外国債券と国内債券の期待リターンは同じ

長期的には為替レートが両国のインフレ率に応じて調整されるので、名目金利は違っても期待リターンは同じになります。「外国債券と国内債券の期待リターンは同じ」は基本原則として私もよく言ってきた話ですし、一般論として通用する話だと思います。

しかし、以下の2つの条件が満たされている場合には、外国債券を買う超過リターン狙い戦術もあります。
 (1)日本が低金利でイールドカーブがフラット化
 (2)対象の外国債券のイールドカーブがスティープ化している

話を単純化するために、日本円とある外国通貨の金利が以下のようになっているとします。
 ・日本円:短期金利0%、長期金利1%
 ・外国通貨:短期金利0.5%、長期金利5%

対象通貨の残存期間が長い国債を買うと、現地通貨建で5%の年利回りです。5%(外国通貨)-1%(日本円)=4%の差があります。
しかし、金利差は為替変動で打ち消されるので超過リターンは無いというのが長期の法則です。為替変動による期待リターンは-4%/年ということです。
ところが、この国債を保有しつつ短期金利で為替ヘッジをすると、少し風景が変わります。100%為替ヘッジすれば為替変動の影響は0です。短期金利差は0.5%なので、短期金利で為替ヘッジをすれば0.5%のヘッジコストで-4%の為替変動を無しにできます。

※参考:社会保障審議会年金数理部会資料 - 23ページ

(確実に儲かるかは分かりませんが、こんな投資方法はあるということで)