ネットマネー
先の『投信の長期投資は投信オタク? (by カブドットコム証券臼田氏)』には多くのコメントを頂きました。
主にはインパクトのあるイラストへのコメントでしたが、その他の補足もさせていただきます。
kenzさんから、ネット上の臼田氏の記事のURLを教えていただきましたので、以下を読まれる場合には、こちらも参考にしながらお読みください。
イラストにインパクトもありましたが、それだけでは私はブログのエントリーは書きませんでした。臼田氏の文章に本質があります。その文章とイラストが互いに高めあった結果、ブログに取り上げることを決めました。
臼田氏の記事には大きな間違いがあります。
●間違いその1:「投信というと、長期投資と考えている方が多い」
2010年7月に書いたエントリーにあるように投信保有期間は2.8年となっています。投資家の投信の平均保有期間である2.8年はとても長期投資と言えるものではありません。
証券会社の営業も、少し前ではエネルギー関連やブラジルレアルを勧めたりとその都度のテーマを推奨しています。ネット証券の広告を見ても数年前は中国やBRICsでした。少し前から今は高金利通貨やREIT、そして中国元です。
このように「投信=長期投資」と考えている人が多いという事実は全くありません。
「投信=長期投資」なんて考えているのは、極々一部のマイノリティーです。
資産倍増プロジェクトに対するインデックス投資家の批判の声がよほど印象に残っているのでしょうか?彼らを過剰に意識してしまった結果の誤りでしょう。投信投資家全体に向けたコラムがどうも私的な反論の場になってしまっているように感じます。(体裁こそ全体向けとしておりますが)
●間違いその2:「その時々でよさそうなファンドに乗り換えて、トータルで長期投資にしてもいい」
先のエントリーでも触れましたが、ファンドを乗り換えるとパフォーマンスが落ちるというデータが出ています。税金や手数料抜きで明確に年率数%の差が出ており、とても賢い投資法とは思えません。
このようなデータがあるのに資産倍増プロジェクトでレポートを書いている人が「乗り換えていい。それが自然だ。」と推奨することはどうなのでしょう?
●間違いその3:「投信は株やETFの代わりに短期投資で活用するメリットもある
投資信託を短期投資に使うこともできますが、明らかに短期売買に向いていないツールです。
投資信託はブラインド方式で価格が決まります。注文時点ではいくらで約定するか分からないのです。
近日のように株式市場では広域のインデックスでも1日に数%動くことがあります。グローバルREITなど1日で10%近く値動きしたものもありました。
注文発注後にこれだけの上下変動があるような商品が短期売買に向いているとは思えません。
相場変動の波を読んで+5%で利益確定と思って売却注文を出したら、約定時には-1%になっているかもしれません。
投信をある程度の期間で乗り換えてくれる顧客がほしいという売り手側の気持ちもわかります。そうではないと企業として収益を上げることは難しいですから。
しかし、それを顧客に向けて言うべきではなく、ましてや資産倍増プロジェクトの関係者が発言すべきではないと思います。
主にはインパクトのあるイラストへのコメントでしたが、その他の補足もさせていただきます。
kenzさんから、ネット上の臼田氏の記事のURLを教えていただきましたので、以下を読まれる場合には、こちらも参考にしながらお読みください。
イラストにインパクトもありましたが、それだけでは私はブログのエントリーは書きませんでした。臼田氏の文章に本質があります。その文章とイラストが互いに高めあった結果、ブログに取り上げることを決めました。
臼田氏の記事には大きな間違いがあります。
●間違いその1:「投信というと、長期投資と考えている方が多い」
2010年7月に書いたエントリーにあるように投信保有期間は2.8年となっています。投資家の投信の平均保有期間である2.8年はとても長期投資と言えるものではありません。
証券会社の営業も、少し前ではエネルギー関連やブラジルレアルを勧めたりとその都度のテーマを推奨しています。ネット証券の広告を見ても数年前は中国やBRICsでした。少し前から今は高金利通貨やREIT、そして中国元です。
このように「投信=長期投資」と考えている人が多いという事実は全くありません。
「投信=長期投資」なんて考えているのは、極々一部のマイノリティーです。
資産倍増プロジェクトに対するインデックス投資家の批判の声がよほど印象に残っているのでしょうか?彼らを過剰に意識してしまった結果の誤りでしょう。投信投資家全体に向けたコラムがどうも私的な反論の場になってしまっているように感じます。(体裁こそ全体向けとしておりますが)
●間違いその2:「その時々でよさそうなファンドに乗り換えて、トータルで長期投資にしてもいい」
先のエントリーでも触れましたが、ファンドを乗り換えるとパフォーマンスが落ちるというデータが出ています。税金や手数料抜きで明確に年率数%の差が出ており、とても賢い投資法とは思えません。
このようなデータがあるのに資産倍増プロジェクトでレポートを書いている人が「乗り換えていい。それが自然だ。」と推奨することはどうなのでしょう?
