/A
・トルコ : 83%
・アルゼンチン : 60%

≪現在の主要国の債務残高/GDP比≫
・日本 : 220%
・ギリシャ : 143%
・イタリア : 119%
・シンガポール : 97%
・アメリカ : 93%
・ポルトガル : 93%
・カナダ : 84%
・ドイツ : 83%
・フランス : 82%
・イギリス : 80%
・スペイン : 60%
・インド : 69%
ブラジル : 66%
・スイス : 55%
・フィンランド : 48%
・アルゼンチン : 48%
・ノルウェー : 45%
・デンマーク : 44%
・インドネシア : 43%
・スウェーデン : 40%
・南アフリカ : 36%
・韓国 : 31%
・オーストラリア : 22%
・中国 : 18%
・ロシア : 9.9%
・チリ : 8.8%
・エストニア : 6.6%
・香港 : 4.8%
・アルジェリア : 1.2%
 -参考:TradingEconomics.com (2011年10月17日確認)


過去の国家デフォルトの債務残高/GDP比では、それほど債務の比率は高くありません。60%程度でも破綻しています。

債務残高/GDP比が国家デフォルト指標」という仮定で過去のデフォルト水準と今の国を比べてみます。
シンガポール、カナダ、ドイツあたりはかなり危機的な水準のようです。北欧諸国もかつて債務危機を起こしたメキシコや韓国の水準ですから危険なようです。そして、アルゼンチン、インドネシア、韓国あたりは優秀、ロシアやチリは10%を切っており非常に優秀です。

・・・このデータを見ると、国家のデフォルトを語る時に債務残高/GDP比を振り回すことがふさわしく見えません。債務残高/GDP比も国家デフォルトの要因なのかもしれませんが、説明力はそれほど強くなさそうです。

「日本の債務残高/GDP比が●●●%になった。デフォルト危機だ」のような主張は疑いたいですね。
債務残高/GDP比が高くても全く構わないとは思いませんが、国家のデフォルトを考える時には対外債務など別の指標が適しているのではないでしょうか。



国家の格付は有用?

格付け会社は国家(国債)への格付けも行っています。

S&Pがアメリカの格付けをAAAから引き下げた件はニュースになりました。
日本最大のグロソブは投資するソブリン債の基準に格付を利用しています。

そんな格付ですが、どれほど役に立つのか?

2011年8月と少し古い記事ですが、以下のWall Street Journalの記事は興味深い
格付け会社、国債デフォルトをほとんど予想できず=WSJ分析
今回の分析で、ソブリン債格付けに関しては、ある国が債務不履行を起こすかどうか、格付けがほとんど予想に役立っていないことがわかった。格付け会社が特に予想を誤りがちなのは、ソブリン債がデフォルトする前の12カ月間、つまり投資家が最もガイダンスを必要としているときだ。
S&Pの格付け対象だったソブリン債のデフォルトは1975年以来15件あったが、同社はうち12件について、デフォルト1年前にシングルB以上の格付けを付与していた。同社はこうしたケースの80%について、1年以内にデフォルトする確率を低くみていたことになる。S&Pは、シングルB格付けのソブリン債が1年以内にデフォルトする確率について、歴史的には平均2%にすぎないとしている。
同様に、ムーディーズ・インベスターズ・サービスの格付けから1年以内にデフォルトした13政府のうち、11政府はB以上の格付けだった。うち3政府に与えられた「Ba」(ダブルBに相当)は、1年以内にデフォルトする確率が0.77%とされている。

記事中にもありますが、企業の格付けはある程度信頼できる精度ですが、国家に関する格付けは怪しい感じです。

国家の破綻に関しては、データが少ないこともあり、格付け会社もノウハウがありません。企業評価のノウハウはありますが、いろいろな意味で国家は企業と異なります。
その際たるものは通貨の発行権を持つことでしょう。企業は自分でお金を刷ることはできませんが、国家(+中央銀行)は可能です。また政治リスクも大きく、企業の評価モデルがそのまま通用しません。

同じ会社が発行する格付けなので、つい同一視しがちですが、企業と国家の格付は別物だと思った方が良さそうです。



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