吊られた男の投資ブログ (インデックス投資)

投資信託を使った低コストインデックス投資/パッシブ投資(バイ&ホールドの国際分散投資)で資産形成を行っている一般サラリーマンの吊られた男が、主に投資やお金のことについて語るブログ。時々、投資やお金以外の話もします。



コスト

公的年金の運用コストはいくら? (GPIFの平成23年度業務概況書)

公的年金を運営しているのは独立行政法人のGovernment Pension Investment Fund (GPIF)です。
そのGPIFのサイトに『平成23年度業務概況書』がアップされていました。

全114ページのPDFファイルですが、この38枚目(ページ数は32ページ)に【7. 手数料コストの効率化】という章あり、ここでコストについて言及されています。

GPIF_h23_01


GPIF_h23_02

全体で0.02%と非常に安い。
各アセットを見ても一番高い外国債券で0.06%と零細個人投資家では望むべくもない低コストになっています。

この中で面白いのは国内株式と外国株式のコスト。
リテール向け商品では国内は安く海外は高くなっていますが、GPIFの平成23年度は「国内株式0.05% vs 外国株式0.04%」になっています。これは興味深い数字です。







通貨選択型の為替ヘッジ部分の実質コストは?

通貨選択型ファンドが人気ですが、実質のコストはどうなっているのでしょう?

コストを無視した理屈では、通貨選択型ファンドは「直接の投資対象の収益」+「為替ヘッジプレミアム」=「投資パフォーマンス」となります。しかし、現実の運用の世界ではコストがかかります。これがどれほどなのか、特に為替ヘッジ部分のコストが気になります。

簡単な商品説明パンフレットなどでは「ブラジルレアルと米ドルとの金利差を為替ヘッジプレミアムとして受け取れます」のような表現で書かれています。しかし、これは正確ではありません。

FXでEUR/USDやUSD/JPYのようなメジャー通貨をトレードする時にもコストが発生します。FXでは売買手数料が無い業者も多いですが、「取引時のスプレッド」「受け取りスワップと支払いスワップのギャップ」は事実上のコストです。
これと同じで、通貨選択型投信の為替ヘッジ部分に売買コストがなかったとしても事実上のコストがかかっていてもおかしくありません。

レアルと米ドルの短期金利差を見ると約10%あります。通貨選択型投信のパンフレットなどの説明に従えば、この10%が為替ヘッジプレミアムとなっているはずです。しかし、本当のところは何%くらいになのでしょうか。
世の中には外貨建ての個人年金保険や新興国通貨建ての個人向け債券のように、明らかに市場のレートから多くの手数料が抜かれた利回りとなっているものがあります。通貨選択型ファンドの場合はどうなのかと思って、いくつかの通貨選択型投信の運用報告書も見てみましたが、この手の数字はよく分かりません。持っているポジションについての記載はありますが、それを計算する気にはなりませんでした。ヘッジプレミアムの数字も、中抜き分直接のコストとして費用も直接は記述されていませんでした。
この為替ヘッジコストが高いと、それだけでパフォーマンスをかなり毀損する理由になりかねませんが、どうなのでしょう。



無料セミナーは無料ではない点に注意

投資信託で無料セミナーを開催している運用会社もあります。無料ですから参加はただです。

しかし、厳密に言えばセミナーのコストはただではありません。

・会場使用料
・資料作成の労働力
・資料の印刷代
・当日のスタッフの人件費
・交通費
・etc

無料セミナーでもこのようなコストが掛かっています。このコストが運用会社の負担になっています。eMAXISのブロガーミーティングなども同じです。この負担は運用会社が善意から出してくれているものではありません。このセミナーなどのコストも含めて投資信託ビジネスのを損得を考えています。

グロソブのように資産総額が3兆円もあれば、1回のセミナーのコストなど微々たる物です。1回のセミナー費用÷3兆円などたいした数字にもならないでしょう。しかし、純資産総額が増えていない新興の運用会社の場合、このファンドに対するコスト負担の割合は大きくなります。

