吊られた男の投資ブログ (インデックス投資)

投資信託を使った低コストインデックス投資/パッシブ投資(バイ&ホールドの国際分散投資)で資産形成を行っている一般サラリーマンの吊られた男が、主に投資やお金のことについて語るブログ。時々、投資やお金以外の話もします。



仕事

複数の収入源を持っておいた方がいいという声も増えているけど安易には……



  • サラリーマンの平均年収は下がっています (平成9年:467万円 ⇒ 平成24年:408万円 / 民間給与実態統計調査)
  • 終身雇用という神話を信じる人が少なくなってきました (そもそも「神話」なんだから信じちゃダメ)
  • 万年課長は揶揄する言葉ではなく、課長になれるならマシくらいにもなりつつあります

上記のようなこともあって、会社に勤めていればOKというシナリオを信じる人は少なくなりました。
そして、「これからは会社に頼っていてはだめだ。他にも収入源を作らないといけない。リスク分散だ」のような主張もよく聞かれます。

しかし、これを一般人向けのアドバイスとして考えた時に、そう簡単に肯定していいものかは悩ましいものです。
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「残業無し、有給100%消化で年収300万」のホワイトジョブは無理

年収300万、残業なし、定期昇給なしはホワイトか?ホワイト300ジョブの提案(ブログ版)
年収300万で、8時間労働、有給100%消化、そのかわり定期昇給はない、というホワイト300ジョブを、多くの企業につくってもらうことを提案します。
これはBLOGOSで注目を集めた大石哲之氏のエントリーです。

なお、ブログでは書かれていませんが、Twitterでは以下のようにも発言されています。


要点を箇条書きでまとめると以下の6点で、こんな仕事を増やせないかという提言です。
 1. 1日8時間労働
 2. 残業無し
 3. 有給消化100%
 4. 定期昇給なし
 5. たいしてプレッシャーのない仕事
 6. 難しくない仕事
 7. 年収300万

しかし、このホワイト300ジョブをたくさん作ってもらうという提言はかなり無茶がありそうです。


Twitterでは、「これで年収いくらならホワイトですか?みなさんの相場をききたいです。」と言われているので、存在する仕事で1-6の条件が近いモノを考えてみました。

すると、ファミレス、コンビニ、ファーストフード等飲食店のアルバイトが思い当たりました。
 1. シフト制のアルバイトなので8時間を設定することは可能
 2. シフト制なので残業はしなくていい
 3. 有給消化100%…ではない
 4. バイトなので定期昇給は無い
 5. 1スタッフであれば プレッシャーは大きくない
 6. 仕事は簡単(ごくたまには難しい仕事を頼まれる人もいるが)

有給消化の条件は満たせていませんが、他は大石氏が提案する労働条件にかなり合致していい感じです。



■ではこれらの仕事の年収はいくらか?

これが重要です。
時給はだいたい1000円以下です。都心でも850円〜1000円位が相場でしょうか。
時給900円として週5日の8時間勤務とすると、月収は以下のようになります。

月収=時給900円×8時間×22日(くらい)=158,400円(くらい)

これに12を掛けると…年収は190万円です。

有給休暇100%取得という条件がなくて年収190万円です。有給休暇100%取得が加わった場合、その休み期間に違う人が働くコストが増えるので給与水準はもう少し下がるでしょう。
年収180万円かそれ以下になるかと思われます。


条件が似た仕事をベンチマークとすれば、「昇給なくていいから残業無し&有給完全消化できて簡単な仕事で300万円払って」というのは、コンビニのアルバイトが「年収190万円を300万円にしろ。有給も100%消化させろ」ですから随分と高い要求です。

「外資系のコンサルに就職したのですが、30代で役員になるひともいて、年収も2000万以上もらえるアップサイドがありました」という記述があるように大石氏の給与水準は世間一般と比較して高かったようです。その大石氏にとって年収300万円は大きく妥協した水準なのかもしれません。

しかし、現実としてはホワイト300ジョブよりも待遇が少し悪いような仕事ですら年収200万円を割るような給与水準です。

給与も低くていいから甘い労働環境の仕事をたくさん作るという話なら、年収は100万円台の後半くらいで話をしないと現実的ではなさそうです。



ブラック企業批判への反論としての「嫌なら止めればいい」論は人間を分かっていない

ブラック起業ネタ(ワタミがブラック街道まっしぐら?)にいろいろコメントをいただいています。

ということで、この手のネタを続けてみます。

「ブラック企業は良くない」という意見に対する代表的な反論として「嫌なら辞めればいい」というものがあります。

しかし、この反論はいくつか欠点があります。
今回はその一つとして人間を分かっていないという点を挙げさせていただきます。

学習性無力感であるとかDVを受け続ける人がいることを理解していません。
「ブラック企業が嫌なら辞めればいい」という人は、電気ショックを受け続けた犬やDVを受け続けている人にも「えっ、そんなの簡単じゃん。逃げればいいじゃん。」と言うんでしょうね。

しかし、これは合理的判断ができる人の意見です。
残念ながら人間はそんなに合理的にできていません。だからこそDVを受け続ける人もいるわけです。

「ブラック企業が嫌ならすっぱり辞められる」「DVを受けたらすぐに別れられる」という人は理屈の上では正しいですが、人間の心理的メカニズムとしては正しくないと言えるかもしれません。

人には育ってきた環境などもあります。
世の中には「途中で逃げたら負け」「嫌でもまずは3年続けてみろ」という感覚を持った人も多く、そのような環境の中で育った人はたくさんいます。そのような刷り込みがある人は多く、彼らに対して「ブラック企業が嫌なら辞めればいい」はアドバイスになっていません。

高いところで足がすくむ人に「ビビらなきゃいいじゃん」は何のアドバイスにもなりませんし、問題解決にもなりません。



グローバル人材ってなんだ?

