あまり共感できないのでイケダハヤト氏の書いてあることはあまり目を通していなかったのですが、TwitterのTLで流れてきた以下の記事が目に留まりました。
 ●サラリーマンの仕事の質がフリーランスよりも低い理由 (BLOGOS)
ざっくり言うと…
・会社の予算に縛られるサラリーマンは、クライアントに対して「これ無駄じゃないですか?もっと安くできますよ」と伝えることが難しい。
・結果として、お金のために、お客様に不必要なサービスも提供してしまう。
・フリーランスは自分ひとりの予算しか背負っていないので、「これ無駄じゃないですか?予算もっと下げましょうよ」と伝えやすい。
・結果として、質の高い、無駄のない仕事を提供できる。


イケダ氏の文章のタイトルにあるようにフリーランスの方が仕事の質が高いということを言っていますが、それは何の支持も集めません。

フリーランスの方が仕事の質が高いなら、仕事の依頼はフリーランスに集中して世界はフリーランスによって回っていなくてはおかしいはずです。しかし、現実は違います。

 ●iPhoneを作り上げたのはAppleという会社に雇われているサラリーマンです
 ●企業買収のコンサルで活躍しているのは各種コンサル会社の社員たちです
 ●銀行の勘定兼システム切替を実現したのはサラリーマンたちです

世の中にある多くのモノは仕事の質が高いはずのフリーランス(イケダ氏談)ではなく、サラリーマンたちによって成し遂げられています。
私の勤め先が経験してきた数百億ドルのM&A案件なんて大きなディールではそれこそ質が高い仕事が要求されますが、質が高いはずのフリーランス(イケダ氏談)が出る幕はありませんでした。



地方で高齢者向けビジネスを手がけるクライアントが「ウェブサイトをつくりたい。ついでにツイッターもフェイスブックもやりたい。予算は100万円だから、これでよろしく」とオファーをくれたとします。

まさにフリーランスの仕事の典型をイケダ氏が挙げられています。100万円の仕事というのは正にドンピシャな例でしょう。フリーランスができる仕事は手が届く〜数人でできる範囲が射程距離です。


小さな仕事は余計なしがらみが無い方が楽です。
社内プロセスや報告なども考えないといけない会社員より、特別なしがらみのないフリーランスがとっととやるのには適した仕事でしょう。

しかし、大きな仕事になると別です。
システム設計におけるコアの文書ともなれば、それを作成するには厳格なドキュメントコントロールプロセスや承認プロセスというのは非常に重要です。これをフリーランスに任せてうまくいくとは思えません。


規模が小さいものは小回りが利く小さい組織(個人)の方がすぐに対応しやすいし、規模が大きいものは大きな組織の方がCapabilityがあるという話でしょう。どちらにも良し悪しがあるという当たり前の話です。
フリーランス/サラリーマンの方が質が高い/低い、という問題ではありません。


イケダ氏がフリーランスを絶賛しているのはフリーランスが得意な分野に限った話です(得意分野でも負けていたら価値なしでしょう)。イケダ氏への違和感は、このような小さな仕事=世の中の仕事のように拡大していることから来ていたようです。