吊られた男の投資ブログ (インデックス投資)

投資信託を使った低コストインデックス投資/パッシブ投資(バイ&ホールドの国際分散投資)で資産形成を行っている一般サラリーマンの吊られた男が、主に投資やお金のことについて語るブログ。時々、投資やお金以外の話もします。



個人投資家

日経ヴェリタス『個人投資家 七転び八起き』に掲載されました

v日経ヴェリタス 個人投資家 七転び八起き 日経

もう新しい号が出るタイミングですが、日経ヴェリタス414号69面の『個人投資家 七転び八起き』というコーナーに掲載されました。
 ※2016年2月21日22時45分追記: WebのNIKKEI STYLEに掲載されました。

日経ヴェリタスは、前回掲載された以降に取材を受けたことは有りましたが掲載に至らず…ということもあって久しぶりの掲載です。

『個人投資家 七転び八起き』では一般の投資家の投資遍歴が語られるコーナーであり、私は2002年に勤務先の企業型確定拠出年金で投資を始めたところから今までの投資歴がまとまって紹介されています。
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「出口戦略」という用語の定義を整理しておきたい

Exit Strategy
Buzzword Bingo: Exit Strategy / planeta

個人投資家の投資の世界で「出口戦略」という言葉が使われることがあります。

しかし、この用語の使われ方で時々「???」と頭にはてなマークが浮かぶことがあります。


一般的に出口戦略とは特定の政策などを終了する際に使われます。
例えば、「イラク問題/戦争の出口戦略」「異次元金融緩和の出口戦略」のような「●●の出口戦略」といった表現です。投資の世界では、ベンチャーキャピタルが特定の会社に提供していた資金を回収するために株式を売却する場合などにも出口戦略と言われます。
つまり、出口戦略が実施されれば、それは●●の終了を意味します。

そのような言葉の使われ方を頭において「個人投資家の出口戦略」を考えると理解しにくい用法があります。
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個人投資家とプロの成功条件は違う!!プロを参考にするな!!

ヘッジファンドや投資信託のファンドマネージャなど、投資の世界の資産運用で報酬を得ているプロと言われる人たちがいます。彼らは日々、自らの能力を示して報酬を得ている人たちで運用知識やスキルを磨くことに力を注いでいます。

しかし、彼らの運用方法をそのまま個人投資家に適用することはできません。
それは、投資における成功の条件が全く違うからです。


個人投資家にとっての成功は運用資産の運用益です。失敗は運用資産の運用損です。個人投資家の場合は成功と失敗が対称です。当たり前のことですが、ここが重要です。

しかし、プロにとっての成功/失敗は個人投資家とは違います。プロの成功は運用成功に対する報酬(運用益の●%という成功報酬ならほぼ運用益に比例)ですが、失敗は運用資産の損失ではありません。失敗はクビを切られて職を失うことであって、運用損はファンドマネージャの損失にはなりません。

個人投資家が100億円を運用して運用益が20%ならば利益は20億円です。運用損が20億円ならば損失は20億円です。
しかし、プロの場合(成功報酬が利益の20%とすると)20億円の運用益を上げると利益は4億円です。しかし、20億円の運用損を出しても彼は4億円の損失にはなりません。仕事から放り出されておしまいです。最大損失が職を失うことで固定されていて利益は青天井なのですから、どうせ20%の損で首を切られるなら30%でも40%でも同じです。数百億円の運用損を抱えるリスクを取ってでも成功時のリターンが多いことに賭けた方が合理的です。

このような成功・失敗基準で運用しているプロのやり口を個人投資家が真似するのは極めて危険です。

「プロが取っているポジションだから」
「プロが組んでいるポートフォリオだから」

これは危険です。プロはそれで失敗しても報酬を失うだけで巨額な運用損は他人事です。同じ手法で運用していたとしても馬鹿を見るのは個人投資家とプロに資産運用を任せていた人たちです。
絶対収益追求と言われる戦術でも、95%の確率でコツコツ利益を積み重ねてドカンと損する手法かもしれません。たまたまはじめの10年間は5%の損失パターンが出ていないだけかもしれません。それで10年間の実績を信じて投資してドカンとやられても誰も責任は取ってくれません。

ヘッジファンドの運用方法は、ヘッジファンドに適切な運用なのか個人投資家にも適切な運用方法なのかは注意が必要でしょう。
逆にヘッジファンドでは採用されないような運用手法でも個人投資家には有効な投資方法もあるかもしれません。


【参考】
第二十八回 成功報酬について考える(山崎元のホンネの投資教室)
経営者とファンドの運用者の最適な報酬とは(山崎元のマネー経済の歩き方)



