吊られた男の投資ブログ (インデックス投資)

投資信託を使った低コストインデックス投資/パッシブ投資(バイ&ホールドの国際分散投資)で資産形成を行っている一般サラリーマンの吊られた男が、主に投資やお金のことについて語るブログ。時々、投資やお金以外の話もします。



あゆみトラスト・ホールディングス

いつかはゆかし徹底検証 - 本当の投資顧問契約額はいくら?

前2回は予想以上の反響を得た「いつかはゆかし徹底検証」の第3弾です。
 ・「いつかはゆかし」徹底検証 - おかしな解約条件
 ・「いつかはゆかし」徹底検証 - 特徴的な契約の注意点

世間では、私なんぞよりはるかにネットでの存在感が大きいやまもといちろう氏が独自調査を進めているようで徹底調査度合では完敗ですが、あくまで徹底検証シリーズは全く別路線ということで薦めさせていただきます。

今回は「いつかはゆかし」を提供するアブラハム・プライベートバンク株式会社【投資顧問契約額】にフォーカスします。

早速ですがクイズです。

「最近のアブラハム・プライベートバンク株式会社の投資顧問契約額はいくらでしょうか?」




Google先生で「アブラハム 投資顧問契約額」「アブラハム 投資助言契約額」などで検索した方いますか?その数字を覚えていてください。

上のキーワードで私が2月20日にGoogle先生に尋ねたところ、公式サイトの「アブラハム・プライベートバンクの投資助言契約額累計517億円に」というプレスリリースがトップに表示されました。
日本最大(注1)の海外投資専門の投資助言会社アブラハム・プライベートバンク株式会社(http://abraham-bank.co.jp/ 本社:東京都港区、代表取締役社長:高岡壮一郎、金融商品取引業者(投資助言・代理業) 関東財務局長(金商)第532号)は、投資助言契約額が累計517億円(2012年12月末)に達しましたことをお知らせいたします。

上記プレスリリースには2012年12月末に投資助言契約額が累計517億円になったことが書かれています。

つい2か月前の数字ですので、これに近い金額がアブラハム・プライベートバンク株式会社の投資顧問契約額でしょうか?


他の資料も見てみましょう。チェックするのは下の3つです。
1. 日本投資顧問業協会の投資助言・代理会員台帳 (平成24年3月31日現在)
2. アブラハム・プライベートバンクのHP等に記載されていた投資助言契約総額
3. アブラハム・プライベートバンクが発表している2012年12月末現在までの「投資助言契約額累計の推移」の図




1. 日本投資顧問業協会の投資助言・代理会員台帳 (平成24年3月31日現在)
日本投資顧問業協会の『投資助言・代理会員台帳』(平成24年3月31日現在)に、アブラハム・プライベートバンク株式会社の平成23年7月末時点の状況が記載されています。

今回注目するのは【8. 投資顧問契約の契約件数及び契約資産額】資産総額の欄です。
abraham_h2307_kyokai

平成23年7月の投資顧問契約の資産総額は144.07億円となっています。

2011年7月に契約資産額は144.07億円です。


2. アブラハム・プライベートバンクのHP等に記載されていた投資助言契約総額
次に公式サイトでどのように書かれていたかを見てみます。
アブラハム・プライベートバンク株式会社は、関東財務局長(金商)第532号投資助言業の登録を受けた、日本最大(投資助言契約額の累計400億円(2010年9月末現在))の海外投資専門コンサルティング会社です。

この文言はアブラハム・プライベートバンクの公式サイト等に記載されていた文言です。最近は多くのページで情報が2012年9月末のものに更新されておりGoogleのキャッシュ等でしか見られなくなっていますが、いくつか残っているものもあります。
例えば、「アブラハムプライベートバンクのメディア掲載一覧」(http://abraham-bank-media.com/)にはまだ上で引用した2010年9月の記載が残っています。
アブラハム メディア掲載一覧
*画像クリックで拡大します)
*上記サイトの2013年2月21日時点のウェブ魚拓はこちらです)
*「いつかはゆかし」トップ掲載時の該当部分のキャプチャはこちら

2010年9月の投資助言契約額の累計400億円です。



3. アブラハム・プライベートバンクが発表している2012年12月末現在までの「投資助言契約額累計の推移」の図
公式サイトの「アブラハム・プライベートバンクの投資助言契約額累計517億円に」というプレスリリースにあるグラフです。グラフは月別になっています。
「投資助言契約額累計517億円(2012年12月末現在)」と言っているだけあって、棒グラフの2012年12月末はそのあたりにバーがあります。

次に1と2で見た以下の月をチェックしてみましょう
 ・2010年9月
 ・2011年7月

何か不思議なことが起きています。
 ・2010年9月は400億円のはずなのに、グラフでは100億円強です
 ・2011年7月は144.07億円のはずなのに。グラフでは200億円弱です
アブラハム 当助言契約累計

*年を分けるピンクの戦及びコメントは筆者が追加

・2010年9月
 ・投資助言契約額の累計400億円
(アブラハム・プライベートバンク公式サイトより)
 ・投資助言契約額累計が100億円強 (投資助言契約額累計の推移グラフより)

