5月10日にピクテ投信×マネックス証券で開催された「ピクテの新インデックスファンドシリーズに関する説明会」に参加してきました。

説明会のスピーカーは次の2名でした。
 ◎ピクテ投信投資顧問株式会社 北根久之氏
 ◎株式会社マネックス・ユニバーシティ 内藤忍氏


説明会はピクテの新ファンドである以下の2ファンドが優れている点(高品質)の紹介を軸に話は展開したのですが非常に興味深い良い説明会でした。
 ※ピクテ・インデックス・ファンド・シリーズ - 中国H株
 ※ピクテ・インデックス・ファンド・シリーズ - ブラジル株


ピクテ新ファンドの高品質な点に従った説明会内容のサマリです。


●ピクテ新ファンドのここが高品質 - その1
購入時の信託財産留保額がある
ブラジルファンドでは購入時2.6%、解約時に0.6%、中国H株では購入時・解約時共に0.4%の信託財産留保額が設定されています。

投資信託の仕組みとして、流入してきた新規資金で株式等を買うのにかかる手数料は新規投資した人だけでなく、投資信託内の全投資家での割勘になります。そうすると昔から投資している人は、新規流入資金があるたびに割勘をさせられるのでコスト負担が大きくなります。
そこで、コストに見合った信託財産留保額を設定したとのことです。これによって以下の2つを実現しているとのことです。
  (1)先行投資者の不利益が無くなる
  (2)しっかりと指数と連動する運用

「これだけだとよく分からない!!」という方は、当日にも配布された、ピクテの下記コラムに詳しく書いてありますので、これをお読みいただけると分かるかと思います。信託財産留保額を設定しないと基準価額がそれだけでインデックスからどんどん乖離していってしまうというシミュレーションが書かれています。(私個人の意見では、このコラムは投資信託投資家必読。)
インデックス・ファンド・コラム - 信託財産留保額



●ピクテ新ファンドのここが高品質 - その2
注文を受けて確実な購入と売却をして基準価額に反映
一般的に日経平均連動投信の場合、当日3時までに受け付けた注文までは当日の日経平均の価格に連動した基準価額で約定します。

(予想通りの話ですが)しかし、実は投資家が午後3時前に出した注文は販売会社が当日分として受け付けても株式市場にはオーダーされていないとのことです。実際は注文を販売会社が数時間で集計して午後5時くらいに運用会社にどれだけのオーダーがあったかを連絡するとのことです。そして、運用会社は翌日に市場で取引をしていることのことです。

本来なら、ある日に投資家から出された投信の買い注文は翌日朝に株式市場で株式売買が成立していますからその価格が基準価額として反映されるべきでしょう。しかし、当日約定分の基準価額はその日の夜に算出されてしまい、買い注文を出した投資家はその日の夜のうちにいくらで買えたかということが分かってしまいます。つまり、この原則論と矛盾した部分は投信の不安定さとなっているようです。
そして、これは日本株に限らず、中国株のように注文受付締め切り→市場クローズまでの時間が短いファンドだと起こる事とのことです。

ピクテの新ファンドではこういう手順前後を除くために中国H株では当日約定分は11時までの注文としたそうです。そうすることで当日に注文を受けたものは、市場で売買をしてから基準価額を算出して投資家にいくらで買えたかを提示する。
従来の手法は「未知なんだから設けることも損することもある。まあ大きくは指数から乖離しないからいいじゃん」だったのですが、原則論に立ち返るとピクテの新ファンドの方法が正しい手順でしょう。



●ピクテ新ファンドのここが高品質 - その3
基準価額算定のための為替算出に近いレートでの為替交換を実現
外国株式に投資する投資信託の基準価額の算出は「株式の当日終値×翌日の為替レート」となっています。
しかし、投資家が注文してからの投資信託内のお金の動きは、そんなきれいになっていないようです。
以下は一般的なブラジル株式投資の投資信託の解約手続きの資金の流れ。

 ・投資家が解約注文を出す
 →翌日にファンドで株式を売却する
 →4営業日後に現金(レアル)なって返ってくる
 →ファンドでレアルを円に両替

さて、この流れだと実際に為替交換するのは翌日ではなく4(5)日後です。そうすると基準価額の計算で算出したレートと実際の取引レートは違います。この[実際の取引レート]と[基準価額算出時の計算レート]の違いは、その2で書いた「当日注文が約定翌日に取引されている」こと同様にファンドのインデックスとの連動不安定にさせる要因になっていることが分かります。

しかし、ピクテ新ファンドでは、即時為替取引をできるところを見つけたとのことで基準価額算出時の為替レートに近いレートで両替できる仕組みを組み込んでいるとのことです。
これも、その2同様に、ピクテの新ファンドの方法は正しい手順だと思います。



●ピクテ新ファンドのここが高品質 - その4
自動売買をしていない
投資信託の中には、自動売買と言って、注文を受けたら自動的に両替→株式買付や株式売却→両替をやっている投資信託があるようです。これだと注文を認識次第、即に取引を開始できるのでタイムラグを解消できます。しかし、この方法には差し引きができないという欠点があるようです。100万円の購入と100万円の売却があった時に差し引けば取引しなくてもいいのに、自動売買だと両方の取引をしてしまうので余計なコストがかかってしまいます。

そこで、ピクテ新ファンドでは、自動売買は採用せずに、差し引きをやりつつ間に合わせるような仕組みにしているとのことです。



基本的には上のようにピクテの新ファンドがインデックスファンドの本質を満たすためにしている工夫の紹介で話が進みました。このように投資信託の仕組みに踏み込んだ話だったので、非常に勉強になりました。上に記載していませんが「株式売買コストは運用報告書のコスト欄に明記されるが、為替両替コストは運用報告書を見ても分からない」などおもしろい話がありました。
非常に有意義な説明会でした。


●会場での質疑
「インデックスファンド"シリーズ"と言うことは今後も追加ファンドも出るのか?」と質問しましたが、追加は考えているとのことです。ただし、どういうファンドかは事前には回答できないとのことです。

また、他の方から「マネックス証券以外の取り扱いは考えているのか?」という質問もありましたが、他の会社がやる気があれば取り扱い先が増えることはあるとのことです。
マネックス証券に口座がないが、これらのファンドを買いたい人は自身が口座を持っている証券会社での取り扱いが望まれますね。



参加した説明会などの商品を褒めるとちょうちん記事を書いているようで嫌なのですが、私の意見としては、ブラジルやインドへの投資を考えている人は、変なアクティブを買うよりこのファンドを買った方が良さそうというものになります。


なお、私は単一国としてのブラジルや中国にはそれほど大きな魅力を感じていませんが、これのインド版が出たらETFにするか投資信託にするか強く迷います。市場価格とNAVの乖離が大きくなりがちなETFの現状を考えると投資信託で保有したい気もしてくるファンドシリーズです。
(ブラジルや中国に魅力を感じないとか言いつつ、中国H株とか少しだけつまみそうな自分もいます)


インド版が出てくれないかな・・・