吊られた男の投資ブログ (インデックス投資)

投資信託を使った低コストインデックス投資/パッシブ投資(バイ&ホールドの国際分散投資)で資産形成を行っている一般サラリーマンの吊られた男が、主に投資やお金のことについて語るブログ。時々、投資やお金以外の話もします。



インフレ

リフレ派(絶対デフレ退治派)に嬉しいニュース

2011年3月1日の報道ステーションを見ながらエントリーを書いています。
報道ステーションでも取り上げられていますが、「日本の不況脱却にはデフレ退治」とされる方々には嬉しいニュースが続いています。

コーヒー価格が上がっています。

タイヤ大手もタイヤを値上げしました。
燃料サーチャージも上がりました。
ガソリンも上がりました。
小麦の政府売り渡し価格も上がりました。
少し変わり種では高齢者の自動車保険料も上がりました。
私立高校の学費も値上がりしました。


これらのように各種商品値上げのニュースが出ています。まだ一部の商品のわずかな価格だけなので全体への影響は小さいですが、徐々に物価上昇の芽が出ています。
小麦、コーヒー、トウモロコシ、大豆などはもっと投機筋に頑張ってもらって今から何倍にも上がることに期待でしょうか。そうなれば嫌でも最終価格を上げざるを得なくなります。
原油も最近はいい感じで右肩上がりですので、最高値を超えて1バレルあたり200ドル越えになってくれれば物価上昇圧力はかなり強まります。

これで日本でインフレが発生すれば景気回復ですかね。







「景気悪化とデフレ」=「インフルエンザと咳」だろう

先のエントリーで皮肉ったエントリーを書いたように、デフレ脱却絶対主義とでも呼ぶべき一部の過激なリフレ派に賛成できません。(アクセス数を増やすにはもっと極端な例にしても良かったかもしれないとは思いますが、それでは信憑性が薄まるので、現実性を残してみました)
デフレ脱却絶対主義者は景気低迷の根源はデフレであり、それさえ解決すれば何とかなるかのような論調です。

でも、違うでしょう。

1週間熱が出て、咳も出るインフルエンザがあったとします。デフレは咳のようなものです。デフレは企業の人件費抑制やそれに伴う消費の減退、投資の縮小などによって引き起こされた現象です。いきなり好景気の真っ只中に突然デフレが現れて、それが景気を悪化させたわけではありません。

確かに咳は苦しい。無ければ無い方がよい。しかし、

(1)咳を止めてもインフルエンザは治らない
上にも書いたように、デフレと景気悪化の関係は咳とインフルエンザの関係。景気が悪化しているからデフレになったのであり、デフレを食い止めることは咳を止める程度で症状は楽になるが景気悪化(インフルエンザ)そのものを解消する決め手ではない。
咳も苦しいから無ければ無い方が良いが、咳さえ止めれば全てがよくなると考えるのは間違え。

(2)咳を止める薬には副作用がある
咳を止めるためにどこまで対策を取るべきだろうか?
例え咳を止めることができたとしてもそれ以上に身体にダメージを与える薬を飲ませるべきではない。インフレに誘導する政策でもその対策による危険性が効果以上に大きいならば効果があってもやめるべきということになる。


一部のリフレを主張する人はどこまでこういうことを考えているのだろうか。



小麦や大豆の値段が高騰してもインフレにはならない

オーストラリアの洪水や世界的な投機マネーの流れもあって、小麦・大豆・トウモロコシなどの価格が大きく上がっています。これらに投資している人は嬉しい悲鳴でしょう。

また、このような食料価格高騰に合わせて日本でも食料価格が暴騰するかのような論調もありますが、これは誤りです。小麦・大豆・トウモロコシ価格の上昇はインフレ圧力ですが、影響力は小さいというのが正しいところで、それほど騒ぐ必要はありません。

以前も紹介しましたが、『食料品の原材料と製品価格の変化に関する分析』というレポートによると、原材料価格が最終的な食料価格に及ぼす影響度はそれほど大きくないのです。
 ●小麦1%値上がりにつき生産コストは0.08%上昇。
 ●粗糖1%の値上がりにつき生産コストは0.589%上昇。
 ●豆類1%の値上がりにつき生産コストは0.0662%上昇。

小麦の価格が50%値上がりしても、小麦を原料とする製品の生産コスト上昇は4%にとどまります。(データが古いので今の数字とは違うかもしれませんが、原材料価格よりも日本国内でかかっている加工・保管・物流コストなどの影響の方がはるかに大きいことは変わらないでしょう)
ですから、先物市場で食料価格がある程度上がってもそれほどインフレを気にする必要はありません。そもそも消費者が使うお金で食料品に向けられるのは全体の一部に過ぎませんし、原材料価格高騰の影響を受ける商品はさらにその一部に過ぎません。

