吊られた男の投資ブログ (インデックス投資)

投資信託を使った低コストインデックス投資/パッシブ投資(バイ&ホールドの国際分散投資)で資産形成を行っている一般サラリーマンの吊られた男が、主に投資やお金のことについて語るブログ。時々、投資やお金以外の話もします。



ベンチマーク

バンガードが22ファンドのベンチマークをMSCIからFTSE/CRSPへ

Long-term savings from benchmark changes anticipated for some Vanguard funds
Over a number of months, 22 Vanguard index funds will chanこでge the benchmarks used to measure their performance. Six international stock funds will transition to established FTSE benchmarks, while 16 U.S. stock funds will move to new benchmarks developed by the University of Chicago's Center for Research in Security Prices (CRSP). These changes apply to all the funds' share classes, including exchange-traded funds (ETFs).

各種インデックスファンドに注目するブログでも取り上げられていますが、バンガードが22本のインデックスファンドのベンチマークをMSCIからFTSEもしくはCRSP(University of Chicago's Center for Research in Security Prices)に変更するという決定をしました。
 ・International Stock Index Fund → FTSEへ
 ・Domestic Stock Index Fund → CRSPへ

ベンチマーク変更の対象ファンドとどういうベンチマークに変わるの?
バンガードのリリースにある以下の表のとおりです。
vangurad_22funds


何故、ベンチマークを変更するのか?
ベンチマークの利用コストの削減。
ベンチマークを利用するにはインデックスプロバイダーに利用料を払う必要があり、FTSE及びCRSPの方がMSCIより安い条件で契約できるようです。これによって投資家はエクスペンス・レシオの低下を期待できます。


指数変更による投資対象/売買の影響は?
指数を変更することによって、以下のような問題も生じます。
 ・投資対象の変更
 ・銘柄売買に伴うコスト発生
バンガードは銘柄入れ替えについては影響が小さくなるように気を付けて行うと言っています。
投資対象の変更については、VWO(新興国株式)を見ると大きな影響があります。従来のMSCI Emerging Markets Indexでは韓国が組み入れられており、その比率は約15%です。ところが新しく採用されるFTSE Emerging Indexでは韓国は含まれていません。この入れ替えの影響は無視できないでしょう。


MSCIへの影響は?
このバンガードの決定を受けて、MSCIの株価は急落しました。35.82ドル(10月1日)→26.21ドル(10月2日)と1日で26.8%の下落です。
今回の22ファンドからの収益のみならず今後もMSCI離れがおきることも織り込んだ値動きでしょうが、市場は厳しい評価を下しています。
MSCI







インデックスファンドのベンチマークは配当込みで見よう

多くのインデックスファンドの成績はベンチマークを上回るで、多くのインデックスファンドが配当抜きの株式指数をベンチマークにしていることを書きました。
ベンチマークより上方乖離していることが多々あるわけです。

ここから以下のような2つの誤解があるのではないかと不安。

(1) (上方)乖離 → トラッキングエラー → 連動の質が悪いと勘違い
インデックスファンドの評価として「トラッキングエラーを見ろ」とよく言われます。
単純に運用報告書のベンチマークとの乖離幅を見て「1-2%もズれるなんて何て質の低いファンドだ。今回はたまたま上方乖離で儲かったからいいけど、来年はマイナスに乖離したらどうしよう…」と思われてしまっては困ります。

(2) 配当込み指数をベンチマークに掲げるファンドを低評価
インデックスeシリーズのように配当込をベンチマークとしているファンドは、パフォーマンスがベンチマークに劣ります。
そうすると、他の配当抜き指数のインデックスファンドの運用報告書を見ていた場合、「あれ、他のインデックスファンドは指数に勝っているのに、インデックスeシリーズって指数に劣後しているんだ」と勘違いされるかもしれません。


おまけ
※通りすがりの運用者さん、eMAXISブロガーミーティングなどでも言われていたように、運用現場では配当込指数をベンチマークにしています。ただ顧客には分かりやすさなどから配当抜き指数をベンチマークと書いていることが多数ということです。



多くのインデックスファンドの成績はベンチマークを上回る

インデックスファンドと言うと、「TOPIXやMSCI Kokusaiのような株価指数などへの連動を目指す投資信託であり、ベンチマークからコスト分だけ成績が悪くなるという認識を持たれているかもしれません。

しかし、株価指数をベンチマークとするインデックスファンドの多くはベンチマークを上回っています


2例えば、各種アセットを取り揃えた低コストインデックスファンドシリーズとして名高い(?) SMTシリーズ(旧STAMシリーズ)とeMAXISシリーズを見てみます。

(1)SMTシリーズで最大の人気のSMTグローバル株式インデックス・オープン
半年に1回が決算期間であり、最新の2012年5月10日付の運用報告書によるとベンチマークに対して+1.5%です。

(2)eMAXISシリーズで最大の人気のeMAXIS新興国株式
年1回の決算期間であり、最新の2012年2月7日付の運用報告書によるとベンチマークに対して+2.7%です。

共にインデックスファンドはベンチマークを上回っています。
この2ファンドのみならず、他の低コストインデックスファンドを見ても同じ傾向が見て取れます。


さすが合理的な投資方法と言われるインデックスファンド!!コストを支払ってなおベンチマークを上回るとは優秀すぎる!!」 …とはなりません。
種明かしは配当です。
ベンチマークが配当抜きに対して、ファンドには配当があるからです。

株式の配当率はインデックスによって違いますが、だいたい1-3%程度はあるでしょうか。この分だけファンドの成績はベンチマークより良くなります。配当抜き指数をベンチマークとする場合には、低コストオペレーションであればプラスに乖離するのが自然なことです(実際には配当にかかる税金も考慮の必要あり)


なお、面白いことに配当込み株価指数をベンチマークにしているファンドも少ないながら存在します。
以下に代表的ないくつかのインデックスファンドについてベンチマークとの乖離及びベンチマークの配当込み/除くを表にしてみました。(私のマニュアル操作による独自調べなので、正確には各ファンドの運用報告書等を見てください)
indexfund_bm



GPIFが日本株・債券のベンチマークを変更?