投資する時に考える順番はリスクが最優先

「今は中国株が凄い儲かるらしい」→「よし中国株投信だ」
「100万円を1000万円にするぞ」→「よしFXだ」
「ブラジルは高金利だ」→「よしブラジル債券投信だ」


このように投資に飛びつく人は多い。
こういう投資の仕方は良くないということは分かっている人も多いでしょう。

他にも「A証券会社に口座を開いた」→「A証券で売っている商品に投資だ」なども投資の仕方としては良くない例でしょう。


「20年後に3000万円の金融資産が欲しい。月々の積立で●円、ボーナスで▲円投資できるから、年平均×%で運用できれば目標達成できる。効率フロンティアで考えると、日本株A%、先進国株B%、新興国株C%、先進国債券D%でこのリターン達成だ。」→「よし投資だ」

それでは、この投資の仕方は良いでしょうか?
このケースは、先の例より迷うかもしれません。しかし、私の考え方だとこれもダメです。

このケースでも先の完全にダメなケースと同様の欠点があります。


それは、リスク許容度を考えていないことです。



投資で一番重要なのは金融商品を決めることでも、アセットを決めることでも、目標リターンを出すことでもありません。まずは許容できるリスクを考えることです。
デイトレーダーの多くはこのルールを持っています。「デイで決済する」「何pip下がったら損切り」などというルールです。このルールは期待リターンを増やすわけではありませんが、リスクコントロールの手段です。

長期投資でも同じです。まず、一番先に決めないといけないのはリスクです

許容できるリスクが分からずにリターンに目がくらんで、20年後に3000万円に届く可能性が高い投資法に手を出すのは危険です。マイナス方向のリスクが実現した時に、減っていく資産に耐え切れなくなって損切り退場となってしまう可能性があります。

2008年の株価下落局面では、こういう「期待リターンはある程度分かっていて、分散ポートフォリオを組んでいた風」な人で退場になった人がいたように思います。これは自分が許容できるリスクを把握していなかった結果です。一般的に期待リターンは高めるとリスクは高くなりますから、許容リスクを考えていないとリスク過剰になりがちなのは仕方ありません。



何より先にやるべきことは自分が許容できる最大損失を考えることです。
10%の損に耐えられない人は、その条件で投資商品や方法を絞りましょう。投資商品や方法を先に決めてはいけません。いくら私のような人が「株式重視の方が期待リターンは大きくなる」と言っても、許容リターンが10%の人は私が推奨する投資法は拒否すべきです。

投資の順番は【リスクとリターン】です。【リターンとリスク】ではありません。リスク・ファースト、リターン・セカンドです。

しかし、長期分散インデックス投資を推奨する本でも「リスクとリターンを考えましょう」と一緒くたに語り、読み終わった時にはリスクよりリターンが頭に残る作りが多いように感じます。

リスクを第一にアピールする初心者向け投資本は出ませんかね?



家計部門の金融資産動向

家計部門の金融資産の動向
- 金融危機下における家計の資産運用スタンスの変化 -

(みずほリサーチ)

こんなレポートがありました。似たようなレポートは他にもありますが、今回はこのレポートをネタにします。

前半では2002年〜2008年のリスク性資産比率と安全性資産比率などがありますが、ここは飛ばします。


注目したのは以下の3期間における投資信託の資金流出入。
(1)2008年4月〜2008年8月
(2)2008年9月〜2009年3月
(3)2009年4月〜2009年6月


(1)2008年4月〜2008年8月
日経平均が12000円から14500円くらいまで回復して、また12000円台に戻ってきた期間です。この期間の投信の資金流出入は圧倒的にプラス。
特に上昇月の4月、5月は4500億強と大幅な資金流入超。

(2)2008年9月〜2009年3月
リーマンショックの2008年の9月と10月。その後の2009年年初までゆっくりと回復基調を見せたが、そこから下げて3月前半に日経平均がバブル後最安値をつけた株の低迷期。
この期間では資金流出超。
10月に7400億円超、11月に2100億円超、12月には1700億円超の資金流出。2008年末から回復基調を見せてきた2009年1月には388億の資金流入超に戻すが、再下落した2月には883億円の資金流出超。前半に底値を付けて急上昇した3月には65億の資金流出超まで回復。

(3)2009年4月〜2009年6月
3月後半の急激な上昇の流れを引き継ぐかのように相場が一本調子で回復した3ヶ月。特に4月末〜6月前半は急上昇で回復。
この期間は3ヶ月ともに資金流入超。特に5月は5000億超と大幅な流入超。



(よく言われることですが、)ここから見るに、個人投資家は相場が上がっているのを見るとその波に乗ろうとし、相場が下がっているのを見ると下りようとするという傾向があるのかもしれません。相場の後追いですね。



私の著書 - ズボラ投資
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