ネタ自体は少し古いネタなのですが、アンガス・ディートン氏がノーベル経済学賞を受賞したことで復活ネタです。ソースはちゃんと読みましょうというよい実例です。
今年ノーベル経済学賞を受賞したディートン氏が、プロスペクト理論などで有名で先にノーベル経済学賞を受賞しているダニエル・カーネマン氏など発行した論文で"High income improves evaluation of life but not emotional well-being"というものがあります。(http://www.pnas.org/content/107/38/16489.short)
関連しそうなキーワードでGoogle検索すると、この論文をソースとして意見を書いたブログなどが多く見つかります。しかし、論文の解釈を間違えているものが多くあります。
論文の内容を正確に報じていなかったり、間違って解釈して報じた記事などがあり、それを鵜呑みで引用したブロガーが…といった仕組みにもなっています。
論文の内容を端的にまとめると収入と次の2つの関係を調べています。
- Emotional Well-Being / 日々(昨日)の幸福感
- Life Evaluation / 人生の満足度
日々の幸福度は「昨日たくさん笑った?」といったように昨日が良い日だったかを聞く質問で測定しています。一方、人生の満足度は「人生にどれくらい満足している」といったような質問で測定しています。
その結果、収入が増えると両方ともポイントは上がっていくが、日々(昨日)の幸福度は7万5000ドルで頭打ちというのが論文の内容です。日本のニュースでは日々の幸福度が頭打ちという点がセンセーショナルに取り上げられました。これだけが独り歩きしました。続きを読む