輸入原材料を加工する食品業者にとってはこの原材料価格の高騰は経営の死活問題かもしれません。
しかし、食料品を消費するだけの消費者にとっての影響度は小さいのであまり気にしなくていいでしょう。(もちろん、何倍〜何十倍にも原材料価格が上がれば最終価格へ無視できない影響がありそうです)



日本は最近賃金が上がらないという話を聞くが、話半分で聞く必要があるかもしれない

「賃金が上がらない」という話をよく聞きます。

失われた20年に入るまでは給与が毎年のように上昇していた。しかし、バブル崩壊後に日本の給与は上がらなくなった。

こんな話をよく聞くこともあります。
その原因は景気の低迷やグローバル化による賃金競争という側面があることは否定できません。
しかし、話半分にして聞いた方がいいかもしれません。

理由はインフレ率です。

日本経済絶好調時はインフレ率が高かった。だから名目給与が上昇しないと実質は下がるので、給与は増える必要があった。名目給与が5%増えていてもインフレ率が5%なら、インフレ率0%の給与据え置きと理屈上は同じです。

「デフレ前の日本」と「デフレ/低インフレが続く最近」を比較する時には、物価上昇分を割り引いて比較すべきでしょう。しかし、専門的な研究は別にして、俗に給与比較をする時には名目で比べられていることがよくあります。

「昔は毎年のように給与が上がったんだよ。でも今は定期昇給くらいで、定期昇給だって無いことがある」のように名目で話をしていることがほとんどです。この場合、過去はインフレ率によって水増しされている給与上昇ですので、過大評価ということになります。

インフレ率を考慮しない比較の場合は、話半分に聞くべきでしょうね。



預金は立派なインフレ対策 (まだこの手の輩がいるのか・・・)

関連エントリー
インフレから資産を"守る"最善策は? (2008年2月22日)
第90回 個人金融資産あるあるといわれているが(澤上篤人「さわかみ経済教室〜中長期の資産形成〜」)
インフレで資産を減らしたくなかったら、長期運用するしかない
かつて終身雇用や年功序列の賃金体系が磐石で、毎年のベースアップも当り前だった頃なら、ひたすらまじめに働いていさえすれば、そこそこの財産づくりはできた。家計で余ったお金は、銀行や郵便局へ預けておくだけで十分だった。金利も高かったので、満期まで保有していればすばらしい利殖となった。
ひとつ、はっきりしていることがある。デフレ経済下では預貯金の存在価値は高いが、世の中がインフレ気味となってくると辛い。モノの値段が上がり、大事に抱えていた預貯金も購買力が下がってしまう。
こういった時期、長期投資家は株式をたっぷり買っておこうとする。インフレ傾向が強まってモノの値段が上がってくるといっても、多くが企業の売上げにスライドしていってくれる。つまり、本格的な長期投資はインフレに乗って資産価値を保全することになる。

これ、変です。澤上氏の言っていることは事実と異なります。

Diamond Onlineのこの記事【図表1】1年定期金利と物価上昇率の推移を見ると一目瞭然ですが、預金金利と物価上昇率の関係は以下の通りです。
○終身雇用・年功序列磐石期
  →オイルショック時に 預金金利 < 物価上昇率
○成果主義導入後
  →金利規制緩和で 預金金利 > 物価上昇率


「ひとつ、はっきりしていることがある」と言っていますが、インフレになると預貯金の購買力が下がるんでしょうか。これは嘘もいいところです。

金利は基本的に物価水準に合わせて動く。物価が上がれば預金金利も上がります。
上の【図表1】1年定期金利と物価上昇率の推移の1980年以降の物価上昇率と預金金利の推移の通りです。インフレで購買力を減らしたくないだけなら1年定期預金は立派な対象です。



ひとつ、はっきりしていることがあります。金融機関の営業は販売時と運用時の手数料目当てに、資産運用しないことの危機を嘘八百を駆使して煽ってくる。


個人投資家保護のために金融商品取引法は改正されました。自社商品の営業の時に嘘をついて買わせる様なことをすればアウトかもしれません。しかし、このような自社商品を直接販売営業しない場合については対象外です。
上で紹介した嘘含みのコラムにも次のような注意書きが書いてあります。
本資料は情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。銘柄の選択、売買価格等の投資の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようにお願いいたします。

しかし、ダイレクトに商品営業をしていないからといって、ファンドのCEOなどが、自社商品の競合商品について事実と異なることを言って非難することが許されていいのでしょうか。
このあたりは何か腑に落ちません。



私の著書 - ズボラ投資
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