吊られた男の投資ブログ (インデックス投資)

投資信託を使った低コストインデックス投資/パッシブ投資(バイ&ホールドの国際分散投資)で資産形成を行っている一般サラリーマンの吊られた男が、主に投資やお金のことについて語るブログ。時々、投資やお金以外の話もします。



ヘッジファンド

「いつかはゆかし」の海外トップファンド(ドヤッ は日本で普通に買えるインデックスファンド未満

以前は婉曲的に触れたものですが、ストレートに書いておきましょう。


「いつかはゆかし」アブラハム・プライベートバンクは次のように海外には優秀なファンドがたくさんあり、日本ではそれは宣伝されていない、もしくは出回っていないと言っています。(参考:http://itsukaha-yucasee.jp/about/)
yukashi_topfund01
yukashi_topfund02


で、「いつかはゆかし」は以下のように自身の取り扱うファンドの中で最高の成績を収めているファンドを出して、「おれっちの海外ファンドのパフォーマンスは凄いだろ(ドヤッ 」としています。(参考:http://abraham-bank.co.jp/news/20121206.html
yukashi_topfund03
"注:富士経済調べ"

しかし、この「いつかはゆかし」が誇るトップファンドは先の【いつかはゆかし徹底検証番外編】ハンサードのファンドの成績を比較してみたで検証した通り、日本の証券会社で普通に買えるインデックスファンド(ETF)に惨敗です。

 ●「いつかはゆかし」が自慢するトップファンド=HIL Castlestone Aliquot Gold Bullion
 ●同じくゴールドに投資する世界最大のETF=SPDR Gold

「いつかはゆかし」のご自慢ファドはただのインデックスファンドの過ぎないSPDR Goldに対して5年間で32%も運用成績で負けています。

以下は過去の検証部分の再掲
「いつかは ゆかし」が「積立したい商品」ランキングで第1位に選ばれたという記事では以下のように好成績ファンドの情報が載っていたので、そのファンドも是非とも対象に加えたい。
ゆかしNo.1

グラフを見ると2007年9月~2012年9月で年率換算15.34%ということなので、該当ファンドをハンサードのファンドリストで探すとHIL Castlestone Aliquot Gold Bullionでした。
ハンサードの2012年10月3日のファンド一覧表で見ると、全ファンド中1位で5年リターンが+104.97%(年率換算15.43%)なので、このファンドで間違いないでしょう。

HIL Castlestone Aliquot Gold Bullionが属する以下カテゴリーも比較対象にします。
 (6)Gold

なお、2007年9月末〜2012年9月末のSPDR Goldのリターンは+133.83%であり、HIL Castlestone Aliquot Gold BullionはETFに対しては-32%ほどアンダーパフォームです。(あっ、やめて!「何だよ、いつかはゆかしで一番リターンの良い商品ってのは日本のネット証券で買える市場平均を目指すETFより-30%も成績悪いのかよ。ダメファンドじゃん」とか言わないで…)

インデックスに5年間で32%も劣後するようなファンドをトップファンドとしてドヤッ と紹介するというのもどうなんでしょう。少なくともファンドのパフォーマンス面からはあまり加入する気にはなれません。
SPDR Goldは各種証券会社で積み立て対象になっていませんが、月5万円からなら自力で毎月買えばよいわけです。(クレジットカード手数料や毎年の報酬を考えると手数料も割安です)
「いつかはゆかし」に加入するなら他の理由が必要でしょうね。

「いつかはゆかし」のトップファンドを5年間で32%も上回ったETF(SPDR Gold)はSBI証券、楽天証券、マネックス証券など海外株式口座で普通に買えます。







「伝統的資産の値動きに左右されずに絶対利益を確保できる」素晴らしい投資先を見つけた

株式など伝統資産への投資はある程度のリターンを期待できるもののリスクが大きく、そこが大きなネックになっています。
そこで「伝統的資産と違う値動きをする」「絶対的利益」といった、伝統資産の問題を解決する投資先が求められてもいます。

