吊られた男の投資ブログ (インデックス投資)

投資信託を使った低コストインデックス投資/パッシブ投資(バイ&ホールドの国際分散投資)で資産形成を行っている一般サラリーマンの吊られた男が、主に投資やお金のことについて語るブログ。時々、投資やお金以外の話もします。



ヘッジファンド

ヘッジファンドのパフォーマンス

ヘッジファンド指数(HFRX Global Hedge Fund Index)のパフォーマンスをBloombergで見てみました。 (※2012年2月8日時点の数字)

比較対象としてMSCI World Index及びS&P500を載せています。
↓1ヵ月
HFRX_1M

↓3ヵ月
HFRX_1M

↓6ヵ月
HFRX_1M

↓1年
HFRX_1M

↓3年
HFRX_1M

↓5年
HFRX_1M

なお、グラフを比較する際には以下の3つのポイントは考慮すべきです。
(1)最近は株式市場が好調だったので、ここ1-3カ月ほどでMSCI WorldやS&P500は8%ほど上げています。この期間だけでHFRXと7%程度の差が付いています。(株式インデックスに有利)
(2)MSCI WorldやS&P500は配当を含んでいない (3年や5年では配当の影響は大きい)
(3)ヘッジファンドインデックスは任意の提供情報で構成されているので生き残りバイアスや成績の良いHFの情報だけが報告されているバイアスがある

面白いことに1年と5年のチャートではHFRXとMSCI Worldはいい勝負です。
1年チャートでは8月-10月にかけて欧州債務危機がありました。
5年チャートではリーマンショックとも呼ばれる危機がありました。
どちらも、期間の中頃に株式市場の下げ相場があって、株式インデックスはV字型のチャートを描いています。こんなチャートではいい勝負ということでしょうか。

3年チャートではMSCI WorldとS&P500の圧勝です。
欧州債務危機はありますが、全体的にはリーマンショックの底からの回復期の右肩上がり相場です。このような相場では株式インデックスの圧勝です。


伝統的な株式保有投資とヘッジファンドの間にはあまり期待リターンに差はなさそうです。リスクはヘッジファンドの方がボラティリティが少なくなっているので低リスクに見ます。
ここから「ヘッジファンドの方が同じ期待リターンで低リスク」と言いたいところですが、ポイントの3番目で挙げたように、ヘッジファンドのデータは上方乖離するバイアスが入っているので、ヘッジファンドのリターンはこのグラフより低くなりそうです。
【参考:ヘッジファンドの生き残りバイアスとバックフィルバイアスに関する実証研究】
“Hedge Funds: Risk and Return" Malkiel and Saha[2005]

高リスク高リターンの株式保有、低リスク低リターンのヘッジファンドというところでしょう。

株式保有でもパフォーマンスのいい株も悪い株もあります。ヘッジファンドでもパフォーマンスのいいファンドも悪いファンドもあります。
しかし、全体としてみれば、美味しい話はなさそうです。







絶対的利益追求がBuy&Holdに勝つのは大変

ヘッジファンドのように絶対的利益を追求するファンドが、Buy&Holdに対して圧倒的な優位性を示せておりません。(HFRX指数を見てもイマイチ)
市場はだいたい無効率的といっても多少のミスプライスはあるでしょうし、通常の個人投資家とは違うプロ集団であれば何らかの裁定で利益を出すことも可能でしょう。
しかし、それでもBuy&Holdに対する優位性は示されていません。

それはプラスで推移しているベータの存在でしょう。

一般的に株式や債券のリスク資産買い持ちは、リスクプレミアムとして期待リターンがプラスと言われています(株式の期待リターンは無リスク資産+5%等々・・・)。

そうすると、Buy&Holdは値動きは上下するもののプラスの期待リターンがあります。

しかし、絶対的利益を追求するファンドの場合は、そのベータがなくなります。
ロング・ショートであれば相殺しあってベータが減ってしまいます。イベントドリブンでタイミングを待っている間はベータは取れません。つまり、スタート地点が0です。

相手はバカみたいにBuy&Holdで追加のリターンがありませんが、すでに無リスク資産+リスクプレミアム分の点数を確保しています。
これに勝つだけの点数を自力で稼ぎださないといけません。これが絶対的利益追求の難しいところでしょう。(元本を減らさない右肩上がりの運用を目指すだけならMMFで十分です)



ヘッジファンドはたいしたことがないと?

【コラム】崩壊したヘッジファンド神話(WSJ.com)

面白いコラムを見つけました。

通常ポートフォリオをベンチマークとして、ヘッジファンドのパフォーマンスが凄いのか検証したコラムです。結果も面白いのですが、アプローチが面白い。

まずは過去5年の「ヘッジファンドの成績の平均値 vs 通常ポートフォリオの成績」を比較して55%vs32%という計算をしています。
次に平均は外れ値の影響を受けるので、「中位ヘッジファンドの成績 vs 通常ポートフォリオの成績」を比較して41%vs32%という計算をしています。
ここまでの比較は普通ですが、この後で生存者バイアスを取り除こうとするアプローチが面白い。

ヘッジファンド・ドット・ネットでは過去5年データで1400ファンドのデータがある。その5年間で約6000ものファンドがランキングから消えてしまったとのこと。ここからは筆者の推測となっていますが、ランクから消えたファンドの多くは成績が悪くてご退場されたファンドだろうということで、ヘッジファンドの運用成績を推計しています。

詳細は記事に譲りますが、タイトルから分かるように「ヘッジファンドの成績はたいしたものでは無さそう」という結論になっています。結果の妥当性はともかく、このようなアプローチは好きなアプローチです。



海外ファンドのパフォーマンスの表記通貨に注意

オフショアなどと呼ばれる海外のファンドがあります。素晴らしいパフォーマンスを出しているファンドも多いようです。国内債券アセット以外はほとんどマイナスな日本の最近の投資環境で「年平均XX%のリターン」なんて聞くとうらやましい限りです。

しかし、このパフォーマンスには注意が必要です。
普通の日本の証券会社などでは投資できないオフショアファンドとなると、一般的には日本円以外でパフォーマンスを発表しています。日本で募集していないファンドがわざわざ日本円でのパフォーマンスは発表しません。具体的には米ドルや香港ドルなどで表記されています。

そして、日本でオフショアファンドの話をする時に、この外貨建てベースのまま話をしているケースがしばしば見られます。

ここが注意のポイントです。

最近の日本の一般投資信託では外国株式や債券は損を抱えている人がけっこうな数いるかと思います。株式指数はリーマンショック前の水準に戻りつつあり、金利低下の影響もあって債券価格は上昇しているにもかかわらずマイナスです。私が重点投資しているインド株式を見ても株式指数そのものは過去最高値に迫る水準です。しかし、インド株式に投資する投信の基準価額は2007年末の水準とはかけ離れています。これは為替の影響です。

最近の海外資産に投資するファンドは、外貨(現地通貨)建てではいいパフォーマンスでも円高の影響でパフォーマンスを落としています。
だから日本に住む日本人がオフショアファンドのパフォーマンスを計算する時も日本通貨建てで計算する必要があります。

米ドルは2007年中頃から2010年中頃までの3年間で120円⇒80円と2/3になりました。ドル建で+50%でも円建だと±0です。
「このリーマンショックなどもあった中で、なんと3年間で+50%の好成績」なんて言われてもそれがどこの通貨で評価した数字化によって大きく意味が異なります。

このように海外ファンドのパフォーマンスはどの通貨で評価した場合かの注意が必要です。



私の著書 - ズボラ投資
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