例えば、セミナー1回あたりのコストが10万円だとします。これを月2回平均で行うと年24回で240万円です。純資産総額が10億円のファンドの場合240万円は0.24%に相当します。純資産総額が5億円弱なら0.5%を超えてきます。

「そんなに費用をかけるなら信託報酬を下げろ」という声も聞こえてきそうです。セミナーを開いても運用パフォーマンスは上がりません。セミナーを行わずにそのコストをファンドの還元すれば単純にパフォーマンスはアップします。「自社で現物運用するノウハウが無いからアウトソースしているとか言うなら、こういうセミナーの時間で勉強して自社でノウハウを蓄積しろ」という声もありそうです。

とは言え、こういうセミナーをやることで新規顧客獲得に努めているわけです。黙っても口コミがあっという間に広がって顧客が寄ってくるような光り輝く商品は簡単には提供できません。ある程度の顧客を集めるには、コストはかかっても営業活動が必要にもなります。
このバランスをどう考えるかでしょう。



「新興国株式」連動投信のコスト低減のための工夫

(とよぴ〜さんのブログのコメント欄へ書かせていただいたものの拡大になります)

先日のエントリーで、ピクテの中国A株とブラジル株ファンドの信託財産留保額とコストの話を書きました。
ここで、注目が高かったのはブラジル株の取引にかかるコストです。
ブラジルの株式市場に上場するブラジル株式を取引しようとすると、取引金融取引税、為替手数料、株式売買手数料などで、「INで約2.6%、OUTで約0.6%」のコストがかかるとのことです。

ブラジルは金融取引税2.0%があり最近注目を集めている投資先なので注目されていますが、ブラジル以外の地域でも取引コストはかかります。特に一般的には金融市場が整備されていない国ほどコストがかかるのが一般的です。

そうするとSTAM新興国株式eMAXIS新興国株式のようにMSCI Emerging連動のインデックスファンドも、バカ正直に運用していると相当の費用がかかることになります。

そこで、彼らがコストを抑えるためにどのような工夫をしているかを書いてみます。


(1)ETFを活用
STAM新興国株式の運用報告書を見ると書いてありますが、目を引くのはVanguardが運用するETFのVWOとなっています。
つまり、STAM新興国株式はMSCI Emerging対象の株式を買い集めるのではなく、対象株式を買い集めているETFを組み入れることでインデックスと連動するような仕組みを作っていました。

VWOへの信託報酬がかかるので負担になりますが、自身の資産規模が小さい中で現物を買い集めるより、VWOへの信託報酬の方が安いということであれば合理的な判断です。


(2)ADRを活用
(ADR=米国預託証券とは、アメリカで外国企業が発行する証券でアメリカの証券所に上場されています。この証券は株と同じ効力があります)
ADRはアメリカ上場なので手数料はアメリカ株を買うのと同水準になります。そうすると新興国の証券所で買うよりコストは安くなります。また、ブラジルなど対象国に資金を投じないので金融取引税なども回避できます。
そして、アメリカの証券所には各国の代表的な企業がADRとして株式を上場させています。STAM新興国株式eMAXIS新興国株式の運用報告書を見ても主な売買銘柄や保有銘柄の欄に新興国企業の代表的銘柄のADRがズラッと並んでいます。

このようにADRを活用することで、アメリカ株を買うのと同程度のコストを実現しています、


(3)優先株を活用
(ここは少し推測交じりです)
STAM新興国株式は(1),(2)の説明でほとんど終わりです。しかし、eMAXIS新興国株式の運用報告書を見ると(1),(2)では説明がつかない部分があります。
eMAXIS新興国株式ではブラジル株に関してADRを利用していないのです。
ブラジル株の代表銘柄と言えば、圧倒的にValeとPetrobrasです。STAM新興国株式ではこの2社の株式はVWO内の保有分以外にはADRとして取引されています。