多くのヘッジファンドはそれを目標にしています。
ヘッジファンドの典型的な運用手法であるロングショートでは、ロングとショートを組み合わせることで、市場全体(β)の影響を下げようとしています。コモディティなど伝統的資産と異なる資産に投資するファンドもあります。

「伝統的資産の値動きに左右されずに絶対利益を確保できる素晴らしい投資先」は人類の究極の夢の一つと言えるかもしれません、


しかし、そのような難しいことをしなくても「伝統的資産の値動きに左右されずに絶対利益を確保できる素晴らしい投資先」は目の前に存在しています。

銀行預金です。

(国の信頼によって成り立つ通貨が崩壊する可能性があるので、厳密な意味での「絶対的利益」は成立しませんが、)基本的に株式の変動がプラスだろうとマイナスだろうと預金は元本保証です。おまけに名目金利はプラスリターンです。
ほぼ、「伝統的資産の値動きに左右されずに絶対利益を確保できる素晴らしい投資先」と言えるでしょう。


「伝統的資産と値動きが異なり、分散効果が大きくなる」はコモディティのような非伝統資産に投資するには理由が弱すぎます。
「大きなマイナスの相関が成り立ち分散効果が得られる」であるとか「期待リターンがそれなりにプラス」という理由がないのであれば、預金の方が優秀そうに思えます。

参考:インフレ対策にリスクを取った投資は不要



投資先はシンプルで簡単に理解できるものがよい

AIJ事件が世間を騒がせました。
2000億円超の資産を預かり、よくわからない取引によって資産の大半を吹き飛ばし、粉飾してごまかしていたという事件です。

ここでの教訓はいろいろあります(事業会社が資産運用をするリスクや年金制度の制度疲労、等々)が、その教訓の一つは「よく分からないものには投資をしない」でしょう。

投資、特にファンドへの投資は他者に資産を預けて運用を代行してもらう行為です。この場合は特に次の2点が確保されていることが望ましい。
 ・運用状況が透明になっていること
 ・運用状況の妥当性を自分でも検証できること

ヘッジファンドのみならず公募の投資信託においても、これは当てはまります。
投資家自身の知識レベルにもよりますが、複雑な2階建て、3階建て商品の場合、投資の妥当性の検証が難しくなります。通貨選択型のNDF取引の妥当性などなかなか分かりません。


インデックスファンドの場合もこれは当てはまります。基本は現物株での完全法が分かりやすい。しかし、シンセティクレプリケーションはカウンターパーティーが保証という仕組みは分かりやすいが、如何せん担保部分が分かりにくい。

大勢の凡庸な投資家は、分かりやすいものに投資するを基本にした方がよいでしょう。
私は投資信託による資産形成を推奨はしていますが、投資信託の仕組みが分からないうちは投資信託に投資することはやめた方がよいと思います。



リスクは顧客のモノ、儲けは俺のモノ

成功報酬と投資助言料を取る投資顧問などがあります。

まず、情報を提供することで顧客からお金を貰います。
顧客が儲ければ、利益の2-3割程度をいただきます。顧客が損をしても自分の懐は痛みません。

リスクは全て顧客である投資家が負います。自分が提供する情報や投資判断に基づいた投資でリスクを一切負わずに収益を上げるビジネスモデルです。ここまでなら投資信託などと同じです。(成功報酬モデルの投信は少ないが)

しかし、彼らが凄いのはここからです。「投資信託のようなものは市場が下がれば損が出る商品で良くない商品だ。自分たちは絶対収益や高い利益を出せる」かのような態度をとる輩が多い。

さらに凄いことには、オープンな投資信託は日々のパフォーマンスが開示され情報が公開されていますが、彼らの成績は開示されません。それ故に本当に優れているのかという検証が非常に困難です。その秘匿性から、広くパフォーマンスが検証されて批判されることもありません。

