吊られた男の投資ブログ (インデックス投資)

投資信託を使った低コストインデックス投資/パッシブ投資(バイ&ホールドの国際分散投資)で資産形成を行っている一般サラリーマンの吊られた男が、主に投資やお金のことについて語るブログ。時々、投資やお金以外の話もします。



企業

日本の歴史ある大企業の没落はいいことだ(ある面では)

・エルピーダ破綻→NEC危機 (時価総額3000億円割れ)
・シャープのとめどない赤字→株価200円割れ(時価総額2100億円)
・パナソニック/ソニー等の電機メーカー各社の苦戦

いろいろと日本の歴史ある大企業が市場を賑わせています。
「日本の大企業は何をやっているんだ」「日本企業はどうなっているんだ」というような声も聞こえてきます。

しかし、これは良いことではないでしょうか。

少し前を振り返れば、日本はトップ企業の顔触れが変わらないことが問題視されていたはずです。昔の日本の大企業の顔触れと今の顔触れを比較してもほとんど変わりがありません。

本来なら企業間で常に競争があって敗れた企業にはご退場いただくのが基本なはずです。
アメリカでも航空会社の多くが倒産しました。GMやコダックもあります。その替わりと言っては…ですが、Google、Amazonのように急激に成長した企業も出てきています。
日本はこのような企業の新陳代謝が無いことが問題視されていたはずです。

戦術を誤った大企業が淘汰されること自体は問題は無いはずです。ここで「日本企業によって淘汰されるのではなく、ソーラーは中国、テレビは韓国にシェアを奪われているんだからダメだ。だから守らなくては」とやっていては、無策な大企業を延命させることになり、日本企業全体がゆっくりと沈下しかねません。







企業はキャッシュが潤沢にあっても自由に使えるわけではない

以前も似たような記事を書きましたが、今日このテーマで話すことがありましたのでもう一度。

キャッシュを潤沢に持っている企業も数多く有ります。しかし、そのような企業がわざわざ金利支払いが発生する社債を発行して資金を調達することがあります。

一般家計の話から考えると、「なんで手持ちの現金を使わずにお金を借りるの?意味が分からない」と思うかもしれません。しかし、これは合理的な行動です。

手持ち資金を使わずに社債を利用するのは税金の関係です。多くのキャッシュを持つ企業は世界中でビジネスを行っています。
その結果、本社のある国以外の国で多くの利益を積み上げることもあります。しかし、この利益を本国に戻してしまうとその時点で税金がかかってしまいます。
仮にアメリカ企業が新興国で稼いだ利益1兆円をアメリカに戻そうとした時に法人税が35%だとすると、3500億円も税金で取られてしまいます。そのような場合、企業は外国で稼いだお金がアメリカに送金せずに外国に留まるという判断もします。

外国に1兆円のキャッシュがある状態でアメリカ企業買収を考えたとします。アメリカでお金が必要になります。その時に、外国のキャッシュを本国に送金して税金を取られた残りを使うより、社債を発行して資金を確保した方が得という局面が生まれます。

このように利益への課税を引き伸ばしながら、企業は特別な減税政策をやってくれることを虎視眈々と狙っているのです。
不景気になると企業は売上げも落ちて大変だというのは真実ですが、不況でこのような本国還流の税金を引き下げてくれると、好景気で稼いだ利益をまとめて還流して節税するチャンスでもあります。



やる気がない若者は責任感が強いかも

最近の地震や福島原発に対する日本政府や東京電力のリーダー達を見て、苛立ちを覚えている人が多いと思います。この不満は立場と責任の不一致からきているのではないでしょうか。
首相にはその立場に応じた責任があります。東京電力など企業の社長や経営陣も同様です。首相や東京電力のリーダー達への不満は、立場に付随した責任が果たされていないからでしょう。

とはいえ、このエントリーは首相や東京電力の話ではありません。
※必ずしも日本に限った話ではありませんし、日本の全てがそうだとは言いませんが、以下は一般的な傾向の話です

「出世なんてしなくて良い、一生平社員で構わない。」と言う若者が増えていて、やる気が無いというレッテルを貼られもしていますが、このような若者の方が責任感が強いのかもしれません。

昔の日本の大企業の多くでは、ほとんどの平社員は課長になることを喜び、課長は部長になることを喜び、部長は取締役・・・と上の役職を目指すことが当然という風潮がありました。そのような人たちが「出世なんてしなくていい」という若者の声を聞いて、「最近の若者はやる気が無い」と言いたくなるのかもしれません。しかし、少し考えるとこれは必ずしも正しくないとも言えそうです。

課長という職業には課の長という立場に応じた責任があります。部長は部の長ですからその責任があります。「私はその責任を引き受ける。何かあれば私の責任だ」と受け入れることが長になることです。
特に近年では「企業責任」「コーポレートガバナンス」といった企業の責任に対する言葉や「自己責任」と個人に対しても責任を求めるような言葉も広まっています。責任への意識が上がっています。役職アップはただの給料アップや権利拡大だけではありません。
あるセミナーで講師の方が「課長や部長が高い給料を貰っているのは、何かあった時に責任を取ってもらうため」とも言っていましたが、その通りです。

旧来の出世競争に邁進して経営陣や管理職になった人たちは、その役職につくときに、どれだけそのポジションの責任を意識していたのでしょうか。
「私の企業はこのような事業を行っており。自分の担当するエリアはこれだけの責任を負っている。何かあったらその責任は自分が引き受けることになる」という覚悟を持っている人がどれだけいるか。少し怪しいものです。


「出世なんてしなくて良い、一生平社員で構わない」という若者は「管理職になると責任とか重くて嫌だ」のように言います。これを「やる気がない」と断じるのは簡単ですが、実は仕事についてより真剣に考えているとも言うこともできそうです。



外国人採用、海外移転は企業責任放棄?

