10月15日に朝日新聞が報じたがんペプチドワクチンに関する記事が波紋を広げていますが、それに対する見苦しい言い訳が書いてあります。
【オピニオン】 臨床試験を考える 被験者保護する仕組み必要(asahi.com)
この言い訳記事書いた大牟田透氏は日本語が不自由なのでしょうか?
言い訳記事でもリンクをはっている10月15日の元記事をどう読めば、「薬事法の規制を受けない臨床試験には被験者保護の観点から改善すべき点がある」を伝えたかったとなるのでしょうか?
どこにも、薬事法の規制を受ける臨床試験があって、このがんワクチンのケースは薬事法の規制を受けない臨床試験だというようなことが分かるような記述はありません。臨床試験に関わる人たちは理解できるかもしれませんが、一般人にそれを前提として知っておけということか?
10月15日の文章では一番伝えたいことが全く伝わりません。わざわざインタビューを受けた人たちが「意図しない編集をされた」と言うような編集をしたり、別の臨床試験と今回の試験が同一とも読めるようにしたり、「因果関係があれば」という前提条件を切り落とすような編集をわざわざした意味も理解に苦しみます。
散々問題視した事例がどういう状況だったのかが問題の根幹ではない?自分にとっては根幹ではない、そういう意図はないから「がんワクチンの臨床試験では必ず消化管出血が起きる、あるいは、命にかかわる副作用が出る」と解釈されるような書き方をしてもいい?
自分が治験・臨床試験の対象だったら「ワクチンを投与された人が消化管出血を起こした!!」だけではなく、「すい臓がんの末期の患者では消化管出血は良く起こる病気の症状。ワクチンを投与された人でもこの症状が起こった人がいた」と"正しい情報"を知りたいですね。そもそも病気の症状がどういうものかという情報がないと、ある症状が出た時にワクチンのせいかの判断がつきません。
患者団体が間違った不安を感じさせるなと抗議しています。現在の患者の利益を損なわないとはどういう意味でしょうか。患者達を無用に不安に陥れて本来の正しい情報に基づいた判断ができないようにすることは患者の利益を損なっていないという認識なのでしょうか。そうだとすると大牟田透氏の日本語と私の日本語はあまりにも異なる言語なのかもしれません。
そういえば、先の記事では≪厚労省は朝日新聞の取材に対し「早急に伝えるべきだ」と調査を始め、9月17日に中村教授らに事情を聴いた≫≪厚労省調査は今も続いている。≫なんて厚労省があたかも医科研を糾弾する朝日新聞側のサポートとして書いていました。
しかし、「因果関係があれば、早急に伝えるべきだ」というのが正確なところで、朝日新聞側が勝手に前提条件を切り落としたということが分かったとたんに、掌返しで島雅典・臨床研究情報センター長に「薬事法の適用を受けない臨床試験を可能にしているのは研究者、医師の無理解と厚生労働省の怠慢です。」と言わせて厚労省叩きに問題すり替えです。
著作権法の話もありますが、末端とはいえ一応は医療に関わる身としてこの件には強く不満がありますので、記録保持のためにasahi.comから朝日新聞社の報道記事全文をここに記録させていただきます。
「10月15日の朝日新聞の記事」
【オピニオン】 臨床試験を考える 被験者保護する仕組み必要(asahi.com)
「がんワクチン臨床試験」をめぐる記事で朝日新聞が最も伝えたかったことは、薬事法の規制を受けない臨床試験には被験者保護の観点から改善すべき点があるということです。
この言い訳記事書いた大牟田透氏は日本語が不自由なのでしょうか?
言い訳記事でもリンクをはっている10月15日の元記事をどう読めば、「薬事法の規制を受けない臨床試験には被験者保護の観点から改善すべき点がある」を伝えたかったとなるのでしょうか?
どこにも、薬事法の規制を受ける臨床試験があって、このがんワクチンのケースは薬事法の規制を受けない臨床試験だというようなことが分かるような記述はありません。臨床試験に関わる人たちは理解できるかもしれませんが、一般人にそれを前提として知っておけということか?
10月15日の文章では一番伝えたいことが全く伝わりません。わざわざインタビューを受けた人たちが「意図しない編集をされた」と言うような編集をしたり、別の臨床試験と今回の試験が同一とも読めるようにしたり、「因果関係があれば」という前提条件を切り落とすような編集をわざわざした意味も理解に苦しみます。
記事で取り上げた臨床試験では、ワクチンを使った膵臓(すいぞう)がん患者で消化管出血が起き、輸血されました。入院期間が延び、医科研は「重篤な有害事象」として扱いましたが、医科研が提供した同種のワクチンで臨床試験をしている他の施設には情報を伝えていませんでした。
医科研によると、患者はその後、いったん退院しました。問題の根幹ではないので記事では詳述しませんでしたが、がんワクチンの臨床試験では必ず消化管出血が起きる、あるいは、命にかかわる副作用が出ると、報じようとしたわけではありません。
散々問題視した事例がどういう状況だったのかが問題の根幹ではない?自分にとっては根幹ではない、そういう意図はないから「がんワクチンの臨床試験では必ず消化管出血が起きる、あるいは、命にかかわる副作用が出る」と解釈されるような書き方をしてもいい?