本当に一般の投資信託などと違って、絶対収益や高いパフォーマンスを実現しているのでしょうか? (参考:ヘッジファンドのパフォーマンス)
そうであるならば、リスクを全て顧客に移転せず、損を出した時には自分も身銭を切ってほしいものです。(利益の3割を成功報酬としてもらうが、損失の3割は補填するなど)

身銭を切る覚悟は無く、定期的な情報提供料を取る&成功報酬は、顧客の資産運用結果に対して最も責任を持たないモデルの1つでしょう。
ビジネスモデルとしては優秀ですが、投資関係者としての矜持は無さそうです。



マルキールがヘッジファンドを切る (ヘッジファンドのバイアス)

先のヘッジファンドのパフォーマンスで、ヘッジファンドの生き残り/バックフィル・バイアスに関する実証研究として挙げた、インデックス投資の大御所MalkielとSahaの『Hedge Funds: Risk and Return』の紹介です。

●レポート全文:Hedge Funds: Risk and Return
 MalkielとSahaはTASSのデータベースに登録されたヘッジファンドの数字を使って検証しています。

株式のパフォーマンスを測定するには株式のトラックレコードがあります。
ヘッジファンドにもトラックレコードがあり、いくつかのデータベースも存在します。

しかし、ヘッジファンドのトラックレコードには大きなバイアスの存在が指摘されています。代表的と言われるのが生き残りバイアスバックフィル・バイアスです。


【生き残りバイアス】
資産運用の世界ではパフォーマンスが悪ければ市場から撤退を迫られます。その結果、パフォーマンスが良いものが生き残り、データに残ります。その結果、全体の実態以上に好成績になることがあります。
特に成功報酬を収益源とするヘッジファンドの場合は拍車がかかります。一度パフォーマンスが悪化すると、成功報酬を得られる水準まで回復するのが困難になります。そこで、ファンドを解散して新しいファンドで資金を集めればゼロからのスタートです。

MalkielとSahaは1996年-2003年のヘッジファンドで「生き残っているファンドのみ」 vs 「生き残り+退場」のパフォーマンス差を計算しました。
Malkiel01
※Note: Backfilled returns were not included in this analysis; live versus defunct status was determined
as of April 2004.

結果は、上のように平均で4%ポイント以上の差がありました。


【バックフィル・バイアス】
事後に、運用してみて調子の良かったファンドの成績だけ報告し、調子の悪いファンドの成績は報告しないというバイアスです。(ヘッジファンドのパフォーマンス報告は任意かつ内容の正当性は問われないので、ヘッジファンドが好きに選べます)

MalkielとSahaはバックフィル・バイアスに関しては1994年-2003年のデータを分析しています。
「バックフィルのあったモノ」「バックフィルのなかったモノ」を比較しています。
Malkiel02

Malkiel03

上は平均(mean)、下は中央値(median)です。
「バックフィルのあったモノ」「バックフィルのなかったモノ」では平均では7%以上、中央値では6%弱の差があります。



トラックレコードを使ってヘッジファンドのパフォーマンスを測定する場合、そのデータには十分な注意が必要です。

ちなみにタイトルはRisk and Returnであり、後半ではヘッジファンドと投資信託のリスクも測定しています。



私の著書 - ズボラ投資
「毎月10分のチェックで1000万増やす! 庶民のためのズボラ投資」
連絡先
私への連絡は下記メールアドレスまでお願いします
tsurao@gmail.com

tsuraolife_banner_s

follow us in feedly

にほんブログ村 株ブログ 投資信託へ


Recent Comments
ブログ内記事検索
PR
お勧め銀行・証券会社
■証券会社■
○SBI証券

○セゾン投信


■銀行■
○住信SBIネット銀行


■401k(確定拠出年金)■
○SBI証券
タグ
Archives