●間違いその3:「投信は株やETFの代わりに短期投資で活用するメリットもある
投資信託を短期投資に使うこともできますが、明らかに短期売買に向いていないツールです。
投資信託はブラインド方式で価格が決まります。注文時点ではいくらで約定するか分からないのです。
近日のように株式市場では広域のインデックスでも1日に数%動くことがあります。グローバルREITなど1日で10%近く値動きしたものもありました。
注文発注後にこれだけの上下変動があるような商品が短期売買に向いているとは思えません。
相場変動の波を読んで+5%で利益確定と思って売却注文を出したら、約定時には-1%になっているかもしれません。
投信をある程度の期間で乗り換えてくれる顧客がほしいという売り手側の気持ちもわかります。そうではないと企業として収益を上げることは難しいですから。
しかし、それを顧客に向けて言うべきではなく、ましてや資産倍増プロジェクトの関係者が発言すべきではないと思います。
ネット証券4社の資産倍増プロジェクトのReportにも記事を書いていることもあり、投信の世界で注目を集めつつあるカブドットコム証券の臼田琢美氏。
その臼田氏が『ネットマネー 2011年 09月号 [雑誌]
』にて面白い記事を載せていました。「目指せ賢者のスマートトレード!」という1ページの記事です。
●参考エントリー: カブドットコム証券臼田琢美さんに怒りをおぼえる (医師による積立投資信託de資産運用〜コツコツ投資〜)
イラストにインパクトがあります。
臼田氏は、その時々で良さそうなファンドに乗り換えることのほうが自然だと言われていますが、何を持って自然と言われているのかがよく分かりません。
「その時々で良さそうなファンドに乗り換える」に関連して思い出すことが2つあります。
(1)歴史的名著の指摘
次々とファンドを乗り換えて長期的に投資を続けたケースが『敗者のゲーム
』にも書かれていました。次々にファンドを乗り換えていった投資家は、平均的なファンドが上げるリターンより1/3も低いリターンしか得られないそうです。
(2)野村総合研究所のレポート
2011年4月19日の「投資家リターンはファンドリターンを下回る」でも取り上げたように、投資家のリターンはファンドがたたき出すリターンを下回るという野村総合研究所のレポートがあります。
ファンドを持ち続ければ「投資家リターン = ファンドリターン」ですので、ファンドを売買することによって「投資家リターン < ファンドリターン」となっています。一般的には、その時々でファンドを乗り換えると、ファンドを持ち続けるより得られるリターンが小さくなるということがアメリカでも日本でも実証的に報告されています。
さて、そのようなデータがある中で、「その時々で良さそうなファンドに乗り換えることのほうが自然」と臼田氏が言われるのはどういう理由なのでしょうか。
資産倍増プロジェクトでは「お客様の資産形成を全力で支援していくことが証券会社の果たすべき役割だと考え、今回、投資信託を取扱うネット証券4社が集まりました。」とうたっています。
その資産倍増プロジェクトのReportで記事も書いている臼田氏のこの発言は資産倍増プロジェクトの理念と相容れているのでしょうか?
4社共同での『“ネットで投信”フォーラム』も行うそうですが、「その時々で良さそうなファンドに乗り換えることのほうが自然」という説明がされるのか?そして、上のようなイラストが使われるのでしょうか?
