吊られた男の投資ブログ (インデックス投資)

投資信託を使った低コストインデックス投資/パッシブ投資(バイ&ホールドの国際分散投資)で資産形成を行っている一般サラリーマンの吊られた男が、主に投資やお金のことについて語るブログ。時々、投資やお金以外の話もします。



パフォーマンス

パフォーマンスは対数グラフで見るべし

日経平均やダウ工業平均30種のような株式指数のパフォーマンスは証券会社に行けば確認できます。
証券会社ではなくても、Yahoo!やGoogle等でも積極的に情報が共有されており、ご丁寧にもグラフを見ることもできます。
ダウ工業平均の2011年までの日足データでグラフを作ってみました。
dow30

このグラフから特徴的なポイントを抜き出そうとすると以下のようになりそうです。
●1980年代後半から2000年にかけて急加速で株価上昇
●1990年代後半の上げ幅は非常に大きい
●大きな谷は2002年、2009年の谷で2009年は非常に大きい
●上の谷の間は急上昇で2007年に頂点


一方、次のようなグラフもあります。
dow30_log

このグラフを見て特徴的な点を抜き出すと次のようになるでしょうか。
●1929年~1932年の期間で圧倒的に大きな下落がある
●1932年~1937年の期間で急速に上昇
●大きな右肩上がりの時期は1941年くらいから1966年まで、1982年~2000年までの2回。共に約1目盛分上昇
●上記の上昇期ではない、1966~1982年及び2000年以降はほぼ横ばい

同じデータから作っても直感的な印象は大きく変わります。
2つのグラフを合成すると以下の通り。
dow30_2graph

株式投資においてある程度の期間以上のグラフを見る時は対数グラフの方が良いでしょう。

通常のグラフでは最近の絶対値が大きくなった時代の値動きばかりが目立ちます。1930年を挟んだ世界大恐慌すら潰れてしまいます。これでは株式パフォーマンスを見るには適していません。
対数グラフで見ると絶対値の値動き幅に惑わされず収益率というパフォーマンスがよく分かります。

2009年のリーマンショックではこの大きさのグラフで確認できる谷があります。これだけ長期間にグラフを取って谷が分かるのですから影響が大きかったことは頷けます。しかし、世界大恐慌とは比べ物になりません。
実際の変動を見ても「370→55と-85%を記録した大恐慌」「14100→6500のリーマンショック」では全く違います。2007年の高値から大恐慌の下落率(-85%)を当てはめると14100→2100という水準です。

投資収益率を考えてグラフを見る場合、対数グラフも考慮しておくとよいでしょう。







都合がよい期間を選んだデータに騙されるな

煽リストの藤沢数希氏がアゴラにいいサンプルを挙げています ⇒ 「5年前に100万円投資していたら・・・
さすがに注目されているだけあって、Twitterや梅屋敷のランダムウォーカーのコメント欄でも話題に上がっています。

KazuFuji_index
上のチャートはそれぞれの資産に5年前に100万円を投資した場合、いくらになっているかを表している。
一番最悪なのは、金融のプロ中のプロのゴールドマン・サックスなどの投資銀行に投資することだった。
次にダメなのが、経済評論家やファイナンシャル・プランナーが自信満々でススメていたTOPIXなどの日本株のインデックス・ファンド
MSCI Kokusaiなどの外国株インデックス・ファンドに投資することも、円高で負けず劣らずダメだった
圧倒的にパフォーマンスがよかったのが、日本国債に投資することだ。年率1.5%ほどの金利で運用していれば、今頃は7.5%程度は財産が増えていたことだろう。ゆうちょ銀行に定期預金をしてもよかった。つまり、日本の多くのお年寄りは、非常に賢明な投資をしたのだ。
金融のプロは、カジノ運営に関してはラスベガスのホテルに教えを乞うべきだし、投資に関しては日本のお年寄りから学ぶべきだろう。


日本国債や預金を選んだ人が賢いと言っていますが、極めておかしな話です。

以下は各種株式/債券指数のパフォーマンスです。(ソースはわたしのインデックス。2012年2月末のデータ)
Index_Compare
【図中のインデックス (全て円建て)】
 国内債券 = NOMURA-BPI総合
 国内株式 = TOPIX(配当込み)
 米国株式 = S&P500(配当込み)
 先進国株式 = MSCI KOKUSAI
 新興国株式 = MSCI Emerging
 世界株式 = MSCI All Country World
 先進国債券 = Citigroup WGBI Non-JPY
 新興国債券 = JPMorgan Emerging Market Bond Global