しかし、eMAXIS新興国株式では、組入資産明細欄のアメリカを見てもValeやPetrobrasのADRが見当たりません。ブラジルに目を移してみると「VALE SA」「PETROBRAS - PETROLEO BRAS」と書いてあります。つまり、ブラジル市場で普通株を買っているようです。これだともろにブラジル市場の取引でかかるコストの影響を受けてしまいます。

「これじゃ、隠れコスト大きくなるじゃん!!」

と言いたくなることもありますが、実はブラジルの枠を見ていると、「VALE SA」とは別に「VALE SA-PREF A」のような銘柄もあります。どうやら普通株だけは無く優先株にも投資しているようです。これはValeに限らず、Petrobrasや他の銘柄にも見られます。
一般的に、優先株は議決権が無いかわりに収益率は普通株より高くなっていますので、eMAXIS新興国株式のブラジル株式では、優先株を適切な割合組み入れることでコスト分を補っていると考えて良さそうです。



投信の信託財産留保額とコストへの誤解は多い?

・先のエントリーの信託財産留保額関係への喰いつきがよかった
・別ブログのエントリーでも信託財産留保額に言及するコメントが多かった(私含む)


こんなことが今回のエントリーを書くきっかけです。


どうやら世間一般では信託財産留保額への誤解が多いように思います。


誤解として一番基本的なものは信託財産留保額をコストとして認識しているようです。


誤解1:信託財産留保額は販売・運用側のためのものじゃないの?
あるブログでも信託財産留保額が「客の立場でなく運用する立場のための仕組み」というコメントがありました。しかし、これは違うでしょう。
信託財産留保額は客から客の手にお金が渡るだけです。購入時や解約時にファンドの中にお金を置いていき、それを顧客全体で分けるのが信託財産留保額です。
信託財産留保額は1円も販売会社や運用会社の懐に入りません。当然信託財産留保額を取ることで運用者の給与が上がったり、運用会社の経費を増やして節税できることもありません。
だから、信託財産留保額は販売・運用する立場のための仕組みではありません。



誤解2:そうは言っても信託財産留保額はコストだよね?
上で「信託財産留保額は販売・運用する立場のための仕組みではありません」と書きました。それではどうして信託財産留保額なんてものを設定するのでしょう?

これは、先のエントリーでも紹介したピクテ投信の信託財産留保額に関するコラムを再び紹介し、これを元に説明させていただきます。
「信託財産留保額」という言葉をご存知でしょうか。信託財産留保額というのは、投資信託の申込時または解約時に徴収される金額で、徴収された金額はファンドの信託財産に組入れられ、受益者共有のものとなります。これは申込または解約をする受益者の資金の出入りに伴う売買に係る費用等をまかなうためのものです。信託財産留保額を徴収しない場合、資金の流出入に伴う売買に係る費用は、ファンド全体の投資コストとして他の受益者にも負担をかけることになります。信託財産留保額はこうした受益者間の不公平を低減するための制度です。
ピクテの説明にもあるように、ファンドの購入・解約が発生した時には、ファンド内部の有価証券の売買にコストがかかります。投資信託というスキームでは、この売買コストをファンド全体で負担します。つまり、信託財産留保額が無いと、そのファンドを保有し続けている受益者は資金の流出入がある毎にそのコストを割勘させ続けられるのです。一方、後からファンドに入ってきてすぐに出て行った人は、その売買コストのほとんどを他受益者に負担させて逃げていくことになります。