自分が治験・臨床試験の対象だったら、「副作用とは断定できないが消化管出血が起き、入院期間が延びた患者がいる」という情報は、参加を考える上で一つの重要な判断材料になります。病院外で家族とともに過ごせる貴重な日々が短くなるかも知れないからです。
自分が治験・臨床試験の対象だったら「ワクチンを投与された人が消化管出血を起こした!!」だけではなく、「すい臓がんの末期の患者では消化管出血は良く起こる病気の症状。ワクチンを投与された人でもこの症状が起こった人がいた」と"正しい情報"を知りたいですね。そもそも病気の症状がどういうものかという情報がないと、ある症状が出た時にワクチンのせいかの判断がつきません。
現在の患者の利益を損なわず、新しい薬や治療を一刻も早く実用化するにはどうしたらいいか。その知恵が問われています。今回の報道がそのための重要な一石になると信じています。
患者団体が間違った不安を感じさせるなと抗議しています。現在の患者の利益を損なわないとはどういう意味でしょうか。患者達を無用に不安に陥れて本来の正しい情報に基づいた判断ができないようにすることは患者の利益を損なっていないという認識なのでしょうか。そうだとすると大牟田透氏の日本語と私の日本語はあまりにも異なる言語なのかもしれません。
そういえば、先の記事では≪厚労省は朝日新聞の取材に対し「早急に伝えるべきだ」と調査を始め、9月17日に中村教授らに事情を聴いた≫≪厚労省調査は今も続いている。≫なんて厚労省があたかも医科研を糾弾する朝日新聞側のサポートとして書いていました。
しかし、「因果関係があれば、早急に伝えるべきだ」というのが正確なところで、朝日新聞側が勝手に前提条件を切り落としたということが分かったとたんに、掌返しで島雅典・臨床研究情報センター長に「薬事法の適用を受けない臨床試験を可能にしているのは研究者、医師の無理解と厚生労働省の怠慢です。」と言わせて厚労省叩きに問題すり替えです。
著作権法の話もありますが、末端とはいえ一応は医療に関わる身としてこの件には強く不満がありますので、記録保持のためにasahi.comから朝日新聞社の報道記事全文をここに記録させていただきます。
「10月15日の朝日新聞の記事」
東京大学医科学研究所(東京都港区)が開発したがんペプチドワクチンの臨床試験をめぐり、医科研付属病院で2008年、被験者に起きた消化管出血が「重篤な有害事象」と院内で報告されたのに、医科研が同種のペプチドを提供する他の病院に知らせていなかったことがわかった。医科研病院は消化管出血の恐れのある患者を被験者から外したが、他施設の被験者は知らされていなかった。
このペプチドは医薬品としては未承認で、医科研病院での臨床試験は主に安全性を確かめるためのものだった。こうした臨床試験では、被験者の安全や人権保護のため、予想されるリスクの十分な説明が必要だ。他施設の研究者は「患者に知らせるべき情報だ」と指摘している。
医科研ヒトゲノム解析センター長の中村祐輔教授(4月から国立がん研究センター研究所長を兼任)がペプチドを開発し、臨床試験は08年4月に医科研病院の治験審査委員会の承認を受け始まった。
朝日新聞の情報公開請求に対し開示された医科研病院の審査委の議事要旨などによると、開始から約半年後、膵臓(すいぞう)がんの被験者が消化管から出血、輸血治療を受けた。医科研病院はペプチドと出血との因果関係を否定できないとして、08年12月に同種のペプチドを使う9件の臨床試験で被験者を選ぶ基準を変更、消化管の大量出血の恐れがある患者を除くことにした。被験者の同意を得るための説明文書にも消化管出血が起きたことを追加したが、しばらくして臨床試験をすべて中止した。
開示資料などによると、同種のペプチドを使う臨床試験が少なくとも11の大学病院で行われ、そのすべてに医科研病院での消化管出血は伝えられていなかった。うち六つの国公立大学病院の試験計画書で、中村教授は研究協力者や共同研究者とされていたが、医科研病院の被験者選択基準変更後に始まった複数の試験でも計画書などに消化管出血に関する記載はなかった。
厚生労働省の「臨床研究に関する倫理指針」は「共同で臨床研究をする場合の他施設への重篤な有害事象の報告義務」を定めている。朝日新聞が今年5月下旬から中村教授と臨床試験実施時の山下直秀医科研病院長に取材を申し込んだところ、清木元治医科研所長名の文書(6月30日付と9月14日付)で「当該臨床試験は付属病院のみの単一施設で実施した臨床試験なので、指針で規定する『他の臨床研究機関と共同で臨床研究を実施する場合』には該当せず、他の臨床試験機関への報告義務を負いません」と答えた。
しかし、医科研は他施設にペプチドを提供し、中村教授が他施設の臨床試験の研究協力者などを務め、他施設から有害事象の情報を集めていた。国の先端医療開発特区では医科研はペプチドワクチン臨床試験の全体統括を担う。
厚労省は朝日新聞の取材に対し「早急に伝えるべきだ」と調査を始め、9月17日に中村教授らに事情を聴いた。医科研は翌日、消化管出血に言及した日本消化器病学会機関誌(電子版)に掲載前の論文のゲラ刷りを他施設に送った。論文は7月2日に投稿、9月25日付で掲載された。厚労省調査は今も続いている。
清木所長は論文での情報提供について「朝日新聞の取材を受けた施設から説明を求められているため、情報提供した」と東大広報室を通じて答えた。(編集委員・出河雅彦、論説委員・野呂雅之)