吊られた男の投資ブログ (インデックス投資)

投資信託を使った低コストインデックス投資/パッシブ投資(バイ&ホールドの国際分散投資)で資産形成を行っている一般サラリーマンの吊られた男が、主に投資やお金のことについて語るブログ。時々、投資やお金以外の話もします。



カーブフィッティング

新しいインデックスなどカーブフィッティングです。偉い人にはそれが分からんのです(Vanguardのレポート)

「あんなの(新しいインデックスなど)カーブフィッティングです。偉い人にはそれが分からんのです。」

こちらで知ったのですが、Vanguardが大変興味深いレポートを発表していました。
ファンダメンタルインデックスなど、新しいインデックスに注目している人は必見(?)のレポートです。

Joined at the hip: ETF and index development (Vanguard)

インデックス及びそれに連動を目指すETFに関するレポートです。2000年以降のデータで面白い検討をしています。


面白いポイントは3つです。(特に3つ目が重要)

(1)インデックスの種類
2002年頃まではほとんどが時価総額ベースのインデックスでした。しかし、2003年からは従来の時価総額ベースでない多くのインデックスが開発されています。


(2)インデックス組成⇒ETF組成期間の短縮化
インデックスが組成されてから、そのインデックスをベンチマークとするETFが組成されるまでの平均期間が短くなっているようです。2000年は約3年だったのが、2011年は77日ということでかなりの短縮です。


(3)過去に調子が良かったパラメーターをインデックス化しているだけ?
ここが一番面白いポイントです。
Vanguardは組成されたインデックスの組成前のパフォーマンス組成後のパフォーマンスを調べています。

インデックスの87%はインデックス組成前の過去データではアメリカ株式市場をアウトパフォームしたようです。
しかし、インデックス組成後のパフォーマンスを見るとアウトパフォームしたインデックスは51%とのことです。

しかも「インデックス組成」「ETF開始」の前後5年でアメリカ株式市場に対する年次超過リターンを見ると大変興味深い。
figure6
figure7

見事なまでに対アメリカ株式市場で、組成前はアウトパフォーム組成後にはアンダーパフォームという結果になっています。これを見ると、インデックスという皮を被っていますがテクニカル分析でよく聞くカーブフィッティングという言葉が浮かんできます。

ファンダメンタルインデックス等も提唱されていますが、このようなデータを見た時にどう考えるか・・・
大変興味深いレポートです。

当たり前ですが、Vanguardは「あんなの(新しいインデックスなど)カーブフィッティングです。偉い人にはそれが分からんのです。」なんて言っていません。







過去に儲かった≠良い投資方法2

先のエントリーでも取り上げた、過去に儲かった≠良い投資方法の続きです。


過去では優れていた手法が将来に適応できない大きな原因として「カーブフィッティング」と「生き残りバイアス」を取り上げます。

●カーブフィッティング
主にシステムトレードなどで最適なトレード方法を見つけようとする時に起きる現象です。
「曲線を合わせる」という意味にあるように、バックテストで良い結果が出るようにパラメータを追加したり設定値をいじったりすることです。
様々な条件を組み合わせれば、過去の為替や株価の推移に対して、素晴らしいパフォーマンスが出る取引手法を作りだすことはできます。

あるパラメーターを加えたり、閾値を調整すれば、サブプライムショック/リーマンショックを早々に回避して安値で買うシグナルを設けることも可能でしょう。

移動平均20日でも25日でもダメだけど23日なら良くて、損切りラインを高値から15%や20%じゃゃダメで17.3%に設定すればOK・・・と過去の値動きに最適化することは可能です。特に複数のパラメータを組み合わせれば、より最適化は可能です。

しかし、これは過去の値動きに最適化した仕組みですので、将来にわたってうまくいくとは限りません。特に条件を複雑にすればするほど、ほんの少し条件が変わっただけんでも結果が大きく変わってしまいます。


●生き残りバイアス
カリスマ投資家になる方法で紹介した方法もここに入ります。

世の中には様々な投資方法があります。
テクニカル分析だけでも、RSI、RCI、ストキャスティクス、ボリンジャー・バンド、ピボット、移動平均、トレンドライン、エリオット波動、等々と様々な手法があります。また、同じ手法でもパラメータの設定値や期間の取り方で違いが発生します。

無数の投資手法があれば、ある期間で区切った時にいくつかは素晴らしい成績を収めるでしょう。
コストを考慮しなければ、全く逆の取引をする2つのトレード手法があれば片方が大損になればその逆は大儲けになります。

宝くじだって皆で買えば誰かは1等を当てるのです。
優勝確率が1万分の1のじゃんけん大会も誰かが優勝するのです。



私の著書 - ズボラ投資
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