これでは分かりにくい?ということもあるかと思いますので、ピクテのシミュレーションをご紹介。

以下はピクテ投信の信託財産留保額に関するコラムに書かれた2009年10月20日から2010年4月23日までの、ボベスパ指数(円換算)の実際の値動きを使用して計算したシミュレーションです。
●ボベスパ指数(円換算)を「指数」、信託財産留保額を徴収するファンドの基準価額を「基準価額A」、徴収しないファンドの基準価額
を「基準価額B」とする。「基準価額A」および「基準価額B」は費用に関する要因以外は「指数」と同じ動きをするものとする。
●指数は略式で「当日のボベスパ指数の終値×当日東京時間17時のレアル円レート」で算出する。
●スタート時点のファンドの純資産総額を10億円とし、その後毎営業日1億円の資金の純流入が続き、費用を控除した全額が即日投
資されるものとする。
●信託報酬を年率0.945%として簡便的に毎営業日その1/245が費用として差し引かれるものとする。
●スタート時点の純資産総額およびその後毎営業日の純流入資金の2%が金融取引税として差し引かれ、残額に対して0.6%の取引コスト(株式取引費用と為替取引費用)が差し引かれるものとする。「基準価額A」はスタート時点の純資産額およびその後毎営業日の純流入資金の2.6%が信託財産留保額として加算されるものとする。
●ここでの前提条件以外の費用・税金・その他の基準価額変動要因は含まれないものとする。
※これらの前提およびこの資料でのシミュレーションはあくまでよりよくご理解いただくため参考情報であり、実際の投資信託の費用率・費用額・税率等とは異なります。また、ここではわかりやすくするために簡略化した計算方法を用いており、実際の投信計理とは異なります。将来の運用成果等を示唆あるいは保証するものではありません。

pictet_simulation

 わずか半年程度の期間にこれだけの差が生じています。仮に当初2.6%の信託財産留額が差し引かれたとしても、例えば基準価額が10,000円であればその額は260円となりますが、シミュレーション期間末の基準価額Aと基準価額Bの差は10,639円-9,680円=959円にもなっています。
フォント等形式は当方で一部修正

信託財産留保額を設定した場合と設定しない場合でこれだけの差が生じています。信託財産留保額2.6%の差で959円(約9〜10%)の差です。
本来ならインデックスに連動するファンドのはずなのに、2009年10月20日に投資した人はコストのせいだけでインデックスから約9〜10%もアンダーパフォームしてしまいます。約半年という期間です。
これは運用の巧拙を考慮せずに信託報酬と売買コストだけを考慮したシミュレーションですので、長期で保有している人はその後の人のコストも背負ってあげたのでこれだけ損をするということになります。

これはフェアなのでしょうか?

多くの人は「フェアではない」と言うかと思います。
長期保有者がその後から入ってくる人のコスト、短期売買者のコストを負担するというのは原則論に立ち返ると間違っています。
「株式買い付け時に2.6%のコストがかかるならば、各自が自分の資金を投じた時に2.6%のコストを負担すべき。そして、売却時にもそれに関するコストを負担すべき」
これがあるべき姿ではないでしょうか?

それを実現するのが信託財産留保額です。
上のピクテのシミュレーションにもあるように、実際の売買コスト相当の信託財産留保額を設定することによって、各自が自分の資金を投じた時と売却時に、自分の資金に応じたコストを負担仕組みを実現できます。

このように信託財産留保額は、長期で保有する人を守る仕組みとして機能します。


信託財産留保額は決して敬遠するものではなく、長期で保有する人にとっては自分を守ってくれるものだという認識を持ってもよいのではないでしょうか。



私の著書 - ズボラ投資
「毎月10分のチェックで1000万増やす! 庶民のためのズボラ投資」
連絡先
私への連絡は下記メールアドレスまでお願いします
tsurao@gmail.com

tsuraolife_banner_s

follow us in feedly

にほんブログ村 株ブログ 投資信託へ


Recent Comments
ブログ内記事検索
PR
お勧め銀行・証券会社
■証券会社■
○SBI証券

○セゾン投信


■銀行■
○住信SBIネット銀行


■401k(確定拠出年金)■
○SBI証券
タグ
Archives