吊られた男の投資ブログ (インデックス投資)

投資信託を使った低コストインデックス投資/パッシブ投資(バイ&ホールドの国際分散投資)で資産形成を行っている一般サラリーマンの吊られた男が、主に投資やお金のことについて語るブログ。時々、投資やお金以外の話もします。



ドルコスト平均法

「ドルコスト平均法 vs. 一括投資」? ドルコスト平均法の比較相手は定口数買付では?


最近はドルコスト平均法(定額買い付け)と一括投資を比較する話をしばしば目にします。私もこの手の話には乗っかります。
しかし,そもそもドルコスト平均法って一括投資と比較するようなものでしたか?

社会人になった時の投資教育では「ドルコスト平均法 vs. 定口数買付」だった

私が社会人になってすぐに会社の確定拠出年金教育で受けた説明でもドルコスト平均法の説明がありました。
ここでドルコスト平均法の比較対象となったのは定口数買付です。具体的には「毎月1万円ずつ購入する vs. 毎月1万口ずつ購入する」のような比較です。相場の上下動がある場合,以下のように安い時にたくさん買って高い時に少なくしか買わないドルコスト平均法の方が有利という結論が説明されます。

dollar_average
(同じ9万円の購入でもドルコスト平均法では91,237口と1,237口多く買えている)

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「ドルコスト平均法」か「一括購入」か 〜 そのドルコスト平均法は合理的か?

天秤 Libra「一括投資かドルコスト平均法か」という古くて新しい問題を、わかりやすく図解してみた (梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー)というモノがありました。
この中では、状況に応じて一括投資ドルコスト平均法かをフローチャートで分かりやすくまとめられています。一括購入ドルコスト平均法かで迷っている人がいたら参考にして欲しい図です。


しかし、その図の中では自明とされている「手元資金があって、タイミングが読めない」というケースでもドルコスト平均法一括投資かという話がされることがあります。

具体的には退職金3000万円をもらっての投資などのケースです。ここで「分散してバイアンドホールドで投資しましょう」と言いつつ、「時間分散させましょう。買うタイミングを分けて購入することで高値掴みを避けられます。具体的にはドルコスト平均法という毎月定額で購入する方法があります。」のような説明がされます。

これに対する回答は、「投資タイミングを分けることでしばらくの間は、手元での待機資金が多くなるので、機会損失だ。だから一括投資でいい」ということになります。
しかし、それでは納得しない人がいます。「一度に投入すると高値掴みの可能性があって暴落したら大きく損をする・・・」という返答をしてきます。


これは2つの意味で変です。
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毎月分配型投信の再投資にドルコスト平均法の効果はあるかをシミュレーション

graph_image

先日、分配金再投資は部分解約と同じだということを説明するために分配金は部分解約と同じです - NISAも始まったし基本に立ち返るを書きました。
※注: 税金や手数料を考慮しない場合


そこへ以下のような質問をいただきました。
自分の基準価格が再投資により、買値よりどんどん下がっていくという機能というか効果についてはどうお考えですか?

これだけ変動の大きい、5年下がりっぱなしみたいな相場環境だと、毎月分配&再投資のほうが含み益状態にすぐなるというのは、大きなメリットだと思うのですが。
無分配だとずっと戻ってくるのを待つということにならないでしょうか?

毎月分配・再投資はドルコスト平均的な効果があると思うのも間違いでしょうか??

先の分配金は部分解約と同じです - NISAも始まったし基本に立ち返るでも書いたように、分配金再投資は基準価額を削って口数に変換するだけなので、投資した資金が増えたり減ったりするわけではありません。

が、今回は少し詳しくシミュレーションしてみます。

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「含み損=積立額多め」「含み益=積立額少なめ」のシミュレーション (日経平均&ダウ平均)

以下のシミュレーションを行ってみます。
  ●1984年1月~2013年7月の期間
  ●日経平均及びダウ平均それぞれで
  ●以下の2つの手法を実施した場合
    ●毎月30,000円/300ドルを積立(ドルコスト平均法)
    ●含み益なら10,000円/100ドル積立、含み損なら50,000円/500ドルの積立

ようするに、ただのドルコスト平均法ではなく、含み損の時に多めに買い付けて、含み益の時には少な目に買い付けようという手法のバックテストです。
 ※「変則型ドル・コスト平均法」の利用について(Kapokの資産運用)に触発された内容です


【日経平均】
まず日経平均で上の2つのルールで積み立てていった場合の最終的な結果です。
simulation_n04

含み損/含み益で投資額を変える方が少ない投資額で評価額は高くなっています。(Kapokさんと数字が違うのはソースデータの違い?買付タイミング等のアルゴリズムの違い? とはいえ話の大筋には影響ないのでこれで良しとします)
含み損の時(安い時)に積み立てた効果が良い方向に出ています。

以下は各種グラフ
simulation_n01
simulation_n02
simulation_n03



【ダウ平均】
次に今回の本題。
ダウ平均(ダウ30)で同じルールで積み立てていった場合の結果です。(ドルなので10000円→100ドルのように金額はならしています)
simulation_d05

これはなかなかに困った結果になりました。投資額が2,77倍と大差がついてしまいました。

以下のグラフを見ると分かりやすいかも。
simulation_d01
simulation_d02
simulation_d03

損益を見てもらうと分かりますが、ドルコスト平均法も変形型もどちらも投資の早い段階から含み益になってあとはずっと含み益のままです。
変形型は、投資を開始した1984年の8月に500ドルを投資したのを最後に、その後の347か月はずっと100ドルの積立になりました。ようするに投資額を変動させると設定したものの、単なる月100ドルのドルコスト平均法になってしまいました。
そして、投資に回す予定の月200ドルはどんどん投資されずに積み上がっています。


含み損/含み益で投資額を変える方法は、1984年~2013年の日経平均のようにある程度のレンジで上下するような値動きをしたモノには有効そうです。
しかし、ダウ平均のように上下変動はありつつもある程度上昇してしまったものに対しては使い勝手がよくなさそうです。(暴落待ちで暴落が来ずに上がって知ってしまった場合と同じ)



私の著書 - ズボラ投資
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