パフォーマンスがトップのインデックスは背景が水色、ワーストは灰色になっています。
国内債券にとって、5年という区切りが唯一にして最大の大勝利だったことが分かります。

3年になると株式に大きく負け、全インデックスで最下位です。
10年になると先進国/新興国債券に負け、株式では新興国株式には大きく負けます。
15年以上では低迷する日本株以外には全て負けます。

5年という期間設定こそが、「圧倒的にパフォーマンスがよかったのが、日本国債に投資すること」「ゆうちょ銀行に定期預金していてもよかった。つまり、日本の多くのお年寄りは、非常に賢明な投資をしたのだ」「投資に関しては日本のお年寄りから学ぶべきだろう」と言うためには必要不可欠な要素であることが分かります。


相場が大きく下げた時には必ずこういう「低リスク資産が良い。投資なんてダメ」と主張する輩が出てきますが、注意が必要です。
同様に相場が好調な時に「投資最高」と言う輩にも注意が必要です。



ヘッジファンドのパフォーマンス

ヘッジファンド指数(HFRX Global Hedge Fund Index)のパフォーマンスをBloombergで見てみました。 (※2012年2月8日時点の数字)

比較対象としてMSCI World Index及びS&P500を載せています。
↓1ヵ月
HFRX_1M

↓3ヵ月
HFRX_1M

↓6ヵ月
HFRX_1M

↓1年
HFRX_1M

↓3年
HFRX_1M

↓5年
HFRX_1M

なお、グラフを比較する際には以下の3つのポイントは考慮すべきです。
(1)最近は株式市場が好調だったので、ここ1-3カ月ほどでMSCI WorldやS&P500は8%ほど上げています。この期間だけでHFRXと7%程度の差が付いています。(株式インデックスに有利)
(2)MSCI WorldやS&P500は配当を含んでいない (3年や5年では配当の影響は大きい)
(3)ヘッジファンドインデックスは任意の提供情報で構成されているので生き残りバイアスや成績の良いHFの情報だけが報告されているバイアスがある

面白いことに1年と5年のチャートではHFRXとMSCI Worldはいい勝負です。
1年チャートでは8月-10月にかけて欧州債務危機がありました。
5年チャートではリーマンショックとも呼ばれる危機がありました。
どちらも、期間の中頃に株式市場の下げ相場があって、株式インデックスはV字型のチャートを描いています。こんなチャートではいい勝負ということでしょうか。

3年チャートではMSCI WorldとS&P500の圧勝です。
欧州債務危機はありますが、全体的にはリーマンショックの底からの回復期の右肩上がり相場です。このような相場では株式インデックスの圧勝です。


伝統的な株式保有投資とヘッジファンドの間にはあまり期待リターンに差はなさそうです。リスクはヘッジファンドの方がボラティリティが少なくなっているので低リスクに見ます。
ここから「ヘッジファンドの方が同じ期待リターンで低リスク」と言いたいところですが、ポイントの3番目で挙げたように、ヘッジファンドのデータは上方乖離するバイアスが入っているので、ヘッジファンドのリターンはこのグラフより低くなりそうです。
【参考:ヘッジファンドの生き残りバイアスとバックフィルバイアスに関する実証研究】
“Hedge Funds: Risk and Return" Malkiel and Saha[2005]

高リスク高リターンの株式保有、低リスク低リターンのヘッジファンドというところでしょう。

株式保有でもパフォーマンスのいい株も悪い株もあります。ヘッジファンドでもパフォーマンスのいいファンドも悪いファンドもあります。
しかし、全体としてみれば、美味しい話はなさそうです。



[バイ&ホールド]+[分散]+[長期]投資のメトリックス

投資では1年間を区切りとして成果を振り返ることがあります。

●[バイ&ホールド]+[分散]+[長期]投資のスタイルで1年を振り返った時に、成功/失敗のメトリックスは何でしょう?

30年といった長期であれば、その投資スタイルの結果であるパフォーマンスで測定してもいいでしょう。
しかし、[バイ&ホールド]+[分散]+[長期]では短期のパフォーマンスはコントロールできません。1年間のように短期のパフォーマンスはその時の市場環境任せです。パフォーマンスで良い投資をできたかどうかを測定するのはふさわしくなさそうです。

そこで、メトリックス(案)は次の3つを考えてみました。

(1) 年間でどれだけの資金を投入できたか?
(2) リスクを適切にコントロールできたか?
(3) 狼狽売り・右往左往しなかったか?