気になります。
その臼田氏が『ネットマネー 2011年 09月号 [雑誌]
●参考エントリー: カブドットコム証券臼田琢美さんに怒りをおぼえる (医師による積立投資信託de資産運用〜コツコツ投資〜)
イラストにインパクトがあります。
何もその1本のファンドで長期運用しなければならない理由はありませんよね。
その時々で良さそうなファンドに乗り換えて、トータルで長期投資にしてもいいわけです。というか、その方が自然ではないでしょうか。なぜ、1本のファンドと何十年も心中するかのような運用をしなければならないのか。
臼田氏は、その時々で良さそうなファンドに乗り換えることのほうが自然だと言われていますが、何を持って自然と言われているのかがよく分かりません。
「その時々で良さそうなファンドに乗り換える」に関連して思い出すことが2つあります。
(1)歴史的名著の指摘
次々とファンドを乗り換えて長期的に投資を続けたケースが『敗者のゲーム
(2)野村総合研究所のレポート
2011年4月19日の「投資家リターンはファンドリターンを下回る」でも取り上げたように、投資家のリターンはファンドがたたき出すリターンを下回るという野村総合研究所のレポートがあります。
ファンドを持ち続ければ「投資家リターン = ファンドリターン」ですので、ファンドを売買することによって「投資家リターン < ファンドリターン」となっています。一般的には、その時々でファンドを乗り換えると、ファンドを持ち続けるより得られるリターンが小さくなるということがアメリカでも日本でも実証的に報告されています。
さて、そのようなデータがある中で、「その時々で良さそうなファンドに乗り換えることのほうが自然」と臼田氏が言われるのはどういう理由なのでしょうか。
資産倍増プロジェクトでは「お客様の資産形成を全力で支援していくことが証券会社の果たすべき役割だと考え、今回、投資信託を取扱うネット証券4社が集まりました。」とうたっています。
その資産倍増プロジェクトのReportで記事も書いている臼田氏のこの発言は資産倍増プロジェクトの理念と相容れているのでしょうか?
4社共同での『“ネットで投信”フォーラム』も行うそうですが、「その時々で良さそうなファンドに乗り換えることのほうが自然」という説明がされるのか?そして、上のようなイラストが使われるのでしょうか?
気になります。
連絡先
最新記事
Recent Comments
お気に入ブログ他
ブログ内記事検索
PR
ここ1か月の人気記事
タグ
- 401K
- 401k
- BRICs
- eMAXIS
- ETF
- Funds-i
- FX
- GPIF
- NISA
- SBI証券
- STAM
- ZAR
- あゆみトラスト・ホールディングス
- あゆみトラストグループ
- いつかはゆかし
- アクティブファンド
- アセットアロケーション
- アブラハム・グループ・ホールディングス
- アブラハム・プライベートバンク
- アメリカ
- インデックス
- インデックスファンド
- インデックス投資
- インデックス投資ナイト
- インド
- インフレ
- キャンペーン
- クレジットカード
- グロソブ
- コスト
- ズボラ投資
- セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド
- セゾン投信
- データ
- ニッセイ日経225インデックスファンド
- ニュース
- ネット証券
- バンガード
- パッシブ投資
- ファンド
- ブログ
- ヘッジファンドダイレクト株式会社
- ボーナス
- ポートフォリオ
- マスコミ
- マッチング拠出
- マネックス証券
- リスク
- レビュー
- 為替
- 円高
- 外為
- 確定拠出年金
- 確定申告
- 楽天証券
- 株価
- 株式
- 企業型確定拠出年金
- 給与
- 金融庁
- 金利
- 銀行
- 経済
- 個人型確定拠出年金
- 行政処分
- 債券
- 三菱UFJ投信
- 山崎元
- 仕事
- 子ども手当
- 資産運用
- 就職活動
- 住信SBIネット銀行
- 住宅ローン
- 証券会社
- 信託報酬
- 新興国株式
- 政治
- 生命保険
- 税金
- 中国
- 貯蓄
- 長期投資
- 定期預金
- 投資
- 投資信託
- 投信
- 東証
- 統計
- 日経平均
- 日本
- 年金
- 分散投資
- 分配金
- 保険
- 暴落
- 本
- 民主党
- 目標
- 預金
Archives