吊られた男の投資ブログ (インデックス投資)

投資信託を使った低コストインデックス投資/パッシブ投資(バイ&ホールドの国際分散投資)で資産形成を行っている一般サラリーマンの吊られた男が、主に投資やお金のことについて語るブログ。時々、投資やお金以外の話もします。



公務員

公務員の給料は高すぎるのか? (2)

前のエントリーである『公務員の給料は高すぎるのか?』は予想外に反響が多かったので、追加エントリーです。

まず大事なのは公務員のサービスに何を要求するかです。
世の中には政府(地方自治体含む)でないと実施が難しかったり、政府がやった方が望ましいとされるサービスがいくつかあります。警察、消防、国家防衛、道路計画や維持管理、上下水の整備、税金の徴収や管理、公共教育の計画管理等々。電力や電車などは国によって違うところですが含まれることもあります。
このような政府が行った方が良いとされるサービスを実施するのが公務員の仕事でしょう。(厳密に言えば、国家防衛のための兵器開発は民間企業が担っていたりもしますが、中心という意味では自衛官と考えます)

上のようなサービスには安定供給が期待されます。
「今年はリソース不足なので、警察業務は停止します」「今年はリソース不足なので確定申告の還付は行えません」「今年はリソースがあるのでたくさん取締りをやります」なんて話では困ります。

そのようなサービスを提供するために公務員がいると考えると、継続的にそのサービスを提供するにはどういう仕組みにするべきかを考える必要があります。

公務員が同種のサービスを提供する多くの企業のうちの一つであれば、大した問題はありません。公務員がダメでも他の企業が行えばいいことです。
しかし、問題なのは公務員のサービスは替えが効かないことです。
競争がある分野の民間企業であれば、1社のサービスが停止しても替えがあります。Just in Time方式で部品の在庫を持っていないメーカーが部品供給ストップで業務を停止しても他メーカーがいます(トヨタ、日産、ホンダの代わりにはGM、フォードなどがいます)。また、民間企業は必ずしも毎年の業績が安定している必要もありません。今年はダメでも来年頑張ればいいとも言えます。しかし、上に書いたように公務員のサービスでは「一昨年、去年は裁判できなかったけど、今年はその分たくさん裁判をこなした」では困ります。

・公務員のサービスは替えが効かない
・公務員のサービスは安定している必要がある

公務員のサービスは、自動車メーカーのように部品供給が止まったから生産ストップとするわけにはいかず、サービス供給のための資源を確実に確保できるようにしなくてはなりません。リソースの基本はヒト、モノ、カネですが、安定的にヒトを確保できるでしょうか?
安定的に人材を確保できるだけの魅力的な条件を掲示することが重要です。そうすることで安定的に人材が応募してきてヒトの面でのリソース不足のリスクを回避もしくは軽減できます。

私の関連する業務関係で独立行政法人の例ですが、独立行政法人医薬品医療機器総合機構の審査官は不足しています。これは待遇が十分ではないからです。本来であれば産学の世界で生まれた最新のセオリーなども用いた審査に対する知識も持って対応できる人材がいなくてはならないのですが、そんな人は民間なら遥かに高い水準の収入を得られます。
そうすると人材が集まりません。独立行政法人医薬品医療機器総合機構の年収は民間全体の平均よりははるかに高いですが・・・その結果、新薬等の審査に遅れが生じたりもします。


いずれにしても、普通の民間企業と違って安定的にサービス提供を要求されるとなると、その安定性のためのコストが余計にかかるのが自由経済の世界の流れでしょう。
部分的にバス運転手の給与が安定性を維持する以上に高すぎるならそこは是正されるべきです。ただ、そういう部分の問題を全体の問題と同一視されるべきではありません。

(対極とまでは言いませんが、私自身はいきなり全社員が集められて「ここはクローズすることが決まった。これは最終決定だ」と言うような外資系の民間企業で働いています。また、親族も民間企業の倒産で仕事を失ったりもしています。ですのでポジショントークで公務員を擁護するつもりは一切ありません。)







公務員の給料は高すぎるのか?

「公務員の給与が高すぎる」という話もよく聞きます。

少し古いですが、ここにあるような数字で、上場企業平均よりも高いなんて、というような批判もあります。
計算を間違えていなければ公務員の給与が民間より高くなるデータが出ても間違っていません。しかし、データをどう解釈するかは別問題で、即「民間並みに引き下げろ」という結論に達していいものか疑問に感じています。

日本が好景気だったバブル時代に戻ってみると、民間が高給取りで公務員は不人気職種でした。地方公務員は人が集まらず必死に人材募集をしていたと聞きます。民間は景気に連動する形で給与が上がっていったにもかかわらず、公務員はそれについていけなかったのです。
バブル以降の日本は逆に不景気であり、それに合わせるように民間企業の給与は下がっています。
単純に以下のような仕組みでしょう。

・好景気では民間が有利
・不景気では公務員が有利

不景気が続いているからディフェンシブ株や公務員の方がパフォーマンスがよくなりがちということです。公務員の給与が良くなる条件の時に公務員の待遇について文句を言うのであれば、好景気の時の公務員の待遇について文句が言われるべきでしょう。好景気を謳歌して「公務員なんかになる奴は落ちこぼれ」のように言っていた民間が、不景気になると公務員の給与はおかしいということが正しいのでしょうか。
公務員の給与を引き下げろという主張があってもいいですが、単純に今の条件で民間より高いというだけでの批判はアンフェアです。

また、好景気になると公務員人気が衰えて人材確保に困るというケースも考慮されないと国家運営上まずい。今の待遇でさえも景気がよくなれば人材が集まらない中で、どうやって公務員の人材を確保すべきかを考えないと問題になります。


== 2011/5/2 0:50追記 ==
予定外に人気エントリーとなったので、続編を書きます。



市職員の給与がオバマ大統領の2倍

ロイターにあったアメリカの公務員の給与のニュースです。
日本でもありがちな「公務員貰いすぎ!!」という種類の記事です。

大統領給与の2倍得る米市職員、年金給付も26億円超か (ロイター)
並外れて高い職員給与が明らかになった米カリフォルニア州ロサンゼルス郡のベル市で、オバマ大統領の2倍近い給与を得る幹部職員の年金給付額が、合計3000万ドル(約26億円)を超える可能性があることが分かった。
CFFRでは、年間給与が78万ドルを超える同市総務責任者の年金額を試算。その結果、退職初年度には約88万5000ドルが支給され、その後社会保障費なども加わって、83歳には年間148万ドルに膨れ上がることが判明した。
ただ、CFFRの責任者は、現行の規則ではこの額が支給されるのはやむを得ず、「違法性があると思えない」と話している。

市職員給与がオバマ大統領の2倍、米検察が高待遇を調査 (ロイター)
 20日付のロサンゼルス・タイムズ紙によると、同市の総務責任者の年間給与は78万ドル(約6700万円)超。市政代行官補佐は約38万6000ドルで、オバマ大統領の40万ドルをわすかに下回る水準だという。
 同市では住民3万7000人の約4分の1が、食料の無料配給を受ける貧困層。


市の総務責任者の給与で年78万ドルですか。日本では公務員批判が多いですが、アメリカでもこういう楽しい事例があるようですね。



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