吊られた男の投資ブログ (インデックス投資)

投資信託を使った低コストインデックス投資/パッシブ投資(バイ&ホールドの国際分散投資)で資産形成を行っている一般サラリーマンの吊られた男が、主に投資やお金のことについて語るブログ。時々、投資やお金以外の話もします。



分配金

余力のないグロソブが分配金を35円から20円に引き下げていた

「グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型)」 分配金のお知らせ (2014年1月17日)
さて、当ファンドは、2014年1月17日に第193期の決算を迎え、当期の分配金(1万口当たり、課税前。以下同じ。)をこれまでの35円から20円と致しましたことをご報告申し上げます。
基準価額が5000円前後をウロウロする中で35円分配を続けてきたグロソブですが、この1月から分配金を20円に引き下げていました。続きを読む







投資信託の無分配と公平性と租税回避

相互リンクをしている高配当ETFで戦略的インデックス投資日記にて投資信託の無分配期間についてのアンケートというアンケートを実施しています。


先日の分配金を出したSMTインデックスシリーズで触れましたが、投資信託において利益が出ているのに無分配を続けるのは許されないような空気があるようです。

実際にそのような無分配を続けたファンドがあって、それに対して金融庁が指摘したとか指摘したことがないという話が無いので、実際のところは分かりませんが、ずっと無分配は難しいという声は運用会社などからもちらほら聞こえています。


ここからが本題。
以下は、私が推測する永久無分配の投資信託を認めることが難しい理由です。(関係者なら真の理由をご存知かとも思いますが、私は知りませんので推測)


●課税の公平性
まず証券投資の基本として株式や債券への直接投資があります。
無配当株やゼロクーポン債などを除くと、株式は保有していれば配当金が出て、債券は利金があります。これらは課税対象です。現物株・生債券に投資していると通常は自然と課税されます。
ここがベースラインです。

その株式・債券を投資信託という皮で包むと、今の投資信託という制度上、配当金や利金がファンドの皮に守られて課税されません。そして、そのまま非課税のまま再投資できます。

これは株式投資や債券投資をしている人から見ると不公平な話です。



●租税回避スキームの禁止
上に関連しますが、投資信託なら非課税という仕組みを悪用して租税回避のツールとして利用されることも考えられます。

仮に三菱商事普通株にのみ投資する【三菱商事ファンド】という無分配ファンドを想定してみます。三菱商事株の配当利回りは約3%としましょう。

三菱商事の普通株へ直接投資すると、3%の配当金に対して20%の税金がかかるので、投資元本の0.6%相当が年間に税金で取られる試算になります。再投資しても税金で取られた分は返ってきません。

一方、三菱商事の株式を投資信託というスキームで包んだだけの三菱商事ファンドの場合、配当金へ課税されません。
信託報酬を0.2%取られても三菱商事株に投資するより投資家は有利に再投資できます。最終的に積みあがった資産を売却した時には課税対象ですが、税の繰り延べ効果で複利運用した分のメリットが出てきます。

このように、無分配型ファンドを認めてしまうと、節税スキームとして投資信託が利用されかねません(実際には1銘柄のみ放り込む投資信託を組成するかはわかりませんが、財閥系商社ファンドとかなら…)。

また、金融庁や国税としても、本来なら税金として取れるはずのものをファンド販売会社や運用会社にかすめ取られることも看破できないでしょう。


投資信託の無分配を認めにくいのは、上で書いたような株式投資や債券投資との公平性、また租税回避スキームとしての利用を禁じるという理由はあるのではないでしょうか。
そのような理由であれば、ある程度の正当性があるように考えられます。無分配型投資信託の登場を強く期待してはいますが、そう簡単に無分配にすればみんなハッピーというものでもなさそうです。



分配金を出したSMTインデックスシリーズ

すでにいくつかのブログ等でも取り上げられた話です。

インデックス投資家から人気のSMTインデックスシリーズが、この5月10日の決算で分配金を出しました。


SMT インデックスシリーズ

 ・SMT 日経225インデックス・オープン: 0円
 ・SMT TOPIXインデックス・オープン: 0円
 ・SMT グローバル株式インデックス・オープン: 20円
 ・SMT 新興国株式インデックス・オープン: 20円

 ・SMT 国内債券インデックス・オープン: 0円
 ・SMT グローバル債券インデックス・オープン: 20円
 ・SMT 新興国債券インデックス・オープン: 20円
 ・SMT J-REITインデックス・オープン: 20円
 ・SMT グローバルREITインデックス・オープン: 50円



楽天稼業さん(@rakuen_kagyou)の以下のツイートのリンク先の資料「日本版ISAと無(低)分配志向と日本株ファンド」(国際投信投資顧問) で書かれているように、利益が出ているのに無分配で見逃してもらえるのは3-4年程度というところで出した分配金でしょうか。


規制当局から睨まれてしまう・・・となれば仕方ない話です。はい、仕方ない話です。

仮にそれが理由であれば、現在は分配金を出していない他インデックスファンドにもそういう時期がやってきてもおかしくありません。他インデックスファンドが今後分配金をどうしていくのかは非常に気になります。


●最後に
Buy&Holdの投資家のわがままを言わせていただくと、そのような理由があったとしても分配金は不要です。なるべくない方が望ましい。普通分配金であれば再投資するにしても税金がかかってしまいます。
何とかなりませんかね…