・2011年7月
 ・投資顧問契約額が144.07億円
(日本投資顧問業協会の会員台帳より)
 ・投資助言契約額累計が200億円弱 (投資助言契約額累計の推移グラフより)




さて、もう一度お伺いします。

「最近のアブラハム・プライベートバンク株式会社の投資顧問契約額はいくらでしょうか?」

これに答えるのは簡単ではないでしょう。



●数字の違いの理由を考える
上の数字の違いの理由を少し考えてみましたが、一つは用語の定義で説明できそうです。
「投資助言契約"累計"」「投資顧問契約額」という用語の違いです。

アブラハム・プライベートバンクが公式ページ等で「投資助言契約累計」を使っています。累計ということは、現時点では契約していない過去の契約額も全部積上げて計算している可能性があります。
以下はそのイメージです。
Ruikie_image
○月×日時点の契約額は7億円(Bさん2億/Dさん5億)です。一方、今まで契約した金額全てを合算すると22億円です。

過去に契約していた金額も含めていると考えれば、2011年7月としてアブラハム・プライベートバンクが公式ページ等で公表している「投資助言契約累計」『日本投資顧問業協会の会員台帳』の差の説明はつきます。(過去に契約していたが、もう契約していないのが50億円くらい)

この定義の場合、累計で517億円であっても現時点の契約額はいくらかは分かりません。時間の経過とともに契約終了は随時発生するはずですので、投資顧問契約額は517億円よりそれなりに小さい額になるかと思います。


ところが、謎が残ります。
上の定義の違いでは2010年9月の数字の説明がつきません。

共に「投資助言契約額累計と謳われながら、金額には400億円と100億円強の違いがあります。
ここは謎です。







「いつかはゆかし」徹底検証 - 特徴的な契約の注意点

●サマリー
 (1) 契約内容は随時アブラハム社が顧客の同意なく変更できる
 (2) 変更された契約内容への異議申し立てはできない (嫌なら契約を終了するのみ)
 (3) 退会後も期限の定めのない秘密保持契約がある



「いつかはゆかし」徹底検証の第2弾です。(※今回の内容も2013年2月8日時点の情報に基づいています)
今回は「いつかはゆかし」の契約関係文書を読んで、私が特徴的で気を付けるべきと思われる事項を3点ほど書いてみます。

公式サイトの入会申し込みページを見ると分かりますが、「いつかはゆかし」の規約/契約は3つの文書で構成されています。
 (1) アブラハム・プライベートバンク株式会社会員規約
 (2) 締結前の交付書面
 (3) 投資助言契約書


下2つは法律によって規定されている投資顧問(助言)契約に関連する文書ですが、「いつかはゆかし」においては「アブラハム・プライベートバンク株式会社会員規約」があります。


●項目1: 契約内容は随時アブラハム社が顧客の同意なく変更できる
会員規約の第5章に以下のような記述があります。
弊社は、本会員規約、契約締結前交付書面および投資助言契約書の内容を会員の事前の承諾を得ることなく随時弊社の判断で変更できるものとします。その場合には、変更した当該書面の交付を電磁的方法により行うことで会員の同意を得たものとし、変更日以降は変更後の内容により本サービスは提供されるものとします。
アブラハム・プライベートバンクが好きな時に規約、契約締結前交付書面、投資助言契約書の内容を変更できます。
なお、日本投資顧問協会がサンプルとして提示している投資顧問契約書(投資助言用サンプル)では、契約書の事項の変更に関しては以下のように書かれており、この記述では契約内容の変更は会社及び顧客間で協議して変更契約書を作成して締結となっています。
(契約書の事項の変更)
第8 条 本投資顧問契約書に記載した事項を変更する必要が生じたときは、甲乙協議して投資顧問契約の変更契約書を作成、締結するものとする。

「いつかはゆかし」の投資助言契約書には契約時の事項の変更に関する記載はありません。
ネット上にあるいくつかの投資顧問契約書を見たところ、この日本投資顧問協会の文言を採用しているところが多いですが、そうではないところもあり、「いつかはゆかし」は後者のようです。
他の契約内容の変更については協議の上という投資顧問契約と同じと思っていると勝手に変えられてしまう可能性があるので、この点は特に注意が必要になりそうです。


●項目2: 変更された契約内容への異議申し立ては(事実上)できない
会員規約の第5章には以下のような記述もあります。
会員は、本会員規約、契約締結前交付書面および投資助言契約書の内容もしくは内容の変更について異議がある場合、弊社に対して講じることができる手段は、弊社との契約を終了することに限定されることにあらかじめ同意したものとします。
この記述では契約変更に関する異議がある場合の手段として、契約を終了することに限定となっていますので、契約変更時に顧客が取れる行為は(1)黙って受け入れる(2)契約を終了するの2択であり、契約しながら変更内容に異議申し立てはできないことになっています。