(1) 年間でどれだけの資金を投入できたか?
(アセットアロケーションでリスクを下げてマイナスを減らすことはできますが、)基本的にパフォーマンスは市場任せです。
そうすると[バイ&ホールド]+[分散]+[長期]投資を継続する限り、最後の果実を増やすのは投入する資金の量です。どれだけ資金を投じることができたかは成功基準になるでしょう。

(2) リスクを適切にコントロールできたか?
「リスクを過剰に取りすぎなかったか?」もしくは「臆病になりすぎなかったか?」。
特に前者の意味合いが強い。儲けに目がくらんで許容リスクを超えるハイリスクな投資をしてしまうのはアウトです。
また、「今がチャンス」と思って生活防衛資金などまでもスポット買いで使ってしまうこともアウトでしょう。相場が下がった時こそチャンスとも言いますが、そこで逆張りに"賭けて"はいけません。

(3) 狼狽売り・右往左往しなかったか?
これは基本です。2009年のように相場が急落した時に市場から逃げてしまったらアウトです(タイミング投資の場合はOK)。ブラジルがいいと聞けばブラジル、ゴールドがいいと聞けばゴールドという右往左往する投資スタイルもよくありません。


まとめると、[バイ&ホールド]+[分散]+[長期]投資においては、以下の様であれば良い投資をした年と言っていいのではないでしょうか。
(1) 稼ぎを増やしたり支出をコントロールすることで、しっかりと投資資金をねん出し、
(2) 投資にのめりこみすぎず、
(3) 粛々と計画通りに投資を実行する



ザッケローニ監督と投資パフォーマンス

フットボールで日本代表がアジアカップを制しました。
そのおかげでテレビではニュースやワイドショーで日本代表に関する話題が多いようですが、心の狭い私には気に入らないことが多数。

まずは決勝ゴールの李選手が妙に取り上げられていることが気に入らない。ただ決勝ゴールだけがそんなにすごいことかと。たかがボレー一発だけですよ。これが気に入らない。

そして本題。
ザッケローニ監督の評価です。
どこぞのワイドショー(宮根さんの番組?)ではザッケローニ監督が名将扱いされていました。他のニュースなどでもだいたいは好意的ですし、ファンの人たちもザッケローニ監督の名前をコールしていたりと高評価のようです。

しかし、ザッケローニ監督はそんなにいい監督だろうか?

私のザッケローニ監督評は中の下。近年の印象はユヴェントス史上に残るくらい酷い結果を残したダメ監督という印象です。ユーベファンの知人からは彼が解任されてよかったという声が結構聞かれました(そもそもなんでザッケローニなんかにしたんだという批判が先か)。
2000年前後には私の応援するAC Milanを率いていましたが、何とかスクデットを1回とったくらいです。その後は成績不振でMilanを解任、ラツィオ、インテル、トリノで解任・・・と監督更迭のニュースで名前を聞くくらいで全くいい監督という印象がありません。

今回のアジアカップ優勝はAC Milanのスクデットと同じイメージです。
今のアジアにおいてはオーストラリア、韓国、日本が実力三強です。そういう意味では選手層に加えて少しの運でこの3チームのどこが優勝してもおかしくなかった。
AC Milan時代のリーグ優勝もAC Milanの戦力を考えると魔法のような監督の手腕がなくても優勝してもおかしくなかった。

そんなザッケローニ監督が今の日本では名将と称えられているようですが、これは正しい評価なのでしょうか。


この評価のされ方は投資に通じるところを感じます。
直近の短期的な成績だけで評価が高まるという傾向です。
投資の世界で短期的に優れたパフォーマンスを残す人はたくさんいます。しかし、その人が実力で勝ち取ったものかは分かりません。しかし、短期的なパフォーマンスに惹かれる人があまりにも多い。

今回の世間のザッケローニ監督評を見て、このようなことを感じました。



私の著書 - ズボラ投資
「毎月10分のチェックで1000万増やす! 庶民のためのズボラ投資」
連絡先
私への連絡は下記メールアドレスまでお願いします
tsurao@gmail.com

tsuraolife_banner_s

follow us in feedly

にほんブログ村 株ブログ 投資信託へ


Recent Comments
ブログ内記事検索
PR
お勧め銀行・証券会社
■証券会社■
○SBI証券

○セゾン投信


■銀行■
○住信SBIネット銀行


■401k(確定拠出年金)■
○SBI証券
タグ
Archives