グローバル人材

ここ数年、世間でよく聞く言葉です。私の勤務先でも出る言葉です。

しかし、その定義は意外と曖昧ですし、どうもグローバル人材とかけ離れたモノを求めているケースも多い。
その最たる例が、帰国子女の日本人をグローバル人材として期待して採用し、「あいつ、英語もできるし海外経験も長いんだけど、逆に日本語少し怪しいし、ずけずけもの言うし礼儀もなってないしちょっとおかしいよね。」のような批判です。

グローバル人材とは、いろいろ定義がありますが、包括的に言ってしまうと世界的にどこでも活躍できる人でしょう。

フランスでもアメリカでもタイでアルゼンチンでもエジプトでも中国でも活躍できるようなジョンさんはグローバルプレーヤーと言えるでしょう。

彼に求められるスキルはなんでしょう?
最初に挙げた批判の例に従うと、日本語が話せないジョンさんはダメとなります。日本のビジネスマナーをよく知らないからさらにダメとなります。


これって何かおかしい…

グローバル人材に、日本語や日本のビジネスマナーに従うなどという評価基準を使って評価することが間違っているのです。

「ちゃんとローカル言語を話せてローカル文化に従いつつ、海外の人とも仕事ができる」はローカル人材に求められるスキルです。ローカルに軸足を置きつつ、海外の人と仕事をする人はローカル人材です。(そもそも日本語が話せることがグローバル人材の用件ならアメリカ人でグローバル人材はほとんどいないことになる)

グローバル人材がなかなか誕生しないのであれば、それはグローバル人材が欲しいと称しつつ、このように英語ができて海外と仕事をできるローカル人材要素を要求しているところに原因の一端があるのではないでしょうか。

日本語は話せないが世界で活躍しているアメリカ人やインド人をグローバル人材だと思うのであれば、グローバル人材目的で採用した日本の新卒にも日本語を求めることが間違っていませんか。



イケダハヤト氏に共感できなかった理由が分かった気がする

あまり共感できないのでイケダハヤト氏の書いてあることはあまり目を通していなかったのですが、TwitterのTLで流れてきた以下の記事が目に留まりました。
 ●サラリーマンの仕事の質がフリーランスよりも低い理由 (BLOGOS)
ざっくり言うと…
・会社の予算に縛られるサラリーマンは、クライアントに対して「これ無駄じゃないですか?もっと安くできますよ」と伝えることが難しい。
・結果として、お金のために、お客様に不必要なサービスも提供してしまう。
・フリーランスは自分ひとりの予算しか背負っていないので、「これ無駄じゃないですか?予算もっと下げましょうよ」と伝えやすい。
・結果として、質の高い、無駄のない仕事を提供できる。


イケダ氏の文章のタイトルにあるようにフリーランスの方が仕事の質が高いということを言っていますが、それは何の支持も集めません。

フリーランスの方が仕事の質が高いなら、仕事の依頼はフリーランスに集中して世界はフリーランスによって回っていなくてはおかしいはずです。しかし、現実は違います。

 ●iPhoneを作り上げたのはAppleという会社に雇われているサラリーマンです
 ●企業買収のコンサルで活躍しているのは各種コンサル会社の社員たちです
 ●銀行の勘定兼システム切替を実現したのはサラリーマンたちです

世の中にある多くのモノは仕事の質が高いはずのフリーランス(イケダ氏談)ではなく、サラリーマンたちによって成し遂げられています。
私の勤め先が経験してきた数百億ドルのM&A案件なんて大きなディールではそれこそ質が高い仕事が要求されますが、質が高いはずのフリーランス(イケダ氏談)が出る幕はありませんでした。



地方で高齢者向けビジネスを手がけるクライアントが「ウェブサイトをつくりたい。ついでにツイッターもフェイスブックもやりたい。予算は100万円だから、これでよろしく」とオファーをくれたとします。

まさにフリーランスの仕事の典型をイケダ氏が挙げられています。100万円の仕事というのは正にドンピシャな例でしょう。フリーランスができる仕事は手が届く〜数人でできる範囲が射程距離です。


小さな仕事は余計なしがらみが無い方が楽です。
社内プロセスや報告なども考えないといけない会社員より、特別なしがらみのないフリーランスがとっととやるのには適した仕事でしょう。

しかし、大きな仕事になると別です。
システム設計におけるコアの文書ともなれば、それを作成するには厳格なドキュメントコントロールプロセスや承認プロセスというのは非常に重要です。これをフリーランスに任せてうまくいくとは思えません。


規模が小さいものは小回りが利く小さい組織(個人)の方がすぐに対応しやすいし、規模が大きいものは大きな組織の方がCapabilityがあるという話でしょう。どちらにも良し悪しがあるという当たり前の話です。
フリーランス/サラリーマンの方が質が高い/低い、という問題ではありません。


イケダ氏がフリーランスを絶賛しているのはフリーランスが得意な分野に限った話です(得意分野でも負けていたら価値なしでしょう)。イケダ氏への違和感は、このような小さな仕事=世の中の仕事のように拡大していることから来ていたようです。



私の著書 - ズボラ投資
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