分配金を出した年金積立インデックスファンド海外新興国(エマージング)株式

そういえば、年金積立インデックスファンド海外新興国(エマージング)株式の年に1回の決算がありました。

新興国株式インデックスファンドの先駆けとして注目された年金積立インデックスファンド海外新興国(エマージング)株式でしたが、その後の後続ファンドに押されて存在感が皆無に近くなっていました。

しかし、最近は大幅な信託報酬引き下げ(2012/2/17「年金積立インデックスファンド海外新興国(エマージング)株式」信託報酬率の引き下げについて )で再びその存在に光が当たっています。


この決算で注目されたのが、分配金の有無です。
前回は10円の分配金を出しましたが、インデックスファンドの大きな支持者であるパッシブ投資派(インデックス投資派)の多くは無分配を期待していました。

その結果は・・・10円の分配金を出すという結論でした。

年金積立インデックスファンド海外株など年金積立シリーズは分配金を出すシリーズで来たので予想通りの展開でしたが、サプライズ(=無分配)に期待した組には残念な結果になりました。

たった10円の分配金として年金積立インデックスファンド海外新興国(エマージング)株式を選ぶか、それとも実質コストが比較的低かったFunds-i新興国株式を選ぶか、eMAXISにするか、SMTにするか、それともETFか…新興国株式アセットはまた難しくなりました。



おかしな分配金をなくす方法

先の分配型投信を上手く規制できるか?で書いたように、日経新聞が報じるような分配金規制は簡単ではないと思います。
その理由は先のエントリーで書いたとおりです。

しかし、今の分配型投信には大いに問題があり、そこはなんとかされるべきです。

まず分配金の仕組みを分かっていない人が相当数います。分配金は自分が信託している財産の中から返ってくるものということを知らなかったり、分配金再投資をしないと資産は増えないと思っていたり。

また、単純に元本を払い戻すことが禁止されているので、運用会社も何とか投資家から預かったお金を分配可能なお金に変換しようと躍起になっています。
配当・利金が高いハイリスク証券を買ったり、為替ヘッジやカバード・コールを利用したりして分配可能なお金に変換しようとします。そのせいで期待リターンを上げるどころか、分配原資を増やすためにはリターンを押し下げることも辞さないようなファンドすら出ています。
 ※参考:分配金規制がおかしな分配金システムを促進する

しかも、その複雑な仕組みのせいで、無知な投資家には分配金の妥当性判断がなおさら難しくなっています。(ハイイールド債のクーポンがX%でレアルの金利がY%で…のように)


しかし、分配金憎しといって、分配金全てを禁止しろとは思いません。そのようなファンドの特性を分かっての上で利用する人がいてもいいでしょう。

分配金のことをロクに説明しない販売側に大きな責任があります。
明らかに誤解させるような説明をする売り手もいます。また説明はしても、都合のいいところだけ強調して取り上げて、都合の悪いところはサラっと流すことが通常です。
そのような販売方法が野放しにされていることこそが問題でしょう。

下手な規制なども受けずに、そのような販売方法をできなくするように分配金とは何ぞやを分かりやすくすればいいのです。

以下は思いつきレベルですが、私が考える分配金対策です。

(1) 分配金の名称変更
分配という言葉の響きが良くない。
「利益を分配する」のように、自分が信託している財産の外から分配されてくるという印象を与えます。
自分のお金が自分に返ってくることを分配と呼ぶことが混乱の大きな要因です。
投資家自身が信託している資産の一部が戻ってくるのですから、「取崩金」という名前ではいかがでしょう。

また、「普通/特別(分配金)」という表現も会計上の概念が優先となっていて分かりにくい。特別分配金などと言うと、何も知らない人に「特別な分配金」と言うとボーナス分配金のことだと勘違いしかねません。
含み損でも分配されることが常態化されて普通のことですから、普通分配金=利益でもないでしょう。
利益分/元本分とでも呼んではどうでしょうか?

整理すると、次のようになります。
 ・普通分配金 ⇒ 利益分払戻金 (もしくは利益分取崩金)
 ・特別分配金 ⇒ 元本分払戻金 (もしくは元本分取崩金)


これでずいぶん、本質的なものと近いイメージになっているような気がします。


(2) 信託財産の取り崩しであること、取り崩し額が運用会社の裁量で決まっていること前面に出した定型説明文書を目立つように配置することを義務化

今でも分配金の金額は分配可能額の範囲内で運用会社の自由裁量で決まります。基準価額が5千円で4千円分配も可能です。

「払戻金は、投資家の皆様が信託されている財産を取り崩して払い戻す制度です。なお、その払い戻し額については基準価額を最大として運用会社の裁量で決定します。」とでも目論見書の目立つ所にデカデカと書かせればよい。販売員の説明でもこれを徹底させます。
安定した分配金を出す毎月分配型については「毎月払戻型の当ファンドは投資家の皆さまからお預かりしている財産を毎月弊社の裁量で金額を決めて払い戻します。なお、払戻金を安定して出すことを考えますので、損失が出ていても払戻金を出すことを優先します。」とでもデカデカと書かせればよい。


「分配型の投資信託は投資家の強いニーズがあるから売れているんだ」という販売側の意見を聞きます。そんなに強いニーズがあるならば、このような説明をされても揺るぐことなく、分配金の特性を知っての上で分配型投信を買うでしょう。



私の著書 - ズボラ投資
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