先日、このブログでも取り上げた東証のETN上場の件で続報です。

東証がパブリック・コメントのページ「JDR形式による指標連動証券の上場制度等の整備について」と案を公開してパブリック・コメントを募集しています。

PDFで5ページの内容なので詳しくはそちらを見ていただきたいのですが、一番注目の発行者の基準について簡単に抜粋します。
以下は上場時の発行者の財務状況の健全性基準です。
・発行者の純資産の額(純財産額)が5,000億円以上であること。
・自己資本比率が8%を上回ること。
・信用格付業者等によりA−格同等以上の格付が付与されていること。
・指標連動証券の残存償還価額総額(他社の発行する指標連動証券の償還を保証する額を含む。)に、新規上場に際して新たに発行される予定額を合算した額が純資産の額の25%を超過していないこと。

補足すると、備考欄に書いてありますが、自己資本比率8%の条件は銀行業についてであり、金融商品取引業者にあっては自己資本規制比率が200%を上回ることが要件とされるとのことです。
最後の項目は少しわかりにくいですが、要するにその会社が発行する全てのETNの発行残高は純資産の25%以内に抑えなさいということですね。

なお、「信用格付業者等によりA−格同等以上の格付が付与されていること」とありますが、信用格付業者制度は2010年に作られた新しい制度で、当エントリー執筆時点では以下の6社が登録されています。(参考:金融庁の免許・許可・登録等を受けている業者一覧信用格付業者)
 ・株式会社日本格付研究所
 ・ムーディーズ・ジャパン株式会社
 ・ムーディーズSFジャパン株式会社
 ・スタンダード&プアーズ・レーティング・ジャパン株式会社
 ・株式会社格付投資情報センター
 ・フィッチ・レーティングス・ジャパン株式会社

以下は上場維持のための財務状況の健全性基準です。
・純資産の額が2,500億円未満となった場合において、3年以内に2,500億円以上とならないとき。
・自己資本比率が8%以下となった場合において、3年以内に8%を上回らないとき。
・指標連動証券の発行者が、信用格付業者等によりBBB−格同等未満の格付が付与された場合において、3年以内にBBB−格同等以上の格付が付与されないとき。
・ 指標連動証券の残存償還価額総額(他社の発行する指標連動証券の償還を保証する額を含む。)が、純資産の額の25%を超過した場合であって、3年以内に25%以下とならないとき。

3年以内の復帰などの文言がありますが、基本的には「純資産2500億円以上」「自己資本比率8%超(自己資本規制比率200%超)」「BBB-以上の格付け」「指標連動証券の残存償還価額総額が25%以下」を満たすことが上場維持基準のようです。

上場時の審査基準と上場維持の基準には「純資産が5000億円超 vs 2500億円超」「格付けがA-以上 vs BBB-以上」というギャップがあります。
この条件を見ると、ETNを上場している企業の純資産が5000億円を割り込んだり、格付けがBBBになった場合、すでに運用しているETNの上場は維持されても新ETNの発行はできない、ということが起こりえるかもしれないということですね。