日本の公的年金:ベンチマークの変更検討、積極運用には距離(Update2) (Bloomberg)
122兆円を運用する世界最大の年金基金、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、日本の株式や債券のベンチマーク(運用成果の基準)の変更を検討している。指数採用銘柄の流動性の低さに起因する投資収益率の低下リスクなどに対応する。
同法人の川瀬隆弘理事長が24日、ブルームバーグ・ニュースのインタビューで語った。川瀬氏は、現在日本株のベンチマークとしているTOPIXの構成銘柄の中には取引量の少ないものがあると指摘。「資金量の大きいわれわれがそういう銘柄を動かすときには、自らのハンディになる」と語り、「取引コストなども考えると、もう少し流動性の高い大型株に集中したベンチマークの方が取引しやすい」と述べた。
  TOPIXは東京証券取引所1部上場の全銘柄を対象とする時価総額加重平均指数で、25日現在1680銘柄で構成されている。トヨタ自動車など時価総額が大きい銘柄の売買高は多いものの、時価総額が小さくなるに伴い売買高が低下する傾向がある。「海外では運用に適したベンチマークが出来ている。日本ではベンチマークでTOPIX全盛だが、それでいいのか考えていかなければならない」と、川瀬氏は強調する。
 GPIFは日本債券のベンチマークについても、変更を検討している。現在採用しているNOMURA−BPIは「3割弱を占める事業債など国債以外の流動性が低く、それでいいのかという問題がある」と川瀬氏は語った。

日本株のベンチマークといえばTOPIX、日本債券のベンチマークといえばNOMURA-BPI、といイメージがありましたが、GPIFが変更も検討しているようです。1700銘柄のTOPIXでも、GPIF規模となると連動が厳しいのか。

ラッセル/ノムラPrimeの内容は初めてちゃんと確認しましたが、「日本の株式市場全体の浮動株修正後の時価総額上位1,000銘柄から構成される、市場代表性と流動性を考慮したパッシブ運用のためのベンチマーク(指数)」(金融経済用語集より)とのことで、確かにGPIFの川瀬氏が言うように高い流動性確保を目指したインデックスのようです。

仮にGPIFがラッセル/ノムラPrimeに移るとこれに追従する投資信託なども増えてくる!?



インデックス運用が真に目指すベンチマークは? Vol.3

インデックス運用が真に目指すベンチマークは? Vol.1
インデックス運用が真に目指すベンチマークは? Vol.2からの続きです。

インデックスファンドは
・目論見書等に記載されているベンチマークへの連動を目指していない
・配当込みベンチマークに連動は目指していない

先の2回のエントリーで上のような可能性が極めて高いという話を書いてきました。

では、インデックスファンドが真に連動を目指すベンチマークは何なのでしょう・・・

先のインデックス運用が真に目指すベンチマークは? Vol.2では、
インデックスファンドのリターン
= (配当抜き)インデックス + 配当 - 信託報酬他の削減不可コスト - 変動コスト
(最後の変動コストは保管料や売買コストなどです)
と書きました。
結論として、私は「(配当抜き)インデックス - 削減不可コスト +配当(パッシブ受入)」と推測しています。

インデックスファンドの運用は以下のようになっているのではないでしょうか?
  1. 配当部分/削減不可コストを考慮せずに指数への連動性を高める努力
  2. 発生した配当はあるがままに受け入れ
  3. 信託報酬他の削減不可コストはあるがままに受け入れ
  4. 変動コストの削減
この中で1、4がインデックスファンドのパッシブ運用の中で努力できる(すべき)項目であると考えています。そして、ファンドマネージャーもこれに知恵と労力を割いていると推測しています。

QuickMoneyLifeの投信フォーカス【第111回】「知られざるインデックス運用の世界」をニッセイアセットマネジメントに聞くの中でも以下のような記述があります。
ファンドの運用成績(上表とグラフ)をみると、連動指数に対しプラス乖離している。何をどのように連動させるのか。

「ニッセイ日経225インデックスファンド」では基準価額の値動き(変動)を「日経平均」の値動き(変動)に連動させ、お互いの変動率が一致するよう運用する。ただし、「ニッセイ日経225インデックスファンド」では運用コスト(信託報酬)が基準価額から控除される。一方、日経平均は採用銘柄の配当金を考慮せずに株価のみで計算するのに対し、「ニッセイ日経225インデックスファンド」では組入銘柄の配当金が入る。この結果「ニッセイ日経225インデックスファンド」の基準価額の騰落率は、日経平均に採用銘柄の配当金を加え信託報酬を除いた騰落率と概ね一致する。

同様に「ニッセイTOPIXオープン」の値動きは「TOPIX」の値動きに連動し、配当金マイナス信託報酬が騰落率に上乗せとなる仕組みは同じだ。
インデックス - 削減不可コスト + 配当(パッシブ受入)への連動を目指すと明確には答えていませんが、少なくともそれを許容しているようには思います。


結論:
インデックスファンドが真に連動を目指しているベンチマークは「インデックス - 削減不可の必須コスト + 配当(パッシブ受入)」であると思われる


わざわざ3部作にするほどのものでもない話でしたが、書きなぐってみました。



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