●項目3: 退会後も幅広い期限の定めのない秘密保持契約がある
「いつかはゆかし」の投資助言契約書に記載されている秘密保持は、先にも挙げた日本投資顧問協会がサンプルとして提示している投資顧問契約書(投資助言用サンプル)と変わりない、全く同一の内容です。
(秘密の保持)
第4条
1.乙は、この契約に関連して知りえた甲の財産状況その他の事情については、秘密を厳守する。
2.甲は、投資助言サービスの内容を第三者に洩らし、又は乙の承諾なくして乙の投資助言サービスを第三者と共有してはならない。
しかし、「アブラハム・プライベートバンク株式会社会員規約」には以下のような記載があります。
会員は、本サービス利用中に弊社から本サービスに基づき提供を受けた助言の内容、助言対象ファンドに係る情報・資料、その他情報・資料等(いずれにおいても、口頭、書面、電磁的方法等、提供の方法は問わない。)(以下「本サービス関連情報」という。)を第三者に対して、弊社の事前の書面等による承諾を得ることなく、開示または漏洩してはならないものとします。
本章の規定は、会員が本サービスから退会した後も退会後の会員を拘束するもの
退会後も「いつかはゆかし」のほぼ全情報に対する秘密保持義務があり、その期間は定められておりません。投資顧問の契約習慣についてはよく分かりませんが、一般的な取引契約においての機密保持では、機密保持の範囲や期間が定められていることが多いので、この広範囲・無期限な条項にも留意しておいた方がよさそうです。


「いつかをゆかし」を利用する際には、チェックしたい項目です。

※このサービスに関わらず、規約や契約書の項目をチェックするのは基本ですので、特に重要な項目についてはチェックするようにしましょう



「いつかはゆかし」徹底検証 - おかしな解約条件

●本エントリーを読み進めるにあたっての注意

ゆうきさんのホンネの資産運用セミナーの以下の2つも参考にしてください
 ・「いつかはゆかし」解約時にファンド売却を条件とするのは適切か?
 ・いつかはゆかしに対する疑問にアブラハムから返答

公開されている情報に基づいた検証になります

2013年2月8日時点の情報に基づいて記載しています


まず、アブラハム・プライベートバンク株式会社が提供する「いつかはゆかし」サービスの退会について事実の整理をします。

●公式サイトの退会に関するQ&A
QA退会_2013-02-08
積立投資の開始後に退会をご希望の場合は、それまでの投資資産のご換金をサポートさせていただきますので、そちらが完了してからのご退会という流れになります。

●アブラハム・プライベートバンク株式会社会員規約の第5章
会員が弊社からの助言指導により投資した助言対象ファンドを保有している場合は、当該助言対象ファンドの換金等が終わるまでは契約を終了できないものとします。


Q&Aを読んでも、会員規約を読んでも、「いつかをゆかし」で積立を開始した後に退会を希望した場合、投資資金の換金が完了してからでないと退会できないことが分かります。
なお、投資助言契約書にも甲が乙からの助言指導により投資した有価証券等を保有し続ける場合は、その有価証券等の換金等が終わるまでは、本投資助言契約は自動的に更新延長されるものとすると、換金が終わるまで契約は更新延長される=契約延長しないには換金の完了が必要という主旨の記述があります。



本題に移ります。

この契約解除の流れに対してゆうきさんは以下のような疑問を投げかけています。
投資助言として解除(解約)にあたって、投資商品の売却を条件とするのはおかしいのではないだろうか。

これに対してアブラハム・プライベートバンク サポートが回答(コメント)を書いており、それが不思議です。
ゆうきさまの「売却が退会の条件」というのは、語弊があり実態とは異なります。
かえる様や貴殿が拘られている「売却が条件」は因果関係や前後関係が逆です


上でも触れましたが、会員規約において「弊社からの助言指導により投資した助言対象ファンドを保有している場合は、当該助言対象ファンドの換金等が終わるまでは契約を終了できない」と宣言しているのです。公式ページのQ&Aも同じ趣旨のことが書いてあります。
会員規約に書かれている「当該助言対象ファンドの換金等が終わるまでは契約を終了できない」という文言を読めば「売却が退会の条件」と読む人が大多数と思われます。

それに対して、「ゆうきさまの「売却が退会の条件」というのは、語弊があり実態とは異なります。」などと説明するのはどういうことなのか。

「「売却が退会の条件」というのは、語弊があり実態とは異なります」と言うのであれば、会員規約や公式ページのQ&Aの記載は「金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して、顧客に対し虚偽のことを告げる行為」と定められた金融商品取引法の禁止行為に抵触してはいないのでしょうか・・・。


換金が終わらないと退会できないというサイト及び規約・契約書の説明と、「売却が退会の条件」と言うと語弊があるとか実態と異なるというサポートの説明にはギャップがあります。
残念ながら、私はこのような説明をしているサービスは信用できません。



※以下のように、Twitterにてアブラハム・プライベートバンク|サポート(@abraham_PB)がコメント欄で回答したことを表明していますので、ゆうきさんのブログに書き込まれたコメントは成りすましではなくアブラハムの公式見解のようです。




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