吊られた男の投資ブログ (インデックス投資)

日本では近年ファンドラップが資産を集めています。短期間での回転売買が封じられ、売買手数料からファンドラップにおける管理手数料へと収益源がシフトしています。日本の投資信託業界を語る時、よくアメリカが引き合いに出されますが、ファンドラップについてもちょうど良さそうな資料があったので、アメリカの状況を見てみます。

ファンドラップに1兆ドル

その資料とは、投資運用等を巡る国内外の状況という資料です。

2014年2Qの時点で約1兆ドル(1ドル=110円とすると110兆円)がファンドラップに集まっています。2007年から2008年に掛けては金融危機のせいか大きく残高を減らしていますが、その後は順調に拡大しています。
他にも、UMA、レップ・アズ・アドバイザー、レップ・アズ・ポートフォリオ・マネジャーなども順調に資金を増やしており、この手のマネージドアカウントの残高は2014年2Q時点で4兆ドルに迫る勢いとのことです。(このペースだと今は4兆ドルを超えている？)

手数料はどうなの？

コストの目ざといインデックス投資家としては、これらのサービスの手数料が気になります。続きを読む

ラップ口座とアットコスト

個人が資産運用を証券会社などに一任する「ラップ口座」の残高が急増している。残高は３月末時点で１兆3760億円に達し、前年同月末から８割増加した。

日本投資顧問業協会によると、６月末時点のラップ口座の契約総額は前年比９０％増の１兆６４３０億円。

ラップ口座の資金が増えているようです。昨今の相場環境で運用によって増えた部分もあれば、資金流入の影響もあるでしょう。最近のラップ口座は最低投資額が下がっており、(ファンド)ラップ口座に投資できる層が拡大しています。
そんなラップ口座の拡大に大いに貢献しているファンドラップですが、これはいいサービスなのでしょうか。
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本エントリーは、梅屋敷商店街のランダム・ウォーカーの2011年6月末のアセットアロケーションと主な構成商品というエントリーのコメント欄がきっかけです。

投資信託における販売会社の主な収益源は買付手数料、信託報酬(の販売会社取り分)です。それを考えた時、画期的なファンドがあります。
(1)買付手数料無料
(2)信託報酬の販売会社取り分は0.02%
(3)しかも、信託報酬の総額も他ファンドと比べても最安クラス

低コスト投信を望み販売会社の中抜き分が減らないかと思っている個人投資家には夢のうようなファンドです。これは以下のファンドたちです。
　・DIAM国内債券パッシブ・ファンド
　・DIAM国内株式パッシブ・ファンド
　・DIAM外国債券パッシブ・ファンド
　・DIAM外国株式パッシブ・ファンド
　・DIAMコモディティパッシブ・ファンド

DIAMコモディティパッシブ・ファンドは後から設定されたファンドという気もしますが、上記ファンドは一時期、投信ブログで「信託報酬最安のファンド登場か？」と騒がれたファンドです。
しかし、「水戸証券のファンドラップ専用ファンドでした」というオチで終わり、それ以上騒がれなくなりました。

その時はファンドラップということで個人投資家の興味がなくなってしまったので、信託報酬取り分の内訳まで調べられませんでした。しかし、これらのファンドは信託報酬の取り分が特徴的で、そこで終わってはもったいないファンドです。

実は、上記ファンドの信託報酬は販売会社の取り分が総資産の0.02%と通常の投資信託ではあり得ない報酬額です。(普通は販売会社と運用会社で半々程度)
0.02%では100億円売っても年間200万円の収益、1000億円売っても2000万円の収益にしかなりません。


こんなファンドが成立する理由が、本エントリーのタイトルでもある「買付手数料、信託報酬以外で稼ぐ投資信託」です。

先に書いたように「ファンドラップ用ファンド」です。
販売会社である水戸証券は投資家からファンドラップの手数料を取ります。水戸証券のファンドラップの手数料は固定報酬では年2%です。保有残高に対して年2%というと通常のファンドではなかなか稼げない金額です。
つまり、信託報酬は激安でも、他のところでそれ以上の手数料を取っているので販売会社としては美味しいことこの上ないファンドです。

このファンドは水戸証券のファンドラップに限られていたので、この手数料を払っている人は少ないと思います。
しかし、このような買付手数料、信託報酬以外で稼ぐ投資信託をより巧妙な形で出してくる影響力の大きい販売会社・運用会社が出てこないとも限りません。少し注意したいと思います。