最近は、日本企業が日本人を採用せずに外国人を積極採用することが多くあります。
日本企業が海外に工場を作ることもあります。
パナソニックは外国人を多く採用していますし、シャープも今後は日本人雇用が1/5になるかもと発言しています。

このような日本企業の動きに対して「CSR(企業の社会的責任)を果たしていない」と文句を言う人もいますが、これは少し視野が狭い。

社会を日本という地域に限定するならば、日本に貢献することがCSRであり、日本人雇用はCSRかもしれません。「日本人を雇用しない=CSR果たしていない」という人は自覚/無自覚に関わらずこの社会=日本という立場に立っています。

この立場では、日本外に仕事を展開し、その地域に雇用を創出して地域にも経済効果が波及して貧困生活から抜け出せるようにすることはCSRではないのです。日本人の雇用を守れるかどうかが社会貢献となります。
より一般化すると「日本人の利益に貢献すること=社会貢献」です。
日本人の利益が最大化されれば外国がどうなろうと知ったことではないという立場です。突き詰めれば、日本人の雇用が守られて資源を手に入れられて豊かに暮らせれば、世界で多数の餓死者が出ようが構わないという立場です。


さて、上のような考え方はCSRなのでしょうか?

国の責務を考えると自国及び国民の利益を守ることが究極的な目標としてもいいのかもしれません。

しかし、企業の社会貢献は国や国籍を越えるというのが私の意見です。
トヨタが日本で工場を持って日本人の雇用を創出するのも社会貢献ですし、日産がタイで工場を作ってタイで雇用を創出するのも社会貢献です。
日本国外を主要拠点とする企業が日本法人を立ち上げて日本人の雇用を創出するのもCSRでしょう。私を含め日本国内で100万人以上(2007年データ)の雇用がこの手の外資系と呼ばれる企業によって確保されています。アメリカ系企業が日本人を雇うとCSRに反するというのはおかしな話です。

企業は日本企業、アメリカ企業、韓国企業のように国名をつけて呼ぶことがありますが、本来は無国籍です。
あるアメリカ企業でアメリカ人のジョンが雇用されていればCSRだが、日本企業に買収された途端にジョンを雇用されていることは反CSRとはならないでしょう。

便宜上、日本企業と外資系企業という呼び方を使いますが、本質は同じはずです。



最近の新入社員がだらしないのは企業が悪い

日経ビジネス2011年1月3月号の記事で目を引いた記事です。

『新・金融立国ニッポン』という特集の中で、底入れへの「1人1策」というコーナーがありました。この中でライフネット生命保険社長の出口治明氏のコメントが少し目を引きました。

 日本人の若者の英語力を引き上げるのは簡単だ。小学校から英語の事業を行うことでも、ネーティブの先生を増やすことでも何でもない。日本経済団体連合会が、加盟企業は120点満点のTOEFLで100点以上の学生しか採用しませんと宣言すれば、日本の大学生は必死になって英語を学ぶ。

 最近、若手社員が海外に行きたがらないと嘆く金融機関の経営者が多い。「今の社員は」と若者のせいにしているが、実は問題は経営者自身にある。本気で海外経験が重要だと思うなら、10年間で3カ国の経験を積んだ社員でなければ管理職にしないと宣言すればいい。海外子会社の経営に携わった経験がない管理職は役員になれないという明確なルールを作ればいいのだ。
 現実には、日本の金融機関では社長の近く、つまり本社から離れずにいた人が偉くなるのが実態だ。役員の経歴を見れば一目瞭然。経営企画や社長室、人事部にいた人が出世する。そういう現実を見ている若手社員が、わざわざ海外を希望するはずなどないのだ。

経団連がTOEFL100点以上で縛るような話は現実的ではありませんが、面白い提言です。
人間があるスキルを習得しようとするのはそこにインセンティブがあるからです(一部道楽でやる人もいますが少数派)。そのように考えた時に就職や出世や給料がエサにされれば確かに勉強するでしょう。

特に後段の話は正鵠を射ています。欲しいという学生を活かす体制が用意されてもおらず、しかもその基準に満たない学生を採用しておきながら企業が文句を言うのは筋違いでしょう。海外でバリバリ働く人が欲しいのであれば、海外でバリバリ働くと、多い給与がもらえたり、出世できたりする仕組みが用意されていないと話になりません。
外国語ができるという理由で海外を転々と回されて、一方本社では英語ができない人間が本社ローカルルールを熟知していく。そして最終的には本社ローカルルールに染まった人間が経営陣になる。こんな話では英語をまともにやることも海外に行くというモチベーションが湧かないのも一理ある。



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